デジクリ連載[14]情報公開は何より大切なんだ

2011-10-12 沢辺 均

< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20111011140100.html >

2011年ももう10月だ。デジクリの連載もあとちょっとで1年か?
でも、ネタにつまったぞ。しょうがないので、今二番目に時間をつかってる出版デジタル機構のことでも書いてみることにしよう。でも、まだまだ大きな方向性を出すところまでになってないから、コネタでご勘弁。

まず、出版デジタル機構ってなんだって話。前回も書いたはずだけど、ようは「すべての出版物のデジタル化をめざして」ってことを目標にして、これから作ろうという「株式会社」。そうだ、前回はこの「株式会社」に意味があるって書いたんだ。

で、この株式会社を出資してつくろうってことに合意したのが、インプレスホールディングス・勁草書房・講談社・光文社・集英社・小学館・新潮社・筑摩書房・東京大学出版会・東京電機大学出版局・版元ドットコム(代表:ポット出版・ほか6社)・文藝春秋・平凡社・有斐閣の出版社20社(50音順)。

版元ドットコムの「ほか6社」ってのは、語研、スタイルノート、青弓社、第三書館、太郎次郎社エディタス、トランスビュー。これって版元ドットコムの組合員社(有限責任事業組合なので組合員という表現。株主であったり役員会社でもある)

この出版デジタル機構の連絡会議長の植村八潮さん=東京電機大学出版局も、版元ドットコムの組合員社なので、参加した組合員社は合計8社ってことになる。つまり、システムを担当しているスタジオ・ポットSD(出版社ではないのだ)以外は、全組合員社が参加してることになる。

この出版デジタル機構の会議のなかで印象に残ったエピソード。
9月15日(木)15時に「設立のお知らせ」をメディアに送った。木曜15時にしたのは、平日の新聞に載って欲しいなって理由。その日のうちに取材ができれば翌日の朝刊にまにあうだろうって考えた。

この20社以外にも株式会社設立に参加するってところが何社かあって、でも役員会とかのスケジュールで15日発表には間に合わないよって報告もあり、翌週に延ばそうかって話も出たりした。

そのときに「自炊業者に質問状を送っている。電子書籍への取組みを進めるって意思表示も早くしたい」みたいな意見が出て、15日発表になった。この発言は、質問状を送った7社の1社の人。

このデジクリなんかで「自炊が読者に支持されているのは出版社の電子化への怠慢の結果でもある」みたいなことを書いてきたけど、基本的な認識は質問状を送った出版社も近いんだな、って思ったのだ。

ある種の「怠慢」という自認はある。でも、だけど自炊代行をこのままにしておけない、なのか、だから自炊代行をあれこれする前に電子化を進めようって判断の違い。ズレはホントに紙一重なんだな、って。だって、自炊代行への読者の支持は出版社の怠慢という言い続けているポット出版だって、同じ席に招き入れてるんだから。

さて、この出版デジタル機構はいまどんな進捗状況にあるのか?
先週、最後の連絡会を開いて、発起人会に改組。幹事会(講談社と小学館ね)をおいて、出版社への参加のお願いをすべく、分担して取組みましょうってのを始めることになった。

とはいえ、膨大な準備作業があるので、設立準備室をほぼ常駐体制でつくるところまできている。今週から、設立準備室は仮・仮事務所で毎日集合。11月には神保町に仮事務所をひらく準備も同時並行で進めてる。

あ、そうだ。出版界ってメディアであるくせに(メディアであるから?)情報公開が下手だね。「出版デジタル機構」ってググっても、出てくるのは新聞や、ネットニュースと、ポット出版と版元ドットコムのサイトばっかり。

いや講談社や小学館のサイトをキチッと見ているわけじゃないけど、あの「設立のお知らせ」は掲載されてないんじゃないかな? 出てるとしても、Googleでヒットしないもんね。報道されることには努力してるけど、まず自分で情報公開しなきゃいけないじゃないの? って思わずにはいられない。

これって出版界に限ったことじゃないかもしれないけどね。日本社会では、まだまだ情報公開の重要性が共有されていないじゃないか?

版元ドットコムって、最初は会員30数社で2000年に始めたのだけど、数年は会員社が増えなかった。現在171社だけど、増えたキッカケはアマゾンのおかげだと思っている。

版元ドットコムは書誌情報や本の在庫があるかどうかを、出版社自身で公開していこうって取組み。しかし、その当時、在庫情報を公開する意味って全然共感されなかった。同じ2000年にアマゾンが開業して、在庫があるかどうかわからない(システム化されていない)出版社の本には「在庫ありません」みたいな表示をしたわけ。

そんなふうに表示された出版社は怒った。倉庫に在庫がイッパイあるのに在庫がないと表示するのは何事か! って。ところがアマゾンは、ただ小売店としてウチには在庫がないと書いただけなんだと思う。そりゃヨドバシカメラに行ってMACBOOK Airありますか? って聞いたら、店員さんは「在庫がないんです」って言うでしょう(ホントになけりゃだけど)。アップルストアにはおいてあっても。

でも、ここんとこ誤解した出版社は多かった。そうこうするうちに、なんとか在庫なしって表示を在庫ありってことに直せないか? って思う出版社が増えた。版元ドットコムはもともと、そういう在庫情報とかをできるだけ公開して、書店の店頭で調べられるようにしよう、って目的だったから、当然アマゾンに在庫情報を送る方法を知っていたし、システムもつくってた。

そこで版元ドットコムへの関心が高まって、入会社がどんどん増えたってワケだ(まあ、ほかの理由で入会してくれた出版社もイッパイいるんで、あくまでひとつの要因ですけど)。

アマゾンが、これまでブラックボックスにおかれていた出版社の在庫情報を公開してくれたことが、在庫情報整備への(主に中小の)出版社の認識を変えてくれた。そのなかには著者の果たした役割も大きかった。著者ってアマゾンで順位とか在庫状況を見て、出版社に連絡してくる人も結構いるらしい。「オレの本は売り切れなのか? ならなんで増刷しない」とかね。

こうしたことがあって、情報公開は何より大切なんだってあらためて思い知らされた。ということで、まずは出版デジタル機構のウエブサイトを立ち上げた。つくってくれたはデジクリ読者ならよく知ってるんじゃないか? 深沢英次さん。彼にもこの出版デジタル機構への協力をしてもらってる。

ただし、つくったはつくってけど、情報はスカスカ。なによりも参加出版社の間での情報共有のためのメーリングリストづくりとか、優先してやってるところなんで。
http://www.shuppan-d.info/

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。おやじバンドでギター(年とってから始めた)。日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。

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ポット出版社長・沢辺均の日記 -133[2011.009.28〜2011.10.10]

2011-10-11 沢辺 均

●2011.09.28水
昼前から出版会議。
夜は月に一度の版元ドットコム組合員会議。
この日、出版デジタル機構への版元ドットコムとしての対処を相談するなど。
終わってからは東洋食堂でイッパイ。
ベランダで仕事

●2011.09.29木
事務所と自宅のあるこのマンションに空き部屋がでた。
売買を担当する不動産屋とひょんなことから連絡がついたので、見学させてもらう。
日当りがいいな。
午後は丸の内へ。山形浩生さんの『要約 ケインズ一般理論』再校をもっていく。
これで山形さんから再校が帰ってきたら一気に入稿へ、というわけだ。
あしかけ何年だっただろう、やっとココまでだ。
山形さん、と解説を書いてもらった飯田泰之さんとのトークショーを計画。
また山形さんのえらんだ「デフレ克服と、経済学を今さらやる直すためのブックフェア」の選書も依頼。
山形さん選書によるフェアをいろんな書店にお願いするつもり。
ある大出版社の権威ある文庫に、山形さんの「全訳 ケインズ一般理論」が企画会議に上がってると。
後日、企画が決定したらしいって連絡をもらう。
ポット出版の「要約」にはウレシイ知らせだ。
トイレから下の階に漏水。原因調査を依頼。便器をはずした。
便器をハズして

●2011.09.30金
昼前からポット会議と掃除大会。
午後、中公の営業の人が来て、販促ツール類のデザインの打ち合わせ。
夜は国会図書館で勉強会の講師兼司会。弁護士の村瀬さんと、福井さんと一緒に、
出版社の「権利」について。
福井さんはチョーマジメなひとなのかな? 初対面だったけど。レジュメを書いてきていた。
あのレジュメ公開してほしいな、いいレジュメだったんだ。
終わってカレー屋へ10数人で。たのしいおしゃべり。

