1-1●日誌--沢辺

出版業界紙『新文化』の「出版業界関連本」のおすすめ記事の元原稿

先週、『新文化』からたのまれて「わたしが奨めるこの一冊」を書いた。
「多めの300〜400字で書いて」と言われたので、650字書いた。200字ほどに削られていたんで、元の原稿を公開しておきます。今日届いた『新文化』にのっていたんで。
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字数は650くらい有る、どうぞ、適当に縮めてください。

新文化さんから、「ぜひ読んでおかなきゃいけない本」という企画に1冊推薦と注文をいただいた。
ここは一発、ひねくれた推薦をしてやろう。
『データが変える出版販売』。1994年発行の結構古い本だ。
検索したら、版元サイトでは探せなかったけど、ネット書店では販売されていた。電子書籍(フィックス)はポット出版から発売されてます。
内容は、書籍販売において書店での実売部数を把握する方法や活用方法、出版VAN(バン)を使った書誌情報の共有の必要性が書かれている。
この20年前の本を紹介したのは、今日出版業界が取り組んでいる書誌情報やデータの充実の出発点をもう一度振り返りたいと思っているからだ。
当時永井たちが構想したことが(少々カタチは変わっていても)さまざまなインフラとなって、業界に当たり前に利用されている。
JPOの近刊情報センター(出版情報登録センターに改組)は何年も前から「発売前情報」を出版社から収集して書店・取次に提供している。いまや70%近い情報を集めて配信している。POSデータは多くの出版社にとって身近に利用できるものになっている(当時はスリップを集めてデータ入力してた!)。
とはいえ、出版販売と流通は厳しい現実のただなか。古典をひもといて、この20年の業界インフラを見返してみることも改革に必要だと思う。
現在JPO専務理事の著者・永井は、本書で説くオープンで、大小かかわりなく開かれた業界インフラづくりにますます邁進することだろう。解釈するだけでなく、変革することに向かって。

データが変える出版販売
ISBN 978-4-88888-216-3
発行 日本エディタースクール出版部
発行年 1994年
本体 1,456円 B6変 160ページ
電子書籍版(フィックス)はポット出版から発売されている。

新しく発行した本の情報がネットに反映される調査をしてみた。

群像の時代_書誌情報反映調査群像の時代書誌情報反映調査のPDFはコチラから

本は存在を知ってもらわなければ、そもそも売れない。
たぶん、一番大きな「陳列」は書店。そのなかでも入り口近いところに平積みされと、とかされるのがいい。
広告ってこともある。新聞によく載ってるでしょ。ポット出版もぼちぼち新聞に広告載せてる。
そのほかここ十数年に存在感を増やしているのがネットだ。
ネットには大きく3種類ある。
・ポット出版や版元ドットコムのサイト →自分で発信できるところ。
 この延長に、Twitterやfacebookもあると思う。
・本の存在を「勝手に」広めてくれる媒体や、無数の人たち。→他社が発信してくれるところ。
 新聞・雑誌・テレビなんかのメディアで本を取り上げてくれたり、書評してくれたいるする。
 あるいは自分のブログで紹介してくれたり、Twitterやfacebookにかいてくれたりする。
・本を売ってくれる書店 →ネット書店が中心だけど、リアル書店がお店への誘導としてネットを利用している
 紀伊國屋や丸善・ジュンク堂やアマゾンや楽天や、ヨドバシカメラとか。

で、こうしたネットでいろいろ紹介してくれる、すべての出発点は、その本に関する情報がテキストなどのデータになっていて、ネットに存在していることなわけ。最近は書影も本の情報のデータのひとつとしてゼツヒツ。

ということで、2000年に30数社の出版社としてはじめたのが版元ドットコムで、
・本の情報を、テキストなどのデータで、ネットに存在させる
・その情報を業界各所をはじめ、すべての「本の情報を欲している」ところに提供する
ことをしている。
上記のことで言えば、3つ目の「ネット書店への配信」に取り組み始めたということだ。

というこなんだけで、実際に本の情報を、版元ドットコムに登録して発信すると、ネット書店などにどのように反映していくのかを調査してみた。

テストに使った本は『群像の時代 動きはじめたメディアコンテンツ』というポと出版の本

04/24金 夕方に版元ドットコムの書誌情報DBに登録する
 すると版元ドットコムのサーバから、JPOの近刊情報センター(07/01から出版情報登録センターに改組)に、一日二回自動的にデータがONIX形式のxmlで送られる。ネット書店もそのデータを毎日取りに来る。
04/27月 まず、hontoに書誌情報が掲載された。しかし事前予約は取っていない。
04/28火 アマゾンが書誌情報とともに予約を開始する
以降05/11月までに、エルパカbooksとTRCブックポータルでも予約ははじまったが、他のネット書店では予約できない状態がつづく。
05/13水に、ポット出版に印刷屋から見本が100部程とどき、翌日の0514木に日販・トーハン・大阪屋などの取次に「今度こんな本だしますんでよろしく」と見本を出す。
実際に本屋に並べてもらうための本は、05/20水に取次に搬入する。
その間の、05/19火から、23金あたりで、ほとんどのネット書店で書誌情報が掲載されて、予約も始まっている。
だから、05/13水に取次に完成した本を渡したことがスタータになって、情報掲載・予約開始などにうごいたのだろうと思われる。
逆に言えば04/24金に書誌情報のデータ【だけ】を知らせても、実際の情報掲載・予約開始をはじめてくれるネット書店は少数だってわけだ。
05/25月にほぼ一斉にネット書店が注文できるようにした。そのご「在庫あり」になるのにも数日かかっては、いる。

一番右側の「国立国会図書館」のデータがどうなっているのか。
04/28火に仮データとして、書誌情報が公開されている。
これは、JPO近刊情報センターのデータを国会図書館も利用しているので、情報入手してすぐに「仮情報」として公開してるってことだ。
で、仮情報が06/03水になくなっているのだけど、出版社は取次への見本を出すときに同時に国会図書館へも納本しているので、近刊情報センターから得たデータにもとづいた仮情報を一旦取り下げて、国会図書館が独自に書誌情報を作り始めた、ということのようだ。
06/23火に、正式に書誌情報が公開されているので、昔、数ヶ月かかると言われていた国会図書館の書誌情報づくりもそれなりに早くなっているということなんだろう。

この表をみると、「アマゾンはさすがに少しでも多く売るために予約とか熱心だな」と思ってしまうかもしれないけど、アマゾンのこの行動はある種の「思い切」なんだとおもう。出版社が発行するよといっているのだから、どんどん予約活動すればいい、という考えじゃないだろうか?
逆に、他のネット書店は元々リアル書店がはじめたところが多く、数十年の出版業界の「常識」を踏まえた行動なんだろう。
「出版社に注文しても、書店に納品されるかどうかわからない」という「常識」からすれば、現物の確認をしないで予約などとっても、万一納品されなかったらお客に迷惑かけるので、慎重になるということのような気がする。

で、アマゾンの予約活動はそんなことが考えないでやっている風だ。
ポット出版から見ると、予約が(例えば)100冊あっても、アマゾンからの注文が50冊、なんてこともよくある。
残りの50人のお客には配送がおくれることになってるんだろうな、と思えることがあるのだ。
残念ながらアマゾンの担当者と直接連絡をとれるチャンネルは(大手には当然あるのだろうが)ポット出版にはないので、そんな事態をすぐに解決することはむずかしいのだ。

 

アマゾンの安売り=再販制の危機、栗田という取次の民事再生 出版流通のほころびのなかで考える今後の方向

●再販制はこんなふうに説明されている
再販制というのは、日本書籍出版協会(書協)のサイト(http://www。jbpa。or。jp/resale/#q1)によれば、
出版社(メーカー)が個々の出版物の小売価格(定価)を決めて、書店(販売業者)で定価販売できる制度です。この制度は、独占禁止法で認められています。
といことになっている。
さらに、
再販制度がなくなればどうなるのでしょうか?
読者の皆さんが不利益を受けることになります。
①本の種類が少なくなり、
②本の内容が偏り、
③価格が高くなり、
④遠隔地は都市部より本の価格が上昇し、
⑤町の本屋さんが減る、という事態になります。
再販制度がなくなって安売り競争が行なわれるようになると、書店が仕入れる出版物は売行き予測の立てやすいベストセラーものに偏りがちになり、みせかけの価格が高くなります。
また、専門書や個性的な出版物を仕入れることのできる書店が今よりも大幅に減少します。
と、再販制の必要な理由が書かれている

●再販制のもとでおこったこと
こうした再販制のもとで、さまざまな事象が起こったのだろうけれど、僕が一番のポイントだと思っているのは、小売店である書店の仕入れ原価率の高さ。再販制を前提として今の本の値段の相場ができていると思うのだ。

業界噂話しではよく、仕入れ原価率は78%だと言われている。千円の本の仕入れ金額は780円だと言うわけ。
220円が書店の取り分で、ここから店の家賃光熱水費・人件費などなどが支払われるということだろう。
大手書店チェーンやアマゾンなどのネット書店は取次という問屋と交渉してもう少し安く仕入れていると思うけどね。
なので、書店は定価販売しなければならない再販制(出版社の言うとおりの定価でうる)は助かるはずだ。
書店同士で価格競争してはならない→しなくて良いことになるからだ。

最近は書店でポイントがつく場合も多くなっているけど、1%とか2%とかショボイのは、出版社の価格拘束があることと、220円の粗利から10%(100円相当)とかのポイントつけるのは無理だ、ってわけのようだ。

●出版流通制度の今後の方向
で、栗田(取次)が民事再生を申請したことで、出版の流通システムの崩壊とか言われていて、その原因に再販制があるといった論調も見られるし、アマゾンがいくつかの出版社と本の安売りをはじめたというニュースも流れて、再販制の崩壊の事象だといった論調もあるので、流通システムの今後の方向を、僕なりに書いておこうと思う。

ただ以下のことは雑誌流通のこととをヨコに置いておいている。『文化通信』という業界紙の星野さんが、よく、書籍流通は雑誌流通に依存してるって前からいっているけど、そのことに踏み込むと大変なことになるので、ね。

今後、大切だと僕が思う第一は、書店の仕入率を下げることだ。
22%の粗利じゃ、「売れ残った本は安くしても売り尽くそう」とかできないでしょう。
本棚のなかにカフェやらビールバーとか(最近のはやりのようです)置くとかいった工夫もやりようがない。書店が活性化するためには、いくらなんでももう少し粗利率が必要だと思う。

