2009-03-08

伏見徒然草 vol.62

0902mh.jpg● 伏見徒然草 vol.63「伏見憲明あげまん説」(バディ 09.2)

四十五年も生きていると、他人の人生の浮き沈みを目撃するものだ。二丁目でブイブイいわせていたイケメンが、中年になって髪が抜け落ち、すっかり落ち目になる様子を見るのはいうまでもなく、はぶりのよかった友人がいつのまにか借金で首が回らなくなっていたり、やり手で知られた知人が半ば廃人のようになったり……。伏見のように鳴かず飛ばずの人生を歩んでいると(売れない本をいくら出したってね……)、つい、他人の栄光も挫折も意地悪に見てしまう。 続きを読む…

伏見徒然草 vol.61

0901mh.jpg● 伏見徒然草 vol.61「夜中に警察が……」(バディ 09.1)

物書きになって二十年近く、たまに打ち合わせや取材に出かける程度で、引きこもりのような生活を長くしてきた。ところが、(水曜日だけの営業ですが)ゲイバーをはじめてみると、ホント毎週いろんなことが起きる。

ある日、夜中に美青年が突然扉を開けて入ってきて、『あら、イケメンが来てくれた!』なんて内心喜んでいたら、「伏見さん、ぼくのことおぼえています?」。えっ、見覚えがるようなないような……。以前に会った読者? はたまたどこぞの暗がりで一戦まじえた方?などと頭のなかで高速で検索にかけてみるがわからない。名前を聞いて、やっと学生時代の友人だとわかった。 続きを読む…

伏見徒然草 vol.60

b0812.jpg● 伏見徒然草 vol.60「オカマとドクターとの切っても切れない関係」(バディ 08.12)

伏見が(水曜日のみ)営業しているゲイバー・エフメゾで、「男子のための美容整形講座」というイベントを催した。タカナシ・クリニックの医院長、高梨真教先生を講師に迎えて、おもにゲイ向けに美容整形について語ってもらった。

当日、もっと美しくなりたい!若くなりたい!という欲望を持ったオカマたち多数押し掛け、店内は立錐の余地もない状態。オカマの場合「二丁目に捨てるゴミなし」という諺がある通り、どんなブスでもデブでも性愛マーケットで需要があるものだから、それほど整形への欲求はないかとも思っていた。が、実際は、モテるモテないに関係なく、自分はもっとこうありたい!という美意識を追求したいらしい。 続きを読む…

伏見徒然草 vol.59

b0811.jpg● 伏見徒然草 vol.59「ゲイは飯だねにはならない」(バディ 08.11)

ゲイを売りにして生きることは可能か?

「ゲイの物書きになりたいんですが、どうしたらいいでしょうか?」
そんな質問を若い人から受けるときがある。
ぼくはすかさず、
「やめときなあー。飯が食えないし、そもそも目新しいネタがないでしょう」
とたしなめることにしている。 続きを読む…

伏見徒然草 vol.58

b0810.jpg● 伏見徒然草 vol.58「違う世界観に開かれていること」(バディ 08.10)

言葉は人を自由にも不自由にもする。

例えば、「差別」という言葉を与えられることによって、それまでは自分のなかのモヤモヤとした「痛み」だったものが、社会との関係のなかで生じている「抑圧」だということがはっきりする。反差別運動の出発点において、多くの当事者は、「差別」があるから苦しいと思っていたのではなく、それが「差別」であることがわからなかったら、苦しさを解消することができなかったのだと感じる。つまり、「差別」という言葉によって自分を取り巻く状況を掴むことで、その人は自由を得ることができた。 続きを読む…

伏見徒然草 vol.57

b0809.jpg● 伏見徒然草 vol.57「伏見とってゲイバーとは?」(バディ 08.9)

初めてゲイバーへ行ったのは、もう三十年近く前のことである。週刊誌に「ホモディスコへ潜入!」みたいな記事が出ていたのを偶然目にして、恐る恐る「禁断の」同性愛の街へ足を踏み入れたのだ。高校生の伏見少年は、期待と不安と恐怖で口から心臓が飛び出すくらい緊張して、当時二丁目にあったゲイディスコ、MAKOでデビューを果たした。