●2011.10.01土
ヌードモデル=マロンちゃんの写真展のイベントでの公開を目指す、
山田広野監督の新作の撮影。山田監督だから当然無声映画。
オレは出ずっぱりの役。
この日に予定してた久しぶりの我がバンドの練習は、メンバー欠席がちょっと多くて中止。
那須の娘=みずき嬢がドイツ語教室の帰りに事務所に来る。
那須と、佐藤と4人で近くのフレンチ(大衆料金ね)でメシをくう。
マスターが気を利かせて、デザートにちょいと細工してくれた。
M嬢と食事M嬢と食事

●2011.10.02日
思い出せないな。イヤ、3日のロフトイベントのレジュメの準備とか、画像の準備とかやってた。

●2011.010.03月
朝イチ、スルガ銀行へ。
夜は「出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)──中小出版社の電子書籍戦略と出版デジタル機構」
というイベントを、版元ドットコムで開催。場所はロフトプラスワン!! 似つかわしくないけど。
有料入場者数101名。スタッフ(出演者含む)の飲み代2万まで無料って言われたんだけど、3万近く飲み食いしてた(笑)。
USTREAMで中継。記録してるので、今でも見れます。
前半 http://bit.ly/qAW3OH
後半 http://bit.ly/oeAjuE

版元ドットコムの勉強会版元ドットコムの勉強会

●2011.10.04火
午後から出版デジタル機構の設立準備室の初会議。
11日(火)から毎日10:30集合ミーティング→分かれて各自仕事、って体制を決める。
ほかに次回連絡準備会の議題の調整とか。
神保町のキッチン南海で、カツカレー玉子入りを食べて、神保町の「本と街の案内所」をノゾイて帰る。
案内所には顔見知りの千代田図書館のコンシェルジュもいた。
もどって、守秘義務の厳しいある書店の人と情報交換。出版デジタル機構のことや、電子書籍のIDのことなんか。
神保町

この週は、毎日のように、本の制作をめぐるトラブルとかが続出。
まあ、この程度のことなら何とかなるのはわかっているのだけど、
ほら、ダムも小さな穴から決壊するっていうでしょう。なので、ついつい、怒鳴って説教とか。

●2011.10.05水
出版会議。
横芝光図書館の元職員と、あの貸出し数などの「水増し」問題のことを聞くために会う約束をしていたのだけど、
ゴメンのメール。
夜はず・ぼん編集会議。相変わらず、ダラダラとおしゃべりなんだけど、まあ、これが大切なのだ。
(ある種の)図書館の気分を自分のカラダに入れるために。

●2011.10.06木
午前中は近刊情報センターの普及促進委員会。
あ、ちょっと会議のすすめ方に「?」。普及の方法を見つけなきゃいけない、難しいところにはあるのだが、、。
終わりかけのところ、出版デジタル機構の連絡会の会議。ざっと40人とか50人とか。
この日で、連絡会は終了。以降、出資する社で「発起人会」、そのなかから当面の役員として機能する「幹事会」、
参加賛同出版社を増やすためのチームと、設立準備室への切替を決める。
そして出版デジタル機構のウエブサイトをとりあえず公開。これからいろいろ体制を整えて、
内容濃くしないと、大々的にお知らせはできないんだけど。
サイト制作は深沢英次さん。ご協力感謝!
http://www.shuppan-d.info/

●2011.10.07金
愛知大学の図書館情報学専攻の時実さんが来て、図書館大会での講演のための取材。
出版デジタル機構のこと。
ポット会議、掃除大会。そのあいだにも、あらたなミニトラブルが。
昼飯は、ベラミのオムライス。
夜21:15から代々木サウンドタワーのギター教室。大河内先生(たぶん30代)。
時間は1時間。ブルースのアドリブのおさらいや、クロスロードのイントロ、ワンダフルトゥナイトのリードの練習とか。帰ってきて、メールをちょこっとチェックして、この日は上がる。

●2011.010.08土
広尾の不動産屋にちょっと用事をすませて。
事務所で雑用とかいろいろ。

●2011.10.09日
ぐたぐたしたり、ヨドバシカメラで無線WiFiを買いにいったりしたぞ。
9月が決算で10月からポットの新年度になるので、請求書システムの更新とか日報システムの更新とか、
そのほかいろんな雑用。

●2011.10.10月祝
午後から事務所にでる。
NPOげんきな図書館のスタッフと話したり、責任者と話したり。
そして今、ためてしまった日記を書いている。
このあと、書誌書評情報研究会のレジュメとか、明日の出版デジタル機構設立準備室で協議することを、
整理したり、なによりデジクリの連載を書かねばならない。ネタはなんにしようか?

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石ノ森章太郎「ジュン」シリーズ復刻で思い知ったこと

2011-10-07 高橋 大輔

2011年9月より、石ノ森章太郎の代表作の一つである「ジュン」シリーズを完全復刻を開始しました。2011年11月まで『ジュン0』〜『ジュン4』の計5冊を発行します。

ジュン0 石ノ森章太郎とジュン』は、「COM」連載終了後以降に複数の雑誌で発表された「ジュン」の短編マンガ、イラストをほぼすべて収集した「ジュン小品集」と、「ジュン」の作品解説、および石ノ森章太郎自身による「ジュン」解説マンガ、また自伝マンガ、そして石ノ森章太郎へのインタビュー記事などから、石ノ森章太郎にとって「ジュン」とは何だったのかを窺い知る関連作品を収集した「ジュンを知る」の二部で構成されています。
シリーズの主人公であるマンガ家を志すナイーブな少年、ジュンは石ノ森章太郎にとって自己を投影するキャラクターであり続けました。
1967年に「COM」で発表されたジュンは、30年後、短編「ファンタジー・ワールド ジュン 雪の女は愛で死ぬ」(1997年発表)まで続きました。

ジュン1 章太郎のファンタジーワールド ジュン』は1967年〜1971年に「COM」(虫プロ商事)にて連載され、前衛的なマンガ表現の方法から高い評価を受け、第13回(1967年)小学館漫画賞を受賞した作品です。「ぼくはこの作品で“詩”をかきたい」と石ノ森章太郎は「COM」誌上で発言したことは当時のマンガ少年たちの間で広く話題となりました。石ノ森の代表作品の一つとして名前が上がる作品です。

ジュン2 魔法世界のジュン〔アパッチ版〕』は、大人向け総合誌「アパッチ」(講談社)に、1977年6月号〜1978年1月号まで、『ジュン3 魔法世界のジュン〔リリカ版〕』は、少女向け雑誌「月刊リリカ」(サンリオ)に、1978年5月号〜1979年1月号まで連載された作品です。
どちらの作品も、継母とその姉に邪魔者扱いされ、孤独な現実世界を生きるジュンが、想像の世界「魔法世界」へと旅立ち、仲間とともに闘う姿が描かれており、少年の心を持ち続けたと言われる石ノ森章太郎の、想像力ゆたかな世界観を存分に堪能できます。
イヌの「チビ」、アヒルの娘「ルー」、ロボット「ガランドウ」、竜の「ドラコン」、妖精の「ドリーン」とともにお伽話の世界を旅する本作品は、石ノ森章太郎版「オズの魔法世界」と評価されています。ちなみに『ジュン3』は、今回が初のフルカラー単行本化です。

現在は『ジュン4 石ノ森章太郎のFANTASY JUN』(アニメ情報誌「マイアニメ」(秋田書店)に、1981年4月号〜1984年9月号まで連載)の編集作業中です。

いやはや。
それにしてもそれにしても!「原本」に立ち返る重要さを思い知りました。せっかくの「完全復刻」です。連載当時の発表誌や、過去に刊行された「ジュン」の単行本を探しに国会図書館に数回通ったのですが、!!!!!!!!!な体験が何度もありました。過去の資料を確認する際、意識は「確認」だったのですが、いざ現物に当たってみると「発見」の方が全然多かったです。また、現物の関連書籍から「こんなのあったのか!」的な情報がずるっと出てきたり。(瞬間、「あっ」と情けない声が漏れました。)ごにょごにょ想像して検索するより、やっぱ体動かさなくちゃいけないなぁなんて当たり前のことを身をもって体験中です。

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ひとりで取材

2011-10-05 鈴木 明日香

を、させていただけるようになりました。
ひとりで取材すると責任がどさっとかかってきて、
何から何まで自分でやらなければいけないので大変は大変。
なのですが、取材相手の人と一対一で向き合えるので、そのぶん楽しいです。
もっとスルドイ質問とか、ナイスな観点でまとめたりしたいのですが
まだまだ難しいです。問題は山積みな感じです。

で、ポットに戻ってきてからテープ起こしをするわけですが、
自分のテンパリっぷりとアニメ声に死にたくなります。
テープ起こし苦手なのと相まって、
さっきまでの充実した気持ちなんかどこかへ行ってしまいます。