第二に、書店が仕入れる本は、書店がちゃんと選ぶように(選べるように)することが必要だと思う。
現在おこなわれている、新刊委託制度は、書店が注文しなくとも取次が見計らって本屋に新刊を送るシステム。だから、書店では送られたダンボールを開けてすぐに「いーらない」といって返品することもあるらしい。こうした状況は小売店としてどんなもんだだろうか?
もちろん、本によっては見計らいでいろんな本屋に並べることが有効な本もあるのだろうから、新刊委託で多くの書店に自動的に送られるシステムもあったほうがいいのだろう。

この点で、よく出版社が不安がるのは、売れると思ってたくさん注文が来て、結果的に売れなくて返品ばかり帰ってくることが心配で、書店の注文どおりに出荷できない、といったことで、こうした課題をクリアできないと、書店の注文にもとづいた流通というのは、実現むずかしいのだろうけどね。

第三に、やっぱり基本的に書店が返品できるというのは、大切なんだと思う。
千円の本を10冊仕入れてうまく8冊売っても、粗利は1760円(220円×8冊)で、売れ残った本の仕入れ代金は1560円(780円×2冊)で、トントンにしかならない。売れ残った2冊を返品して仕入れ金額を取り返せば粗利1760円はそのまま粗利になるのだという。
もっとも、出版業界の返品率は40%あたりだから、8冊売れたらよく売れたということになるのだろう。
でに、この「返品可能」は再販制とは関係ないことだと思うけどね。

本のような少額で、代替性の低い商品だと返品がないと小売が成り立たないと思うからだ。

第四に、取引条件を簡素化するのがいいと考えている。
現状の取引条件は、
新刊委託=6ヶ月以内の返品は自由で、納入した冊数から6ヶ月間の返品を毎月マイナスして6ヶ月後に締める(請求書を起こす)
注文=書店の注文にもとづいて出荷する。返品がないことになっているけど、実際は「返品条件月注文」などという言葉が生まれていて、かなり自由に返品されている印象が出版社側からみるとある。
他に常備委託・長期委託・延勘(繰り延べ勘定の略?)、、といったように取引条件がいくつもある。
たとえば、注文に条件を一本化して、替わりに支払いを翌月末払いから翌々月末払いにするなど簡素化が必要だと思う。

最後に、出版流通の効率化が必要だと思う。
最も効率化できるのは、出版社在庫の集中だ。
多くの出版社の在庫を持つ倉庫をもち、どの取次・書店へもここから出荷する、というイメージ。
現状は、出版社が倉庫を持ちそこから取次へ本を入れる、取次は出版社別に納品された本を書店別に分けなおして出荷している。
出版社倉庫の費用は出版社、取次の倉庫=配送センターの費用は取次、というような重複が生まれている。
これってかなりの無駄なんじゃないかな?

●出版社が今できること
出版流通全体の効率化などは、ポット出版が大声で叫んでも実現できそうもない。
とは言ってもポット出版だけで実現できることもある。

第一に、新刊委託配本(見計らい)をやめて新刊の配本も書店からの注文にもとづいて行うことだ。
取次との取引条件も出荷側で簡素化してしまうのだ。

第二に価格拘束をやめる(非再販)。
現状で非再販にしても書店店頭での値引きは実現されない。書店の粗利が22%しかない現状では、売れ残りを安売りするって言ったってたいした値引きはできない。でも将来の書店での価格政策の自由化に備えることはできる。

先のアマゾンの安売りの例では、再販制を崩したことが大切なのではなく、出版社が通常より安くアマゾンに納品したとおもわれることのほうがよっぽど大変な事態なのだ

第三に、書店からの注文に必要な書誌情報の発信を行うことだ。

第四に、不幸にして予想に反して売れ残ってしまった本の販売促進策を、生み出していくことだ。

こうしたことは「インフレ」になってきた今こそ、実現の可能性があるのではないかと考えている。

本来なら、現状について・それぞれの方針の理由とかを丁寧に書くのがいいのだけど、そこまでの気力なく、項目だけ列記したレジュメのような内容にとどまってしまったけど、まあ問題意識の一旦でも伝えられたらとおもってこのまんま失礼。

中公新書の『ベーシック・インカム』を読んで、ますますBIに惹かれた


中公新書の『ベーシック・インカム』を読んだ。
前からベーシック・インカムには惹かれていたんだけど、ずいぶん頭が整理できた気がする。
ベーシック・インカムの目的は、所得の再配分で、経済的な格差を一定程度減らそうってことなんで、生活保護や失業保険や母子手当てなどと目的がかぶるんだろうと思う。
で、その再配分をシンプルにして、効率的に合理的にやろうってこと。
「自由」ってことも大切で、生活保護のような審査やチェック(コストも掛かる)を減らしす。
・資格があるかとか審査せずに、全員に一律にくばることで運営コストを最小限に
・所得税との組み合わせて、生活保護のように働くと保護費がその分減っちゃんじゃなくて、働いた分の実入りの多くが増える
・社会保障を運営するためのコストを減らしたりなくしたりできる
 国民年金=基礎年々の掛け金の集金の仕事、支払いの仕事
 生活保護の審査、「監督」(ケースワーカーの仕事?)をなくせる
 税金もシンプルにできる

この著者は、アーティスト志望のような夢見る人が増えないか?、なんていうBIへの疑問をタテて、それもまたいいんじゃない?的に答えたりして、茶目っ気感じた

BIを考えるときに、基本的なことをしるのにいい本だって思った。

ちょっとなーってのは、やや論文調なところ、出典みたいなのもカッコ書きで、やたら長かったりして、級下げも少なくて、読み飛ばすのにまよったとか、表ももうちょっと工夫しろよみたいなことだな。

自分のアタマせいりするために、図を書いてみた。

ポット出版が地元を遊ぶ『神宮前二丁目新聞』を発行したぜい


去年の夏過ぎあたりから計画していた地元の新聞がやっと完成した。
渋谷区神宮前二丁目にポスティングする、約2,000〜2,500世帯くらいで、印刷部数は6,000部。他にも、このあたりのお店においてもらっている。
地元の「神宮前二丁目商和会」という商店街、「グッド・エイジング・エールズ」というNPOに協力してもらったり、一緒につくったものだ。

なぜ地元の新聞をつくるのか、うまく説明できないんだけど、これからはご近所・地元に弱いつながりがあるといいんじゃないか、っていう予感みたいなものだ。もちろんこの『神宮前二丁目新聞』をめぐって小さなお金の流れ[も]うまれるといいんだけど、いったいどうなるのかまったく想定できていないまま、まずは出発。

で、『神宮前二丁目新聞』を実際につくってしまおう、と踏ん切った理由がいくつかある。

なによりも、ポット社内から「もの」を生み出せるようにしたいというのが第一の目的だ。
ポット出版として本を企画制作して、販売・流通を行っているんだけど、本っていうのは著者がいて、その著者のエネルギー・パトスをベースにつくられるもの、ということがある。したがって、編集もデザインも流通も、どっかに著者の随伴者といった感覚がどこかにあるんで、一から十までこちらから発信するものを、社内からつくれるようにしたかった。
そのことがスタッフたちの本づくりや、編集デザインの請負仕事のなかにも生きてくるとおもったからだ。

第二に、地元に的をしぼれることで新しく見えてくることがありそうだとおもったこと。
スタッフたちはよく取材などにでかける。下調べをしたりするけど、山のようなテーマをあつかうことになるので、どうしても一過性のものになってしまうことがある。
地元に的をしぼれば、そこを継続して取材し続けることができる。それどころか、日常の買物や飲食、お付き合いをとうして、すでに豊富な「取材」をしているのだ。なにか蓄積型の取材という力が必要なんじゃないかと思うのだ。

第三に予算的な環境が巡ってきたこと。DTP技術の普及で印刷コストは驚くほど安くなった。25年前に初めて本を出版した時の印刷コストは200万円を超えていた。今、おなじような体裁でつくってもたぶん1/3ですむ。
それに、ポットは毎日この「印刷物をつくる仕事をしてる」わけで、つくることには慣れているんだ。みんなのスキルも高まってきているので、そんなに大きな手間をかけないでもつくれるだろうってわけだ。

最後に、グッド・エイジング・エールズのゴンちゃんと知り合ったことがおおきいな。
グットは「LGBTと、いろんな人が、いっしょに楽しめる未来へ」ってことで立ち上げられたNPO。
この神宮前二丁目をもう一つの「二丁目」になどと、おちょくった目論見がゴンちゃんにはあるらしい。
irodoriという店を仲間とはじめたりしてる。その拠点開設の際には「神宮前二丁目商和会」という商店街に加盟して、LGBTとはなんだ、てな「説明会?」を商店街の会議でやったりしたそうだ。
そんな地元志向のゴンちゃんに、前々から考えていた二丁目の新聞の話をしたら、大いにノッてくれて、一緒にやろうってことになったわけ。

ということで、この先どうなっていくのか我々にもわからないけど、まずは出発してしまった。

『神宮前二丁目新聞』2015/3/15 PDF版のダウンロード

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ポットの日誌「神宮前二丁目新聞、完成!」松村 小悠夏

【ポット出版のお知らせ】『神宮前二丁目新聞』を地元(約2,500世帯)で発行

プラス電書でつけた電書を電子図書館にいれられるか?

