2007-12-11

グラフィティ!

昔、私が精力的にいろんな雑誌にライターとして書いていた頃、

マリクレール・ジャポンでドイツ特集をしていただき、いろんな企画をいたしました。

その中で、ベルリンの壁の落書きで一躍世界的な有名人になった、当時クロイツベルクで暮らしていたフランス人、

ティエリー・ノワールさんのインタビューというのがありました。

ノワールさんは、現在はノレンドルフプラッツに、自分のギャラリーを所有していて、見た感じは悠々自適に暮らしているような・・・。

ベルリンが分断されていた頃は、東西にベルリンを分ける壁に、もちろん西側からですけれども、いろんな落書きをするのが流行っていたのです。

でも、当然のことながら、落書きは法的には禁止されていますし、見つかれば罰せられます。

それで、落書きをする人たちはどうしていたかというと、

できるだけすばやく描く!

というテクニックを体得していったんですね。

そうじゃないと、見つかってつかまってしまう!笑

それでノワール氏も、構図だとかデザインだとか、別に深く考えた訳ではなくて、

「できるだけ早く描ける」絵

を考えて、いつもささっと描いては逃げていたそうなのです。

その落書きが、とてもタイトでセンスがあると評判になり、あれよあれよという間に、彼は人気者になったのです。

ヴィム・ヴェンダース監督の世界的大ヒット映画「ベルリン天使の詩」の中でも、ノワール氏のグラフィティは登場しますが、

やはりマリクレ用に取材したドイツの俳優、オットー・ザンダー氏のご自宅には、本物のノワール氏の落書きの壁が飾ってありました。

「これね、ティエリーから撮影の後にもらったんだよ。」とザンダー氏はおっしゃっていました。

壁崩壊前のグラフィティは、本来はかなり社会性のあるメッセージが含まれていたと言われていますが、

ノワール氏は、

「なんか、気がついたらそういうシーンのスターにされちゃって~~♪」みたいな乗りだったので、

ちょっとびっくりして、その後笑ってしまった思い出があります。

・・・

さて、そして現在のベルリンの落書きは・・・。

もともと、そういう社会性のある落書きとは別に、ベルリンには相当な数の落書きがそこここにあります。

どれもこれも、私から見たら似たり寄ったりの構図で、あまり創造的ではないと思います。
数字やローマ字を組み合わせるタイプが主で、若者がうっぷんを晴らすために描いているようにしか見えないのです。

すると、昨日の日曜日に、息子がいろいろと教えてくれたました。

「ああ、あれはね、

<ボム>

と、

<テイク>

っていう、2種類の絵柄があるんだよ。

<ボム>は3次元的に描いて、<テイク>はそのまま平面的に描く。

それくらいしかパターンはないんだけれど、

この落書きを描いているやつらって、必ずどこかのグループに所属しているんだよね。」

へ~~!!

そうなんですか!

「どうして?」と私。

「だってね、グループで一緒になって描いていないと、何かあった時に自分を守れないからなんだよ。

どこかの他のグループが来て、喧嘩を売ってきたり、場所の奪い合いになったとしても、一人だったら到底勝ち目はないでしょ。

だからね、必ずみんなグループで行動するんだよ。」

なるほど、そうなんですか・・・。

なんだか、日本の暴O族のようなテンションなのですね・・・。

「でね、グループは、もちろん大きい方が力があるんだけど、15人くらいから500人くらいまでの集団があるんだよ。」

え~~!!!

そ、そうなんですね・・・。   まさか、我が息子も入っているとか・・・???

「いや、俺は入らない。

だってさ、

俺、絵が下手だからね・・・笑。」

汗・・・・

小さな時は、随分いろんな絵を描いて楽しませてくれたものですが・・・・・

美術が苦手な息子であります・・・。

「それで・・・やっぱりそういう集団って、名前があるの?」と聞いてみたら、

「あるよ、もちろん!

たとえばね、

ZK (ツエット・カー)  ツィクローパー・クルー

つまりね、「ひとつ目怪獣の集団」って名前ね。

それとかね、

RBS (エル・ベー・エス)  レベルス

これは、「革命家」って感じ?

で、けっこう怖い連中だよ。

ラッパーも多いけれど。」と息子。

ラッパー!??

「ストリート系の太いジーンズはいてさ、手をくねくね動かしながら、

<ヘイ、メ~~ン!>とか言うんだよね。」と、マネをしてみせる息子。

さらにすごいことには、

「グループの一人が、ある他のグループの絵の上に自分達の絵を上描きしちゃうってことも結構あるんだって。

そういうのは、

<クロス>って言うんだってさ。

で、クロスすると、された方のグループが怒って、喧嘩するかリンチするかってことになるんだって。

その場合、クロスされたグループが、した方に対して、たとえば

<来週までに、スプレー缶50本持って来い! さもないと、ボコボコにするぞ!>って言うんだってさ。

お金じゃないんだって。

スプレー缶なんだって。

そういう世界なんだよ。」

・・・・

なんだか・・・・かなり驚きました。

どこの国でも、いろいろあるものですね、思春期の子供たち・・・。

ベルリンには、そんな訳で、

ボム

テイク

の落書きが、本当に驚くほどたくさんあるのです。

このエントリへの反応

  1. sattochi28 でございます

    とてもお元気なご様子に大変うれしくなりました

    生Bのバイブルと申し上げたい先生から お手紙をいただけるなんて
    クリスマスのベルリナー以上の感激ですね!!!

    本年もあと一息! お父様にもお母様にも息子さんにも良いお年を!
    淑子様 は まだまだ ねじりハチマキでお仕事でしょうか???

  2. さとみ さま(Sattochi28様)

    お久しぶりです!

    小食日記に遊びに来てくださり、ありがとうございます!

    お元気でいらっしゃいますでしょうか?

    こちらは、あと少し仕事をすれば、何とか今年は楽になるのではないかな、というところまで来ました。

    ねじり鉢巻きはしていませんが(笑)、風邪を引きたくないので、時々首にタオルを巻きます。
    かなり壮絶なスタイルです・・・汗。(誰にも見られたくないですね・・・)

    甲田先生のお手紙をお守りにして、新年もしっかりと生Bを極めたいと思います。

    さとみ様も、どうぞお体には気をつけてお過ごしくださいね♪

  3. 鹿毛です。いやー、思春期の男の子って、よく似ていますね。ドイツも日本も。
    落書きが時代の推移を表し、思春期の男の子たちの理解が難しい世界のあり様を
    見せてくれるのですね。

    岡田式静坐法というのがあるのですが、姿勢を正し、正座して、呼吸を整えると
    健康にもなれるというのです。
    西式健康法に岡田式静坐法を加味したらどうかと思っています。

    ドイツでは地球環境問題に企業も消費者も極めて高い意識で取り組んでいますね。
    日本では、西式健康法や岡田式静坐法に注目して、健康増進を図り、電気の消費量
    を減らして、地球環境問題に貢献するライフスタイルを確立してほしいですね。 

  4. 鹿毛様

    いつもお気使いくださり、どうもありがとうございます!

    そうですね、エコ大国ドイツは、なかなかいろいろな環境問題に取り組んでいると思います。ごみひとつとっても、分別ゴミなどは私の集合住宅ですら、6種くらいに分かれていますから・・。すごいことです!

    岡田式は知りませんでした。
    でも、とても良さそうですね!

    私は時々、PCの前で座っているのがしんどくなると、イスの上で正坐したりします。

    その時に、今度から深呼吸してみることにしますね。

    良い情報をありがとうございます!

    ではでは!

    鹿毛さんも、お体には気をつけてお過ごしください。