2007-08-12

お部屋1309/東京プライドパレード2007

「マツワル」で配信しようと思ったのですが、写真の扱いが面倒なので、「黒子の部屋」で出しておきます。

こんなものを書いているうちに夜になって、二丁目まつりに行く気力がなくなってしまいました。

「東京プライドパレード2007」

一昨日は東京で35度を超える猛暑日に。この日私は銀座にいて、「明日はパレードだから、予行演習をするか」と歩いて帰ろうと思い立ったのですが、新橋で挫折しました。はや。

わずか数百メートルでへばったのでなく、「この先、この暑さの中、2時間以上歩くのか」と思ったら、めげました。でも、歩かなくてよかったです。昨日、疲労を蓄積したままでパレードに出ていたら、本当に倒れていたかも。

「東京レズビアン&ゲイパレード」改め「東京プライドパレード」はムチャクチャ楽しかったんだけど、ムチャクチャ疲れました。暑すぎます。気象庁によると、この日も、昼から3時台までは35度以上。

アスファルトの照り返しがあるので、代々木公園やパレードのコースでは40度を越えていたのではないでしょうか。

私は午前中から代々木公園に行っていたため、パレードがスタートする3時前に倒れそうになってました。サウナで10分我慢することはできても、4時間は無謀です。若い世代はともあれ、中年以上にとっては体に悪いです。

パレードの前は、ステージでさまざまな出し物があります。それを見ようとしても、客席は光を遮るものがないので、見ているだけで疲労します。

「写真1」司会の斎藤靖紀とテツムラ
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「写真2」「みんなでブラス」
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「写真3」西原理恵子とその仲間
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「写真4」それを見る激やせのキャンディミルキィ
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ダイエットには最適ですけど、この暑さですから厚着は禁物。また、化粧がドロドロになるためか、いつもよりドラァグクィーンが少なかったかも。

「写真5」パレード前のジャンジ
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「写真6」パレード前に疲れた様子のメロディアス
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隊列に入ってしまうと全体が見えなくなるので、今年も私は列に入らず、沿道で見物です。毎年私の席として確保されているスタート地点の正面で見物していたのですが、ここもまた光を遮るものが何もなく、1時間いるだけで残ったわずかな体力の90パーセントを奪われました。

パレードのスタートは選挙用の改造車です、

「写真7」パレード実行委と尾辻かな子
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元「バディ」編集部のクミちゃんが「あの車はどこで調達したのだろう」と言ってましたが、日本国中、そうたくさんはないはずで、レンタカーにもないはずです。

都知事選で浅野史郎候補が二丁目で演説した時の車はおそらく民主党の提供だと思いますが、今回は社民党提供かも。あるいはそろそろ公明党も水面下で動いていておかしくない。

今年のパレードの最大の特徴はここです。社民党はこれまでにも保坂展人らがパレードに参加していましたが、今年は党首の福島瑞穂まで参加。既存政党の党首がパレードに参加したのはこれが初めてでしょう。

「写真8」社民党グループ
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私は当日まで知らなかったのですが、福島瑞穂と食事をしてパレードに参加するという企画があったのですね。単に票の取り込みだけでなく、社民党は、今年の参院選でゲイの候補者を出す話がありながら見送った経緯がありまして、次回の衆院選を狙っているのでしょう。

先導車に続くパレードの横断幕は、参院選で当選した川田龍平、世田谷区議の川上あやです。

「写真9」スタートの横断幕
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「写真10」ファイナルイベントでの川田龍平
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「写真11」世田谷区議の上川あや、尾辻かな子、文京区議の前田くにひろ
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これ以外にも、参院選で落選した共産党の谷川智行が参加していて、自民党から公明党までメッセージを寄せてました。LGBTはもはや無視できない存在になってきてます。落選したとは言え尾辻かな子がひとつの契機となったのだろうと思います。また、今年から東京都と厚生労働省が後援についたことも、パレードは次のステージに入ったことを示唆しましょう。