ポット出版で「プラス電書」というサービスの実験をはじめた。
紙の書籍を買ってくれると、対応する電子書店で[無料]で電子書籍をダウンロードしてもらえる、というサービスだ。
『アーカイブ立国宣言 日本の文化資源を活かすために必要なこと』
『電子図書館・電子書籍貸出サービス 調査報告2014』
ちなみに、試し読み版は、DRMをかけてないEPUBで、ダウンロードできますぜw。
(ちょっと横道。無料といっても、今後サービスを別な本でする場合無料にすかどうかはきめてません。50%の値引きをするとか、いろいろ値段のバリエーションはあると思ってる)
このサービスに電子図書館を熱心にすすめる図書館員から質問メールが来た。
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さて、アーカイブ立国宣言も、電流協の本も、電子書籍がついてますよね。
もし、この紙の本を図書館が買ったら、この電子書籍って●●市の電子図書館にも入れられるってことになるのでしょうか。

や。すみません、そんなに簡単じゃないことは分かっております…。
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●まず「プラス電書」というサービスについて
この本は、どこで買った本にも「プラス電書」というサービスがついている。
本のなかに、電子書店で無料ダウンロードできるクーポンコードをいれてあるからだ。
たとえば、ジュンク堂池袋本店でかった本、アマゾンでポチっとした本、近所の本屋に注文して買った本でも、本の中にクーポンコードがあるのだから。
電子書店は、このサービスに対応してくれている所に限られるが、自分が会員になっているところか、会員になるかすればよい。
この本のプラス電書に対応してくれた電子書店は、honto、紀伊國屋書店、BOOKSMART、BookLive!の4店舗。
楽天KOBOに営業に行った時にはすでに時間切れギリギリで対応してもらえなかったが、好感触で、次回は対応してもらえるんじゃないかと想像してる。

だから、アマゾンの通販で買って、honto電子書店でダウンロードするみたいなこともできるわけ。
このサービスをはじめた時に一番やりたかったことは、どこの本屋でかっても電子書籍がついてくるってこと。
このサービスを考えている時に、「空飛ぶ本棚」ってサービスの雑誌を買いにいったのだけど、「空飛ぶ本棚」をやっている本屋で買わなくてはならなかった。
渋谷の文教堂に行ってその雑誌を何冊か買ったのだけど、表紙とウラ表紙のバーコードのところにシールが貼ってあって、レジに持って行くと、店員さんが後ろの棚からカードを探しだして渡してくれるってしくみ。
店員さんも、限られた雑誌だけのサービスだからそうしたこともできるんだろうけど、対応商品が増えれば無理でしょ。本についていなきゃ、と思った次第。また、本屋が限定されるってもの客から見たら面倒だし、やだな。特定の本屋に行くほどのサービスとも思えない。

●電子図書館に入れられるのか?
さて、この「無料」の電子書籍は、電子図書館で貸し出しできるのか?

二つの意味でできないとおもっている。

このサービスは、対応する電子書店で無料ダウンロードするってサービス。
図書館が、電子書店で会員になるなら、まあ無料ダウンロードできるだろうけど、それってDRM付きのEPUBなわけで、その書店のビュアでしかよめない。
・そもそも電子書店会員に法人会員ってあるのかな? ないでしょう。また別の問題がおこるからね。
・仮に法人会員になったとして、その書店のビュアでしか読めないのですよ。物理的に。図書館での貸出に対応するとすれば、そのビュアから吸い出して、電子図書館システムにいれなきゃいけないのだけど、まあ、それはDRM外すわけで、それ違法ですよね。
・さらに仮に、DRM外したEPUBを吸い出すことができたって、電子図書館システムにいれることは、そのシステム提供者に頼まなけりゃならないわけで、やらないですよね、まともな会社なら。
このあたりがひとつめ。

ふたつめは、記憶の範囲で書くので間違えがあるかもしれないのですけど(図書館学や著作権に詳しい人に突っ込まれたい)、図書館の本の貸出の法的な根拠のこと。
紙の本を物体として図書館に売っている、図書館は図書館法の
「「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。」が根拠なんじゃないかな? 細かいことをはぶくけど、電子書籍は物体の販売じゃなくて、公衆送信権に属することになるわけで、公衆送信されたものの図書館の貸出って法的な根拠じゃなくって、図書館ー事業者ー出版社の間の契約で行われているものなんだと思う。
とすれば、このプラス電書サービスは、そうした契約はしていないので、図書館からの貸出に含むことができない、って考えているのだ。

いやー、実はこのあたりのこと、電子図書館を考える上で、きちっと考えていなければならんと、思っていたところなのですよ。今後の課題だw。

友達からのメールに返事を書くつもりで、ポットの日誌にかいてみました。

スタッフの募集に際して

今日、スタッフ募集を公開します。
募集の内容は、「スタッフ募集」のページを見てください。
この募集要項はいつも悩みます。その悩みについて書いておこうと思います。

なぜ、アルバイト採用としたのかというと、会社の一員になるのに、もって「いい加減」なきっかけでいいとおもっているからです。なので、今回のようなアルバイト採用という方法を選んでみました。

ポットの50代のスタッフは、僕をはじめみんないい加減な経過で、今のポットの仕事にたどり着いています。
大学を卒業してまあ普通と言われる会社に就職。突然弱小編集プロダクションに転職して、その後フリーやバイト的な働き方を、声かけられるままふらふらとさまよって、今、ポットにいるものとかみたいにです。僕自身も、デザインや編集の仕事をしたくてはじめたわけでもなく、出版をやりたかったわけでもなく、目の前にある選択肢を、その都度選んでたら今にいきついた、って感じです。
だから、なんか今の就職の話をきくと、そりゃやり過ぎだろう、と思ってしまいます。夢とかやりたい仕事とか大仰なもんじゃなく、なんとなくこんなことならやってみようかな?くらいでもいいとおもう。
まして、ポットのような零細企業なんて終身雇用を展望してもらえるわけ無いでしょ。
今回の募集を「アルバイト募集(社員採用制あり)」としたのは、すこしいい加減に仕事を体験するほうがいいと思ったからです。

ポットは基本的に「正社員主義」です。現在アルバイトは一人もいません。
ただ、アルバイトやパートタイムという働き方はありだとおもってます。今回、アルバイト募集としたのは、「まあそれでも縁ができればいいかな?」と考えたからです。

本当にアルバイトがいいのだ、という理由があればアリだと思う。
たとえば学生だからとか、腰掛け的に仕事したいとかという理由。
今回の応募では、そういう人でもいいです。
また途中で考えが替わるかもしれないので、そんときに本人と会社の意思が合えば社員になってもらえばいいのです。

ポットという会社の、社員とアルバイトへの「対応の違い」は、社員は責任をもってもらうということです。
締切を守るためには残業を「しなければならい」ことがあります。そうせざる得なかった責任も含めて、社員であれば残業してやり終えてもらいます。
アルバイトなら協力の要請はしますが、自分の意思や都合を優先して当然だと思っています。
だから、ポットもアルバイトの雇用の責任を社員よりは少なくしか持ちません。

どんな仕事をやるかも、ポットにある仕事をやる、というしかありません。
とはいっても、あまりに漠然としてるし、すべてのことを一人でやれるともおもってません。

だから一応、編集・デザイン・プログラム、としましたが、これもまた便宜的。

あーあ、とってもちゃらんぽらんな文章になってしまいました。
スタッフ募集というのは、僕のアタマのなかにぐあん・ぐあんといろんな考えが巡っていて、整理できていません。
整理するためには、もっともっと多くの時間が必要です。ところが、募集は早く始めたい。
ならば、とりとめくとも、少しポットというものを仕事場として考えてもらう時のヒントになるほうがいい、と思ってこのとりとめないまま公開することにしました。

恥かいても、理解の巾が少しひろがるほうがいい、と思いました、というのはいいわけです、ゴメン。

スタッフ募集 http://www.pot.co.jp/company/recruit/

電子書籍とアクセシビリティ・音声化

もう2週間くらいで発売する『電子図書館・電子書籍貸し出しサービス 調査報告2014』について、目の不自由な読者がいるんで音声化できないか?という問い合わせをもらったので、考えてきたことをまとめておこう。

読み上げや音声化についての基本的な沢辺の考え
(ポット出版全体では、まだ議論してません)
・デバイスの読み上げ機能を使いたい
・EPUBリフローであれば特別な制作は不要
です。

もちろん、リフローEPUBであっても図表は、絵なので読み上げない、altタグなどを丁寧にいれないとならない。
表組みは、テキストでEPUBに使おうとすると、表示が乱れる可能性、ビュアアプリで不具合が出る可能性、があり、現在充分検証できていません。

目が不自由なひとには、人間が読み上げたものが最も適しているかもしれないし、DAISYが適しているかもしれないですが、この2つはいずれにしても、電子書籍制作とはまた別の工程がなければならず、それを出版社にもとめても、それが常態化するまでには、とても多大な時間がかかると思っています。

・すでに実現している、EPUBリフローの電子書籍を
 デバイスとビュアアプリの機能で読み上げする
であれば、すでに実現できています。
目の不自由な人からみたら、図表が読めないなど不足があって80点の出来かもしれないけど、別なコストを製作時にかけるのではなく、その分をデバイスとアプリの発展につかうほうがいいと思います。
逆に、目の不自由な人にも、100点でなければ×=0点ではなく、80点を90点95点にすることに理解と協力を求めたい。

DAISYへのEPUBからの自動変換は、可能性があるのかもしれないし、すでに実現できてるかもしれない。

ということで、今度の新刊『電子図書館・電子書籍貸し出しサービス 調査報告2014』は、表組みをテキストにしたEPUB、を試してます。

興味のあるひとは、もちろん買ってくださいw

ポットの日誌に復帰します。出版権について

2011年10月から出版デジタル機構の準備室に出向、そのまま2年間、発足したての機構に出向。その間ポットの日誌を書かずにいた(はず)んだけど、今日から復帰することにしました。
「復帰させて」社内にメールしたらさっそく2日も間をあけてしまった。ごめん。
今日の午前中は、JPO近刊情報センター管理委員会があって、そこで出版権への対応ってのが議題になったので、今日は出版権について、だす。
事実関係についていちいち確認せずに、アタマのなかにある記憶だけでかいているので、以下すべて信用しないように、ね。

著作物を本にして出版する契約、いまポットは「紙の本にして独占して販売する権利」を得てる。
(出版権設定契約はしていない、出版権設定契約についての説明は省略だい、今日はこれから飲み会なので、長文書くと大きく遅刻するです)
電子にして販売する権利の交渉もするけど、著者が嫌なら、電子は販売する権利をえないで、紙だけで発行することがある。
同時に二次利用についても、ポットにその交渉する権利を委託するかしないかを決める。

たとえば、海外から翻訳して出版したいと連絡がきた場合。二次利用の交渉する権利を得てるなら、ポットで交渉して、契約して、集金して、マージンをもらって、著者に振り込む。
ポットに交渉する権利を委託したくないって著者の場合、どうぞ直接著者に連絡して交渉してみてください。
ポットはなにもしないよ、という考え方。

で、これで充分じゃないか?って思ってる。

出版権を契約する、よく海賊版対策とか言われてるようだけど、そもそも海賊版を作られてしまうような売れる本は、まあないかな−、って感じだし。海賊版を入手する人が、海賊版がなければ、本を買ってくれるともおもえない。
(図書館で借りられると、その分売上減るってことにはならないでしょう、てのとおんな)
で、海賊版が出回ってすごくやばくなったら、そんとき、著者と別な契約をして、弁護士やとって(ポットには顧問弁護士がいるんだぜい、村瀬弁護士)著者と共闘してガンガンやればいいんだよなー、てのが今の考え。