そこで目にしたのは、記事で扇情的に書かれていたような「異常な」世界ではなく、「ふつうの若者たち」の社交の場だった。ダサい服を着ていた自分は誰にも相手にされず、隅のほうでジュースを飲むしかなかったが、やっと大学生に声をかけられた。そしてその彼と初体験を無事済ます前に、一軒バーに連れて行ってもらったと思う。もう何と言う名前の店だったかも憶えていないが、大滝詠一の「ロングヴァケーション」がかけられていたことをおぼろげに記憶している。 続きを読む…

伏見徒然草 vol.56

b0808.jpg● 伏見徒然草 vol.56「モチベーションをどこから調達するのか」(バディ 08.8)

「せっかく飾っていてもお客さんたちは全然興味を示してくれないのよねえ……」

とあるゲイバーのママが寂しげにこぼした。その店ではゲイ関係の映画のポスターを店内に展示しているのだが、それに対して最近のお客さんたちがちっとも関心をはらわないのだという。

むかし二丁目にはクロノスという名店があって、そこも店内はゲイが好む映画や古今東西のゲイの有名人の写真が飾ってあった。初めて店を訪れた客は、とりあえず、そうした映画の話や、「有名人のだれそれもゲイだった」みたいなネタを会話のきっかけにしたものだが、今日、とうのゲイ自身がゲイカルチャーに興味がない。 続きを読む…

2009-03-07

伏見徒然草 vol.55

b0807.jpg● 伏見徒然草 vol.55「やっぱり恋愛は媚薬」(バディ 08.7)

つくづく恋愛感情って厄介なものだと思う。

なんでいまさらこんな素人みたいなことを書いているのかと言うと、読者に考えさせられる恋愛相談を持ちかけられたからだ。
 
一人は配送会社勤務の裕行さん、三十二歳(*プライバシー保護のため、若干、設定を換えています)。

「某県に住んでいたのですが、二十三歳の恋人ができて、その子が東京で役者になりたいというので、いっしょに上京しました。ずっと勤めていた会社もやめて、東京で再就職。半年くらい同居して半ば養っていたのですが、彼が突然、夢をあきらめて地元に戻ると言い出し、東京に置き去りにされました。どうも好きな男が他にできたみたいです」 続きを読む…

2009-03-06

伏見徒然草 vol.54

b0806.jpg● 伏見徒然草 vol.54「恋愛にまさるドラッグなし」(バディ 08.6)

若い人と話しをするのは新鮮だ。先日、とある飲み会で学生さんと会話していたときのこと。
よくあるオカマ同士の自己紹介の流れで、
「で、恋人はいるの?」
とひとりに振ってみると(……べつに、下心があったわけじゃないんだけどね)、
「ぼく、まだ付き合った男は一人しかいないんです。それも三ヶ月だけ」

彼は若干二十三歳なので、そのこと自体は珍しくもないし、付き合ったことがあるないで言えば、三十路を越えた淫乱オカマでも恋愛経験をしたことがないのはふつうにいる。ところが、彼の場合、
「だからまだ経験がないです……」 続きを読む…

2009-03-05

伏見徒然草 vol.53

b0805.jpg● 伏見徒然草 vol.53「日本のゲイのリアリティ」(バディ 08.5)

この前、面白い光景を目にした。

ぼくの関係する集まりで偶然再会した同じ大学の同窓生同士。一方は学生時代から教室でもゲイ雑誌でもバリバリにカミングアウトしていたので、ゲイだと相手に知られていた。もう一方はそういう彼に近寄りづらかったのか、そのキャピキャピぶりを横目にクローゼットで通し、数年後初めてカミングアウトすることになった。

カミングアウトしていた彼にしてみたら、ゲイであることは、「言ったもの勝ち」のところがあって、とくにそのことによって不利益を被ることはなかったし、かえって楽しいことのほうが多かった。反対に、カミングアウトできなかった彼の場合は、自分に口を閉ざさせた社会のありように問題意識を抱き、現在の日本のゲイの置かれた状況を「厳しい」と認識している。出すぎた杭は打たれないと考えるか、旧来どおり、出る杭は打たれると感じるか。同じ時代、同じ大学の教室で過ごした同級生でも、ゲイであることの受け止め方はこんなに違う。 続きを読む…

