2009-12-22

お部屋1999/インターネットのゴミ処分

インターネットの存在をどこにどう位置づけるかを出版関係者は考えざるを得ず、にもかかわらず真摯に考えようとする人たちは必ずしも多くなく、頭ごなしに「ネットはダメだ」なんてことを言いたがる人も多い中、橋本玉泉さんが繰り返し反応してくれています。

橋本さんが書いているように、たしかに、インターネットはゴミだらけです。しかし、ゴミを可視化することに意味がある。ゴミにしか見えないものも、視点を変えればそこから意味を見出すことが可能。それを論じたのが新刊『クズが世界を豊かにする』だったりします。

例えば東村山の朝木明代転落死について週刊誌報道を読み、長い間、「殺されたのだろう」と思っていた人たちも多いわけですが、インターネットがあれば、なおかつ最低限の読解力と判断力と常識があれば、週刊誌こそがゴミ報道をやっていたことがわかります。

もはやそれを信じるのは、インターネットの情報に触れることができない環境にある人たちを除けば、創価学会と敵対する狂信的宗教団体の信者と、数百人の創価学会の工作員に日々ストーカーとされていると信じる病気の人たち、およびそれに類する人たちしかいないでしょう。

なお「草の根」に投票する東村山の困った市民たち、無関心を装うことで「草の根」を容認してきた無能な市議や行政をどうしたもんか、という課題は残るにせよ、インターネットは頼もしい道具です。

インターネットのゴミと言えば、なんと言ってもゼリー瀬戸率いる「ゼリーグループ」ですわね。彼らが一定の力をもつようになったのは、どこの町内にも一人や二人はいるイカれた人々を集めたからです。「草の根」の言うことを信じるのと同様の人々と言っていいでしょう。
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2009-12-21

お部屋1998/『クズが世界を豊かにする』の読みどころと訂正

昨日、今日は順調に動いている『クズが世界を豊かにする』ですが、これは私の力ではなく、田亀源五郎の力でした。田亀さんのサイトはものすごいアクセス数なのであります。

『クズが世界を豊かにする』の中で、「コメディを足場にして闘うことの意義」「エロを足場にして闘うことの意義」みたいな話を書いていますが、考えてみれば、田亀さんは、まさにそういう闘いをし続けている存在です。

以前、「マツワル」で「中国での田亀源五郎の人気」を確認したのですが、田亀源五郎の名前を中国の百度や中国版googleで検索すると、どれだけ人気があるのかよくわかります。台湾だけじゃなく、正式には発行されていないはずの大陸でも絶大な人気です。これが闘いの成果です。

田亀さんは【作家さんや編集者さんだったら「判断の主体」の章は必読!】と書いてくれています。ここはたしかに読みどころのひとつかと思います。

本書で取りあげている動画を観やすいように、ポットでリンク集を作っていて、その47番目から49番目あたりのコマーシャルが「どうして欧米では可能なのか」を論じたのが「判断の主体」の章です。
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2009-12-20

お部屋1997/出版のあがき

ちょっと前から風邪気味だったのですが、仕事が一通り終わったところで緊張が解けたのか、一気に悪化してしまいました。よくあることです。

その上、『クズが世界を豊かにする』表紙がサイテーだと言われるわ、発売初日にアマゾンでは1冊も売れないわ、タコシェにないわで、すっかりやる気をなくしていたのですが、今日になってやっと4桁に突入して、最悪の事態は避けられ、また、すでに読んだ人の評判はいいので、少しやる気を取り戻してます。

またやる気をなくす前に、話を続けておきましょう。

出版界は「世のため人のため」「文化のため」かのように見せかけて商売をやってきました。こういった側面があるのも事実ですが、なにより出版の原理は「ゼニのため」です。今までカッコつけられていたのは食えるという現実があったからです。私自身、なお出版に執着があるのは、ゼニがもらえるからです。

食えなくなってきた今、なんとか出版の優位性を強調しようと、無闇にインターネット批判をしたり、インターネットを軽視する出版人たちがいます。今まで通りにゼニ儲けができなくなった人たちの悪あがきにしか私には見えません。