それでも何とかやり遂げて(膨大なコストをかけて…)
原稿にかかるわけですが、これもまた死にたくなります。
「何であんな明快な話をまとめられないんだろう」
「なぜこんなまどろっこしい言葉しか出てこないんだろう」
「あれ、待てよ、そもそもテーマを見失っている…?」
書いているうちにどんどん視野狭窄に陥り、
わけがわからなくなってきて、最終的にはいつも旅に出たくなります。
本当に旅に出るとクビになるので、コンビニあたりでがまんします。
今現在、死にたい気分真っ最中なので、気晴らしに日誌を書いています。

そんな話は置いておいて、
10月からデザイン部の小久保さんが産休・育休から復帰されました!
私は小久保さんが産休を取ってから入社したので
まだあんまりお話ししたことがなく、どきどきしています。
娘さん超かわいいです。

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10月25日(火)公開シンポジウム「eBP Meetup 2011」(無料!)に出ます

2011-10-04 沢辺 均

『電子書籍を考える出版社の会』主催のシンポジウムのパネリストで出ます。
よけれ参加ください。

セッションがふたつあって、ビジネスとテクニカル。ボクはビジネスでなく(笑)、テクニカルセッションの「当事者が語る、“専門書・実用書”電子コンテンツ制作の舞台裏」です。

1時間半で、パネリストが6人いるんで、一人10分で20分くらいの討論?ってところかな。
おしゃべりの沢辺のことだから、言い足りなくなるとは思う(笑)。

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公開シンポジウム「eBP Meetup 2011」、10月25日に開催

■eBP初となる、公開イベント
電子書籍・雑誌の開発と普及を目的として研究と情報交換を進める専門書・実用書出版社の団体『電子書籍を考える出版社の会』(略称eBP、代表幹事:株式会社毎日コミュニケーションズ 取締役 出版事業本部長 滝口直樹)は、10月25日(火)に「eBP Meetup 2011~電子出版 2年目の課題と3年目への展望」と題したイベントを開催します。

■eBP Meetup 2011開催背景
2010年に設立した、専門書・実用書出版社を中心とした任意団体「電子書籍を考える出版社の会」(通称:eBP)初となる、オープンなイベントです。
今回のイベントは、”Meetup”という名前のとおり、出版社だけではなく、電子出版に関わるすべての皆様が出会う場になることを目的に開催いたします。
これまで何度もあった電子出版“元年“から、ようやく2年目に踏み出せたのが今年、2011年です。そして、2011年も終わり、本イベント後、1ヶ月あまりで2012年を迎えます。
2012年に、真の電子出版市場を迎えるべく、今回のMeetupでたくさんの方と出会い、話し合い、この先の日本の電子出版の未来を切り拓いていきましょう。

Twitterハッシュタグ:#ebpmeetup

■イベント概要
開催日時:2011年10月25日(火) 12:45~17:30(予定)
参加費 :無料 ※参加は抽選となっております
募集人数:150名
開催場所:コクヨホール(品川(東京),JR品川駅港南口(東口)徒歩5分
   地図:http://www.kokuyo.co.jp/showroom/hall/access/map.html

■お申し込み
http://bit.ly/ebpmeetup2011

■タイムテーブル■
12:45~ 受付開始
12:45~13:30 展示・デモンストレーション(出展企業調整中)
13:30~13:45 オープニングセッション
           /滝口直樹(毎日コミュニケーションズ/電子書籍を考える出版社の会代表幹事)
13:45~15:15 ビジネスセッション「電子出版は本当に儲かるのか ~2年目の真摯な検証~」
   パネリスト: 佐藤陽一(グーグル)
          星野渉(文化通信)
          紀伊國屋書店担当者(調整中)
          高橋考(三和書籍/eBP)
          出町浩一郎(毎日コミュニケーションズ/eBP) ※他調整中
   モデレータ:  滝口直樹(毎日コミュニケーションズ/eBP)
15:15~15:30 休憩
15:30~17:00 テクニカルセッション「当事者が語る、“専門書・実用書”電子コンテンツ制作の舞台裏」
   パネリスト: 吉田健吾(paperboy&co.)
          舘崎実載(暁印刷)
          こもりまさあき(Webデザイナー、テクニカルライター)
          沢辺均(ポット出版)
          丸太敏晴(ビーワークス)
          梅屋文彦(ソフトバンク・クリエイティブ/eBP) ※他調整中
   モデレータ:  馮富久(技術評論社/eBP)
17:00~17:10 クロージング
※敬称略

(報道関係などからのお問い合わせ)
■『電子書籍を考える出版社の会』運営事務局
株式会社技術評論社 (〒162-0846 東京都新宿区市谷左内町21-13)
担当 馮(ふぉん) tomihisa(a)gihyo.co.jp

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レジュメ●10月3日(月)出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)

2011-10-02 沢辺 均

明日のこれのレジュメです。
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版元ドットコムpresents
出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)──中小出版社の電子書籍戦略と出版デジタル機構
●日時 2011年10月03日(月)
Open 18:00 / Start 19:00
●場所 ロフトプラスワン
 新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 TEL 03-3205-6864
●出演 沢辺均(ポット出版)
 萩野正昭(予定 ボイジャー)
 鎌田純子(予定 ボイジャー)
 仲俣暁生(文芸評論家・マガジン航編集長・文藝家協会電電子書籍出版検討委員会)
●料金
¥1000(+飲食代)
●申し込み
■一般の方
ロフトプラスワンの以下のお申込みフォームからお願いします。
LOFT/PLUS ONE | 予約フォーム
■版元ドットコム会員・会友とその紹介者の方
以下の申込フォームからお願いします。
短縮URL http://goo.gl/60nXN

ココから進行表とレジュメ────────────────────
★第一部 19:00~20:30
○出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)
 沢辺(40分)
○ブックズインブラウザーズが電子書籍を変える
 ボイジャー 鎌田?清水?萩野?(20分)
○全体質疑 (30分)

★休憩 20:30~20:40(10分)

★第二部 20:40~21:30
○出版デジタル機構は離陸するのか? 
 全員で討議(質疑含めて、20分)
○アプリ・フォーマットの環境はどうなるか?
 (アプリフリー、プラグインフリー ブラウザ基本技術のみ)
 全員で討議(質疑含めて、20分)
○全体質疑(10分)

★終了後はダラダラとその場で二次会

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沢辺の第一部のレジュメ

■現在の電子書籍フォーマットにはどういうものがあるのか?

●タグテキストを利用したもの .book XMDF
 リフローする (iPadでVOYAGERBOOKSを見せる)
 テキストデータが必要
 小見出し・本文などの属性にタグで挟んでいく(タグテキストを見せる)

●誌面を画像としてみせるもの
◯画像の裏側にテキスト(透明テキスト)があるもの
 つくり方は2種類
・inDesignなどの組版ソフトからPDF書き出しする inDesignに書かれているテキストそのものが透明テキストとなる(ず・ぼん17で書き出してみる)
・誌面をスキャンして電子的な画像をつくり、それにOCR(光学文字読み取り)をかけることでテキストを作り出す 読み間違えが残る
・透明テキストは主に全文に対する検索の用途。読書そのものは画像を読む。
 マンガなど、検索の必要度の少ないものは透明テキストをつけないものもあるという。

◯画像だけでテキストのないもの
全文検索ができなければ、このスタイルだと思われる

■今後のフォーマットはどうなると思われるか
●EPUB3(まだ規格合意がされていない)が普及する可能性が大きいと思われる。
●もうひとつは、まったくあたらしいフォーマット(想像つかない)
 EPUBはタグテキストの一種
 中間フォーマット(.book/XMDF/EPUBどれかひとつのファイルから、それぞれに変換するために規格)がすすんでいる
 いずれにしても、タグテキストの用意があれば対応は比較的カンタン

■ビュアーから見た課題
●ビュアーを分類してみる←誰がどんな目的で制作したか
・電子書籍書店が開発しているもの .book XMDF Kindle iBook
DRM(コピーなどをさせない)をかけるのが一般的
・フリーウエア i文庫HDなど
DRMのかかったものは基本的には開けない

●ビュアーを分類してみる←データの置き場
・サーバー
Kindleのように専用アプリでサーバーにアクセスしてある程度のデータをダウンロードしながら
ブックインブラウザー ウエブサイトのを見るように電子書籍を見る
・ローカルにダウンロード
アプリと電子書籍がセット
書店の開発したアプリで管理できるもの

●DRMの仕組み
開く時に、そのDRM開発会社(adobe/appleなど)のネットワークのサーバーに「私はちゃんと買っていますよ」と問い合わせさせて、サーバーにの記録と問い合わせ者の記録に合致したら、許可をだす。

●ビュアーの問題
・単独アプリ
・電子書籍書店とむすびついたアプリ
・アップストアの制限
・ウエブアプリ

■出版社にとっての大きな課題
●電子書籍をつくるためのデータを出版社が自由にできる状態にないところが多い
・印刷のためにつくったデジタルデータ
inDesignデータ/組版ソフトからかきだしたPDFデータの所有権
・それぞれの電子書籍書店につくってもらったデータ
google/電子取次
・制作会社がつくったデータなら所有で来ていると思う。

●著作権者との契約
◯既刊本の電子化
・一般的には紙の本の独占販売権とおもわれる
・「電子化します 不同意なら連絡ください」か「電子化の了解をください」
◯今後発行する書籍
・項目を列記して、不同意の項目のみ意思表示してもらう
・基本を、非独占にして特別な場合のみ独占を提案することにできないか
独占の場合は印税率を上げる

●印税支払い
・印税は実売計算になる(レベニューシェア)
・印税率の相場がまだ形成されていない
・支払いの煩雑さをどうするか?

