2011-01-19

レジュメ・「ページネーション・マニュアル」がめざす10のこと

先週土曜日(2011.01.15)にミームデザインスクールの、鈴木一誌さんの講義で「お相手」をヤラセてもらって来た。
鈴木さんとは「日本語の文字と組版を考える会」からの付き合いだ。
「会」は鈴木さんが「ページネーション・マニュアル」を発表したことも一つの契機ではじまったようなものだったと思う。

で、その講義のための打ち合わせで話していたことを、鈴木さんが「10」に整理してくれたのが下記のレジュメ。
鈴木さんは課題を整理してまとめるのが抜群にうまい。いつも感心する。

いや、むしろオイラも「得意」なつもりでいたんだけど、鈴木さんにはとってもかなわない。

講義で受講者から質問をとったのだけど、その質問は捻れていて、なにが「質問」なのか
理解するのがとても難しかった。
鈴木さんは、それぞれの要点を軽く捕まえていく。
その上、それに一対一で応えるのではなくて、また講義を続けて、そのなかで質問と関連づけて、質問にも答える。
ちょっと神業みたいに見えた。

ということで、おしゃべり=共同、まとめ=鈴木さんのレジュメを、了解を得て公開します。

──────────────────────────────
■本文■
「ページネーション・マニュアル」がめざす10のこと

鈴木一誌+沢辺均記 2011.1.15

□1 マニュアルは、「こうしろ」とは教えてくれない。
マニュアルどおりに作業しても作品にはならない。
マニュアルの文章は、「こうしてはいけない」とのメッセージを発しているだけなのだ

□2 魅力ある〈まちがい〉を発見する。
まちがいや悪文こそが、未来を切りひらくかもしれない。

□3 まちがいやノイズを自覚するためには、基準が必要である。
「ページネーション・マニュアル」は基準のひとつである。

□4 ひとつの意味はひとつの形が担えばよい。これがデザインの原則だ。

□5 デザインや組版は、交換の原則から成りたつ。
なにかを獲得するためには、なにかをあきらめなければならない。

□6 しごとは、1項目ごとにテキストやページを
走査することで進んでいく。
螺旋状に積み重ねられたスクロールが、作業を仕上がりに近づけていく。

□7 仮説を立てて作業(走査・スクロール)し、破綻が出来したならば、
螺旋状のステップを降りていけばよい。この態度自体を、ひとつの作業仮説とする。

□8 正解は複数あると思おう。迷ったら、別案として定着させていけばよい。
複数ある解答からある案に絞っていく際に力を発揮するのは、編集的センスである。

□9 多くのばあい、しごとの9割は雑用である。
どの部分が、ルーティンワークとして処理できる作業かを見きわめる。
むろん、しごとによってルーティンワークの比率は変わるが、
残った狭い領域が、クリエイティブな、自分で「こうしろ」を考えなければなならない場所である。

□10 〈キャンセルする〉という考え方を導入する。
効果をいったん無効化したうえで、あらたに表現を〈リリース〉するのだ。

■止め■