2009-09-09

いただいたご本『低炭素革命と地球の未来』

● 竹田青嗣・橋爪大三郎『低炭素革命と地球の未来』(ポット出版) 1800円+税

ポット出版から竹田青嗣氏と、橋爪大三郎氏の対談『低炭素革命と地球の未来』が上梓された。

ポットさんが以前に出版した『自由は人間を幸福にするのか』もシンポジウムを収録したものだったけど、本としてはやや食い足りない感じがあったが、今回の対談本『低炭素革命と地球の未来』はかなりの満腹感を得られる。二人の思想家の基本的な考え方がわかりやすく語られているし、意見の異なるところにも突っ込んでいる。

橋爪氏の言う通り、地球環境の問題を考えれば、「大きな物語の終焉」ではなく、いまこそ我々が「大きな物語」を生きているこを認識し、その課題への取り組みが必要なのだろう。そして竹田氏と橋爪氏の共通の前提である、資本主義と国家を諸悪の根源として否定する批判思想、マルクス主義やポストモダン思想にピリオドを打って、とっととやるべきことをしないと時間切れになっちゃうよー!という主張にはまったくもって大賛成。強迫的な無根拠性の指摘や、ありがちな権力批判に終始していなくて、ちゃんと代案、アイディアを用意しているところが、この二人の思想家の素晴らしいところですね。

2009-09-01

9/2(水)は通常営業

matsuri.jpgレインボー祭り(写真はイカホモのお神輿)も盛り上がり、衆議院選挙も政権交替の結末に終わり、夏の汗を台風が流していってくれた感のする週明けですが、みなさんお元気でしょうか。夏バテしていませんか? 

エフメゾはまだカフェタイム(17:00−19:00)を続行中で、バータイムの学生向けの釜飯サービスもしばし継続することに。繰り返すと、バータイムにお越しの学生さんには釜飯が無料です!(ママったら太っ腹じゃないのよ) 最近は学生のお客様も多く、初心者向けの学生店子を夏休み中はキープして対応しておりますので、ゲイバーに足を踏み入れるのに躊躇しているあなたも、安心して二丁目デビューができますよ。

営業時間は17:00−04:00ですが、深夜はお客様がいなくなり次第、看板を消してしまいます。

2009-08-24

ビヨンセ様をマスター?

mfmap.gif先週のエフメゾ営業はソウルとかR&BとかのナンバーをBGMに流していた。ダイアナ・ロスとかスティービー・ワンダーとかチャカ・カーンとか 80年代くらいまでの名曲を中心にセレクトして、それがけっこう好評だった。ちなみに、チャカ・カーンがビートルズをカバーした「We can work it out」は、伏見が17歳の夏、最初に二丁目に行ったときに、ディスコ(MAKO)の扉を開けるや耳に飛び込んできた曲!(もう三十年前…)

伏見は黒っぽい音楽も好きなのだが、この10年くらいはブラックミュージック・ファンと言うのに躊躇があった。というのも、00年代に入ってからのディーバ、ビヨンセ様の音楽の良さが全然わからず、自分の感性がまったく時代に追いついていない、もうポップがわからなくなっているんだと痛感していたから。そう、ビヨンセという名前を聞くたびに時代遅れになった自分へのコンプレックスがうずいていたのだ。

それが!昨日突然、iPODに音楽を入れていた際、ふと耳にしたデスチャの「Independent Woman」が、不感症のからだにオーガズムをもたらすようにビンビンと響いたのだ。理由はわからず。でも、やっと、ビヨンセでイケたと、心身が歓喜にわきましたよ。10年遅れてビヨンセのイキどころを体得した気分でございます(それでもまだ10年前の段階)。感性もあきらめずに訓練すれば少しずつ進化するものなんですね。←肛門性交の体得と似たところがある?(笑)

ということで、8/26(水)のエフメゾは再びブラックミュージックの特集ですが、伏見のビヨンセ処女喪失記念に(笑)、デスチャとかドリームガールズとかバンバンかけます。ほかにもプリンスとかレイ・チャールズとかジャミロクワイとか。