●ビュワーから見たもの
・ウエブビュアー
・アプリとしてのビュワー
 ダウンロードとクラウド
 ネット書店とセットのもの/フリーソフト
・アプリとデータがセット

■今、出版業界、出版社としてやるべきこと
●出版業界としてやるべきこと
・数十万タイトルの既刊本を電子書籍に
・新刊本はタグテキスト型の電子書籍に
・印税支払体制/システム/著作権管理システム

●出版社としてやるべきこと
・既刊本の電子書籍化
スキャン電子書籍制作と販売とデータの管理権
・印刷新刊本のデジタルデータからタグテキスト型の電子書籍
タクテキストがあれば、.book/XMDF/今後出てくるEPUB3にするのに手間がすくなくできる。中間フォーマットができれば、一発で変換。
制作と販売と管理権
・著作権者との契約

沢辺の第二部での問題意識────────────────────

出版デジタル機構の合意を大切に、出版資産を生かした電子書籍市場の活性化へ

●株式会社の意味は大きい

●電子書籍市場に出版社のはたすことの可能性
・ジャパニーズ・ブックダム=今、読者が紙の本で持っている本のデジタルデータを提供することを考えたいと思っている。たとえば、自炊代行業者に宅配便で送るように、出版デジタル機構に送ってもらえればそのデータか閲覧権を提供する。
・著作権集中処理=利用度合いに見合った使用料で著作物の利用を可能にするこができそうだ。

版元ドットコムストアで販売開始することが電子書籍状況への準備になる

■紙の本の新刊本を電子書籍で発売
●制作
・社内で inDesignデータはあるし、タグテキスト型の電子書籍制作が可能→データを版元ドットコムに
・社内にinDesignデータ(印刷するものと完全に同じもの)はある→電子書籍制作会社か版元ドットコム制作サービスへ
・組版も印刷会社に外注→印刷会社でタグテキスト型の電子書籍制作を依頼する/印刷会社にデータ渡しを交渉/組版・データ制作を組版専門会社に依頼/版元ドットコム制作サービスへ

●契約
電子化権も契約

■既刊本の電子書籍での販売
●制作
・社内で inDesignデータ(印刷するものと完全に同じもの)はあるし、 PDF書き出しも可能→データを版元ドットコムに
・組版も印刷会社に外注でデータ引き渡し交渉がうまくできない→スキャンOCRを制作(コストが非常に安く、OCRの調整も精度がたかいので版元ドットコム制作サービスへ

●契約
電子化権も契約 「やります型」か「返事があればやります型」か?
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犬の本『僕に生きる力をくれた犬』予約開始

2011-10-01 佐藤 智砂

犬好きな人にぜひとも読んでほしい本ができました。
僕に生きる力をくれた犬』、ポット出版の本です。

読んで泣きました。
校正を手伝った編プロチームの鈴木明日香もホロリとして
そばで寝ていたすずを思わず抱きしめてしまったそうだ。

犬って、本当、不思議な生き物だと思う。
たとえば、うちの鉄とすずは、私がどんなにだらしなくても、散歩をさぼっても
仕事でドジをふんでも、そんなことは関係なく
私のことを好きでいてくれる。
たとえ犯罪をおかして周囲の人間が離れていったとしても、犬たちは変わらないだろう。

当たり前と言えば当たり前なんだろうけど、その100%の受け入れ感がたまらずいとおしく切ない。
そんな生き物だから、服役中の青年たちを変えていけるのだと思う。

この本を読むと
人って、他者から愛されること,認められることを求める生き物なんだとよくわかる。
人も切ない生き物だ。

ぜひ、読んでみてください。

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hulu(フールー)に登録してみた(まだ見てないけど)

2011-09-28 五賀 雅子

9月は結構忙しかったけど、録りためた韓流ドラマをせっせと見て、
アメリカからやってきたhulu(フールー)にも登録してみた。
「五賀さん、いつ見る時間あるんですか!」とポットの若手女子にあきれられた。
たしかに、見る時間ありません。
でも、わが家にテレビは1台しかないので、夫がテレビを見ているときは
録りためたドラマは見れず。。。
かといって、もう1台テレビを買っても、今導入しているケーブルテレビだと、
2台目契約もしないと好きなドラマは見れそうにない(多分だけど)。
なので、そんなときに、パソコンやiPhoneでも海外ドラマ(今のところアメリカの映画やドラマ)が見れる
hulu(フールー)は使えるんじゃないかと思ったわけです。
1カ月は無料お試しだから、果たして、パソコンでドラマ観て楽しめるのかどうか、
トライしてみようと思います。

ちなみにアメリカドラマも面白いです。

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デジクリ連載13 ■すべての出版物をデジタルに向けて出発した「出版デジタル機構」

2011-09-28 沢辺 均

しょっぱなからお知らせ。来週、10月3日(月)19時から、新宿ロフトプラスワンで「出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)──中小出版社の電子書籍戦略と出版デジタル機構」を開きます。先週発表した、出版デジタル機構の最新情報も報告し、積極的な質疑応答を展開したいと思います。ぜひご参加を。
< http://www.hanmoto.com/news/2011/09/20/digital-loft/ >

さて、ポット出版では2010年年明けから、紙の本の新刊発行と同時に.book形式の電子書籍の販売をボイジャーストアで始めた。だけど、結果はカンバシくない。だいたい二桁の実売だ。まあ予想通りではある。負け惜しみでもある。

なにが足りないのか? 電子書籍のタイトルが少なすぎるということにつきると思う。このデジクリでも何度か書いてきたように、数10万のタイトルが必要だ。ジュンク堂なみの品揃えがあって、はじめて読者たちが電子書籍を一つの本のカタチとして受け入れるのだろうと思う。

だから、まず自社から取組みを開始したし、仲間たちと一緒にやってきた「版元ドットコム」でも取組みはじめた。とはいえ、これだけではジュンク堂なみの品揃えにはならない。出版業界の大手から零細までの既刊本を電子化しなければ、ジュンク堂なみにはならない。

ちなみに、一年間に発行される本は1位が講談社で千と数百、1000位で年間10タイトルくらいの発行。ポット出版が12〜16タイトルってところ。実に多くの出版社が出版活動をしているのだ。

そこで、出版デジタル機構が必要だったのだ。今年の春から、さまざまな出版社が取組んできて、やっとプレスリリースまでこぎ着けた。もう何日かで設立準備室を開いて、日々具体的な準備をはじめる予定。21社(インプレスホールディングス・勁草書房・講談社・光文社・集英社・小学館・新潮社・筑摩書房・東京大学出版会・東京電機大学出版局・版元ドットコム〈代表:ポット出版・ほか6社〉・文藝春秋・平凡社・有斐閣の出版社20社〈五十音順〉)が名を連ねた。
プレスリリースなどはこちら
< http://www.pot.co.jp/news/20110914_232615493925385.html >

●出版デジタル機構は株式会社ということに大きな可能性がある

この出版デジタル機構は「すべての出版物のデジタル化を目指して」を目標にしている。具体的には、出版社の電子書籍化とその販売などのサポート、図書館への販売、著作権者への収益配分の代行、などと同時に「国内で出版されたあらゆる出版物の全文検索を可能にする。」も目的のひとつとした。

出版デジタル機構は、本当にこうした目的を達成できるのだろうか? 困難も山ほどあるけど、ボクは可能性も充分あると思っている。発表後には「いくつ団体をつくれば気がすむのか?」のようなツイートもあった。確かに去年の電子書籍の大流行の際には、いくつもの業界団体ができた。ただ今回決定的に違うのは、株式会社を設立する、ということだと思っている。