これって間違えてるのかな−、ホントによくわからないんだ。

なお、出版界が出版権に電子も対象にするってのをもとめたことに、積極的に批判はないよ。
あったほうがいい人が使えばいいし、うーん今はいらない、ということなら使わなければいい。
ほかにもっとやりたいことがあるもんで、、ね。

レジュメ・明日の版元ドットコム講座●電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方

版元ドットコムの会員のみなさま

明日、
版元ドットコム講座:電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方

です。

レジュメ(あと4枚ほど資料がありますが、それは当日)
をつくりましたので事前にお送りします。
プリントは当時配布します。

明日は
講談社のデジタル制作部長・蓬田さんから、
講談社での経験をはなしてもらうことになりました。

終わってから近所で一杯やりたいと思います。
残れる方は参加を。

満席になって断った方もいたのですが、申し訳ありません。

あ、宣伝ですが、ポット出版から、
電子書籍制作・流通の基礎テキスト
出版社・制作会社スタッフが知っておきたいこと
(植村 八潮 編著, 電子出版制作・流通協議会 著 )
というのを発行しました。
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7808-0206-1.html
版元ドットコム会員・会友は、版元ドットコムサイトから2割り引きです。
よろしければ(笑)、お買い上げください。
また、明日少し持っていきます。会場販売させてもらいます。

沢辺

レジュメ
版元ドットコム講座 電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方 2014.06.17火
──────────────────────────────────────── 進行予定
18:00 電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方(沢辺)
18:30 講談社の電子書籍の取組(蓬田)
18:45 事前にもらった質問について
19:00 質疑応答
20:00 終了予定 ────────────────────────────────────────
電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方(沢辺)
■紙の新刊発行時に、電子書籍も一緒につくってしまおう ●新刊発行時つくる ○ 著者許諾を紙も電子も同時にとれる ・電子化を断る著者に深追いしない ・改め て電子化許諾をとることの大きなコスト ○フォーマットはEPUB一本でいい ・で きるだけリフローで
・あえてフィックス? ・ドットブック/XMDF/EPUB/(PDF) ○組版データからテキス トを再利用しやすい ・テキスト入力のコスト
・付合せ・校正のコスト ・OS/アプリバージョン/フォントのバージョン ・PDF がない場合も、PDFを作りやすい
写真・図版類はPDFから ・組版作業者の近くに電子化作業者がいればなお良 い ・組版データの所有権問題 ・紙はモノクロ写真、電子はカラー写真の可能性 ○EPUBチェッカーを開発中
■電子書籍のメリットとデメリット、なぜ今つくるのか?
●電子書籍化の意味
・売行き 12年=729億円(端末368億円/携帯=351億円/PC=10億円) 11年=629億円 (端末112億円/携帯=480億円/PC=37億円) 紙の本 12年=8013億円・6億8790万冊 (1兆7398億円 雑誌=9385億円)
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140614-180244-001.txt
ポット出版の体感=紙の本の5%あたりか(金額) ・電子図書館市場が登場する可能性
・品切れ・絶版をなくせる
・テキストデータの保存ができる。 発行後長い時間がたっても重版・復刊時に テキストを利用できる 図書館での利用、データベースでの利用 (JAPANKnowledgeなど)
■どうやってつくるのか、どこにたのむのか、どう販売するのか
●電子書籍制作
・作る 取次の無料制作はすくなっている ・完パケ 出版社が(制作会社にたのむ などして)作って取次に渡すこと
●販売先
・流通に載せる
取次・書店
取次を利用するのが良い、しかない
・ポット出版の場合
MBJ Kindleストア/eBookJapan/TOP BOOKS/いまよむ for Android/コープデリe フレンズ電子書店/ VarsityWave eBooks/honto/まんがこっち/BOOKSMART /boocross/BooksV/遊スタ/どこでも読書/ PDABOOK.JP/本よみうり堂デジタル
Bitway(出版デジタル機構)
GALAPAGOS STORE/紀伊國屋BookWebPlus/KDDI/セブンネットショッピング /SonyTablet/ SonyReaderStore/ソフトバンクブックストア/東芝ブックプレイス /ドコモブックストア/NEOWING/ひかり TV書店/BookLive!/漫画全巻ドットコム
直接取引 iBookStore/楽天Kobo/Google Playブックス/BinBストア ・完パケで 入れると、データに問題があった場合は出版社責任
・配信用書誌情報
・売上げデータ
■事前の質問
○紙の本を作る時に、同時に電子書籍が作れること は、印刷をお願いしているシ ナノパブリッシングから聞きましたが、電子書籍版が出ることによって紙の本 の売上への影響が心配です。その辺のことをお聞きしたいです。宜しくお願いし ます。 ○読者に案内すべき電子書店と、すべきでない電子書店。 ○製作コストと 電子取次掛け率と価格設定について ○雑誌的なレイアウトの本を1冊PDF形式で販 売していますが、リフロー型に作り直した方がいいか迷って います。
またKindleで販売している電子 書籍の紙版を、後から書籍コードを取って販売 する予定ですが、その場合今の電 子書籍はどうすればいいのか、などお伺いで きればありがたいです。

緊デジ、私的な総括

 緊デジ(経済産業省コンテンツ緊急電子化事業)についての、極めて私的な総括を書こうと思う。

緊デジの目標は大きくわけて二つに集約されると思う。
・東北の雇用を促進
・電子書籍市場の活性化

「東北の雇用の促進」とは、僕流に言い換えれば、東北の会社と人たちに売上や給料というカタチでお金が流れていくことだと思う。

この、東北にお金が流れていくようにすることは、基本的には成功した、というのが僕の総括だ。
僕の概算だけれど、10数億円程度のお金が流れていったと思っている。

具体的には、東北の制作会社に制作をお願いしたこと。
東京などの会社も、東北の会社に外注を依頼したり(売上が生まれる)、東北にある事業所に制作ラインをつくったりした(人員を増やす、雇用を生む)。

緊デジ事業では制作会社から、月ごとの請求書のほかに、この事業で働いた人たちの月の労働時間合計を、人ごとに出してもらった。働いた人の勤務地が東北なのか、東京などなのかも記録して提出してもらった。

集計した労働時間比率では、全制作会社の総労働時間のうち、約70%強が東北の人たちの労働時間となっている。
アルバイトや派遣スタッフなども動員しただろうから、この労働時間比率が、支払われた金額の比率に直結してはいないだろうが、東北の会社や労働者に支払われた金額は、それらを勘案して三分の二あたりだろうと見ている。

なぜ、もっと正確にだせないかというと、それぞれの労働者の給与を書き出してもらわないとならないこと、電子書籍1タイトルの制作費単価が1万〜5万程度の仕事にこれ以上の正確さを求めると、管理費用ばかりが増大してしまうことを恐れたのだ。

緊デジの経産省からの補助金は10億円。さらに出版社が出版社負担分の50%の9億円前後を出して電子書籍を作ったのだから、総額20億円を下回る金額がこの事業で使われたことになる。三分の二程度が東北の会社や労働者に支払われたとすれば12億円程度になる、というのが「東北に10数億円程度の」という考えの理由。

補助金のほぼそのままの金額を東北の会社や労働者の売上・賃金として使われたとすれば、「東北の雇用の促進」という目的は果たされたと思う。
補助金という「税金」を10億円使ったことの意味は達成されたというのが、僕の第一の総括だ。

もう一つの目標である電子書籍市場の活性化については、タイトル数は増やすことができたが、市場そのもの=つまり売上げを増やすことまではできていない、というのが僕の第二の総括だ。

活性化のためには、まずタイトル数の増加が必要だ、というのがこの緊デジの具体的な想定だったと思う。
JPOで発表した緊デジ制作の最終確定タイトル数は、64,833タイトル。
ファイル数では、80,893ファイル=約8万ファイル。

「電子書籍情報まとめサイト」という、個人が一生懸命に調べて公開してくれているサイトがある。それによると、2012年12月の日本の電子書籍の流通タイトルは約7〜8万タイトルだった。つまり緊デジ事業で、電子書籍を倍近く増やせたことになる。

実際に、2012年12月と2014年1月の流通状況を比較すると大きくタイトル数が増加している。
楽天KOBOストアは約11万タイトルから19万タイトルに。
Kindleストアは、約8万タイトルから17万タイトルに。
紀伊國屋書店ウェブストアの電子書籍は、約7万タイトルから14万タイトル弱に。
いずれの電子書籍ストアもだいたい7〜8万タイトル程度増やしている。

出版社は、緊デジとは別に電子書籍を増やしているし、サイトによっては楽譜などをタイトル数に入れているなど、書店ごとの特別な事情もあるので、この増加が緊デジで制作したタイトルによるものばかりだとは言えないが、緊デジの果たした役割はそれなりにあったのだと思う。

電子書籍化に対する著者の反応も、以前は「ちょっと考えさせて」的なものから、「まあ業界全体で取り組んでいるんだろうから」という前向きなものになったよという声も出版社から緊デジの後期に聞いた。緊デジによって、著者の了解を得やすくなった、ということもあったようで、ムードメークな効果も果たせたと思う。

だだし、作られたタイトルがよく売れて、市場規模全体が拡大したかというと、現在のところよくわからない、としか言いようがない。判断するための調査結果がまだないのだ。
販売数は、2012年度の調査(インプレスビジネスメディア)までしかなく、2013年度の調査がたぶんこの6月あたりに発表されるだろうから、それまでは想像するしかない。
個人的には、周囲に電子書籍を読むようになった人が増えた実感はなく、たくさん売れるようになったとはあまり思えない。
市場の拡大にはタイトル数のほかに、なにかもう一つ別なインパクトが必要なのかな、と思っている。

緊デジの目標の一つである東北の雇用の促進は、10億円の補助金に近い額の売上や賃金をもたらせたと思うので一定の成果を上げた。もう一つの目標である電子書籍市場の拡大は、その条件の一つであるタイトル数は増やすことができたが、実際の市場規模への寄与はまだ不明だ。

では、東北の雇用について、実際にどのようなことがあったのかもう少し詳しく振り返って見る。

まず、制作会社選定方法だ。
制作会社を公募して申し込みをしてもらったのだが、東北以外からのものも含めて、かなり多くの申し込みがあった。
書類選考では、ドットブック・XMDFの制作経験を見ることにした。