「読書をしなくなったから、若い世代は漢字を知らない」なんてことを言う人もいます。ウソだろ、これ。こういう人たちは、ウソまで言ってゼニ儲けを維持したい出版人だと断じてかまうまい。

毎日、メールをあれだけ書いていればイヤでも漢字を覚えます。歴史上、これだけ人々が文章を書く時代はなかったでしょう。それとも、麻生太郎は小さい頃から、携帯電話やパソコンを使っていたから、ああなったとでも言うのでしょうか。
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2009-12-19

お部屋1996/出版とインターネットの関係

連日更新する予定でしたが、締切をクリアしても、年末はやることが多くて、さっそく一日空いてしまいました。

昨日から『クズが世界を豊かにする』が全国の主要書店の店頭に並んでいるはずで、「サイン本でも作るか」とタコシェに行ったのですが、まだ入荷しておらず。おかしいな、通常、ポット出版は、直販店には発売日前に送っているはずなんだけどな。

まっ、この本はトラブル続きなので、この程度のことではいまさら驚かないです。

タコシェの伊東店長がこう聞いてきました。

「予約の調子はどうですか」

聞かれたくないです。書店の注文や直販の予約は順調だったのですが、アマゾンは絶望的です。

「表紙のせいでしょう。あれじゃあ、お笑いの本ですよ」

痛いところを突かれました。

「本当はああいう表紙になるはずじゃなかったんだよ」と私はそこにあった言語学の本を取りあげました。
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2009-12-17

お部屋1994/ロイター配信のホッキョクグマの話

昨日、議員会館にいたら、目の前を蓮舫議員が颯爽と通り過ぎていきました。その表情のみならず、歩く様までが自信満々で、いい悪いの価値判断は置くとして、突出したキャラであることは間違いないでしょう。感心しないではない。

なんでワシが議員会館にいたのかと言えば、主だった仕事が終わったので、ちょっくら暇つぶしをしてきたのであります。この話は気が向いたらまた書くとしましょう。

まだ仕事はいくらか残っていますが、手間のかからないものばかりなので、これ以降は、忘年会やイベントの日以外、連日更新していく予定です。

以下は、先週、「マツワル」で配信した話です。

ちょっと前にネットで話題になっていたのがロイター配信の以下の記事
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2009-12-16

お部屋1993/「実話ナックルズ」久田将義編集長の弱点

前に紹介した「実話ナックルズ」のブログですが、大変面白い内容になってますので、ぜひご覧になってください。

今のところ、久田編集長しか書いていないのですが、彼の難点は、ヤクザやチンピラの脅しには強いのに、インターネットにはからきし弱いことです。この弱点を克服させるべく、時折講義してあげているのですが、まだよくわかっていないみたい。12月24日、「ナックルズ」のイベントでも説教してやろうと思ってます。

彼は「ネット情報は当てにならない」と繰り返し書いていますが、ネットユーザーであれば、そんなことは百も承知、その上で「どう情報を選択していくか」「どう必要な情報を探り当てるか」が今現在のテーマであって、ネット情報を全否定していたら、「おまえにネットリテラシーがないだけだろ」「おまえもネットに書いているじゃないか」と言われてしまいましょう。

とりわけ中年世代の出版関係者には、「印刷メディアは信用できる。しかし、ネットは信用できない」なんて二者択一が成立すると考えているのが今も少なくないのですが、そんなバカげたことを言っているから読者に見離されて、部数が下落していくのです。そんなことで出版界が危機に陥っているわけではないですけど。
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2009-12-14

お部屋1991/槇やすともと瀬戸弘幸のお笑い著作権

荒井さんの予告通り、瀬戸・槇らの「お笑い著作権解釈」に黙ってられず、戻ってきてしまいました。こいつら、アホを晒すにもほどがあります。「サダオの著作権と肖像権の講義」を100回くらい読むといい。

ただし、肖像権は原則として顔に発生するので、サダオのケツがメインである写真に肖像権が発生しているとするのは無理があって、あの写真を無断転載して問題になるのはカノジョさんの著作権のみです。

ケツに絵でもを描いておけばそこにも著作権が発生したんですけど、いかに表情が豊かでも、ケツ自体に肖像権が認められた例はないかと。そのため、エロ写真を転載する場合、乳やケツを晒していても、目線さえ入れておけば、肖像権に配慮したということになります(著作権の問題は別に存在するとして)。