業界団体の多くは、会費などを徴収し会費収入で運営されている。専従のスタッフもいるけど、出版社の社員がその出版社の仕事として業界団体の仕事をしていたりもしていて、これらは見えない寄付のように機能している。最大手の講談社や小学館などは、社員をなかば専従のように「派遣」していたりする。業界団体は自立できていないのだ。したがって、意見の食い違うことは実行できないし、どんなことを決めても参加出版社に取組む義務がないことが多い。

こんどの出版デジタル機構を、株式会社として設立することの大きな意味はここにある。株式会社である以上、単独でお金が回っていかなければやがて倒産だ。出版社全社の合意がなくとも事業方針を決定できる。そのかわり、多くの出版社に利用されるように営業に回らなくてはならない。なんとなく合意できることを決める、ではないのだ。後ろは倒産という断崖だ。このことを、少なくともこのプレスリリースに名を連ねた20社は共有したのだ。

●すべての出版物のデジタル化の先に見えるもの

出版デジタル機構は、なにをするのか? もう少し具体的なイメージを紹介しよう。といっても、以下は少々ボクの妄想が混じり込んでいる。全体の合意にまではなっていない。

すべての出版物をデジタル化するのだ。そうすれば、まず第一にジャパニーズ・ブックダム=全文検索一部表示だ。これはすでにリリースでも公表されている。この出版デジタル機構が独自にこのサービスをするのか、国立国会図書館などと共同でおこなうかなどはこれからの課題だけれど、その前進に具体的な一歩を踏み出した。

第二に、これはかなりボクの先走りだけれども、すべてをデジタルにするのだから、今、読者が紙の本で持っている本のデジタルデータを提供することを考えたいと思っている。たとえば、自炊代行業者に宅配便で送るように、出版デジタル機構に送ってもらえればそのデータか閲覧権を提供する。

読者からみれば、持っている本の記録と検索性が高まる。出版社からみれば、読者の本棚に空きが出て、思う存分本を買ってもらうことができるのではないだろうか?

第三に、著作権者のデータベース化が進み、利用度合いに見合った使用料で著作物の利用を可能にするこができそうだ。

これらはボクの妄想の度合いが強い。ほかにもアイデアはどんどん湧いてくると思う。こうした環境が整えば、その環境を利用した新しい商売を生み出す、新しい人たちが出てきてくれる可能性が広がるとも思う。

そこで、デジクリ読者にお願いです。よくお客が店を育てるって言うじゃないですか? ここはイッパツみなさんにぜひ、すべての出版物のデジタル化とその活用を育てていただきたい。どうするって? デジタル化されたすべての出版物を使った新しいサービスのアイデアがあれば、ぜひお知らせ下さい。自分でできることがあれば取組んで欲しい。

それから10月3日(月)に新宿ロフトプラスワンに来て、電子書籍と出版デジタル機構についてのさまざま意見を聞かせて欲しい。
そうです、10月3日に直接お会いしましょう。

◎版元ドットコムpresents
出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)
──中小出版社の電子書籍戦略と出版デジタル機構

出版デジタル機構設立準備連絡会が発足して、出版界が既刊本の電子化に本格的に取組む第一歩が踏み出されました。一方、中小出版社でネットワーク対応を強化するなどの取組みを行ってきた版元ドットコムは、機構に参加しながらも、電子書籍市場の確立に自立して取組んでいこうと思っています。

9月には.bookを開発したボイジャーと共同して、版元ドットコムストアもオープンさせました。しかし現実の電子書籍の制作や流通は過渡期であるために、日々変化しています。最新の状況を共有すると同時に、電子書籍を実際につくるにはどう考えてなにをするのか、実務的にも掘り下げて提起します。

電子書籍のとりくみを本格化させようという中小出版社向けのイベントですが、電子書籍や出版に関心もっていただける方も一緒にオープンな議論をしたいと思います。

(主な内容)
・電子書籍はどうなっていて、どうつくるのか? 
・版元ドットコムストアを突破口に電子書籍に習熟する  
・出版デジタル機構で版元ドットコムはなにをしようとしているのか
日時:2011年10月03日(月)Open 18:00 / Start 19:00
会場:ロフトプラスワン(新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 TEL 03-3205-6864)
出演:沢辺均(ポット出版)
萩野正昭(予定 ボイジャー)
鎌田純子(予定 ボイジャー)
仲俣暁生
料金:1,000円(+飲食代)
申し込み< http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/reservation/reservation.php?show_number=196 >

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。おやじバンドでギター(年とってから始めた)。日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。

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ポット出版社長・沢辺均の日記 -132[2011.009.20〜2011.09.27]

2011-09-28 沢辺 均

●2011.09.20火
なに新聞に、なんという本が、(だれが書評して)掲載されたかをデータベース化するプロジェクトの打ち合わせ。
すでに版元ドットコムでは、掲載情報メールマガジンを発行しているのだが、これをさらに改良しようとしている。
主力はスタジオポットSDの古井だ。
夕方ボイジャーの清水さんが来て、版元ドットコムストアのことなど。
この日から10月3日(月)の「出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)──中小出版社の電子書籍戦略と出版デジタル機構
というイベント=ロフトプラスワンの宣伝を開始。
あ、それとついにMacBookAirを買ってしまう。ヨドバシカメラで昼前に注文したらよるには到着という素早さ。
macbookair

●2011.09.21水
台風が直撃。
17時半から会議があるんで「やるの?」と聞いたら決行だそうだ。
16時過ぎに事務所をでる。北参道駅をめざすが、途中でタクシーが偶然空いていたんで、載ってしまう。
会議中は電車がとまったりして大変だったけど、計画とおり、会議終了ころには雨もやんでた。
まだ電車はあちこちでトラブっているようなんで、腹もへったんで、ピザ屋。ゴチに。
帰りに表参道のニッポンレンタカーで車を借りて、仕事をかたづけ、午前2時半頃北軽井沢に出発。
残っていた、上野・鈴木・和田を家まで送って関越道へ。
台風の中の会議

●2011.09.22木〜2011.09.26月
休暇。北軽井沢の会長の別荘を借りて、鉄とすずを走らせたり、DVD見たり、本読んだり。
ついでに、原稿も書きました。アタマも整理したつもり。
散歩中に、地元の不動産屋のにいちゃんに行き会ったので、いい物件ないかって聞いて、
2カ所つれてってもらう。600坪で600万くらいで手に入りそう。
建物はあーしてこーしてと、カネのことなんかも考えたりしたんだけど、、、な。
囲いをつくって、ドックランを、というのが狙いではあるんだけども、、、。
201109休暇201109休暇
201109休暇201109休暇
26日は20時くらいに東京に到着する。事務所に顔出してたら、『僕に生きる力をくれた犬 青年刑務所ドッグ・プログラムの3ヵ月 』があっさりと入稿していた。

●2011.09.27火
マンション管理組合の総会。引き続き役員に。
ひとつひとつは細かいんだけどってことを片っ端から片付けた。
それなりに片付けられたとは思う。

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10月3日(月)出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)──中小出版社の電子書籍戦略と出版デジタル機構

2011-09-27 沢辺 均

来週、ロフトプラスワン、などというところで版元ドットコム主催のイベントをします。
よろしければ、ご一緒しましょう。質問意見、大歓迎のイベントです。
終了後もボクは残りますからおしゃべりしましょう。
ヨロシク!

あ、出版デジタル機構のことを今日のデジクリ(日刊デジタルクリエイターズ メールマガジン)に書きました。
■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[13]すべての出版物をデジタルに向けて出発した「出版デジタル機構」/沢辺 均
http://bit.ly/pSxwVS
────────────────────
版元ドットコムpresents
出版社が電子書籍に取組む方法(実務編)──中小出版社の電子書籍戦略と出版デジタル機構

出版デジタル機構設立準備連絡会が発足して、出版界が既刊本の電子化に本格的に取組む第一歩が踏み出されました。
一方、中小出版社でネットワーク対応を強化するなどの取組みを行ってきた版元ドットコムは、機構に参加しながらも、電子書籍市場の確立に自立して取組んでいこうと思っています。
9月には.bookを開発したボイジャーと共同して版元ドットコムストアもオープンさせました。
しかし現実の電子書籍の制作や流通は過渡期であるために、日々変化しています。最新の状況を共有すると同時に、電子書籍を実際につくるにはどう考えてなにをするのか、実務的にも掘り下げて提起します。
電子書籍のとりくみを本格化させようという中小出版社向けのイベントですが、電子書籍や出版に関心もっていただける方も一緒にオープンな議論をしたいと思います。

