2005-09-03

息子の友だちの母親

子供たちには子供たちの世界があって、ものすごく仲良くなれば、本当の友情が芽生えるかもしれません。でも、だからといって、彼等の親同士がすぐに仲良くなれるとは限りません。

特にドイツでは、関係がとてもあっさりしていますので、仲良しの友だちの親に会ったこともない、ということも稀ではないのです。ほとんどの母親は仕事を持っていますし、シングルマザーも多い。実際交流する時間もないというわけです。となれば、日中学校から帰ってから、母親が帰宅する夕方までの3時間ほどは、子供が何をしているかわからない親が多いことになります。そんな状態がマクシィだったというわけです。マクシィのママはお医者さんで、ものすごく忙しいとのこと。でも自分の「理想の子供」」にマクシィを育てたいために、かなり無理をしてマクシィにいろいろ強要していたようです。まずバイオリンのお稽古などの習い事二つ。家のテレビとゲーム機器は、使えないように地下室にしまわれてしまい、一切そうしたものがない状態なのだそうです。つまり、テレビを見ないお宅なのですね。ゲームもさせない。子供がそれを納得するのであれば問題ないと思います。でも、マクシィは納得していなかった。それで家が嫌いで、母親が嫌いで仕方がなく、我が家に逃げ込んで来たというわけです。小さかった昔なら、親の言うことも聞いていたでしょう。でも、今は思春期で心身共に不安定な時期。親の言うことはむしろ聞きたくないという態度になってきています。「どうしてうちの子がそんなことに」と嘆いているマクシィの母親。そして思いついたのが、私の息子がマクシィを「支配」しているからこんなことになるんだ、ということ。彼女のマクシィに対する教育方針が間違っていなかったのか、という疑問すら全く持たないで、常に他人に責任をなすりつけてしまう性格。・・・こうしたことを、私は彼女の一方的なメールと、昨晩の会合ではっきりと感じたのでした。日本では、ここまで露骨に他者を非難する親はあまりみかけません。本当のところはどうなのか、慎重に調査をしたり、両方の子供に聞いたり、あるいはまずアポをとって親同士で話し合ったりするものです。でもマクシィの母親は、それを全くせずにいきなり中傷メールを私に送りつけてきたのでした。

私は彼女と会う前に、メールで返事を書きました。長い返事になってしまいましたけれども、嘘偽りのない、私がマクシィから聞いたこと、我が家に来るお子さんには常に親御さんの承諾があるか聞いていること。勉強のことや私の子供に対する管理状況などを明確に書き、そして最後の方にこんなことを書きました。全て感情的にならずに、冷静に書いたのです。「私は、私達の子供はみんな現在思春期の段階にいると思っています。ですので、みんなそれぞれどうしようもないところがあると思っています。でも、それは実際のところ、成長期において至って自然なことであり、誰もが通る道だと思っています。ですから私は、少なくても私の息子とは、何でもいいからできるだけ会話をするように心がけています。息子を理解したいし、家族として暖かい心の交流をしたい。だから嘘だけはつかないでくれ、と言っています。全てを話して欲しいと。息子はそうしていない部分もあるでしょうが、これが私の教育方針のひとつです。最近私は息子から、マクシィに日本語を教えていると聞きました。毎火曜日に学校の後レッスンをしているそうです。子供たちは、ひどいこともしていますが、こうやって素晴らしいこともしているではありませんか?ですから私は子供たちを信じたいし、マクシィにも息子にも敵対的に接していません。そして自主的に日本語を友だちに教えている息子を誇りに思っていますし、日本語を学ぼうと意欲的なマクシィを偉いと思います。私は2人を褒めてやりましたよ。マクシィが、我が家では何でも自由にできるからいりびたっているのだろう、というあなたの見解が、果たして本当にマクシィが考えていることと同じなのか、私にはわかりません。マクシィが今後我が家に来ても入れないで欲しいということは承諾しました。でも、ひとつだけ確かなことがあります。それは、私は息子の友だち全員が好きだということです。やって来る子供には、できるだけの歓迎をします。でも、言うことはちゃんと言います。宿題をし、昼食を済ませ、親の承諾がある子供は、遊びに来てもよいと言っています。でも、毎日では私にも負担ですし、週末も毎週泊まりに来るようでは私の気が休まりません。あなたがお仕事でお忙しくてお困りなのだと思っていましたので、無理をしてマクシィのお世話をしておりましたけれど(これは文化の違いで、いたって日本的な感情なのですが。これが、相手を思いやる精神だと思って行なっていたことです。)、真実は違ったのだと気がつきました。たった一度でいいから、前もってあなたは私に電話なり、メールなり、ファックスなりをくだされば済む問題だったのではないですか?例えばブルーノのママのように、7時までには帰宅するように言ってくれ、などと・・?何時に帰して欲しい、こういう教育方針だからよろしくなど、言い方があると思うのです。マクシィが私に、遅くまで我が家にいてもいいと言われたと言えば、あなたが子供に時間を取れず、私の助けを必要としていて、ゆえにマクシィが帰らないと思う以外、どう考えるべきだったのでしょうか?マクシィがいつも私に嘘をついていると疑えとでも?」