なた5963さんが「見えない敵と闘うこと」にまとめていますが、「ゼリーグループ」は次々と「あっち側」に行ってしまいました。グループの中に、たまたま一人そういうのが紛れ込んでいることはあるでしょうが、どいつもこいつもですから、もともとそういう集団だったということです。
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2009-12-04

お部屋1990/『クズが世界を豊かにする』予約受付中

年末の仕事が全然終わっておらず、原稿どころか取材さえ終わっていません。

すでに『クズが世界を豊かにする』の予約が始まっているので、宣伝作業に入らなければならないのですが、それどころではないです。

「マツワル」では、『クズは世界を豊かにする』の続編的な内容を配信しているところなので、暇ができたら、そのダイジェストでも出すとして、今回はその告知だけしておきます。

内容は、この表紙の通り。

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元氣安の過剰な演技と、なべやかんの淡々とした表情が笑えるので、発売になったら、ぜひ見てやってください。

これはYouTubeでリアクションものを開拓した「2Girls 1Cup Reaction」に敬意を払った表紙であります。

たったこれだけで1100万再生回数。アイデアひとつで1100万再生回数が可能になる。これがYouYubeの面白さです。

意味がわからない人もいましょうが、詳しくはこの動画の「詳細」をお読みください。それでもわからない人は『クズが世界を豊かにする』をお読みください。この動画の背後にある文化的な事情や、「なぜこれがYouTubeでは人気を得るのか」まで解説しています。

2009-11-25

お部屋1988/唐沢俊一の経歴詐称疑惑

「マツワル」の申し込みは27日(金)までです。本日を入れてあと3日です。相変わらずテンションが低いので、今期はオススメできないですが、購読したいというなら止めはしません。

一昨日、『クズが世界を豊かにする』の表紙用撮影が無事終わりました。あとは目次や表紙のチェックを終われば、私の仕事は終わりです。

本来、表紙は著者の仕事ではないのですが、「書影使用自由の表示を入れるんだったら、著作権が発生している表紙にしないと意味がない」と主張して表紙のアイデアを出し、急に写真の表紙にすることになったものですから。

その意味以上に、面白い表紙になっていると思うので、お楽しみに。発売は12月18日の予定で、間もなくアマゾンでの予約が始まります。『エロスの原風景』はすでに結論が出てしまっているので、これから買おうと思っていた方は、新刊を買ってくれた方がありがたい。

まだ連載の締切が続くので、暇にはなっていないのですが、ちょっとは時間ができたので、昨日、青山学院大学に電話をしました。
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2009-11-18

お部屋1986/書影利用自由の表示について

あんなにやる気のない購読者募集だったのに、さっそく申し込んでいただいた方々がいらっしゃいまして、バカじゃないかと(ひどい)。

ここ最近は中国の動画投稿サイトやSNSから中国の人たちの意識を探るというシリーズをやっていまして、これ自体、まあまあ面白い内容なのですが、途中から読んでも意味がわかりにくいと思いますので、今申し込むだけ無駄です。またやる気のないことを書いてみました。
 
 
さて、「書評における表紙問題」が長くなってきたので、またまとめておきます。

1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示
1982/「書評で本の表紙を出すことができない」問題
1983/中の著作権・外の著作権
1984/商品パッケージの著作権
 
前回書いたように、インターネットによるさまざまな商品の販売が可能になって、「そうした方がメリットがある」と感じる企業が出てきたために、「なあなあ」にされていた問題がにわかにクローズアップされているわけですが、販売用の写真使用は営利目的であって(複製した写真自体を販売するわけではないにせよ)、それより書評で本の表紙が出せないことの方が優先的に検討されるべきです。

書評も値段をつけている以上、商品紹介であり、販売目的とした紹介文であるということであれば、商品販売用の写真使用がOKになることによって自動的に書評の問題も解消されますが、話の順番がおかしくないか? 中身をいくら批評していても本の表紙が出せないことは放置されてきたのに、「値段さえつければパッケージの著作物を複製使用していい」という話がいきなり出てくるのは、どうも納得しにくい。
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2009-11-15