そしてスティービー・ワンダーの「ハッピー・バースデイ」とともに店子のアンジェラの21歳、司の35歳の誕生日パーティです! ぜひご来店ください。

カフェタイムは17:00−19:00、バータイムは19:00−04:00。深夜はお客様がいなくなり次第、看板を消してしまいます。

2009-08-17

いただいたご本『はじめての言語ゲーム』

● 橋爪大三郎『はじめての言語ゲーム』(講談社現代新書 760円+税)

「そのときこそ賭けてもいい、人間は波打ち際の砂の表情のように消滅するであろう」
というのはフーコーの有名な言葉で、こういうちょっと知的で、謎めいた文言に打たれてしまうインテリ予備軍は多い。そして、かのヴィトゲンシュタインも妖しい魅力を放つ文言を残している。
「語りえぬことについては、沈黙しなければならぬ」
……やっぱ、なんか、かっこいいっすねー!←恥ずかしながらそれ以上の理解ではない。

ロングセラー『はじめての構造主義』で日本人の構造主義に対する理解を広げた橋爪大三郎先生が(先生という敬称は、伏見が現在橋爪先生の下で学問を学んでいるため)、二十年経って再び講談社現代新書で『はじめての言語ゲーム』というヴィトゲンシュタイン入門の新書を上梓された。これ、きわめて理論的な本なのかと思ったら、ヴィトゲンシュタインの生い立ちから掘り起こして、もちろん、彼の「言語ゲーム」理論についても説明し、なおかつ、橋爪先生オリジナルの、本居宣長を「言語ゲーム」で読み直すという論考までもが含まれている。文章もわかりやすいし、とてもコンパクトにまとまっていて手に取りやすい。

20世紀最高の哲学者の一人と言われるヴィトゲンシュタインを学ぶにはもってこいの一冊だろう。伏見もいま書いている小説の原稿を上げたら、もう一度頭を論理方面に切り替えてじっくりと勉強してみたい。

2009-08-15

書評『挑発するセクシュアリティ』

● 初出/現代性教育研究月報

志田哲之・関修編『挑発するセクシュアリティ』
石丸径一郎著『同性愛者における他者からの拒絶と受容』

これまで同性愛をめぐる学術研究というのは、同性愛/異性愛の二項対立を脱構築しようとするアイデンティティ懐疑の議論が多かった。しかしそうした思潮と、当事者の生活実感はかなり乖離していただろう。思弁的にアイデンティティを懐疑することが、ふつうの当事者には自分たちの生に何か意味のあるものを示しているようには感じられなかったのである。

が、時代はまた進み、そんな言説状況に新しい視点を加える論文も現れてきた。『挑発するセクシュアリティ―法・社会・思想へのアプローチ』に収録されている小倉康嗣「ゲイのエイジングというフィールドの問いかけ」と、金田智之「セクシュアリティ研究の困難」がそれだ。 続きを読む…

2009-08-11

「和モノ祭り」のスタッフの装い

090810_2359_01.jpgIMG_1076.jpg8/12(水)のエフメゾは「和モノ祭り」と題した営業ですが、スタッフの装いはこんな感じになります。

普段着でのご来店もOKですが、よかったら浴衣、甚平、六尺などで飲んでください。ただしミックスでも女子は下着飲みはできません(笑)。

お盆休みの一晩、楽しく、ちょっと色っぽく楽しみませんか?

営業時間は17:00−19:00はカフェタイム、バータイムは19:00−04:00。バータイムにご来店の学生には釜飯をサービスします!

深夜はお客様がいなくなり次第、看板を消してしまいます。

2009-08-10

いただいたご本『前略、離婚を決めました』

● 綾屋紗月『前略、離婚を決めました』 1400円+税

名著『発達障害当事者研究』の著者である綾屋紗月さんの、よりみちパン!セからの新刊である。今回は幼少のころから記憶を掘り起こし、思春期の孤独、恋愛から結婚・離婚に至るまでの自己史を、自分の子どもたちへの手紙の形式で書き綴っている。

平易で繊細な文章も読ませるが、内容はけっこうエグい。元夫との離婚までの過程をセックスの問題にもちゃんと突っ込んで語っている。そういう意味では他にあまりない類の本だろう。その率直さは感動的でもあり、夫婦というものの本質的な問題を描き出している。

