2011-04-11

お部屋2190/高円寺のデモをめぐるさまざま 1

長くなったので、2回に分けます。

昨日の高円寺のデモは実に有意義でした。

私がずっとひっかっているのは放浪する双葉町のことです。その双葉町の人も参加していました。

IMG_0694.JPG

「です」の「で」が抜けているのか、「原発難民ス」とラフなアピールをしているのか、どっちかわからんス。

他にも写真は多数撮っているんですが、他の方々がアップしているので、あとはそちらを見ていただければ。

この人に声をかけてしばらく立ち話をし、あの町で起きたこと、起きていることを教えてもらいました。公開することを前提に聞いたわけではないので、ここでは書きませんが、多くの人に伝えた方がいいので、日を改めて話を聞こうと思っています。

双葉町の人と知り合えただけで私にとっては意義があったのですが、こういう行動に対して、必ず文句をつけてくるのがいます。もちろん、デモ主催者や参加者が真摯に受け止めるべき批判はありますが(その一例は「高円寺のデモをめぐるさまざま 2」の追記参照)、その多くはイチャモンと言っていい。

自分がやれば解消できる問題を他者の批判とするような真似だけはやるまいと私はずっと「マツワル」に書いてきました。若い頃に比すと、すっかりデモの類いからは足が遠ざかってますが、行かない自分を肯定するために、他者の足を引っ張ることはしたくない。

そういった類いのイチャモンを言う人たちは昔からいましたが、どうも増えているような気がします。ネットのせいで、そういった声が出やすくなっただけかもしれないですが。

たとえば「あのデモは左翼的でカッコ悪い」「あんなことをしても人は集まらない」「あれでは何も変わらない」といったもの。「カッコ悪い」と思うデモは私にもあります。でも、それって、ピーマンが嫌いという以上の意味はないです。趣味のレベルであっても、「あれ、嫌い」「あれ、だっせえ」と表明していいに決まってますが、それがあたかも普遍性をもつかのように装うと、自分に返ってきてしまいます。

左翼的なデモがイヤだったらそうではないデモを自分で組織すればいい。人を集めることの意義を感じるのであれば、人が集まるデモをやればいい。デモでは何も変わらないのなら、変わる行動をやればいい。

これは「原発反対」という主張に対して、「代案を出せ」という連中とはまったく違って、デモは申請を出せば誰でもできる。つまり「批判する私」と「批判される側」は同じところに立っている。ここでは資格はいらない。とりたてて能力もいらない。ちょっとした時間と労力があればいい。

容易に批判対象を乗り越えられるのですから、乗り越えればいいだけ。それをやらずに文句を垂れることこそ、なんの意味がありましょうか。意味のないことをやってもいいですが、意味がないと他者を批判するなら、まず自分の意味と無意味を問うて欲しい。

高円寺のデモが有意義だったのは、「自分でやればいい」ということを見せてくれていたことです。主催はリサイクル屋の店主。政党関係も来てはいたようですが、組織的に人を呼んだわけではない。どっかの政党ごときが動いたところで、ああも人は集まらないわけですし。つまり、誰でもできる。

参加者は多様でした。双葉町の人もいれば原発下請け労働者だった人もいる。パンクスもいれば女装子もいる。オタクもいれば右翼もいる。その多様性を許せない人もいるでしょう。実際、日の丸を掲げる人を批判している人たちがいるみたいですね。だったら、日の丸禁止のデモを組織すればいいだろうに。

原発の問題は、日の丸を掲げる人の問題でもあります。一水会は昔から原発反対を言ってましたから、鈴木邦男が来ていることは不思議ではないのですが、それ以外でも日の丸が参加していることを私は好ましく感じました。多様性を見せるために、私が日の丸を掲げてもいいくらいです。

イカレた日の丸一派が、このデモに来ていたら頭を抱えたかもしれないですが、あの連中が原発推進の主張を明確にしてくれたことで、胸を撫で下ろしてます。

もしかすると、東電の社員だっていたかもしれない。それだって、「たたき出せ」という人たちがいそうですが、私は東電の社員やその家族をも巻き込みたい。

今から20年以上前、電力会社の社員で、原発に反対している人から連絡をもらったことがあります。「会社ではできないけど、反対する行動をしている」と。その人たちを排除することになんの意味がありましょう。

あの多様性によって「何が問題か見えなくなる」という人たちは、「何が問題か見えやすいデモ」を組織すればよい。来週やればいいでしょう。

オールドスタイルのデモをやれば、「あれでは人は集まらない」と言い、高円寺のデモに対しては「お祭り騒ぎだ」と言い、つまりは何をやっても文句を言う人たちがいるってことです。文句を言っていると、自分が偉くなったように思えるんでしょうね。楽な生き方だなあ。