お部屋1984/商品パッケージの著作権【訂正あり】

法的には前回書いた通りなのですが、「より多くの人の目にとまるように」「より売れるように」と好き好んで本や雑誌という商品の外側に著作物を晒し、誰もがイヤでも見てしまう状態を作っておきながら、書評に出したら法律に反するのはおかしいだろうというのが法とは別の私の実感であり、おそらく多くの人の実感でもありましょう。

もちろん、その著作物だけを切り取って、本を示すこととは別の目的に使用するとか、改竄するといった行為は問題外として。

それでも、通常、これで訴える人はいないので、「なあなあ」でいいわけですが、いざ訴えられたら負けることをやるのはあまりいい気分ではありません。

表紙を出したことによって、あとからクレームがついたという話は聞いたことがありますが、訴訟を起こされたという話は今まで聞いたことがない。しかし、本の内容を批判的に取りあげることがある人たちは、訴えられる可能性がゼロとは言い切れない。

中身の著作者と表紙の著作者が同一の場合、批判したことに対しての報復として訴えてくるかもしれない。著作者が違う場合でも、表紙の著作者に依頼して訴えてくるかもしれない。頭のおかしな人たちはどこにでもいるわけで。たいした賠償金にはならないにしても、現行法ではそんな頭のおかしな人たちに負けかねないんですよ。裁判所としては和解にもっていくでしょうが、それにしたって面倒なことこの上ない。

著作権が発生していない表紙も多く、それらはいいとして、漫画だったらほぼ100%表紙にも著作権が発生しています。それを考えると、おいそれと表紙の著作権にうるさい出版社、うるさい著者の本を批判的に取りあげられない。批判するとしたら、本の表紙は出せない。出すとしたら、本の表紙まで批評しておくしかない。

「めんどくせえ」と思ってしまうわけですが、そういう状態こそをよしと考えている出版社や個人がいるわけです。
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2009-11-14

お部屋1983/中の著作権・外の著作権

やっと12月発売予定『クズは世界を豊かにする』の初稿チェックを終わりました。

インターネットとは直接関係のない考察の方が私としては面白いような気がします。「FreeHugsがYouTubeを通して、どうしてああも世界に広がったのか」とか「欧米と日本で、どうしてああもコマーシャルのありようが違うのか」とか。時間と文字数たっぷりかけて「マツワル」でやってきたことの結果をさまざま詰め込んでいるので、面白くなければ困るってことだったりもしますが。

まだあとがきができておらず、表紙も決まってません。表紙は出版社の仕事ですが、しゃあないので、こっちからアイデアを出しています。宣伝から表紙まで、ポットは著者に負担をかけすぎだと思うぞ。

ともあれ一段落したので、更新しておきます。
 
 
「ベランダウンコ事件」から1年ですか。ベランダのウンコも解決できない無能右翼に、それ以上の問題が解決できるはずがない。

ベランダのウンコも解決できないのに、またまた探偵気分でウンコ事件同様の推理を展開して笑いをとる瀬戸弘幸ですが、「内部告発」とやらはどうなったんだよ。ガセをつかまされたことを認めて、そこから出直せ。ついでに、中学くらいから勉強をし直せ。

たまにはそっち方面のことにも触れつつ、前回の続きです。

「なぜ書評で本の表紙を出すことは引用にならないのか」について、間違いを含みつつ、以下は私が見た中で、もっとも正しい説明のひとつです。

http://ameblo.jp/tyosaku/entry-10361993354.html
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まず、本の著作権者と本の表紙の著作権者は別々であるということを前提に考えなければなりません。
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2009-11-12

お部屋1982/「書評で本の表紙を出すことができない」問題

図書館問題の余韻が私の中ではまだくすぶっていたりします。正確には、うっかり観てしまったNHKの「爆笑問題のニッポンの教養」の映像が頭から離れません。観なきゃよかった。これ以上続けるとキリがないので、「1981/図書館の中では見えないこと 10・国会図書館がカバーや箱を捨てている事情」にいっぱい追記しておきました。