本書については別に書評を書くことになったので詳細はそちらにゆずるが、ただこの本を読んで伏見は、「でも、自分もこの人と結婚して暮らしたら、DVのアルコール依存の夫になるかもしれない…」とふと思った。夫の暴力の原因を彼女に押し付けるつもりはないのだけれど、どうしてそのような読後感を抱いたのか、いつか自己分析してみたい。

2009-08-09

いただいたご本『どんとこい、貧困!』

● 湯浅誠『どんとこい、貧困!』(理論社/よりみちパン!セ) 1300円+税

ずいぶん前に版元から送っていただいた本なのだが、ずっと手に取る気がしなかった。帯に「「自己責任」よ、これでさらばだ!」というコピーが謳われていて、こういう二者選択、勧善懲悪的な議論がすごく嫌いだからだ。

反差別の運動でも、政治的な運動でも、どこからどこまでを社会の問題にすべきなのか、個人の問題として引き受けるべきなのかは、実際すごくセンシティブな線引きで、その感度を大切にすることでしか社会的な了解は成立しないと思う。格差社会批判というのは、自由か平等かという古典的な論議の変奏で、経済状況が良くなれば自由に重きが置かれ、悪くなれば平等への希求が増す、という一方の思潮の出方にすぎない。なので、「自己責任」だけを諸悪の根源であるかのような物言いって、すごく幼稚で、時流に乗っているみたいで……。

とはいえ、読んでみれば本書の言っていることはけっして間違っていない。平等の側の観点から見れば、こういう格差社会批判は当然ありうるもので、80年代、90年代のバブリーな時代に自由のほうに線引きが寄っていたことを考えれば、視点を平等の側に戻す必要もあるだろう。著者は現在の社会の一面を説得力ある形で記述することに成功している。そういう意味では非常に良い本。だけど、シリーズのバランスで考えれば、自由のほうの視点で世界像を示す本があってもいいかもしれない。両方そろって初めて、若い人は社会への複眼的な見方を獲得できる。

2009-08-08

8/12(水)は和モノ祭り

wawa.jpgもう夏休みに入っている人もいるかもしれませんが、来週のエフメゾはお盆休みの前日にあたる人が多いことと思います。なので、「和モノ祭り」を開催します。

って大袈裟なものではないのですが、8/12(水)は甚平、浴衣などの和装、六尺、勝負下着などで下着飲みをしてくださる方、お待ちしております! せっかくのお盆ですので、「和」な気分で楽しみましょう。もちろんドレスコードでもないので、普段着でのご来店でも大丈夫ですよ。

着替える方はビニール袋で着てこられたものをお預かりします。女性の和装での参加も大歓迎ですが、下着飲みは男子にかぎります(笑)。

料金は通常通りで、営業時間も17:00−19:00がカフェタイム、19::00−04:00がバータイムです。深夜はお客様がいなくなり次第、看板を消しております。

2009-08-04

いろんな人が来るから面白い

ゲイバーにもいろいろな用途があるので、どういうバーが良いバーだとは単純にはいえない。発展目的なら発展目的の、お洒落に楽しみたければそれ用の営業のあり方がある。エフメゾの場合、一応「昭和のくっつけバー」の復興を目標にはしているが(笑)、実際はコミュニケーション欲を満たしに来てくれるお客様が多い。

なので、いろんな人に集まってもらえることが大事になってくる。イケメンばかりでも、ゲイばかりでも、エリートばかりでも、有名人ばかりでも面白くない。そこらのガキんちょからご年配の紳士まで、オカマやビアンからノンケまで、頭のいい人から天然の人まで、お金持ちから借金まみれの人(誰?)までいろいろいるからコミュニケーションも充実する。最近は「多様性」という言葉が陳腐な表現になってしまったので、あまり使いたくないが、やはり多様であることの力はバカにできない。

もはやすっかりエフメゾ名物になった感のあるママ特製「男ができるカレー!」も、とにかくいろんな材料が入っているから、素人(ママ)の腕前以上の引きになっているのではないか。でもそれらの素材をまとめるルーがなければカレーにはならない。きっとカレーのルーと同じものが、エフメゾの場合、「ゲイ」というフレームだ。それはもはや男性同性愛者という特定のアイデンティティには収まらない「何か」だが、男性同性愛者が培ってきたものであることは間違いない。「なんでもアリ、誰でもOK」の場はかえって面白くなくなってしまうのだけれど(ポリティカル・コレクトって、なんかエロスがないよねえ)、「基本ゲイなんだけど、いろんな人に開かれている」くらいの御簾の上げ具合がいちばん面白くなる。それを「差別」「排他性」ととらえたい感性の人にはエフメゾは開かれていない(笑)。

