2009-08-09
いただいたご本『どんとこい、貧困!』
● 湯浅誠『どんとこい、貧困!』(理論社/よりみちパン!セ) 1300円+税
ずいぶん前に版元から送っていただいた本なのだが、ずっと手に取る気がしなかった。帯に「「自己責任」よ、これでさらばだ!」というコピーが謳われていて、こういう二者選択、勧善懲悪的な議論がすごく嫌いだからだ。
反差別の運動でも、政治的な運動でも、どこからどこまでを社会の問題にすべきなのか、個人の問題として引き受けるべきなのかは、実際すごくセンシティブな線引きで、その感度を大切にすることでしか社会的な了解は成立しないと思う。格差社会批判というのは、自由か平等かという古典的な論議の変奏で、経済状況が良くなれば自由に重きが置かれ、悪くなれば平等への希求が増す、という一方の思潮の出方にすぎない。なので、「自己責任」だけを諸悪の根源であるかのような物言いって、すごく幼稚で、時流に乗っているみたいで……。
とはいえ、読んでみれば本書の言っていることはけっして間違っていない。平等の側の観点から見れば、こういう格差社会批判は当然ありうるもので、80年代、90年代のバブリーな時代に自由のほうに線引きが寄っていたことを考えれば、視点を平等の側に戻す必要もあるだろう。著者は現在の社会の一面を説得力ある形で記述することに成功している。そういう意味では非常に良い本。だけど、シリーズのバランスで考えれば、自由のほうの視点で世界像を示す本があってもいいかもしれない。両方そろって初めて、若い人は社会への複眼的な見方を獲得できる。

もう夏休みに入っている人もいるかもしれませんが、来週のエフメゾはお盆休みの前日にあたる人が多いことと思います。なので、「和モノ祭り」を開催します。
どうしたわけか最近学生客がやたら多いエフメゾですが、せっかくの夏休みなので学生向けキャンペーンを実施します。いままでもカフェタイムのチャージなしサービスなどありましたが、7/29、8/5、12、19、26日の(水)は学生のお客様にはバータイムに釜飯を無料で提供します! ご飯六合分しか炊かないので、なくなり次第終了ですが。また、キャンペーン期間内、大学生の店子をやとったので、初めての学生さんでも遊びに来やすいと思います。
20代のゲイの子らと、車三台に分乗して一泊旅行へ行ってまいりました(まるでオカマの暴走族?)。
*初出「サイゾー」2008.1
● 代々木に集まったゲイ系男子たち?(「バディ」09.8月号「伏見徒然草」vol.68)
四谷区民ホールで行われたLGBTの音楽イベント「プレリュード」に行ってきました。29日から正式にエフメゾの店子デビューを果たすアンジェラ(アキ似)を誘い、くるりのコンサートに引き続き音楽鑑賞。会場も満員で、とても温かい雰囲気に包まれていました。
● 伏見徒然草 vol.67「ネオホモの時代3」(バディ7月号)
先日のエフメゾ営業は、店内が大学生ゲイたちで埋め尽くされるという僥倖に恵まれた。青春を持ち込んでくれた大学生たちに接していると、その可能性の余白だけで「若いっていいなあ」とある種の官能を得ることができた。やっぱ若いってエネルギーとお色気がいっぱいですね。
伏見は共同だったか時事だったかで単行本版の書評を書いたのだが、それが著者の目にとまったらしく、文庫版の解説を書かせてもらうことになった。よい機会だったので田口ランディ氏の他の作品も読み返してみたら、どれも彼女しかアクセスできないような異界を抱えていて、その異空間にからだごと呑み込まれそうになった。恐ろしい魔力を持った作品を指先から滴らせる人だと思った。
「STUDIO VOICE」といえばバブルの時代にはオシャレの代名詞のような雑誌だった。伏見はこれまで書評を上げてもらったくらいの関係しかなかったのだけれど、そこからコラムの依頼をいただいてとても光栄に思った。そして「今後ともよろしく」と原稿を送ったら、なんと、次号で休刊が決まったという! 部数と広告の減少が止まらず会社を解散するとのこと。なんとも寂しいが、そういう時代なんだなあと溜め息が出た。