宗教関連の参加もありますし、あくまで個人の参加でしょうが、二丁目を担当する酒メーカーの営業マンがステージでメッセージを寄せていて、「もはやゲイマーケットは無視できない」と言ってました。

「写真12」東京ハンズのトラックもこの日はレインボー。たまたま通りかかっただけです。
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正直なところ、ここまで生々しくなると、「パレードは変質しつつあるのではないか」と私でさえも退くところがあるのですが、あらゆる政党、あるゆる宗教、あらゆる企業にLGBTが存在していることを考えるなら、パレードが拡大していく過程で、こういった事態を迎えることになるのは避けられないのでしょうし、どこかの政党に偏ることなく、全党出そろったのは歓迎すべきでしょう。

また、ゲイパレードの意義は、白昼堂々と、ゲイだのホモだのビアンだのオカマだのといった言葉を連呼し、半ケツ出して練り歩くことにあります。この意味については、ATE2007のシンポでも語りましたが、一方では、たとえば「青少年」や「セクハラ」というキーワードを突破口にして、性行動、性表現を規制しようとする性的保守の動きがあります。

そのあまりにチンケで愚劣な例は、東村山市議会議員の矢野穂積と朝木直子に見られます。

「セクハラとはなんぞや」「セックスワーカーの権利はどうあるべきか」なんてことをこれまでこれっぽっちも考えたことのないであろう彼らが、他者を攻撃する際に「セクハラ」を利用しようとしたように、要件を緩めた「セクハラ」は、「悪意の被害者」が付け入るスキを与えてしまいます。

性行動、性表現を規制する人たちの傲慢さ、稚拙さの典型を見せてくれたという点においては、矢野・朝木の行動は意味があったと言っていいでしょう。詳しくは「職業差別を許しません」サイトを参照のこと。

ここまで恥ずかしい存在はそうはいないにしても、これに近い人たちに対抗し、性を隠蔽しない社会を目指す我々としては、パレードでの自由を確保する必要があって、一方で、そのためには政党も企業も宗教も味方につけておくべきです。そのために妥協すべきではないにしても、今のままのパレードをサポートしてくれるのであれば拒絶することはない。

しかしながら、今年は「バディ」と「G-MEN」のフロートが出ておらず、それもあって、派手さが控えめだったかな。今までパレードで目立っていた雑誌フロートが消えたことで、「雑誌の時代は終わった」という意見も出てましたが、「バディ」のテラ出版はATEに大きなブースを出していまして、そっちで金を使ったためではないかとの説もあり。たぶん予算はどっちも同じくらいのはず。

「写真13」ATEでの「テラ出版」のブース
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ゲイシーンの特徴は、テラ出版がその筆頭であるように、先導してきたのがエロ産業であることです。「バディ」も「G-MEN」もエロ本です。二丁目でさまざまな行動をしている人たちの中には、売り専やエロモデル体験者がたくさんいます。もちろん、ゲイのすべてがそうだというのではなく、一部にそういった存在を嫌悪する人たちもいるのですが、少なくとも、表に出ている人たちの主流派は寛大です。

「写真14」彼は「スナイパーEVE」でもお馴染みです。ケツの技術が素晴らしいのです。
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前に書いたことがあるように、ゲイとセックスワーカーの親和性が高いのはいわば当然でありまして、二丁目が好きなノンケは、エロ関係者が多いものです。エロ雑誌関係者だったり、AV関係者だったり、風俗産業関係者だったり。AV男優には、ゲイビデオに出ているのもいますし、AV嬢出身で、ゲイビデオの監督をやっているのもいます。

この日も会場で元ワーカーに会いました。「Tバックを着てきたのに、暑いよ」と尻を出してました。

「写真15」ケツだし娘
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「写真16」角海老の車も併走。たまたま通りかかっただけです。
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私もそうですけど、こういったエロ関係者と政党の党首が共存しているのがゲイパレードのいいところ、これまた矢野・朝木のような輩には決して理解できないことでしょう。