8/5(水)もカフェタイム(17:00−19:00)からやっています。バータイムには学生さんには釜飯の無料サービスがあります! 閉店は04:00ですが、深夜お客様がいなくなり次第、看板を消してしまいます。

2009-07-25

蔵出しエッセイ「オネエたちのリブ?」

saizo.jpg*初出「サイゾー」2008.1

「おネエ★MANS」のゴールデンタイムに進出は、おネエやゲイなど性的少数者の社会的地位がアップしている状況をそのまま反映している。以前ならおネエがテレビの主役になることは考えられず、ちょっとスパイスの効いた添え物の役割りしか与えられなかった。

80年代の半ば、時代がバブルに向う爛熟した時代ではあったが、こんなことがあった。セクシー系の深夜番組が(当時としては)いささかはじけているのにいらだったある保守政治家が、おすぎ&ピーコのことまで「オカマなんぞがテレビに出て」と批判した。おかげで彼らは一時番組を降ろされ、ピーコも傷心だった。消費社会、ポストモダンとはしゃいでいた80年代でさえ、そんな差別があからさまにあったのだ。 続きを読む…

2009-07-23

いただいたご本『中学生からの哲学「超」入門』

● 竹田青嗣『中学生からの哲学「超」入門』(筑摩書房) 800円+税

ちくまプリマー新書から竹田青嗣氏が10代以上の読者に向けた哲学入門書を出した。竹田氏はこれまでもたくさんの「入門書」を書いているが、そのなかでもいちばん言葉をくだいて著わした一冊ではないだろうか。しかも内容は大人でも十分学ぶに値する水準のもので(当然なのだが)、竹田現象学の初学者にとってはとても良い入り口となるはずだ。

個人的には、竹田氏自身が哲学と出会うまでの遍歴が語られている1章が印象的で、哲学的思考というのが単に学習によって可能になるのではなくて、自身の体験との深い邂逅がないと深まらないことが理解できて興味深かった。些末なことではあるが、彼の若かりし日の「金縛り体験」が自分のものとうりふたつで、金縛りの解除の仕方までいっしょだったことが妙に面白かった!

人がなぜ考えようとするのか、なぜ哲学をせざるをえないのかを知りたい人にはうってつけの本である。

2009-07-22

いただいたご本『エロスの原風景』

● 松沢呉一『エロスの原風景』(ポット出版)2800円+税

世の中には「あっぱれ!」と思わせてくれる人がいるもので、この本の著者、松沢呉一氏もその一人。彼くらい尋常ではない好奇心と、透徹した分析力と、出力エネルギーの過剰さがあれば、もっと社会のメインストリームでビッグになれるはずなのだが、何の因果か出版、それもエロなんぞにハマってしまい、人生をマネー方面とは別のところで走らせているのが可笑しい。こういう業の深い人生をどっぷり生きている人には、ただ「あっぱれ!」と言うしかない。

本書も、そんな「あっぱれ!」な彼の生き様のなかで可能になったもので、エロに関して「国会図書館を越えた男」と呼ばれる松沢氏の稀代のエロ本コレクションのなかから厳選したビジュアルを紹介しつつ、エロ本の歴史を江戸時代から現代まで辿るという資料価値の高い一冊になっている。前近代の風俗本から、ホモ、ビニ本、夫婦生活ものまで、実に多様で豊穣な日本のエロ文化を、一次資料と松沢氏の洒脱なコラムで概観できる。セクシュアリティに関心を持った研究者が、ちょっと資料をあたってフーコーで言説分析しました、みたいな安直な言葉ではない、マニアの凄みがここにはある。少し値段は張るが、エロファンなら十分もとが取れる。

2009-07-19

書評『社会学』

*初出/現代性教育研究月報
・長谷川公一ほか『社会学』(有斐閣)
・野々山久也『論点ハンドブック 家族社会学』(世界思想社)