【主な内容】
・電子書籍はどうなっていて、どうつくるのか? 
・版元ドットコムストアを突破口に電子書籍に習熟する  
・出版デジタル機構で版元ドットコムはなにをしようとしているのか
●日時 2011年10月03日(月)
Open 18:00 / Start 19:00
●場所 ロフトプラスワン
 新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2 TEL 03-3205-6864
●出演 沢辺均(ポット出版)
 萩野正昭(予定 ボイジャー)
 鎌田純子(予定 ボイジャー)
 仲俣暁生(文芸評論家・マガジン航編集長・文藝家協会電電子書籍出版検討委員会)
●料金
¥1000(+飲食代)
●申し込み
■一般の方
ロフトプラスワンの以下のお申込みフォームからお願いします。
LOFT/PLUS ONE | 予約フォーム
■版元ドットコム会員・会友とその紹介者の方
以下の申込フォームからお願いします。
短縮URL http://goo.gl/60nXN

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いろいろあった、一年間

2011-09-21 大原 真理子

中学生の卒業文集みたいなタイトルになっちゃいました。入社してから、早くも一年が過ぎたんです。緊張しっぱなしの一年でしたが、いろいろ、太くなったなぁと思います。神経も、体格も。細やかな神経と体格を忘るべからず。(けっしてもともと「細」くはないのですが)一年前と今とで、わたしの目に関して変わったことで自覚できることは、「字間がパラパラとあいていることに気づけるようになった→わざと字間をあける勢いも身に付いた」「和文フォントの従属の欧文か、欧文フォントかを見分けることができるようになった(いつもポットで使用しているフォントの中で)」くらいでしょうか。……これくらいしか発達しませんでしたごめんなさい先輩。あとは、見た目で想像する、色のパーセントの数字感覚も一年前よりは発達しているはず、だとは思うのですがいかんせん色を使いこなすのが苦手です。色は好きなんですが、苦手です。服装も、明るい色を取り入れたほうが心身に良い影響があるのに、いまいち保守的な色しか選べません。ただ、二十歳を超えたくらいから赤色が好きになりました。「金赤」という色はどうやら特別な価値があるようですが、どんな効果や影響があるんですかね。思い立って、金赤効果を調べたら「特に発色のよい赤色は、食欲と性欲を刺激する色」ですって。んま!わたしの大好きなコカ・コーラのあの色も金赤なのかしら!

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ポット出版社長・沢辺均の日記 -131[2011.009.17〜2011.09.19]

2011-09-19 沢辺 均

●2011.09.17土
事務所で雑用。
夜はベラミナイト。近所のスナックで楽器持ち寄って合奏だ。
この夜は、参加者も十数人と少なかったけど、まったりと、のんびりと。
このベラミナイトに来て、ベースを始めたという青年を無理矢理引っぱり出して、
Aのスリーコードでブルースっぽく。

●2011.09.18日
この日も事務所で雑用。
横芝光図書館の貸出し冊数のことをツイッターで発見。
『ず・ぼん』で取材したことがあったので、この話も取材せねば。
深夜にご近所裏道徹底散策コースの散歩に鉄とすずと。
二人ともウンコたっぷり。

●2011.09.19月
頼まれた3200字の原稿。なんとか無理矢理方向をひねり出す。
東野圭吾の新作「マスカレード・ホテル」を読んでまったりとも。
休みのウチに進めておいた方が良いことは、だらだらとして進まない。

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ポット出版社長・沢辺均の日記 -130[2011.009.04〜2011.09.16]

2011-09-17 沢辺 均

●2011.09.04日
すでに記憶がない。記録もない。

●2011.09.05月
たんたんとした一日、だったはず。

●2011.09.06火
お茶の水、明大の会議室で「書誌・書評情報研究会」3回目。
もうみんな飽きたかなーと思っていたけど、あいかわらずの参加者、いっぱい。

●2011.09.07水
出版会議。小形さんとマンガの復刻や文字コードの話。
ケインズ一般理論の打ち合わせをしたり、夜はず・ぼんの編集会議。

●2011.09.08木
朝9時に代々木図書館。それから富ヶ谷図書館に回る。
2館とも館内整理のための休館で会議したり、作業したり。
夜は中央公論のGさんMさんとオルガニークで食事とまあ情報交換。
ふむふむ、はー、なるほど、。

●2011.09.09金
ポット会議、整体もうける。
「ジュン」のカバーのデザインと仕様について大説教。
なかなかうまくはいかないんだ。

●2011.09.10土
午後新宿で、情報交換や意見交換。
帰りに大好きなヨドバシカメラによったり。

●2011.09.11日
ふーむ?
取材用のカメラ、会社用に買う。

●2011009.12月
出版デジタル機構の打ち合わせ会議。
よるはちょっととあることで謀議で。
深夜デジクリの原稿にとっかかる。

●2011.09.13火
デジクリの原稿「デジクリ連載12 ■自炊代行業者への質問書騒ぎで思ったこと
ギリギリに送る。
版元ドットコムの電子書籍勉強会の準備やレジュメやらなんやら。

●2011.09.14水
出版会議。そのあとSDと会議。
夜はNPOげんきな図書館の理事会。

●2011.09.15木
大和田図書館へ。館内整理の日で、会議に。
帰ってきて整体を受ける。
午後3時で、出版デジタル機構のプレスリリース配信で、公開していいことになっていたのだけど、
すでに記者にもリリース案のコピーが渡ってたりしたそうで、その前から問合せがあったそうだ。
そこで、2時半にはファックスを開始。こうした事務作業を地道にやってくれたのは講談社広報。ありがたい。
ポット出版ニュースと、版元ドットコムおしらせは、事前に15時公開にセットしてあった。
ウエブ版の新聞、日経は夕刊に掲載。
ツイッターでもいろいろつぶやいてくれた人がいた。
オレもできるだけつぶやこうと思っていろいろ。そしたら小形さんがまとめてくれた。
→「出版デジタル機構」をめぐる @sawabekin 氏の思い
植村くんに取材の様子などを電話できいたり。
オルガニークのケーキ

●2011.09.16金
ポット会議と掃除。
夕方からオルガでデザインチームの会議(食事付き)。山田・和田・大原とオレ。
本音に近い話とかでて面白かった。
夜は21時15分からギター教室1時間。アーなるほど、、ルート音からはじまるチョー短いスケールを教わった。

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デジクリ連載12 ■自炊代行業者への質問書騒ぎで思ったこと

2011-09-16 沢辺 均

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[12]
自炊代行業者への質問書騒ぎで思ったこと

沢辺 均
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20110913140100.html >
───────────────────────────────────
講談社、角川書店、集英社、小学館、光文社、新潮社、文藝春秋の大手出版社7社と、東野圭吾氏や浦沢直樹氏など作家・漫画家の122名が自炊代行業者に質問書を送ったそうだ。

質問書の全文はココにあり(ITmedia/eBOOK USER)
< http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1109/06/news064.html >

この動きは、たぶん裁判の訴えのための準備なんだろう。業界のうわさ話でも、「9月に行動開始がきまった」というのを聞いたことがあった。

さて、この自炊問題だけど、過去に、このデジクリや、ポット出版サイトで、こんなことを書いてきた。
[05]書協の自炊代行は違法という注意喚起文に違和感
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20110308140100.html >
[03]自炊と国立国会図書館の「全文テキスト化実証実験」
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20110208140100.html >

[05]では自炊とその代行に関して、
弁護士の福井健策さんの説明をひきながら、こう書いた。

 著作権法の理解については、福井健策弁護士が「書籍の電子化、『自炊』
 『スキャン代行』は法的にOK?」と「INTERNET Watch」サイトで明快に書い
 ていて、ボクも賛成。異論もあるようだが、自炊の著作権法理解に賛成だ。
< http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/20100917_393769.html >

 福井さんの書いていることは、個人の自炊(自分でスキャン)は適法。家族
 で共有することも適法。自炊の代行サービスは「私的複製の範囲を規定する
 著作権法第30条1項を見ると、「『使用する者が』複製することができる」
 と書かれています。こうしたことから、自炊に限らず複製の代行サービスは、
 私的複製として許容されないというのが通説として定着しています(表【2】
 参照)」と、適法 違法(2011.09.18修正)だと言っている。

 ボクとしては「そのとおりだね」と言う以外にない。

あるいは、ポット出版のサイトの日誌コーナーではこう書いた。
○2010-12-29 「自炊の森」はだめでしょう+自炊について+書協ガンバレ
< http://www.pot.co.jp/diary/20101229_160836493921832.html >

 妥当な費用負担をして、便利になりたい、という要望に応えることが先決で、
 その対案を出さずに、自炊代行サービスタタキをするのは、妥当性を欠くや
 り方だと思う。提供しているサービスの不足をたなに上げて、その不足を埋
 める第三者の行為を「だけ」をたたくだけだから。

●ブックスキャンに取材してみた

『ず・ぼん──図書館とメディアの本』という本を年に一回ほど発行しているんで、その記事としてブックスキャンの取材をした。ボイジャーストアで、PDFダウンロード版を200円で売っているんで、読んでみて下さい。面白いとおもいますよ。
< http://www.pot.co.jp/news/20110901_193447493925250.html >

ブックスキャンの取材でイチバン興味をもったのは、スキャンしたタイトルのデータだ。ブックスキャンは整理して持っているわけではないようだけど、ぜひ見てみたいのだ。

だってこれ、今日の「スキャン電子書籍」の販売予測データであり、ニーズがどんなタイトルにあるのか? というデータだから。宝の山なんじゃないかな?