実際にかなり多くの申請があったので、経験がある会社を優先した。ただし、東北の会社には経験を問わずに受け付けた。事業の趣旨からいって東北の制作会社が優先されるべきなのだからだ。
次は試作だ。
商品として電子書籍をつくるために一定の技術力は必要だ。東北の会社にも、それ以外の会社にも、評価軸は同じにした。
受注を希望するフォーマット(ドットブック・XMDFとフィックス・リフロー・テキスト入力してのリフロー、の組み合わせで合計6パターン)の試作をしてもらい選考させてもらった。

これまでに電子書籍制作の経験のない東北の制作会社にとって、そのノウハウを独自に獲得するのは大変だったはずだ。
サンプルファイルを配って、これに習って作ってくださいとか、制作ツールを紹介したり、実際、何社かには直接出向いてやり方を提供することなどもやった。
けれど、実際に納品されたデータを検品してみると、現場の困難がそのデータの向こうにみえるようだった。

いっぽう東京などに本社がある会社の中にも、東北に事業所や子会社があったり、東北の協力会社を持っていたり、この緊デジのために協力会社をあらたに募集してくれたりした会社がいくつもあった。

ある会社では、もともと仙台にあった子会社に作業スペースを確保して、そこにPCやスキャナを設備し、社員で足りない分を派遣社員やアルバイトを雇用した。雇用にあたっては、はじめはInDesignなどのDTPソフトを使えるといった条件で募集したが、ハードルが高すぎて集まらなくなり、デザイン専門学校を出た人でもOK、PCを触ったことがある人であればOK、とどんどん条件をゆるくした。そんなエピソードも聞いた。

また、協力会社を探すために、東北の印刷会社の名簿で片っ端から電話した会社があった。そうやって協力会社になってもらった東北の会社でも、準備に費用がかかる。
設備投資資金を銀行に借りる際に、東京の発注元の社員がこの事業の説明をしたり、協力会社に仕事を発注するからなどの説明などをしたことも聞いた。
労働者を募集するにしろ、協力会社を募集するにろ、設備の用意をしなければならない。だがもっとも大変なのは、電子書籍制作のノウハウをそうした人や会社に伝えることだ。そのために東京の本社のスタッフを長期間、現地に派遣したり、逆に東北の労働者を東京の現場研修のために呼んだりしたという。
会社の独身寮に空きがあってよかったよ、という話も聞いた。

さて、こうした東北の製作会社、東北でラインをつくった東京などの制作会社への制作費だが、「東北加算」として次のように加算することにした。

東北での制作が全作業の75%を越える場合=基本見積単価の30%増
東北での制作が全作業の50%を越える場合=基本見積単価の15%増

電子書籍を制作するのに必要な平均作業量(1人日単位) のうち、東北での作業量(1人日単位)が75%や、50%を超えるかどうかということだ。
当然、50%未満の場合は加算がない。

この加算をつくったのは、東北の会社が設備投資やノウハウの獲得に費用がかかるだろうという前提からだ。
また東京などの制作会社が、この作業を東北でおこなった場合の、東北へのスタッフの派遣や、あらたなラインをつくることのコスト増に対応するためだ。

こうしたことを通して、東京などの制作会社でも、できるだけ東北で雇用を生み出してもらおうと考えたのだ。

だから緊デジはすべてうまくいったのだ、と思っているわけではない。
制作会社からのさまざまな不満がやはり耳に入ってきた。

第一に、単年度事業で、せっかくつくった体制を次年度以降活かせない、あるいは、その保証がないという指摘だ。
たとえば仙台での説明会で「役所の仕事は毎年毎年大きな変化はなく見込めるけど、この仕事は一年ポッキリ」といった発言もあった。

確かにその通りで、設備をあたらしく導入したり、ノウハウを取得しても、緊デジ事業は一年で終わるので、翌年の仕事に結びつけづらい。

緊デジで偶然割り振られた出版社とのつながりを活かして、直接営業する以外にないのだ。実際、東北の電子書籍制作にはじめて取り組んだ会社のひとから、そうした相談もされたけれど「今回のつながりを利用して、直接出版社にはたらきかけて」というしかなかった。

ただし、東北の制作会社が、今後も出版社から仕事を受けられればすべての問題が解決するかというと、僕はそう思えない。
東京を中心に、すでに出版社の電子書籍の制作を請け負う中小の会社がある。
そうしたところから見れば、緊デジは、自分たちの仕事が税金を使って奪われるものと映ったことだろう。
紙の本のDTP・組版、印刷を請け負っている印刷会社は、当然その出版社の電子書籍制作はDTP・組版と同時に自分たちが請負いたいと考えているはずだ。むしろ、電子書籍制作ができないとやがてDTP・組版の仕事もなくなってしまうのではないか、という危機感すらあるのではないか。
実際には「オレたちの仕事をどうしてくれるんだ」という声は僕の耳には聞こえてはこなかったのだが。

第二に、出版社の申請がなかなか進まなかったため、初期には、人は雇ったものの仕事がない、という状況を生み出してしまったことだ。
夏前にすでに一部のスタッフの雇用をしていた制作会社では、日々給料という費用は出て行くけれど、制作するものがないという状況になった。この時期に不要な費用を支出せざるを得なかったという声は、東北の制作会社からも、それ以外の制作会社からも聞いた。丁寧な言葉遣いで「いつ仕事は入りますか?」と聞かれると、申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。

さらにこれは、売上の入金時期が遅れるということでもある。
緊デジの売上を見越して融資を受けて設備投資をした東北の協力会社の銀行との返済打合せに、元請けの東京の制作会社が飛んで行ったりしたこともあったようだ。

第三に、やはり短期間では電子書籍制作のノウハウや技術の習得が難しかったようだ。
電子書籍は基本的にウェブサイトのHTMLというマークアップ言語なので、それほどの難しさではないと思っていたが、やはり、細かいところのノウハウは実際にやってみたり、それを出版社などに納品してチェックを受けて指摘されないとわからないことがたくさんあった。

事務局として、はじめから想定しているべきだったと反省したのが、たとえばフィックス型の底本断裁によるノドの欠落だ。

見開きに画像が配置されている書籍がある。
それを底本にして、断裁してスキャンして、フィックス型の電子書籍にした場合、ノドの部分の画像が切り落とされてしまう。
文字中心の書籍を、スキャンしてフィックス型の電子書籍にする。
紙の本の場合は完全に開くことがないので、ノドの一部が見られなくともそれほど気にならないが、電子書籍の画面はまっ平らなので、裁ち落とされた部分が気になってしまう。
だが、元の写真を保存している出版社ほとんどいなかった。
そこで、本のノド側を一気に裁断するのではなく、カッターなどで、一枚一枚「剥がして」いくようにバラしてスキャンするよう制作会社に依頼した。
また、電子書籍にするときにノド側に細い白い帯を置くことで、違和感を少なくするという対応をしたこともあった。
この件についてはわりとはじめのころに出版社からの指摘があったので、それ以降は事務局で到着した本を開き見開き画像がある場合はフセンをつけて、「カッターで剥がして」といった依頼を書くようにしたのだが、こうした小さなノウハウは、事務局でも、制作会社でもやってみて初めて気づいたことだ。

こういったことは、制作会社からみれば緊デジ全体の不備に見えたのだと思う。
絡み合ったさまざま状況のなかで、こうした問題を一気に解決する方法は残念ながら僕にはみつけられなかった。

この私的な総括をあえて書いたのは、当たり前だけど、緊デジに対する批判が増えてきたからだ。批判に対して逐条的に意見を書きたい気持ちもあった。

たとえば、「対象出版社の定義」が厳しすぎた、といった批判があった。

その中のひとつ、書協などの出版社団体の会員という条件について。
版元ドットコムもそうした出版社団体だし、その会員社であれば条件は満たす。
地方・小出版流通センターとの取引があってもオッケー。
もしどこの団体にもたまたま入っていなくても、あらためて団体の会員になってもいいわけだ。実際、電話でそうアドバイスしたこともあった。
補助金を使うわけだから、その対象範囲を明確にさだめることが必要だ。だが現に出版活動している出版社は、これらの条件をクリアしているはずだし、万一合致しない点があっても、申請時にクリアできる程度のものだ。

この間緊デジによせられる批判に対して、一つひとつ言いたいことはたくさんある。
しかし、問題は大きな課題、つまり「東北の雇用」に何をしてきて、何ができなかったのかということが語られるべきだと思った。
各論に埋没することが大きな課題を見えづらくなると思う。
まず、「東北の雇用」がどうだったのか、ということが語られるべきことなのではないだろうか。

デジクリ連載[22]緊デジ事業で中間交換フォーマットを見送ったことについて

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[22]
緊デジ事業で中間交換フォーマットを見送ったことについて

沢辺 均
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120515140200.html >
───────────────────────────────────
「緊デジ事業」というのがある。経済産業省の補助金事業で、中小出版社が電子書籍を制作する際に、その制作費の1/2、東北関連の出版社の本・東北関連の内容の本の場合は2/3を補助するもの。そして、その制作をできるだけ東北でおこなうことを条件としている。僕はそのフォーマット策定などに関わっている。

緊デジとは(緊デジ.jp)
< http://www.kindigi.jp/about/ >

●緊デジでの電子書籍フォーマット

フォーマットは、フィックス型とリフロー型の2種類で、フィックス型ではドットブック+XMDF+EPUB3、リフロー型ではドットブック+XMDFで制作することにした。

それぞれ、今後別なフォーマットへの変換用の作業ファイル一式(アーカイブ用中間作業ファイル)と、実際に配信するためのビルドした電子書籍ファイル(配信用電子書籍ファイル)の制作をすることにした。

電子書籍制作仕様書の確定版を公開しました(緊デジ.jp)
< http://www.kindigi.jp/info/20120510a/ >

第一次素案の段階では、リフロー型の作業用ファイルとして、中間交換フォーマットでの制作を依頼して納品してもらうことにしていたが、最終的にはドットブックとXMDFのソースファイルであるTTXと記述ファイル(XMDFのソースファイル)にした。中間交換フォーマットでの保存をやめたわけだ。

そもそも、アーカイブ用のファイルも配信用とは別にわざわざ保存することにしたのは、今後の新しいフォーマットへの変換を視野に入れたからだ。その新しいフォーマットというのは、もちろんEPUB3に他ならない。