ところで、代々木公園には永六輔もきてまして、「朝木明代の選挙で推薦していたのはどういうことか」と聞こうと思ったのですが、そんな昔のことを聞かれても困りましょう(中山千夏、矢崎泰久、永六輔らが朝木明代を応援していた事実については間もなく「マツワル」で配信)。

派手さに欠けたきらいのある今年のパレードの中では、ダイヤモンドカッターが例年通りに元気でした。

「写真17」ダイヤモンドカッターのフロート
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「写真18」ダイヤモンドカッターの隊列
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なんかさ、二丁目の路上で眺めていても感じることですが、最近ビアンは勢いづいてますね。店もイベントも増えてますし。

あとは学生フロートの登場に注目です。今は早稲田が突出していますが、本来、どこの大学でも、LGBTサークルくらいあっていいはず。大学生活を考えた時に、「よし早稲田に入ろう」と思う高校生だっているはずで、学校経営の意味でも、LGBTを無視できない時代です。

知り合いも何人かいたので、写真を撮ろうとしたのですが、ちょうどカメラが故障してしまって学生フロートは撮れず。

スタート地点で一通り見届けてから、公園通りを通らずに近道して、明治通りまで全力疾走で追いかけたため、足がガタガタになりました。翌日の今もなおいくらか筋肉痛が残ってます。歩くことには慣れてますが、走ることには慣れてないのです。いくらセンズリには慣れていても、いざセックスすると緊張するようなものです。我ながら、「どうなんか」と思わないではない比喩でした。

ファイア通りを走っている時に、「ピンクフラミンゴ」という店を発見。日本の風景の中でピンクがどう使用されているのかを1年以上調べ続けている私はこういう時でもしっかり「ピンク物件」の写真を撮ってます。

「写真19」ピンク物件
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ここから代々木公園まで走って、「おかえりなさい」コーナーでパレードを迎え入れます。途中走ったワシの方が疲れているんじゃないかと思いますが、ここで感極まって涙する人たちがいて、それを眺めるのが好きな私です。特に初めて参加した人は泣きますわね。

「写真20」後ろ向きの頭は尾辻かな子と実行委の中田さん。たまたまこの隊列は外国人が多いのですが、全体として、外国人率が高くなっていて、台湾や韓国からの参加も多かったように思います。二丁目自体の傾向でもあります。
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「写真21」吹奏楽団がお出迎え
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でも、パレードでもっとも感激するのは、知人たちの笑顔を見ることです。今年は
一緒にビラを配ったり、ポスターを貼ることで゜知り合った人たちがたくさんいて、その笑顔を見て涙が出てきました。

クロージングイベントでは、パレードには出ていなかったドラァグクィーンも勢揃いして、さすがにここは派手でした。

「写真22」ドラァグクィーンそろい踏み
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「写真23」スタッフによるクラッカーで終了
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さてさて、このあと私は二丁目ではなく、歌舞伎町へ。この日はストリップ劇場「デラックス歌舞伎町」でN-STAGEのホモストリップです。前回取材させてもらって、すっかり気に入った私としては、疲れていても、行かないわけにはいかない。ノンケの行動とは思えないです。

客は、前回よりずっと若い世代が多くて、しかも、パレードでもらったと思われるうちわを手にしているのもいます。「バンディッツ」に書いた記事が少しは効を奏したかな。出演者でも、パレードから直行したのがいました。

ステージの上では、美神先生が出演者のチンコをこすってまして、あの男もノンケなのに何をしているのかなと。このイベントは、アジアンドラッグの協賛なので、これも仕事です。チンコをこするのが仕事とは、ピンサロ嬢やヘルス嬢と一緒。

ステージから降りてきた美神先生と一緒に、ステージで司会をするN-STAGE主宰の千葉向月に「脱げ」「チンコ出せ」と野次ってきました。ホントにチンコはいいですね。