お祭り騒ぎだからこそ、あれだけの人が集まった。そこに双葉町の人が来て、私が行って、そこで話を聞けた。そこでもらったビラを見て、別の運動の存在を知った人もいるでしょう。あれに触発されて、自分の住んでいる町で始める人もいるでしょう。

つまり、お祭り騒ぎで終わらせるのかどうかは参加した一人一人の問題。その意思があるのかどうかの問題であって、主催の問題ではない。規模が小さいと、その意思は反映されにくいですが、あれだけ大きく、あれだけ多様な人たちが集まる場では、意思ひとつで多くのものが得られます。

上の写真以外を出すのをやめたのは、「面白い写真」「らしい写真」を出すと、デモの全体像が見えなくなるかもしれないと思ったためです。着ぐるみを着たり、コスプレをしている人たちはほんの一部。楽器をもっている人たちもほんの一部。ドラム隊はカッチョよかったですが、そこに代表させると誤解されそうです。もっともっとさまざまな人が参加し、さまざまなアプローチが可能な場でした。ありがてえっス。

にもかかわらず、あの場に行ってお祭り騒ぎで終わらせるしかない無能な人は、自分以外も無能だと思い込んで「お祭り騒ぎ」と批判する。こういうことを言いたがる人は、他人は自分ほどには無能ではないことに早く気づいた方がいい。

「高円寺のデモをめぐるさまざま 2」に続きます。

このエントリへの反応

  1. デモの映像見ていて、三陸海岸で死んだ3万人の死者達が、「よろしくがんばってくれ」と言っているようで、参加できなかった私も悔し涙が出てきました。原発は事故が起こるから悪い(それも悪いが)だけじゃなくて、あの水蒸気とウラン核分裂という面妖なシステムが、人類の英知を愚弄しているような気がします。人間業ではありません。私はそういう観点からも原子力発電に反対しています。

  2. あの場に行かなくてもできることはありますから。
    このあとの区議選、市議選で、選挙の手伝いをするのもまたひとつの方法ですし、投票するだけだって参加の方法。
    本来区議や市議の仕事ではないですけど、どこもかしこも放射性物質が検出される現在、区民、市民の防災や健康という点で、この問題に取り組むのは当然であります。口先だけの人が多いので、要注意ですけどね。

  3. はじめまして、ガジェット通信編集部の永吉と申します。

    私どもは、『ガジェット通信』というウェブ媒体を運営しております。
    http://getnews.jp/

    こちらのブログ記事を、興味深く読ませていただきました。
    こちらの記事と続きの『2』を、『ガジェット通信』に寄稿という形で掲載させていただきたいのですがいかがでしょうか。

    掲載の際には、表記統一など若干の修正をさせていただく場合がございます。
    また、元記事へのリンクも貼らせていただきます。

    ご検討いただき、下記アドレスへお返事をいただけましたら幸いです。
    ポータルへの配信もございますので、ご連絡いただけた際に
    詳細お伝えできればと思います。

    post2009<アットマーク>getnews.jp

    ご検討どうぞよろしくお願いいたします。

    ———–
    ガジェット通信編集部
    永吉

  4. >日の丸を掲げる人を批判している人たちがいるみたいですね。だったら、日の丸禁止のデモを組織すればいいだろうに。

    反排外主義デモで「天皇の悪口や日本の戦後責任の問題を持ち出すな」とか言ってる輩も困ったもんですね。

  5. 日の丸NGのデモ、天皇の批判NGのデモもあっていいと思いますよ。
    しかし、先日の高円寺のデモは、「なんでもこい」のデモなんだから、それがイヤなら自分で組織しろって話でしょう。
    むしろ足を引っ張り合わないためには、別々にやった方がいいと思う。無理して手をつなぎ合おうとして揉めるんだったら、あっちゃこっちゃで、いろんなデモをやっていていいんじゃないかな。
    すべてのテーマにおいて通用する話ではないけれど。

  6. >お祭り騒ぎで終わらせるのかどうかは参加した一人一人の問題。

    ってのを聞いて安心しました。
    単なるお祭りじゃないかと思ってたから
    みんな切羽詰まってるんですね

  7. 組織うんぬん関係の無い高円寺デモに取材へ行った者です。
    (http://www.flickr.com/photos/unknown-photo/sets/72157626349997363/show/)