図書館の話を書いたところで、敵が増えるばかり、アクセスは減るばかり。新規の読者が入ってくると、本が少しは動いたりするものですが、図書館のシリーズをやっている間、アマゾンで『エロスの原風景』は1冊しか売れていなくて、どんどん順位が落ちてます。図書館に興味がある人たちは本を買わないのです。そんなことはないとしても、図書館に興味のある人たちはエロ嫌いの率が高いかも。

沢辺さんは、図書館シリーズを面白がって、どこか公開で話をする場をセッティングしたいとも言っていますが、私としては書いたこと以上に話すことがないです。「公には話しにくいこんな話ならあるけど」と話した内容を聞いた沢辺さんは「そういう話をしてよ」と言います。

少人数しか聞かない場だったら、話してもいいかなとも思うのですが、図書館をテーマにしてしまうと人が来そうにないです。「エロライターが語る図書館の話」って、最悪の組み合わせでしょう。「国会図書館の長尾館長が語るエロ話」だったらまだいいとして、私が語る図書館の話は「貧乏人が語る利殖法」みたいなもんです。ちょっと違うか。客が少ない方がやりやすいし、ゼニをくれればなんでも話しますけどね。
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2009-11-10

お部屋1981/図書館の中では見えないこと 10・国会図書館がカバーや箱を捨てている事情【追記ありあり】

1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示
1966/廃棄本・里親探しの実情
1967/改めて地域資料を調べてみる
1968/除籍予定本の大半は多摩の資料ではないのでは?
1969/図書館の中では見えないこと 1・図書館はコンビニである
1970/図書館の中では見えないこと 2・こんな図書館があったら
1971/【必読】多摩図書館廃棄本についての正確な情報
1972/図書館の中では見えないこと 3・図書館の本はC級品
1973/図書館の中では見えないこと 4・図書館と税金
1974/情報を訂正するためのツール
1975/図書館の中では見えないこと 5・断裁の現在
1976/図書館の中では見えないこと 6・私設図書館とコレクター
1977/図書館の中では見えないこと 7・本は商品である
1979/図書館の中では見えないこと 8・デジタルとアナログ
1980/図書館の中では見えないこと 9・国会図書館は保存に徹すべし
 
 
今回で終わりです。どうせ私ごときが言ったところで、「本を廃棄するな」という人たちは引き続き主張し続けるのでしょうから、これ以上言い続ける意味はないです。最初から意味はなかったんですが、言っておかないとスッキリしないものですから。

どうせ何を言っても無駄と諦めていたテーマであって、成り行きでこうも長くなっただけのこと。このあと当面は図書館については触れないでしょう。デジタル化の問題があるので、それだけは取りあげるかもしれませんが、その辺の話は「マツワル」でやっているので、「黒子の部屋」ではたぶんやらないと思います。

そういえば今月は「マツワル」の募集月間です。そのうち思いつきで始めますので、規約でも見ておいてください。
 
  
最初に言っておきますが、今回は長いです。とっとと終わらせたいものですから、一度に出します。
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2009-11-09

お部屋1980/図書館の中では見えないこと 9・国会図書館は保存に徹すべし

1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示
1966/廃棄本・里親探しの実情
1967/改めて地域資料を調べてみる
1968/除籍予定本の大半は多摩の資料ではないのでは?
1969/図書館の中では見えないこと 1・図書館はコンビニである
1970/図書館の中では見えないこと 2・こんな図書館があったら
1971/【必読】多摩図書館廃棄本についての正確な情報
1972/図書館の中では見えないこと 3・図書館の本はC級品
1973/図書館の中では見えないこと 4・図書館と税金
1974/情報を訂正するためのツール
1975/図書館の中では見えないこと 5・断裁の現実
1976/図書館の中では見えないこと 6・私設図書館とコレクター
1977/図書館の中では見えないこと 7・本は商品である
1979/図書館の中では見えないこと 8・デジタルとアナログ
  
 
『図書館界』という雑誌に「国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況」という論文が発表されたらしい。

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 本稿では,Amazon.co.jpが扱う図書がNDL-OPACでヒットするかを調べる形で国立国会図書館における納本状況を調査し,ポルノグラフィのほとんどが納本されていない現状を明らかにする。
 また,ポルノグラフィを刊行している出版社の納本状況を調査し,一般出版物は納本しているにもかかわらずポルノグラフィだけは納本していないといった結果も提示する。
 さらに国立国会図書館,取次,出版社に聞き取り調査を行い,日本の現行納本制度の運用上における諸問題を考察する。