そしてマクシィの母親に会ったわけです。仲良しのマックスのママ、ズザンネも参加しての会合でした。まずはベンツ損傷事件の件。まぁこの事件が我が家の近くで起こったことで、私の監督不行き届きという感情があったのは確かです。でも、そう思っているのはマクシィのママだけだったので、この件は速やかに見解が一致し、相手の弁護士に支払いを拒否する手紙を書くことになりました。その後、1時間半以上にわたって、マクシィと私の息子のことで議論がありました。いやはや、ドイツ人というのは、はっきり物事を言いますし、自己主張も激しいので、日本の心配りだとか奥ゆかしさなどで接していたら傷つきます。こちらもはっきりと主張しなければならないのです。これが、ジャパニーズである私には、かなりエネルギーを消耗して疲れるのです。でも、息子を守るためにも、私のためにも、それをしなければなりません。私はズザンネのフォローも借りて、できる限り私の思っていることを伝えました。そして息子がマクシィを「支配」しているということに関しては、びっくりするような勘違いを彼女がしていることも説明しました。本当は言いたくなかったけれど、彼女が最後までわからないのであれば仕方がありません。「実は息子さんからは聞いていらっしゃらないかもしれませんが、マクシィはクラスではかなり孤立してしまっていて、少しいじめにもあっているようですよ。それは私の息子だけでなく、他の子供からも聞きました。」と言ったら、まさかうちの子が!という顔で絶句状態になりました。私はそれでもドイツ人ではないので、さらなる本当のことはさすがに言いませんでした。私の中にある、日本人の「思いやり」の精神です。つまり真実は、マクシィが太っていて、女の子が傍によりたがらず、臭いとまで言われてしまっていることなんですね。一年前の息子は、マクシィがそのことで傷ついて泣いてしまい、家に帰ってしまっても、女の子達とのグループ交際を優先して、ブルーノと一緒に映画に行ってしまっていました。私はその時に、帰宅した息子に、友情について長々と話をしました。私にとっては、そういったこと、つまり友情を大切にする心というものが、とても息子にとって重要に思えたからです。最初のうちは、女の子と初めて可愛いデートをすることで舞い上がってしまっていて、友だちのことまで考えられなかった息子ですが、頭の中に私の言葉がインプットされていましたので、時間と共に少しずつ私の言ったことを理解できるようになりました。今では、マクシィがクラスで孤立しないように、彼を友だちとして守っているのです。それをマクシィがちゃんと感じているからこそ、私の息子と遊びたがるのです。でも、それすらも、自分の間違った見解で禁止しようとするマクシィの母親・・・。私はマクシィが不憫でなりませんでした。まぁ、こんなこと言ってはいけないのでしょうけれども・・・。そして、自分もそんな一方的な親にならないように、常に反省しながら子供に接しなければ、と思ったのでした。

マクシィのママは、どれもこれも初めて聞くことばかりで、さすがにひどく驚いていました。マクシィだけがお金をたくさん持っているようで、我が家に来る時はかならず甘い炭酸飲料や大量のおかしを買ってきて友達におごっていること。これは少食や甘いものを控えるようにしている私にとっては、歓迎できないことでした。今までは、子供がお小遣いで買っているものに対して、私が何か意見を言うのはいけないと思っていました。私の息子は、自分のお小遣いではそういったものを買えないので(それほど持っていないし、持っていても飲食に使いたくないから)、私は母として、マクシィが我が家に大量の甘い物を持って来て食べていることには抵抗があったのです。今回は良いチャンスだったので、そのことも勇気を持って話しました。やはりマクシィの母親はその事実を知らず、彼女ももちろんそれは身体に良くないことだと思っていました。こうしたことを親同士が腹を割って話し合うことは、きっかけはちょっと厳しかったですけれども、とても良いことだと思いました。我が家も少しゲームに関しては取り締まりを強化して、他の家族も子供に対して無関心をやめて、お互いに助け合って子供を見守りましょう、ということになったのでした。

いやはや、大変な一日でしたけれども、意義のある会合でした。これで息子の食生活も、隔たりが少なくなることでしょう。病気になってからの私は、やはり息子を見ていて、病気になる前に避けられることは回避したいと思っています。

本日のオーガニック・ライフ・イン・ジャーマニィは:

プレンツラウアーベルク