    私が感じたのは、個人個人それぞれ違いがあるのかもしれませんが、
    「エネルギー」がとてつもなくこの社会に溜まっていると感じました。
    このデモに罵声を浴びせ抗議する方もたくさん見かけましたし、
    鼓舞し声援を送る方もたくさん見かけました。

    このような日本人が苦手とする「感情」を表に出し合える状況こそ
    今回の「意義」の一つだと感じております。

    少しでも陰湿な社会に変化が起こればと願っております。

    最後に雑多な文章でございますがお許しください。

    UNKNOWNjp

  8. 理解しない、できない人を「無能」と呼んだ時点でこの記事は全て無になった。
    残念です。

  9. ふなっちさま

    「高円寺のデモをめぐるさまざま 2」を読んでいただければおわかりのように、私はお祭り騒ぎだとしても全然否定していないんですよ。

    「お祭り騒ぎではいけない」と思う人は、ご自分でそうではない行動をすればいい。一人一人の問題というのは、他人のことではなく、あなた自身の問題ってことです。

  10. tomonari nozakiさま

    >「エネルギー」がとてつもなくこの社会に溜まっていると感じました。

    そうですね。日本では見えやすい形でパニックは起きない。その代わりに、はみ出す人を陰湿に叩く形でパニックを起こす。避難した人を叩いたり、「煽るな」と叩いたり、「自粛しろ」と叩いたり。

    もう少しうまくバランスがとれればいいんですけどね。

  11. おやじさま

    私は「理解しない、できない人」を無能だなんて書いてませんが。「高円寺のデモをめぐるさまざま 2」に書いているように、何もしない人を私は批判しないし、誰もがデモをやるべきなんてちいとも思ってません。

    「お祭り以上のことをしなければならない」と考える人でも、それ以上のことができる場です。なのに何もできないと決めつけて、他者の行動を批判したつもりの人を「無能」と言ってます。それができないのはその人の能力や意思の問題でしかありませんよと。

    それとも「無能」という言葉遣いの非難ですか? 私は「能力がないこと」を「無能」と表現することに何の問題があるかわからず、これは「趣味」の問題ですから、ご自分が使わなければいいだけですよね。私には無関係な話ですので、あとはご随意に。

  12. はじめまして。小生もあのデモに参加しました。松本さんが仕組むデモはいつも良いけど、非常に素晴らしいデモでした。反反原発の人もスピーチしたのも面白かった。まあ、「原発無しでやれるのか。デモになんとなく来ている人は、もっと考えてほしい。もっと勉強してほしい」と言う発言は、笑いましたけど。
     ところで、日の丸ですが、小生も自由だけど、ムッとしました。でも、彼と話したわけではありませんが、あれは”半旗”になっていると思いました。上の金の玉に黒い布は被せていなかったけど、そこまで知らないかもしれないし。日本の原発体制への弔意を示す痛烈な嫌がらせと感じました。

  13. 私も高円寺デモに参加した1人です。デモ・デビューでした。

    >高円寺のデモが有意義だったのは、
    >「自分でやればいい」ということを見せてくれていたこと

    同感です! あれがイヤなら自分でやればいいのです。

    あのデモに参加した人たちは、それぞれ細かい主張が、立ち位置が違うのでしょうが「脱・原発」という主張は同じ。それでいい。

    ごく普通の市民が等身大で参加している自由な雰囲気がよかった。だから参加できた。あのエネルギーを肌で感じられたことは収穫です。Ust中継見ながら、海外在住や九州の友達も応援してくれましたし、そういう参加の仕方もあり。

    ちなみに私は埼玉からの遠征(?)でしたが、お昼に選挙行ってからでも余裕で間に合いました。

    最後に、近隣のみなさんにご迷惑をかけていたら、同じく申し訳なかったと思いますし、今後の課題にしなくては、と思っています。

  14. Lさま

    はっきりわからなかったんだけど、日の丸は2人いなかったですか。日の丸と黒旗とレインボーフラッグが同居するデモって面白かったけどなあ。レインボーフラッグはセクシュアルマイノリティのレインボーではなかったみたいですが、あんな光景見たことないもの。
    統一戦線義勇軍も反原発デモをやりたがっていて、いよいよ混沌としてきました。いいカンジです。民族派の右翼が原発に反対するのは当然ですしね。