教科書というものを長いあいだバカにしていた。どうせ、当たり障りのないことをもっともらしい言葉で、まじめくさって解説しているだけの「公式見解」だろ、と。けれど、最近ふとしたことで手に取った社会学のテキスト、長谷川公一他『社会学』がたいそう面白く、ページを繰る手がとまらなかった。

その面白いには二つ理由がある。一つは、この本が専門用語に淫していないので読みやすく、図解やコラムなどを多用していて、読者の好奇心をそそる内容だったこと。以前にも社会学の入門書をひも解いたことがあるが、それは学問の体系を学問の言葉でかしこまって説明しているだけで、自分のなかの問題意識と結ぶ何かが見出せなかった。だから、各章の冒頭にわかりやすく身近なエピソードを置くことからテーマに導いてくれる本書は、とても親切で、学問の理解を容易にしてくれる一冊に思えた。 続きを読む…

2009-07-17

いただいたご本『罪と罰』


二丁目でしっぽり罪深いことをして朝方家に戻ると、光文社の文庫編集部から本が届いていた。それがなんとドストエフスキーの『罪と罰』!(笑) なんだかタイムリーなタイトルにゾッとしました。

仕事がらいろんな出版社や著者から献本をいただくが、光文社ってこれまでお付き合いもなく、著者とも面識がないので(当たり前)、どうして送られてきたのかわからない。それもロシア文学。重厚な世界文学。ま、伏見も一応は小説家の肩書きもあるのですが。うーん、どうして伏見にくださったのだろう。

いや、とてもありがたいのですが。

『罪と罰』は若い頃に読んだことがあるようにも思うのだけど、内容をすっかり忘れているので、暇を見つけて新訳で読み直してみようと思う。文字が大きくて読みやすいだけでとても助かる。うちの本棚にある古いドストエフスキーの文庫なんて、老眼鏡でもかけないと読むこともできないからね。

2009-07-14

7/15(水)はユーミン&みゆき特集

今週のエフメゾ営業は、ママがちょっとおセンチな気分なので(笑)ユーミン&みゆき特集です(←世代がわかる)。それも80年代もの中心に。こういうセレクションっていかにも二丁目っぽくてこれまで避けてきたのだけど、やっぱオカマだからしようがない。

営業はチャージなしのカフェタイム(17:00−19:00)からで、バータイムの終了は04:00ですが、お客様がいなくなった時点で看板を消してしまいます。

2009-07-12

学生で若返り効果?

bu.jpg先日のエフメゾ営業は、店内が大学生ゲイたちで埋め尽くされるという僥倖に恵まれた。青春を持ち込んでくれた大学生たちに接していると、その可能性の余白だけで「若いっていいなあ」とある種の官能を得ることができた。やっぱ若いってエネルギーとお色気がいっぱいですね。

もちろん、若さ=感性豊かだったりするわけでもなく、経験値が低い未熟さの面もあるのだろうが(ちょっと上目線)、そのなかに上の世代では考えられないような感覚や、表現力を持った才能がまぎれていることもある。そういう原石を発掘するのはおじさん、おばさんの楽しみでもありますね。ともあれ、変わりうる柔軟な心に触れるのはこちらがエンパワーメントされる。

その流れで、学生のひとりに武道館で行われるロックコンサートに誘われた。武道館でライブを聴くなんて、80年代のABBA以来?(笑) いや、コンサート自体は東京ドームでマドンナやポール・マッカートニー、ストーンズなんぞにも行ってるんだけどね(あ、それも90年代だ……)。久しぶりで生ライブなんぞ体験したら、自分のなかにむかし蠢いていた「ヤバい感じ」が甦ってきて、ほんとにヤバくなった。ぐぉーーっ!!みたいな(笑)。

そんなわけで、学生と交流するのは精神の健康と若返りのために大変効果があることがわかり、エフメゾでは学生の夏休みに合わせて、学生誘致サービスを提供することに。といっても、7/29、8/5、12、19、26(水曜日)の期間、先週「水揚げ」した二十歳の大学生に毎週入ってもらい、学生に釜飯の無料サービスをするくらいのことなんだけど。まあ、いまでも若い人向けにカフェタイムもやっているしね。なので、その一ヵ月間は、いつものやす子さん、司くんと、ピストン君とママの4人体制で営業をする予定! 7/15、22はまだカフェタイムと通常営業の3人体制ですが。