ボクは今、数10万のスキャンPDF・OCR付きを、出版社がみんなで一気につくって販売しようぜ、と考えているからだ。どのようなタイトルにニーズがあって、それってどのくらい売れそうか(売れなさそうか)予測する絶好のデータでしょ?

今回の出版7社の行動は、こうしたデータをみすみすのがしてしまう行動ではないだろうか?

●出版社が対応すべきこと

出版社は「妥当な費用負担をして、便利になりたい、という要望に応えることが先決」なんだと思う。

こうした取組みの準備も、実は進んでいる。ボクはまだまだ遅い! とか思うんだけど。でも出版業界も一色ではなくて、要望に応えようと取組んでいる人たちもいるのだ。当然、業界内、会社内の熱心ではない人と議論して、説得したりもしている。こうした仕事を増やして、わざわざ自分を忙しくしてしまっている人がいるんだ。

ボクは、もう少しこうした人たちの努力とつきあおうと決めた。「電子書籍への対応をもっと早くやれよ」みたいに、出版社に考えている人たちがいてくれるなら、お願いしたい。もう少しの間、「電子書籍への対応をもっと早くやれよ」と言い続けてくれないだろうか?

できてないことだけに着目するのではなく、「電子書籍への対応をもっと早くやれよ」という方向に、出版社が動くように促してもらえないだろうか? 少なくとも、すでに出版されている「既刊本」という蓄積を、電子で利用できるようにするのに、今のところ一番可能性をもっているのは出版社なのだ。

もちろん、われわれの既得権を守ってくれ! とだけ言っているのだとしたら、大丈夫、そうした出版社は早晩退出せざるえないと思う。今の、あたらしい状況に小手先、口先だけでしか対応できないとしたら、長い目で見て退出せざるえなくなるんじゃないか? だって、読者に見放されるのだから。

既刊本というみんなの財産を有効に活用する作業をする候補者=出版社が、もしこれに取組めなければ、そんときは、ボクももう出版社みんなで取組もうなどと言うことをヤメるよ。

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。おやじバンドでギター(年とってから始めた)。日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。

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大袋中学校とはるかぜちゃんの「Twitter運用規定」

2011-09-15 大田 洋輔

 昨日9月14日(水)、編集を担当した『子供がケータイを持ってはいけないか?』が発売になりました。

 著者の小寺信良さんは主にAV機器などのレビュー記事を執筆されているライター・コラムニストの方で、MIAU(インターネットユーザー協会)の代表理事など、幅広い活動をされています。『子供が〜』では、それらに2児の父親としての立場も加わり、とてもリアルな目線から、現在のケータイ/インターネット教育事情が掘り下げられています。
 ケータイやネットのリテラシーについては、「自分は大丈夫だよ」という人でも、「ではそれを、どうやって子供に伝えるか」という場面になると、けっこう悩むことになるのではないでしょうか。
 そういったときに、自分にできることを考える手がかりにとして『子供が〜』を読んでみていただけたら嬉しいです。

 本の中には、小寺さんが取材をした、子供とケータイに関するさまざまな活動が収録されているのですが、その中のひとつに、Twitterを活用している越谷市立大袋中学校の「Twitter運用規定」があります。

大袋中学校ツイッター運用規定
一.その公共性の高さを考慮し、配信は校長のことばであることの自覚のもとに行なう。判断に迷う場合は、必ず管理職に相談するものとする
一.上記規定に則って、基本的にツイッター配信は大袋中職員が誰でも行なえるものとする
一.大袋中のツイッターは個人へのフォローは基本的に行なわないものとする
一.公式アカウントでは、個人名の記載、またはツイートされたものへの返信は、外部をタイムラインに入れる事になるので行なわないものとする
一.学校教育効果等の観点から外部者のツイート内容を紹介し、それにコメントする場合は、ツイート内容をコピー&ペーストで紹介する
一.行事等の配信をするときは、ツイートの最後に後の検索に便利なハッシュタグを付ける
一.この他、著作権、肖像権に関わる事項は、ホームページの取り扱いと同様とする

 「公式Twitterアカウント」というと、フレンドリーな広報の方のアカウントが目立ちますが、公立の学校の情報発信手段のひとつになると、4番目、5番目のような「公式アカウントのタイムラインに外部者を入れない」という規定が入ってくるのだ、ということがわかります。
 今後社会全体にTwitterが浸透していくと運用規定も変わると思いますが、2010年、2011年の状況は、どうもこれくらいのようです。

 一方、同じ「Twitterのルール」でも、「個人/小学生/タレント」のはるかぜちゃんだとこうです。

はるかぜちゃんの「ついり10ヶ条(ω)」
1 学校の友だちの名前を出さない(ω)
2 守秘義務を守る(ω)
3 きもちをこめてついる(ω)
4 なるべくいろんな話をする(ω)
5 人の悪口はゆわない(ω)
6 絶対にネットでおこったりイライラしない(ω)
7 たくさんの人が読んでくれてることを忘れない(ω)
8 なるべく自分にひはんてきな意見はりついとする(ω)
9 いつも楽しくルンルンルン(ω)
10 早くねる(ω)

(※はるかぜちゃんの10ヶ条は『子供が〜』には載ってません)

 「1 学校の友だちの名前を出さない(ω)」や「7 たくさんの人が読んでくれてることを忘れない(ω)」は大袋中学校と共通するルールですが、「4 なるべくいろんな話をする(ω)」というのは、個人の使うアカウントだから大切な、とてもTwitter的な感覚ですよね。
 こういった明文化されたルールを比べると、そのルールを使う人(組織)の在り方がわかって、面白い。

 といったわけで、先月発売された『はるかぜちゃんのしっぽ(ω)』(太田出版)と『子供がケータイを持ってはいけないか?』を一緒に読むと、大変味わい深いのではないかと思います。
 どちらも、2011年の社会とネットの今が反映された本です。

追記:『子供がケータイを持ってはいけないか?』は、現在Amazonで絶賛在庫切れ中ですが、その他のネット書店ではどこも在庫があります。Amazonを含めたネット書店やお近くの書店の在庫は、版元ドットコムの『子供がケータイを持ってはいけないか?』のページからだと、調べていただきやすいと思います。よろしくお願いします。2011/09/15 21:15)

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版元ドットコムも参加 出版デジタル機構(仮称)設立準備連絡会設立

2011-09-15 沢辺 均

すべての出版物のデジタル化を目指して、出版デジタル機構の設立準備連絡会を発足させました。
出版界の大手から中小零細まで、すべての出版社に呼びかけて、電子書籍提供をしようというものです。
ポット出版は版元ドットコムの組合員たちと一緒に、その一員としてこれに合流しました。
(一緒に参加した6社は語研、スタイルノート、青弓社、第三書館、太郎次郎社エディタス、トランスビュー)

なぜ、今ある出版社で「すべての出版物のデジタル化を目指し」ていくのか?
ポット出版は、これまで日本で出版物として多くの人に読まれてきた既刊の本を電子化するには、
その本を出版した出版社が取組むのがイチバンの近道だと思うからです。

既刊の本は、さまざまな書き手たちに著作権があります。これら書き手たちに電子書籍化を働きかけるなら、
やはり、その本を一緒につくって、流通にも責任を負った出版社が働きかけをするのが、早くうまくいくと、
考えています。

日本の出版社は、そうした道に大きく一歩ふみだしました。
海外にも例のない取組みだと自負しています。

ボクはこれまで、たとえば自炊やその代行に多くの人の利用があるのは、出版社の電子書籍化の取組みのおくれが原因で、出版社(業界)の怠慢だと書いてきました。
なので「すべての出版物のデジタル化を目指して」という取組みが必要だと行動してきたつもりですし、
今回、この合意に積極的に参加しました。

また、国立国会図書館と一緒に取組んできた(ものの、うまく進められていない)「ジャパニーズ・ブックダム」
=日本の書籍の全文検索・一部表示を、現実のものにするための一歩だとも考えています。

ただし、これから実現にむかってはまだまだヤマのような仕事が待ち構えています。
たくさんの費用もかかります。途中でうまくできなくなるかもしれません。
あまりの険しさに、少しビビってもいます。

まあ、あまり深刻にならずに、まずは一歩を踏み出せたことに、今日のところは素直に喜ぼうと思います。
できれば、みなさんがちょっとだけ注目してもらえればウレシイ、です。よろしく!