  15. RDさま

    このあと続々デモが決まっているみたいなので、自分でやらなくても、他の人がやってくれるデモに参加すればいい状態になりつつあります。
    今回のデモに触発されたと思われるものもあるんですが、どれも一緒になったらつまらんので、全共闘的なデモや主婦層を中心としたおしゃもじデモ、労組主体のデモもやっておいて欲しいです。参加したいんじゃなくて、いろんなものが出てくると選択肢が増えるので。

  16. 高円寺のデモに参加しました。
    いろんな人間が参加してる、普通の女子も参加してる、と
    知ってもらいたくておしゃれをして行きました。
    デモって一部の特種な人の集まり、と偏見をもたれないよう
    工夫しようと私なりに考えました。
    理解されなくてけっこう、と突っぱねず興味をもたれるよう
    努力をしようと思ってます。
    原発を反対してる人がたくさんいて、デモというかたちで主張してる、と
    いうことをもっともっとたくさんの人に知ってもらいたい。

  17.  レス、有難うございます。小生が見かけた日の丸半旗君は、DJカーグループのところにいた方です。もう一人いたっぽいのですな。
     しかしまあ、いろいろな旗が立つというのは素晴らしいことです。彼の68年5月革命のようじゃないですか。”反原発人民戦線”?で行きましょう。まさに、「不屈の民」ですね。あの日のジンタらの演奏は、無茶苦茶良かった。ラフな状態でしたが、ビシビシ伝わってきました。一番前で子連れの小熊教授も歌っていましたよ。小生もデモに行きあの時間をともに出来て本当に良かった。松本さんに感謝します。
     

  18. 川邑ミーさま

    オシャレをしていくのはいいですね。実際、かわいい子たちが多くて、オジサンは嬉しかったです。
    コスプレをしていくのも、女装をしていくのもいいです。でも、無理をせず、いつもの通りの格好でもいいと思います。
    全裸になっているのもいたみたいですが、それはどうかと思います。

    知ってもらいたいんだったら、ブログやツイッターに書けばいい。文章が苦手だったら、友だちや家族と話すといい。「たかが」ってことだけど、思っていることを語ったり、論じたりすることができる関係を作っていくことがもっとも大事だし、いざという時に力になります。

  19. Lさま

    戦闘的なのもいいですが、バカも好きなので、女装だけのデモとか、全員プルト君のコスプレをしたデモとか、飲んだくればっかりのデモとか、そういうのが大量に集まって東電を包囲することを夢想したりもします。

  20. 胸のすく文章ありがとうございます。
    私も4.10参加しました。もちろん投票もしました。
    デモというものへの参加は、はじめてでしたが、
    何か行動しなければという思いが日々
    鬱積していたので一人で参加しました。機会を作ってくれた
    主催者の方に感謝しています。

    行く前はデモのプロ(笑)の方たちの
    集まりなのかなと、多少緊張していましたが
    実際は自分と同じ普通の人たち(かな?)の主催による、
    自由でピースフルで等身大な人たちの集まりでした。
    参加者は年齢も趣味も多種多様で、そういう人たちが
    自分の意思で、誰に頼まれたわけでもなく、
    一つの目的のために一ヶ所に集まったということだけで
    嬉しく思いました。

    原発推進勢力はたぶん強大なので、
    エネルギー転換を実現させるのは簡単なことではない
    でしょうが、一歩でも半歩でも進んでいかないといけない
    と思います。

    これからの電力供給のありかたに対する私の考えは、
    まず原子力は、老朽化したものや
    地震の備えが弱いものから段階的に停止させ、
    中長期的にすべて解体、最終処分へ(たぶん作るより難しい!)。火力は短期的に増強し経済活動への影響を最小限に。
    住宅用には太陽光発電を大々的に導入し、
    新型高機能蓄電池との組み合わせで使う。
    夜間に蓄電し、昼間のピーク時に使うようにする。
    あと照明をLEDの切り替えたり、家電を省エネ製品に切り替えたり、夏場の気温対策で町の緑化を推進。とかで原子力発電の占める20数パーセント分は吸収可能かと。

    また積極的にデモとかに参加したり
    勉強したりしようと思います。

  21. Mさま

    今なお「プロ左翼」「プロ市民」なんて言っている人たちがいますね。なんだ、それ。どっから金が出ると思っているんだろ。

    代替案に関しては、一利用者が考えられることではないし、考えるべきことでもないと思っていて、
    http://www.pot.co.jp/matsukuro/20110408_081904493923072.html
    しかるべき金を得ている会社や団体が代案を出して、ワシらはそれをチェックするのが役割。マスコミがそのチェック機能を果たすべきですが、現にそれができていない。

    メディアに少しは関わっている私としては、まずはそこからかなと思ってます。