2009-07-07

いただいたご本『被爆のマリア』

hibaku.jpg伏見は共同だったか時事だったかで単行本版の書評を書いたのだが、それが著者の目にとまったらしく、文庫版の解説を書かせてもらうことになった。よい機会だったので田口ランディ氏の他の作品も読み返してみたら、どれも彼女しかアクセスできないような異界を抱えていて、その異空間にからだごと呑み込まれそうになった。恐ろしい魔力を持った作品を指先から滴らせる人だと思った。

そういう物語の評を書くことくらいやっかいなことはない。こちらの言葉が届かない感じが拭えないからだ。こんな小説に接するときほど評論の言葉の限界を痛感するときはない。そんなわけで四苦八苦してどうにか入稿した解説なのだけれど、最初に新聞に寄稿したものよりは手応えを感じる内容になったと思っている。田口氏の作品の箸休めとして読んでいただければ幸いだ。

● 田口ランディ『被爆のマリア』(文春文庫)533円+税

2009-07-05

いただいた雑誌「STUDIO VOICE」2009.8

studio.jpg「STUDIO VOICE」といえばバブルの時代にはオシャレの代名詞のような雑誌だった。伏見はこれまで書評を上げてもらったくらいの関係しかなかったのだけれど、そこからコラムの依頼をいただいてとても光栄に思った。そして「今後ともよろしく」と原稿を送ったら、なんと、次号で休刊が決まったという! 部数と広告の減少が止まらず会社を解散するとのこと。なんとも寂しいが、そういう時代なんだなあと溜め息が出た。

毎月なにかの雑誌が休刊していく今日、物書きという職業が成立する基盤は益々危うくなっている。売文業がありえたのも近代という時代の特殊性だったのかもしれない。作家になりたい人は増えているのに、仕事ができる場はどんどん減っている……。ネットによって誰でもが発信できるようになったのはよかったが、表現の質はどうなっていくんでしょうね。

2009-07-04

エヴァ部、発進!!

eva.jpgエフメゾ内にできたエヴァ部(エヴァンゲリオン倶楽部?)の最初の「使徒迎撃作戦」が本日、実践配備されました。朝9時という二丁目族にはアリエナイわ(リツコ)の集合時間にもかかわらず、10人の部員が東武練馬に大集結! そんな東京のはずれに横浜や千葉方面からも集まってきたのだから、エヴァ部の盛り上がりがわかってもらえると思います(笑)。

さすがに朝の回は空いていたのだけど、劇場の中央部に二列になって変態の皆様が並んで鑑賞する様子はちょっと壮観。B作戦部長の指揮のもとにみんな真剣な眼差しを「破」に向けておりました。エフメゾが誇る「司ゲリオン24号機」は上映途中、「活動限界」が来てトイレに駆け込みましたが(←筋肉増量サプリのために頻尿なの、笑)。

作品はすごかったすね。細かなネタがタペストリーのように織り込まれていて、なおかつ光量も尋常でなく、かなり圧倒されました。いまだこれだけテンションの高いものを創作できる庵野監督って、やっぱ天才だわ。前シリーズとは異質な物語世界になっていくのだろうが、とても楽しめた。しかし、終わった後での感想会では、自分のエヴァ偏差値の低さを実感。

「そんなこともわからなかったんですか!?」

と部長に何度も駄目だしをされ、またN副部長の鋭い解説にもたいそう感心し、オタクの世界は奥深いと勉強になりました。伏見は、月にアダムがいたことすら見逃していたからね。けっこうエヴァはわかっているつもりだったけど、そんな自信は部長と副部長の前ではなんの意味も持っていませんでした。アハ。しかしいっしょに観た子たちのほとんどはエヴァ体験が小学校のときということで、「えーー!? わし、エヴァの時代はすでにオカマの評論家してました」とちょっとクラクラしてもうた。もはや自分の年齢と、時代との関係がわかりません。でも、そんな若い世代の子たちに遊んでもらえて、おばさん、光栄っす。

それにしても。みんなで映画を観て語り合うって思った以上に楽しかったー! 部活いいですね。ふだん映画はひとりで観るので、かなり新鮮な体験でした。ご興味がある方は、出入り自由な部活なので、セクシュアリティ問わずどなたでもご参加ください。