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「エロでもなんでも保存しろ」という立場ながら、今現在のものについては微妙な点がいくつかあるので、ここはおおっぴらに踏み込まないで欲しいと思ったりもして。全部納本させた上で、あえて未整理のままにして、検索にひっかからないようにするのが理想です。その事情にも私は踏み込まず、とっとと本題。

私が国会図書館を信用できないのは、東京国際ブックフェアで語ったように、国会図書館は保存に徹しておらず、なおかつ完本を保存する発想がないことです。
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2009-11-08

お部屋1979/図書館の中では見えないこと 8・デジタルとアナログ【追記あり】

1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示
1966/廃棄本・里親探しの実情
1967/改めて地域資料を調べてみる
1968/除籍予定本の大半は多摩の資料ではないのでは?
1969/図書館の中では見えないこと 1・図書館はコンビニである
1970/図書館の中では見えないこと 2・こんな図書館があったら
1971/【必読】多摩図書館廃棄本についての正確な情報
1972/図書館の中では見えないこと 3・図書館の本はC級品
1973/図書館の中では見えないこと 4・図書館と税金
1974/情報を訂正するためのツール
1975/図書館の中では見えないこと 5・断裁の現実
1976/図書館の中では見えないこと 6・私設図書館とコレクター
1977/図書館の中では見えないこと 7・本は商品である
 
 
やっとまとめ終わりました。

出版の話は図書館の話の中で出すより、出版の話として出した方が興味を抱く人が多いでしょうから、このあと、新刊宣伝用のシリーズをやるとしたら、そちらで出すかもしれませんが、こちらでは出版業界の話を簡単に済ませ、今回を入れて、あと3回で終わらせます。説明部分をすっとばしているので、なんでそうなるのかよくわからん人もいるでしょうが、あとは各自考えるように。
 
 
都議会の議事録で経緯を確認してみました。今回廃棄される地域資料に限った答弁は見当たらなかったのですが、都立図書館の体制変更に伴う廃棄問題については、以下で取りあげられています。

2001.12.11 : 平成13年_第4回定例会(第16号)
2002.02.19 : 平成14年文教委員会
2002.02.20 : 平成14年_第1回定例会(第1号)
2002.03.04 : 平成14年文教委員会
2002.03.07 : 平成14年_第1回定例会(第5号)
2005.09.30 : 平成17年文教委員会
2006.12.01 : 平成18年_第4回定例会(第15号)
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2009-11-07

お部屋1978/断裁と裁断は違う

「図書館がどうなるのか」を説明するため、「出版界はどうなるのか」という話を書いていたのですが、あまりに長くなってしまいました。「出版界を筆頭とした既存メディアの現実と未来」というテーマについては、「マツワル」で今も書き続けていて、すで連載は140回を超えています。これをコンパクトにまとめることはなかなか難しい。

たぶん私の読みは当たるだろうとは思うのですが、そうなる根拠として他業種のことまで持ち出す必要があって、丁寧に説明すればするほど読む人が減る上に、読んだところで理解できない人も増えるので、大幅に端折ろうと思うのですが、その作業が終わっていないです。

なので、今回は図書館の話はお休みをして、「訂正・お詫び・宣伝・言い訳」をやっておきます。

まずは他人の訂正。「1975/図書館の中では見えないこと 5」に断裁について書きました。ネットではこれを「裁断」としている人たちがけっこういることに気づきました。

この場合は「断裁」とするのが正しい。通じればいいってもんではありますが、「断裁」と「裁断」は意味がちょっと違って、出版界において、廃棄の意味で「裁断」を使用することはないと思います。詳しくは、当該エントリーに追記しておきましたので、そちらを参照のこと。エロライターが書くことでもちょっとはタメになりましょう。
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2009-11-05