2009-03-04

伏見徒然草 vol.52

b0804.jpg● 伏見徒然草 vol.53「四十の手習い」(バディ 08.4)

久しぶりに学生に戻った。

44歳の手習い。といっても、まだいまはニセ学生で、大学院のゼミに参加させてもらっているだけなのだが。そのうち正式に社会人入学なんぞをしようと思っている。

なんでそんなことをしているのかというと、単純に勉強がしたくなったからだ。ちょっと前までは傲慢にも、

「大学なんて教えに行くところで、学ぶに行く必要はなーい!」

などと豪語していたのだが、最近は学ぶほうがどれだけ面白いことか、と痛感する。最初は、他人の研究発表を聴くなんてただ退屈してしまうのではないかと思っていたら、これがまったくあきない。へぇ、こういうことに問題意識を持っているのか、いまはこんな議論がアカデミズムでなされているのかなどと、好奇心が刺激される。 続きを読む…

2009-03-03

3/4(水)は通常営業

mfmap.gif雪が心配ですが、3/4(水)は通常営業(19:00−04:00)です。というか、当分、通常営業なんですけど。

面識のない方も、ゲイバー初心者も、久しぶりのみなさんも、けんか別れした方も(笑)、お目にかかれるのを楽しみにしております。

伏見はこのところ、なぜかいまさら「尾崎豊フィーバー」をしているので、もしかしたら彼のこっ恥ずかしい曲がBGMにガンガンかかっているかもしれませんが、笑わないでくださいね。ちょっと青春欠乏症で、青春のエキスをやたらめったら摂取している最中なんです。これも更年期障害の一種でね(笑)。

伏見徒然草 vol.51

b0803.jpg● 伏見徒然草「ホームランはないから」(バディ 08.3)

ホームランはない。

というのが、ぼくのゲイリブ(ゲイにとって生きやすい社会を作っていく活動)について思うことだ。これ一発で世の中が変わる、というような逆転ホームランはない。そしてゲイの当事者にしても、みんなが諸手を挙げて賛成するような活動目標はありえないだろう。パレードへの評価ひとつめぐってもそうだが、ゲイという属性でひとくくりできるような感受性や、理念を想定するのは容易ではない。

それは昨年の、尾辻かな子さんの参議院選挙の結果が如実に物語っている。彼女の挑戦の意義は十二分にあったが、あの38229票という得票数が物語っていたものは、民主党に投票するような、尾辻さんと政治意識が近い性的少数者の票すら取り込めなかったという事実だ。当事者のリベラル派でも、性的少数者という共通項だけでは投票行動を促されなかった。 続きを読む…

2009-03-02

伏見徒然草 vol.50

b0802.jpg● 伏見徒然草 VOL.50「それぞれのコミュニティ」(2008.2)

いったいこれまでに何人のゲイの友人たちがこの世を去っていったのだろうか? そんなことをふと思って、ひとりひとりの名前をメモに書き出してみた。自分が想像していた以上に多くの友人との別離を経験していた事実に驚き、なつかしい顔を、なつかしい想い出とともに思い浮かべたりした。

虫の知らせだったのか、その翌日、春日亮二くんの訃報が届いた。春日くんはゲイのIT企業スタジオスタッグの元社長で、ゲイインディーズの音楽活動なども積極的にしていた。政治的な「活動家」という狭い範疇にはおさまらない、ビジネスからアートまで幅広い意味での「アクティヴィスト」だった。 続きを読む…

2009-02-25

これ、なかなかいい感じのキャンペーンですね

今日この問題で新聞の取材を受けるのだけど、これ、なかなか感じのいいキャンペーンですね。

http://www.couragecampaign.org/page/s/divorce

2009-02-23

25日(水)は通常営業です

mfmap.gif25日(水)は通常営業です。19:00ー04:00ですが、深夜お客様がいなくなった時点で看板を消します。

まだ出会っていない貴方、素人さん、久しぶりの友だち……他、大歓迎! どうも伏見には「怖い人」というイメージがつきまとっているみたいで(汗)、初めて来たみなさんが「来るのに勇気がいった」というのですが、店ではとてもやさしいママですよ、マジ。