EPUB3はその日本語版の基準の合意が形成されていないし、電子書籍書店での採用は進んでおらず、ビュアーでの対応も数少ない。しかし、いずれこうした問題は各社の努力で解消されて利用が拡大することは、ほぼ間違えないだろうと思う。だから、EPUB3への変換の準備は、この段階で必要なことである。

●中間交換フォーマットの採用を見送った理由

採用を見送ったイチバン大きな理由は、実際の制作経験が電子書籍制作現場になかったことだ。そのため、制作各社での作業ワークフロー構築が困難だと判断した。これは、第一次素案の段階でもわかっていて当たり前のことだったのだから、まったく僕の見通しが甘かったとしか言いようがない。

また、ツールなどがなくて、制作現場では一括置換などをそれぞれが準備するなど、多くの手間がかかることになり、それは必然的にコスト増を招く。実際に、制作会社からは「中間交換フォーマットを制作するためのツールなどはないのか?」といった問合せが寄せられたりした。

横道にはいってしまうけれど、「三省デジ懇」では基準策定や調査研究が多くて、実際にその成果を生かすための後始末が足りないように思う。この中間交換フォーマットでは、ツールの作成公開までサポートして欲しかった。

●中間交換フォーマットが果たした役割

ところで、こうした検討をしてきたことで、改めて中間交換フォーマットの果たした役割を確認することができた。一つ目は、中間交換フォーマット策定が行われたことによって、ドットブックとXMDFの仕様がなかば「公開」されたことだと思う。

たとえば、ドットブックの仕様自体は公開されていない。ネット上を検索すれば、ドットブックの仕様が貼付けられているサイトを見つけることができる。これを利用して個人的にドットブックを作ることはできるだろうが、あくまで「個人的につかう」だけである。

もちろん、ボイジャーとサポート契約をすれば仕様書などを一式提供されるので、入手も難しくないわけだ。だが、たんにドットブックを制作するために利用することはともかく、たとえばドットブックとXMDFの交換ツールをつくるって商売するには、あらためて両社と契約しなおす必要がある。この仕様は、ドットブックとXMDFとの間で変換するための利用を前提に提供されるわけではないからだ。

中間交換フォーマット策定という場に、ボイジャー、シャープ両者がつくことによって、変換のための仕様交換が実現した。これが、中間交換フォーマットの果たした第一の役割だ。

二つ目がより重要だと思うのだが、ドットブックだけができること/ドットブックもXMDFもできること/XMDFだけができること、が明確に整理されたことだ。実際「ドットブックもXMDFもできること」がイチバン多いわけだが、やはりそれぞれでしかできないことは残る。

「ドットブックだけができること」と「XMDFだけができること」があるということは、それを修正しない限り変換は終了しない。で、このことはEPUB3への変換を想定した場合に、同じことがおきるということだ。

単純にいえば、「ドットブックもXMDFもできること」の範囲であれば、ドットブックとXMDFからEPUB3への変換がかなり問題なくできる。汎用性のあるファイルであるからだ。

よく、「紙の本で実現してきた体裁すべてを電子書籍に求めるべきではない、別なものなのだから」といった意見を聞くことがある。基本的には僕もそれに同感である。「ドットブックだけができること」と「XMDFだけができること」は、紙の本で実現してきた体裁を電子書籍に求めた(求めすぎた)場合であることが多い。

今回の緊デジの仕様で、中間交換フォーマットを採用することができれば(採用する環境が整っていれば、あるいは整えられれば)、EPUB3へ問題なく変換できるであろう「ドットブックでもXMDFでもできること」で、多くの保存用ファイルを制作できたと思う。

そのことを先送りしてしまったのが、今回の中間交換フォーマットでの保存用ファイル制作をあきらめたことの意味することだと考えている。

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。おやじバンドでギター(年とってから始めた)。日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。

デジクリ連載[21]出版デジタル機構の人々

電子書籍に前向きになろうと考える出版社[21]
出版デジタル機構サイト
e読書JP
緊デジjp

出版デジタル機構が昨日の4月2日(月)に発足した。無事に登記が完了したはずだ。担当者と会えていないから完了報告は聞いてないけど、トラブル連絡もないからたぶん大丈夫のはず。

さて、今日書くなら出版デジタル機構=pubridgeのことしかないよね。そこで、この出版デジタル機構のなかのひとを紹介しておこう。

まずシャチョーさん。これは実名でいきますね。植村八潮です。東京電機大学出版局局長をおととい3月31日に早期定年退職。植村個人のことと、電大出版局の業界的なポジションをちょっと紹介しておこう(以下記憶で書く、ファクトチェックはしてないから間違えがあれば、あとで修正します)。

まず、書籍出版社業界団体として中心的なイチにある書協の理事。書協のなかでの役割は部分的にしか知らないので省略。大学出版部協会の中心的な役割を果たしてもいて、書協の理事も、この大学出版部協会「ワク」のようなカタチでだしているはず。あわせて電大は、LLP版元ドットコムの組合員社(出資社って意味かな?)でもある。

個人的には出版学会のメンバーで役員もしていたはず。で、なにより電子書籍の国際的な基準作りなどをもう10年前くらいからやっていて、よく本人も「英語もしゃべれないヤツが、国際会議の議長をやってたり……(笑)」とネタにしてたりもする。

以下、沢辺以外はイニシャルでいきます。本当は実名でいいと思っているのだけど、締切当日の朝に書いていて本人の了解も得てないのでね。

出版社からの出向は三人。三大出版社出資社からM、Hと、ポット出版からの出向者(笑)の沢辺。この三人は去年の10月に、小学館の小さな会議室ではじまった準備室発足のときからのメンバー。三人は出版社対応・総務的なことをする・制作体制をみる、ってな分担になっている。

ほかに、M、Hと同じ社からT、Kが来ていたのだけど、二人ともこれまで関わっていた課題を引き続き担当はするけど、正式な出向はしないことになった。

出向ではなく、雇われて準備室に来るようになったメンバー。来るようになった順番で紹介。

Hは、去年の12月から準備室に来てくれている。いわば雑用全般を引き受けてくれている。もともと、編プロにいたり、フリーで編集みたいなことをしていて、オイラの昔からの知り合い。女性。オイラが来てよと頼んだ人。

もと三大出資出版社の子会社にいたKとH。経理的なことの担当と、出版社との対応。

NとN。このふたりも女性。Nは先週の記者会見とかしきったりしてくれている。Nは、大学院だっけな? を終えたばかりで、現在バイト待遇。

4月2日から登場が男性二人で、MとH。出版社との対応(電子化コストは? どこで販売?)とかやることになるだろう。

てなあたりで、昨日船出したわけであります。
あはっ、短く、機構のスタッフを紹介してみました。

デジクリ連載[20]選ぶ自由を提供するための株式会社出版デジタル機構

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[20]選ぶ自由を提供するための株式会社出版デジタル機構/沢辺 均

「株式会社出版デジタル機構」の発起人会が先週3月9日(金曜)に開かれた。発起人は、勁草書房、講談社、光文社、集英社、小学館、新潮社、筑摩書房、版元ドットコム、文藝春秋、平凡社、有斐閣の11社。

代表取締役社長に同準備会代表幹事の植村八潮(東京電機大学出版局局長)、取締役に野間省伸(講談社代表取締役社長)、堀内丸恵(集英社代表取締役社長)、相賀昌宏(小学館代表取締役社長)、監査役に菊池明郎(筑摩書房代表取締役会長)を選出した。
< http://www.shuppan-d.info/2012/03/001193.html >

こうして、設立4月2日(月)をめざして、最後の準備を進める。資本金振込、法務局への届け出、という段取りだ。

僕の立場から言えば、講談社・小学館・集英社という出版界最大手から、版元ドットコムという数人規模の出版社(の団体)までが集まって株式会社をつくったという、かなり画期的なものになったと思う。

出版に意味があるとすれば、さまざまな考えを自由に表明できるようにしておくことで、社会の行方を考えたり決めたりするときにそれを生かすことだと思う。ほんとうに、1000人規模の大手から、1人2人の零細出版社までがさまざま存在することで、その表明の自由が確保されるのだ。

そして、それは唯一読者が選んで本を買うという行為だけで、存在できるできないということになるだけで、ほかの力からは自由にあることにこそ意味があるのだと思う。

たとえば、ポット出版の本が存在して(おおきな)本屋にならぶこと。これが自由な表現の証明だし、また読者からすれば、さまざまな本があるからこそ、選ぶ自由も得られるのだと思う。

出版デジタル機構は、電子書籍の世界でも、こうした選ぶ自由を提供するために発足したと言える。手前味噌ではあるけれど、そのなかに版元ドットコムのような零細出版社グループが存在することがそのことの証明なんだと思う。

さて、出版デジタル機構では、たとえば電子書籍フォーマットでも、こうした選ぶ自由を最大限にいかすように決めることができていると考えている。

電子書籍をめぐってはDRM(かんたんに言えばコピープロテクトみたいなもの)をめぐる議論がときどき現れる。個人的には、DRMは読者の本へのアクセスや管理に不自由を与えると考えているけれど、出版デジタル機構で作ろうとしている電子書籍にはDRMをかける予定である。

第一に、今すぐ出版社のほとんどがnonDRMを受入れるとは思えない。もちろん著者もだ。

第二に、DRMが音楽配信のように本当に不要になるのかどうかは、今結論を出すことができない。

第三に、DRMは、かけられるようにしておけば、かけたくない出版社や著者がいても、ただかけないようにできるからだ。

第三のことがイチバン大切だと思う。かけたいもの、かけたくないものが両方いて、その妥当性に議論の余地があるときに、どちらもできる状態を作っておくことが、その時点での判断として大切なのだ。

フォーマットも同様。EPUBだドットブックだ、XMDFとか議論はあるけれども、出版デジタル機構でつくる電子書籍は、オオモトのタグテキストを中間交換フォーマットにしておいて、どれにでも変換できるようなものしようとしている。

EPUBはオープンで国際的な基準だから正しいとか、ドットブックは組版表現が練れているとか、さまざまな人の「信念」が入り乱れる。いまの時点でどれが正しいとは結論が出ていない。そもそも電子書籍市場はそれを語るほど、多くの読者の評価にさらされていない。

だから、そんな「信念」の対立に一生懸命になるよりも、どれにでも対応できて、コストがそれほどかからない方法を選び、準備しているのだ。

さらにさらに、このフォーマットに関しては、実際に電子書籍を制作している会社+個人、を中心に、「原案」を示して意見をもらって、さらにそれを叩き直して、最終決定に持って行こうと考えている。