お部屋1977/図書館の中では見えないこと 7・本は商品である

1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示
1966/廃棄本・里親探しの実情
1967/改めて地域資料を調べてみる
1968/除籍予定本の大半は多摩の資料ではないのでは?
1969/図書館の中では見えないこと 1・図書館はコンビニである
1970/図書館の中では見えないこと 2・こんな図書館があったら
1971/【必読】多摩図書館廃棄本についての正確な情報
1972/図書館の中では見えないこと 3・図書館の本はC級品
1973/図書館の中では見えないこと 4・図書館と税金
1974/情報を訂正するためのツール
1975/図書館の中では見えないこと 5・断裁の現実
1976/図書館の中では見えないこと 6・私設図書館とコレクター

※「図書館の中では見えないこと」シリーズが長くなってきたので、それぞれにタイトルをつけました。
 
 
以前、ポットの沢辺さんがgoogleブック検索について書いた時に、googleが営利企業であることをもって批判する書き込みがありました。

googleブック検索をめぐっては、著作権の問題よりも、電子書籍マーケットをめぐる思惑で面倒なことになってきているように見えて、ここは営利だからこそと言えますが、営利がいけないなら、ほとんどの出版社は否定されなければなりません。

その運営において、公立図書館は営利ではないだけのことで、図書館にある本だって、大半は営利事業の産物、つまり商品だったものですから、営利事業の否定は、図書館の否定にもなってしまいます。書き手だって原稿料や印税をもらっていますから、仕事です。

潔癖な考えを持つのは自由ですが、そういう人は本について語るべきではないでしょう。
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2009-11-04

お部屋1976/図書館の中では見えないこと 6・私設図書館とコレクター

1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示
1966/廃棄本・里親探しの実情
1967/改めて地域資料を調べてみる
1968/除籍予定本の大半は多摩の資料ではないのでは?
1969/図書館の中では見えないこと 1
1970/図書館の中では見えないこと 2
1971/【必読】多摩図書館廃棄本についての正確な情報
1972/図書館の中では見えないこと 3
1973/図書館の中では見えないこと 4
1974/情報を訂正するためのツール
1975/図書館の中では見えないこと 5  
 
  
ポット出版の沢辺さんが教えてくれたのですが、特定非営利活動法人「共同保存図書館・多摩」が見解がこちらで読めます。

一通り目を通しましたが、「うーん」と唸るしかないです。

そりゃ、古本屋で100円で売っているような本まで里親探しをするのですから、今回の処分を「絶対に容認することはできません」とするのは当然でしょうが、そのうち、出版社に対しても「本を断裁するな」とか言い出しそうで怖いです、この団体。

ここで私も提案です。最初から言っていることですが、そうも大事な資料で、そうも保存する意義があるというなら、そう思う人たちが100人くらい集まって、年間1万円ずつ出して、倉庫を借りればいいんじゃないでしょうか。

とっくにそう書いているのに、誰も相手にしてくれないのが悲しいですが、冗談や当てつけで言っているのでなく、本気ですからね。
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2009-11-03

お部屋1975/図書館の中では見えないこと 5・断裁の現実【追記あり】

1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示
1966/廃棄本・里親探しの実情
1967/改めて地域資料を調べてみる
1968/除籍予定本の大半は多摩の資料ではないのでは?
1969/図書館の中では見えないこと 1
1970/図書館の中では見えないこと 2
1971/【必読】多摩図書館廃棄本についての正確な情報
1972/図書館の中では見えないこと 3
1973/図書館の中では見えないこと 4
1974/情報を訂正するためのツール
 
 
沢辺さんがポットの日誌に書いているところによると、単行本の平均初刷部数は3700部くらいだとのこと。

へえ。って感心するような数字ではなく、「均せばそんなもんか」と納得できる数字なのですが、一般的に本はもっと刷られていると思われていますから、こういう数字は積極的に出していった方がいいかと思います。それを出そうとするのは沢辺さんらしいなと、そのことに感心しました。

「modernfreaks」のインタビューでも語りましたが、インターネットでも、初刷5千、6千といった数字を前提にして話が進んでいることがあって、「大手はそうかもしれないけど、中小も一緒だと思うなよ」とムッとすることがあります。前提になる情報が間違っているので、そこから展開する話自体に意味がない。

印税もそうで、刷部数の10%を疑いない数字として議論が進んでいることがあります。
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