話し換わって、映画監督の浜野佐知さんのブログを見ていたら上野傑作劇場が3月1日で終わるということを知り、なんともいえない感慨に浸る。あぁ、わしの青春も終わるか、てな感じ(←とっくに終わっている)。あそこにはいろんな意味で世話になりました(笑)。ライターデビューしてからはトークショーにも呼んでいただきました。

そのことを浜野さんも日記で記してくださっていた。

「わたしはピンク映画監督だが、薔薇族映画監督として、より多くのプライドを感じてきた。90年代前半のゲイ・ブームの頃、撮り始めたばかりの作品2本の上映会を、世界傑作劇場で行ったことがある。『プライベート・ゲイ・ライフ』を上梓したばかりの伏見憲明さんをゲストに迎え、『ぴあ』などもイベントコーナーで紹介してくれたため、驚くような人が集まった。あの夜が、ささやかなわたしの監督人生の、実質的なスタート地点であったと思っている。」http://blog.7th-sense.sub.jp/

閉館前に最後の発展?に行こうかしら。昭和のホモシーンをなつかしむツアーでも組むか? 傑作劇場その他を回って、最後は池袋のサンダ館でしめ、みたいなコースで(笑)。

2009-02-17

2/18(水)はまったり通常営業です

明日のエフメゾの営業は19:00−04:00です。
しばらくはイベントはないので、まったりとしています。
小腹がすいた方には特製カレーも用意してあります。
お暇な方は遊びに来てください。

2009-02-13

2/18からは「まったり通常営業」

mfmap.gif11日のゲイ向けイベントも大入り満員でした。今回はご新規さんを増やす目的のハイブリッド企画で、赤字覚悟の公的資金(どんな)の注入でした。焼酎飲み放題にカレー付きで1000円というご奉仕価格! 相当あやしいママの手作りカレーもまあまあ好評で、ほっといたしました(こういうとき、大家のみっちゃんのようにお料理上手のオカマにどうして生まれなかったんだろうと思う)。調子に乗って、お食事用にいつもカレーを用意しようかな。

バタバタしていて、恐れ多くも、せっかく新幹線で来てくれたB先生の接待がおろそかになったり(本当に平に平に)、お客さんとも恋愛カウンセリングどころかお話しすらろくにできなかったりで、反省点は多かったのだけど、ママ早い時間からマックスがんばりました。イベントの後も、ゲイビジネスについての商談の仲介やら、有名AV監督(同窓生)が来てくれて盛り上がったりとかで、なかなか充実した営業でした。 続きを読む…

伏見徒然草 vol.49

b0801.jpg● 伏見徒然草 VOL.49「百年の孤独」(2008.1)

ぼくには98歳になるゲイの友人がいる。「友人」と言うのもおこがましい大先輩なのだが、先方も「友だちはもう伏見くんくらいしかいなくなってしまった」とおっしゃるので、「友人」ということにさせてもらっている。

彼はその世代のゲイにしては珍しく、女性と結婚しなかったので、いまでも東京の真ん中で独り暮らしをしている。孤独を愛するタイプゆえ、あまりしつこく連絡してはうるさがられるような気がして、季節に1回くらいお電話をしたり、たまにお茶菓子など持って行くような関係を続けて十数年。最初は「ゲイの考古学」の取材で知り合ったのだけれど、ぼくのなかにもいつのまにか、友情のような感情が芽生えていた。 続きを読む…

2009-02-06

2/11(祭日)焼酎飲み放題1000円で彼氏を探す!

efu.jpgヴァレンタインデーももうすぐ! ということで、彼氏づくりに、友だち探しに、エフメゾ初心者にも参加しやすいゲイ向けパーティを企画しました!

2/11の祭日は早い時間からお店を開けて、焼酎ソフト飲み放題でなんと1000円!!のイベントを開催(採算度外視よん)。伏見ママが趣味でやっているゲイ向けのお見合い登録、恋愛カウンセリングも希望者に実施。それから、お腹がすいたときのためにカレーライスのサービスもありますので、気軽にご参加ください。初心者も、カップルも、彼氏持ちも、セクフレ希望者も大歓迎ー!

イベントの日時/2月11日(水・祭日) 17:00−19:00(以降は通常営業、通常料金)
料金/焼酎ソフト飲み放題で1000円(イベント時間内のみ)