デジクリの読者には、フォーマットなどに関心をもっているひとも多いと思う。ぜひ意見を聞かせてもらいたい。

「電子書籍制作事業者さま・電子書籍販売事業者さま向け説明会」を以下の要領でひらきますので、ぜひ参加をお願いしますね。

◎電子書籍制作事業者さま・電子書籍販売事業者さま向け説明会

日本出版インフラセンター(JPO)主催で、経済産業省「コンテンツ緊急電子化」事業の「電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会」が開催されます。この説明会は制作会社様・電子書籍販売事業者様・出版社制作担当者様に、フォーマットに関する説明をさせていただきます。ふるってご参加ください

電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会
申込みフォームはサイト参照。
< http://www.shuppan-d.info/2012/03/001123.html >

電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会
主催:日本出版インフラセンター
参加対象:制作会社様・電子書籍販売事業者様・出版社制作担当者様

【第1回】3/23(金)15:00〜17:00 於:書籍協会4階
【第2回】3/27(火)15:00〜17:00 於:書籍協会4階
(内容は同じです)

内容
1.電子書籍のフォーマットについて
2.電子書籍制作事業者の選定について

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

デジクリ連載[19]電子書籍フォーマットについての基本的な整理

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[19]電子書籍フォーマットについての基本的な整理/沢辺 均

出版デジタル機構は4月の株式会社設立にむけて、まあほんとうに山ほどのことを決めたり、相談したり、書類をつくったり、してます。で、僕は出版デジタル機構の準備室の一員として、日々そうした作業を神保町の事務所に出かけてやっているわけです。

今回は、僕が機構の仕事を通してアタマを整理した電子書籍の「フォーマット」のことについていくつか書いておこうと思います。

いま、僕の頭の中の整理を書いてみると、電子書籍のフォーマットはこうなる。

◎紙の本と同時に、あるいは紙の本からつくる場合
└─・固定レイアウト式
└─・リフロー式
  └─DTPデータなどのテキストがデジタルである場合
  └─テキストをデジタル化するところから始める場合
◎電子書籍で発行することを目的に電子書籍をつくる

僕はそもそもこの機構をつくるって構想の前から、本のページをスキャンして、PDFでOCRをかけて透明テキストをつくり、検索ができる電子書籍を、大量に販売することから始めればいいのに、と思っていた。

固定レイアウト式というのは、ほぼそんなモノなのだけど、実際にいろいろ調べて行くと、どうもPDFは困難が多いというにやっと気づいた(あー、カッコ悪い!)。

そもそも、ビュワーがない。そりゃ、nonDRMのPDFファイルを読むためのビュワーはありますよ。Acrobatだっていいわけだし、他のもあるし。PCにもiPadにもある(DRMとは、デジタル著作権管理のこと)。

だけど、そもそも電子書籍書店で読者に提供しているビュワーでは、PDFまでをカバーしてるものがないのです。電子書籍書店にないということは、フリーで提供するならできるけど、実際に販売してもらえるとことがない、ということです。

じゃ、作ってもらえるように働きかけよう、と考えたのだけど、これまたあらたなコストがかかるわけです。さらには、そのファイルで、透明テキストを選択できるようにする、それをまた検索できるようにする、さらにはDRMをかけてもらう。こうした条件はさらにキビシい。

このPDF方式は過渡期のものだと思っていたので、そんなものにたくさんの費用をかけられない、かけてもらうわけにはいかない。こんなあたりまえのことに、具体的に検討を進めるなかでやっと気がついたわけです(ハズカシイ)。

なら固定レイアウト式はむりか? 今の僕が考えている仮説は、ページを一枚ずつの画像にして、それを.BOOKだとか、XMDFにはりつけて、写真集のような(だけどその写真は、スキャンした紙のページね).BOOKとかXMDFとかを作る。これなら、今の電子書籍書店のビュワーでも表示してもらえるのではないか? DRMもかけられるのではないか? と考えているのです。

リフロー式の制作検討で言えば、ほとほとデジタルデータの有無が費用の大部分を締めてしまう。コストに決定的な影響を与えてしまうのです。

出版社で編集とか制作に関わっているいる人なら常識だろうけど、紙の原稿(それが単行本であっても)を入力して、引き合わせ校正をすると、一文字あたり1円前後の費用がかかる。

新書は10万字(400字詰め原稿用紙で250枚ね)、400枚の四六判の本では16万字。だから10万とか16万円かかる。いろいろ調べて行くとやっぱり中国は安いらしいという話はよくある、けどね。なワケで、無茶苦茶コストががかる。

これで電子書籍にしてみても価格1,000円、出版社の売上げが600円として170ダウンロードは売れないとテキストのデジタル化の費用だけでもでない。これに、.BOOK、XMDFにする費用や、印税や宣伝費や社員の給料とかがさらにかかるのです。

ちなみにポット出版の電子書籍の販売数はいまのところ数10ダウンロードというあたり。つまり桁がひとつちがうのだ。

なので、DTPデータを利用する、さらに言えば紙の新刊を出したら、できるだけ同時にリフロー式のものを作っておくのが一番賢い、ということになる。

なぜ同時か? といえば、僕自身校了した直後のデータなら、紙の本の最終直しの有無を覚えているので、「あそこの漢字をなおしておけばいい」とか判断できるけど、一ヶ月とか経つともう一度読み直さなくては不安になるのです。

なので、校了直後にそのままDTPデータを使って、リフロー式の電子書籍にするのであれば、時間のかかる校正(のやり直しとか)を省略もできる。だから同時がいい。

コストでいえば、固定レイアウト式が「一」とすれば、リフロー式(デジタルデータあり)が「十」で、リフロー式(テキストデジタル化から)が「百」って感じだな。

まあ、こうしたことをひとつずつ学ぶことができたのは、実際に、ポット出版で電子書籍を作り始めたり、具体的な検討を積み重ねたりしたからなのです。だから、やっぱり、考えるのもいいけど、いろいろやってみなきゃね、とますます思う今日この頃です。

◇追伸やっぱりDTPとか、電子書籍化の作業にあたってるオペレータ(のある程度以上のスキルのある人)は偉大だなとつくづく思う日々です。

上記のような具体的な打ち合わせにのってもいいよ、とか、こんな方法のほうがいいじゃん、といった意見のある方。一度リアルにあって教えてもらえませんか? 何人かそうした人がいたら集まりませんか? Twitterのメンションでもいいし、ポット出版のお問合せフォームからでもご連絡ください。

ちなみにTwitterで「自社出版物と、出版・印刷物の制作受託仕事で、オペレータが欲しい、だれかいませんかね? InDesignがきちっとオペレートできて、HTMLとかCSSとかわかるとか、自動化が好きならなおいい。最初は契約社員かも。サイトのお問合せから連絡くれないですかね。公開での質問も可(笑)」ってつぶやいたんだけど、連絡はひとつもなしだった(笑)。

だれだ、これからはSNSが最強の人材集めツールみたいなことを言っていたのは(笑)。まあ、オレの信用がないってことだったんだろうけど。

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

「電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー」にでます。

日誌をサボってます。だれも待ち望んじゃいないと思いますけど(笑)。

でこれは会員限定なので参加ハードルは高いのですが、Twitterでもいいんで、内緒で連絡くれれば、
「特権」を使って何とかします(これまた笑)。

関心のあるかたは連絡を。沢辺

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【会員限定】電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー

電子出版制作・流通協議会 会員社 各位

日頃、電流協の活動にご支援いただきありがとうございます。

以下の通り、電流会員限定のセミナーを開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー
「電子書籍の新たな方向性について」

 電子出版の制作・流通のプラットフォームづくりを目指す電子出版制作・流通
協議会では文字、音声、動画等を統合した新しい出版コンテンツの構築・検索技
術の研究・開発の方向性を明らかにし、従来の出版市場の規模を越えた新しい電
子出版市場の創造を目指した産官学のメンバーによる新世代コンテンツメディア
研究会(座長:高野明彦国立情報学研究所教授)を2011年1月から全6回実施して
まいりました。
 白熱した議論が展開されましたので、その内容を電流協の会員向けにフィード
バックできるようなセミナーを開催することにいたしました。今後の電子出版ビ
ジネスにお役立ていただくために会員の皆様のご参加をお待ちしております。

会員限定のセミナーになりますので非会員社の方のお申込みはご遠慮ください。

【題目】【会員限定】電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー
【日時】3月2日(金)14:00-16:00
【場所】日本教育会館 7階 中会議室(701・702)
【対象】電流協会員(参加無料)
【定員】先着150名
【参加申し込み】参加ご希望の方は以下のURLより申込み下さい
 http://aebs.or.jp/seminar.html

【内容】
  コーディネーター
   高野明彦氏(国立情報学研究所)

  パネラー
   影浦峡氏(東京大学)
   沢辺均氏(ポット出版)
   井芹昌信氏(インプレスR&D)
   小城武彦氏(丸善CHIホールディングス)

ず・ぼん編集後記「出版デジタル機構と図書館のこと」

『ず・ぼん』は去年から、月に一本の記事をPDFで販売している。
2月の配信予定は「東大図書館リニューアルで取り組む「知の森」見える化プロジェクト」でプロジェクトに取組む柴野京子さんにインタビュー。
その編集後記に出版デジタル機構(仮称)のことを書きました。
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●柴野さんのインタビューで、出版デジタル機構(仮称)の話をふっているので、少し書いておこうと思う。
出版デジタル機構(仮称)は、9月15日に公表した、出版社を中心に出資する新しい株式会社だ。
●まず、「なぜ出版デジタル機構を作るのか?」だ。 

第一に、いますでに進行しているけど、さまざまな情報がデジタルになって、ネットワークを通じて(も)流通している。
そして、それは今後もますます拡大していくだろう、という「予測」がオオモトの状況認識。
だから、「情報」をあつかう出版という商売も、これに対応しなければならないということだ。

第二に、デジタル化・ネットワーク化がさらにすすんでから対応するより、進行の途中に、むしろ積極的に、先回りして対応することが得策だと考えるからだ。いや、正直に言えば、すでに遅いのかもしれない。でも、やっとわれわれは気がついたんだから、このときに対応しようと考える以外に選択肢はないのだ。