2011年9月15日 ポット出版 沢辺均

↓一部だけ直しがあったので、最終版と差し替えました(2011.09.15 16:10)
出版デジタル機構出版デジタル機構
─(以下テキスト)─────────────────────────────
報道各位

プレスリリース

出版デジタル機構(仮称)設立のお知らせ
——すべての出版物のデジタル化を目指して——

平成23年9月15日
「出版デジタル機構(仮称)」設立準備連絡会

 このたび、インプレスホールディングス・勁草書房・講談社・光文社・集英社・小学館・新潮社・筑摩書房・東京大学出版会・東京電機大学出版局・版元ドットコム(代表:ポット出版・ほか6 社)・文藝春秋・平凡社・有斐閣の出版社20社(五十音順)は、出版社が主体となって作る新会社「出版デジタル機構(仮称)」の設立に合意いたしました。

 「出版デジタル機構」は、日本国内における電子出版ビジネスの市場拡大をサポートするための公共的なインフラとなります。同機構の主要な業務のひとつは、出版物のデジタルデータの保管=ストレージです。また、それだけではなく、すべての出版物のデジタル化の支援に努めます。さらには各電子書店への配信業務のサポート、図書館に対する窓口機能等の業務も進めてまいります。これらのインフラを整えながら、読者にとってのよりよい読書環境を育てていくことを目標といたします。

 現在、国内では数多くの電子書店がすでに稼動しています。一方で、電子出版に関しては、海外に本拠を置くプラットフォーマ一等もさまざまなアプローチを試みている最中です。市場の基盤を固め、日本の電子出版物の国際競争力を確かなものにしていくことが、新会社の目的のひとつです。

 今回、出版社20社が設立合意に達した同機構は、総務省・経産省・文科省を軸としたいわゆる三省デジタル懇談会等において、昨年から議論がつづいてきた課題に対するひとつの回答でもあります。それらの課題とは、「出版物へのアクセスの確保」や「図書館と出版社のあり方」、「出版物の権利処理のしくみ」などに関わる事項です。新たな市場を拡大する上で横たわる課題を解決しながら、出版界の将来を形づくっていくことが同機構の役割です。

 今後は、出資についての詳細な内容を調えながら、この冬にも、新会社としての設立を目指します。著作者のご理解、及び出版関連団体・企業のご協力をいただきながら、さらに国内の出版社の参加を広く募っていく予定です。

 なお、同機構の具体的な目的や、業務内容は下記のとおりです。
 皆様方のご理解、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

I 「出版デジタル機構」の目的および目標

●国内における電子出版ビジネスの公共的インフラを整備することで、市場拡大を図る。
●日本の電子出版物の国際競争力を強化する。
●研究・教育・教養分野における電子出版物利用環境を整備する。
●現在または将来の利益逸失を防ぎ、出版界全体の成長に貢献する。
●国内で出版されたあらゆる出版物の全文検索を可能にする。
●本機構は各出版社等からの出資を受け、収益化を目指す。

Ⅱ 同・基本業務内容

●「出版デジタル機構」(以下、「本機構」)参加各社の出版物デジタルデータの保管業務を
行う。
●対図書館ビジネス(BtoP)を各社に代わって本機構が代行する。
●国立国会図書館が電子化をおこなった雑誌・書籍の民間活用の担い手となる。
●各電子書店・プラットフォーマーに向けての配信業務(BtoB)を支援する。
●各社の希望に応じて出版物の電子化を行う。
●各社の著作権者への収益分配を支援する。
●電子出版物に関する検討事項を討議し、解決する場を提供する。

※本件について当面のお問い合わせは、「出版デジタル機構(仮称)」設立準備連絡会議長・植村
八潮(日本書籍出版協会理事・東京電機大学出版局局長)まで。なお、ご連絡は左記・日本書籍
出版協会事務局03-3268-1303 樋口あてにお願いいたします。

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歴女見習い

2011-09-14 上野 絵美

仕事をするようになって、
「中学生から勉強やり直したい」と思うことが多々あります。

今は、仕事で日本史と世界史の勉強をしています。
中高時代をふりかえると
歴史って、とりあえず単語を暗記しまくる教科だよね、くらいの印象しかなかった。
それなのに今、教科書や参考書を改めて読むと
歴史ってこんなにおもしろかったんだ!!とびっくり。
中大兄皇子の大化の改新とか
モンゴル民族の発展とかその他もろもろ、
出来事の経緯や関連を追いながら学ぶと
本当におもしろいです。長編小説を読んでる気分。

学生時代の授業でも、出来事の背景にあるストーリーまで語ってくれたら
歴史にもっと興味をもてたんじゃないかな。
いやでも、先生たちは語ってたのかもしれない。
実は授業中、居眠りするか落書きするかだったのでよく覚えてません。
先生、ごめんなさい。

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もう9月

2011-09-09 和田 悠里

毎日「もう21時!!」と焦り、
毎週木曜には毎週木曜日更新ウェブマガジンを見て「もう一週間が終わる!!」と焦り、
月末には25日発売の献本が届いて「今月終わってしまった!!」と焦り、
決算の時期が近づいて「もう今年がちょっとしかない!!」と焦り……。
いつもお尻がそわそわして焦ってばかりです。こまったなあ。
焦っていつも物事が見えなくなるのです。胆力が足りない。

学校も通い出して半年。今までこんなのをやりました。
11専門課程-1 新ブックデザイン考 牛若丸の本を作ろう(講師:松田行正)レポート
ページの下の方にある、透明の単語帳みたいなのが私の作ったものです。

山口信博先生による専門課程「日本文化のかたちを考える」講座

学校楽しいです。無理してねじ込んで本当に良かった。楽しい気分だけじゃなくて、
もっと実践で何か出来るように、習った事を血肉にしなければなあと思います。
あと女の子がきれいにしている子が多くて、週一でも身ぎれいにしようとするので刺激になります。

残すは有山達也さんと鈴木一誌さんの授業だけ。
まだ始まってもいないのに、あまりに物事が過ぎて行くのが早いので
後ちょっとで終わっちゃう気になってしまい、既に寂しいです。
あー一年経っちゃう。あーーもーー31歳になっちゃうーーー

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トーハンの返品可否登録

2011-09-08 尹 良浩

いよいよ「ジュン」シリーズ完全復刻第一弾『ジュン 0─石ノ森章太郎とジュン』
『ジュン 1─章太郎のファンタジーワールド ジュン』が来週発売です。
たくさんご予約いただいて嬉しいです。

新刊委託配本をしていないので、通常の新刊よりも書店着にバラつきが出てしまいますが、
事故がなければ遅くても16日(金)くらいにはご注文いただいた書店さんに届くと思います。
カッコイイ装丁なので、書店に並ぶのが楽しみ。

『子供がケータイを持ってはいけないか?』も9/14(水)発売です。
子供とケータイにまつわる最新事情を取材。
こちらも類書がない本なので、さりげなく期待の一冊。
小学生が5人に1人、中学生が2人に1人、
高校生はほぼ全員がケータイを持っているそうです。
私は思ったより持ってないんだなと思いました。
お子様がいらっしゃる方は本書を参考にしていただければ。

今回、トーハンさんへの新刊見本出しの時に
ひとつ今まで誤解していたことに気が付きました。

それはトーハンの返品可否登録。

トーハンさんは新刊見本を提出する際に返品可否登録用紙というものを提出します。
個別の本に対して「返品可」「委託期限終了後返品否」
「返品条件付(返品可能期間を設定できる)」「返品否」の選択肢が選べます。
(報奨金の有無やセット品の分売についての項目もあります。一応。)

で、私はこれはあくまでもトーハン→出版社への返品取り決めだと
ずっと思っていたのですが、書店さんからの返品についての設定みたいです。

まっすぐに考えればそりゃそうなのですが、
返品は原則委託期間のみ・注文品は買切で返品不可が基本ルールなので、
本一冊ごとに返品受けるかどうかというのは
建前からして聞きはしないだろうと思い込んでいました。

取次すべてがそうではないのですが、トーハンさんの場合は、
書誌マスタに返品の可否項目があるそうで、新刊だろうと注文のみだろうと、
返品可否登録用紙に登録された返品条件を単品ごとに設定してフラグを立てているそう。
こりゃすごいぜ。

そうすると、弊社の場合はいつも返品可ですから
トーハンさんでは逆送は起こらないはずなのですが、
実態はどうなんだろうか。その辺りも知ってみたいところです。

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