2006-08-19

ギムナジウムの試験 前編

本日金曜日、息子の追試がありました。朝6時に息子を起こし(私はいつものごとく、3時半くらいに目が覚めて、それからは起きていました。)、7時に家を出て、7時10分のバスに乗りました。「あのね、今日は合格するって信じているから、合格祝いをその後するために、お母さんは一日券(そのチケットでベルリン中のバスや電車が一日乗り放題)を買うね。」と息子に言ったら、「不合格だったらどうするんだよ、それでも食事に行くの?映画見るの?」といつになく弱気発言をするので、「そういうことは考えていないから。もうすっかり合格するってイメージしか持っていないので、そういうのは頭の中から追い出そうね。その時に考えようよ。大丈夫!一生懸命頑張ったのだもの、良い結果が出るよ。」と励ましました。私としては、心の中では、たとえ駄目だったとしても、笑顔でいようと、そして一緒に何か楽しいことをしようと思っていました。でも、最後まで良い結果が出ると信じることが大切だとも思っていました。イメトレってとても大事なことのような気がします。

お茶と水を用意し、途中でお腹が空いても軽く口にできるように、全粒粉のサンドイッチも作りました。そして7時半にギムナジウムに到着。すでにどこかのクラスの女の子が付き添いの女性と一緒に正門の前で待っていました。「あれ、君のクラスのヴィンツェントはいないね。あの女の子は誰かな?」「ヴィンツェントはまだ来ないね、どうしたのかな、逃げたかな? あの女の子は知らないな、ひょっとしたら9年生じゃないかな。8年だったとしても、同じクラスじゃない。それに今話しているのが聞こえてきたけれども、あの付き添いってお母さんじゃなくて家庭教師だって。」ほぉ、とても楽しそうにおしゃべりしていて、かなり余裕の感じですが・・・・。息子はまとめの紙を持って、最後のあがきとばかりいろんな数式に目を通しています。

しばらくするとヴィンツェントと別の女の子がやってきました。ヴィンツェントは最初はひとりで、後にお母さんが車でやって来ました。別の女の子は、友達と一緒に来ていました。みんな抱き合ったりして、励ましています。う、うちも何かしないと!でも何を?息子は照れ屋なので、人前でのハグは難しそう・・・汗。はっと気がついて、バッグにいつも入れている小さな水晶の入った袋を渡しました。「はい、これお守り。君に貸してあげるね。よく効くよ! これはね、数年前に、今をときめく江原啓之さんからいただいたの。お母さんが江原さんにインタビューした時にね。」そうです! これほどまでに強力なお守りはないでしょう! さすがに江原さんの名前を息子も知っていました(日本に帰る度に、「オーラの泉」などをテレビで見ていますし、Mちゃんが時々ビデオに録画して送ってくれるのです)。なので素直に受け取り、ジャケットのポケットに入れました。

8時5分前になり、算数の先生が他の先生と二人でやってきました。追試を受ける4人は静かに移動し、教室の中に入って行きました。見守る私たち・・・。

と・・・その後すぐ、後から来た方の女の子が、突然教室から追い出されたのです!!! ど、どうしたのでしょう???
なんと、何かの手続きを怠ったらしく、追試を受ける資格がないらしいのです・・・・そんな!!! 非情な!!!!
泣きそうな顔をしている女の子・・・。この日のために、準備してきたであろう彼女は、一体どうするのでしょうか・・・悲壮な顔をして、もう一人の試験官と話をしています・・・。見ていられない! むごすぎます・・・。近くにあったベンチは、他の付き添いの人たちが座ってしまったので、私は地下に降りてそこにあるベンチにひとりで座ってじっと45分待ちました。そうです、この試験は通常と同じ、45分で行われるのです。

そして再び1階へ。すでに外に出てしまった女の子はいません。諦めて帰宅したようです。なんだかかわいそうです・・・。しばらくすると教室のドアが開き、試験を受けた方の女の子とヴィンツェント、そして最後に息子が教室から出て来ました。3人共結構いい顔をしています。うまくいったのでしょうか? 早速息子に聞いてみました。「どうだった?難しかった?」「いや、そうでもない。大きな質問が5つあったんだよ。それぞれに7問くらい小さな問題があってね。合計で35問。で、最後に見直しをしていたら、5つ目の解答にミスがあったのに気づいたんだ。その問題が一番難しくてね・・・。それで間違いがわかったので直していたら、時間切れになっちゃって・・・。たぶん、そこはできていても2〜3問程度。でも他はばっちりできたので、およそ30問は正解していると思うよ。」
は〜〜良かった! そうですかそうですか〜。ということは、筆記試験は大丈夫ですね、後は口答試験ってことですね。
待っている間、隣で女の子も家に携帯で電話を入れていました。「うん、たぶん合格だと思うわ。良くできたもの。うまくいったと思う。」と嬉しそう。家庭教師の女性も傍らでニコニコしています。ヴィンツェントも息子と同様、5つ目の問題が難しかったけれども、それ以外は簡単だったと言っていました。つまり、3人ともなんとかなったようでした。ヴィンツェントはお父さんが数学の関係にお勤めとかで、夏休みにお父さんの特訓を受けたのだそうです。すごい!!

これはみんなで口頭試験までこぎつけることができそうだわ・・・と喜んでいたのですが・・・。

先ず、9時半になって、算数の先生がやって来ました。「みなさん、私の添削は終了しました。でも、これはダブルチェックをしなければなりません。ですので、これから同僚の算数の00先生がチェックをいたします。それは、30分でできるかもしれないし、あるいは2時間かかるかもしれない。わかりません。皆さんはここで全てのチェックが終わるまでお待ちください。」そう言って職員室に消えていきました。
え〜、2時間も待たなければならないかもしれない・・・・。幸いお天気が良かったので、みんな外で待っていました。

それから45分経った10時15分、再び算数の先生がやってきました。「皆さん、ここにお集まりください。」厳粛なセレモニーが始まるかのような雰囲気に包まれ、先生は集まった私たちの前で神妙な顔をして言いました。

「残念ながら、良い報告と悪い報告をしなければなりません。」

え〜〜!!!! なんという表現なのでしょう・・・・。そんな言い方・・・こ、

こわい!!! みんな自信があったのに、落ちる人がいるってことなのでしょうか・・・。

私たちは全員、凍りつきました。

(後編に続く)