第三に、なら、デジタル化・ネットワーク化が社会的に進行するなかで、出版という商売が対応すべきことはなにか? それは、これまでに作ってきた本をデジタル化することだと考えたのだ、あたりまえすぎるけど。

第四に、そのためにはなにが必要か? 課題は山ほどある。だからともかくデジタル化して販売することを目的にすえることで、逆に課題を克服して行こうとしている。著作権者からのデジタル化の許諾の取り方、契約の内容は? どういうフォーマットにするのが良いか、そのコストはどれほどか?どこで売れるのか? 
こういう課題をひとつづつクリアしなければならないが、課題をクリアする最大の前提条件は資金だ。仮に1タイトルを1万円でデジタル化できるとして、1万タイトルをデジタル化するためだけに必要な資金は1億円だ。実際はリフロー型のデジタル化は、1万円ではとてもできないし、いまでも3万タイトルあると言われている文字もののデジタル書籍に対して、1万タイトルをデジタル化するのではまだまだ足りない。だから株式会社にして、資本金をあつめようとしている。これがまず始めにクリアしなければならないと考えるのだ。

●こうした出版デジタル機構は、図書館にもデジタル書籍を提供して、図書館でも利用してもらうと考えている。
現在の図書館でのデジタル書籍のニーズはまだまだ顕在化していないと思う。デジタル書籍「だから読みたい」というニーズが利用者にある訳もない。
そもそも、デジタル書籍そのものが普及していないのだからあたりまえだ。図書館側もデジタルをどう活用しようかという像を結べていない。例外は大学図書館ではあるが。
なので、出版デジタル機構はこれから、利用者を見据えながら図書館と意見交換をしてその活用法を模索したいと思っている。

●今回の柴野さんのインタビューは、そうした模索のひとつにも生かせそうである。
出版デジタル機構と図書館の意見交換の現場のひとつとしても、このインタビューを読んでもらえるのではないか? と考えている。

●「出版デジタル機構」とググってウエブサイトを見てもらえれば、プレスリリースも、その後に出版社向けと関連事業者向けに開いた説明会の資料などものっているけど、ここにリリースを引いておこう。
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(ココでは出版デジタル機構(仮称)のサイトにリンクしておきます

あと戻りのできる家=R不動産toolboxコラム

R不動産toolboxという、リノベーションのサイトに、我が家が載りました(笑)。
よければ、ご笑覧を。

あと戻りのできる家

デジクリ連載[18]TSUTAYAの「デジタル雑誌閲覧サービス」の顛末について

僕のまわりで話題になっていることがある。
TSUTAYAが代官山の新しい店をオープンした。
< http://tsite.jp/daikanyama/ >

で、話題になったのは、古い雑誌をiPadで読めるようにして、ラウンジのようなところでお客に利用させていたって話だ。「デジタル雑誌閲覧サービス」というのかな?

これについて日本雑誌協会がこのサービスの中止などを申し入れて、TSUTAYAがそれを受け入れたということだ。

出版と新聞の業界紙『文化通信』 < http://www.bunkanews.jp/ > によれば、

日本雑誌協会は12月21日、東京・千代田区の雑誌会館で12月理事会・例会を開催し、代官山蔦屋書店での「デジタル雑誌閲覧サービス」についての経緯が報告された。

12月1日の同書店内覧会で、サービスが著作権法の違法行為に当たるとの連絡が雑協に寄せられたことから、著作権委員会で協議し、編集員会での確認を経て、12月8日にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を訪れ、サービスの中止、経緯、蔵書の種類、配信雑誌の報告など内容とした申し入れ文書を手渡した。

CCC側は可能な限り早く対応するとし、蔵書・配信リストは個々の出版社の問い合わせに応ずるとし、問い合わせ窓口の設置を確認。12月15日にサービス中止の連絡があり、19日に問い合わせ窓口のメールが開設された。

ということだったそうだ。

                ●

そもそも、iPadでの閲覧サービス、僕の聞いたところでは、出版社や著作権者に許諾を得ずに、スキャンして見せていたようだ。で、この話を聞いた最初の感想は「なにもイマイマこんなことやってくれなければよかったのに」だった。

出版界は、本も雑誌もデジタル化には及び腰であると感じてる。必要だと思いながらも、著作権者の許諾を得る難しさとその膨大な作業量、加えてそれらの作業費用をかけて回収できるだけの売上げを見込めるような実例のなさが、主な原因だろう。

そこで、出版デジタル機構(仮称)をつくって、先行投資をするための資金集めから、電子化フォーマットなどの検討などをやっている最中だ。賛同してくれた出版社は140社をこえたものの、まだ株式会社の設立も4月1日を目標に準備に精出しているところ。

もし、もう少し出版デジタル機構(仮称)の具体的な電子化の取組みが開始された後なら、こうしたTSUTAYAの取組みに対し機構でも対応可能になったんじゃないのか? と思ったのだった。

いや、もうちょっと正直に言えば、業界の噂ではTSUTAYAは出版社に相談もしていないようで、それは相談したって出版社の連中はどうせダメだというだけだろうな、と思われたのだろう、って感じもしてた。

でも一言だけ言えば、出版界のムードは変化してるんだ。電子化に対する「後ろ向きの態度」は少しずつ前向きに変化していると。

                 ●

それから一週間くらい、このことを時々思い出していて、あるときに考えを変
えた。

このTSUTAYAのサービスを契機に、出版社は著作権者たちに利用に関する事後承諾をお願い=宣言するのが良かった! と。

ストーリーはこんな感じだ。

・TSUTAYAが古い雑誌のiPadでの閲覧サービスを始めちゃった。
・これが利用者にどうも好評らしい。
・出版社は、当面、リアル書店店頭に限り「デジタル雑誌閲覧サービス」を了解した。
・利用許諾権はそれぞれの著作権者=書き手・カメラマン・イラストレーターなどにあるので、それぞれダメと連絡をもらえればTSUTAYAにつたえて当該ページを白く塗りつぶす。
・しかし、すでに発行から充分に時間がたっていて、改めて販売が見込める可能性は極めて低く、TSUTAYA代官山店頭ではとても好評のようなので、どうか「デジタル雑誌閲覧サービス」を了解してほしい、と出版社は著作権者に再び通知。いわゆる「オプトアウト」ってやつだ。

著作権が”使わせない権利”になってしまって、本来見られてナンボの著作物を日陰においておくことにそのルールが結果している、と思っているのだ。

クリエイターのみなさんはどうお考えだろうか?

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。おやじバンドでギター(年とってから始めた)。日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。

ポット出版社長・沢辺均の日記 -143[2012.01.05〜2012.01.22]

●2012.01.05木
新年一日目。
機構準備室会議。

●2012.01.06金
午後、東大図書館に行く。柴野さんにインタビュー。
『ず・ぼん』の取材なのに、出版デジタル機構(仮称)の営業になってしまった。
これ、電子版『ず・ぼん』掲載で近日発行します。

●2012.01.09月祝
整体受ける。よかったー。

●2012.01.10火
経理の幸江ちゃんと打ち合わせ。
昼飯は、出版クラブのランチ。打ち合わせかねてね。
午後はJPOの標準化委員会。
17時からは機構の幹事会・準備室合同会議。
終わって、●●さん(笑)と食事。

●2012.01.11水
中公に行って、本のデザインと組版の仕事の話。機構のことにも。
午後は渋谷区立中央図書館で連絡会。
神保町にもどって機構の普及ワーキング。
その後、中野でげんきな図書館の理事会。今年度でヤメることにした。

●2012.01.12木
午前中機構の準備会会議。
午後はJPOで打ち合わせ会議。
それから、機構でつくるフォーマットの相談。深沢くんともいろいろ相談。

●2012.01.13金
●●社のKさんが機構準備室に来ていろいろお話。進行の報告や「新書祭り」のことなど。
午後は●●社の人たちと会議。
それから、デジタル化の現場を見せてもらう。とっても勉強になった。
東大・柴野さんと「知の森」プロジェクトの相談とか。

●2012.01.14土
改装の相談。

●2012.01.15日
整体だ〜。

●2012.01.16月
午前中は機構準備室の会議。
午後、ボイジャーに、深沢くんとかと行く。
鎌田さんに「やさぐれてる」と言われた(笑)。いや、ホントに気分がやさぐれてた。最近そうなんだ。JU
ポットに戻って中公の本のつくり方を深沢、山田と相談。
ネットでみつけた、「電子書籍情報まとめノート」というのに関心したので、
作者の山口海さんを「呼びつけて」メシをくう。
こうやって一人でいろいろ調べたりしてる人はいいな、と。
もどって、デジクリ原稿「TSUTAYAの「デジタル雑誌閲覧サービス」の顛末について」を書いて送信。

●2012.01.17火
午前中、マンション管理組合理事会をサボって、機構へ。
●●社の社長さんたちとお話。
昼にNDLの人がきて一緒に昼飯。
午後は、電子書籍→読み上げに取り組む岡山さんと打ち合わせ。
●●社の人と打ち合わせをしたのち、図書館モデルの準備室内打ち合わせ。

●2012.01.18水
久しぶりに午前中はポットでいろいろ。午後から機構へ。
岩松了さんのチケットポスター発見。これ、脚本を本にしますから乞うご期待。
岩松

●2012.01.29木
ははは、すげー会議だらけの一日
午前中はJPOとの会議。神楽坂。昼は、さぼうるで機構や電子書籍からみの相談。
午後は、機構の図書館モデルの話をしに●●社。
システム開発のキックオフ会議。
17時から幹事会+準備室の会議。
終わって、金丸さん、古川さん、佐藤さん、植村さんとメシに。
古川さんはJUNのファンだったんだ。復刻版を買ってと営業したり(笑)。

2012.01.20金
午前中はポットでデザインの仕事の打ち合わせ。
午後は「新書祭り」の相談をしに、出版社へ。終わって機構メンバーで打ち合わせ。
夕方日経電子版の記者が取材に来る。
夜ポットにもどって、いろいろと雑多な打ち合わせ。

●2012.01.21土
たまった仕事、考えを整理したりしたかったので、ポットへ。それなりにはかどるけど、まだ目標まではクリアできない。
夜は久々にベラミナイト。
マスターにいきなり「Sweet home Chicago」をリクエストされちゃって、調子狂う(笑)。
いやー、だんだんうまい人の割合が増えて、気後れしたのかも。
ベラミナイト
●2012.01.22日
今日も、たまった仕事、考えを整理したりしたかったので、ポットへ。
結構、進められたけど、これからまだかたしたいことあるんだよな。