2007-03-04

ごくごく私的な2006年ベスト10

ごくごく私的な
2006年ベスト10

本家アカデミー賞やら、日本アカデミー賞やらが出そろって、
遅ればせながら、ごくごく私的な「2006年ベスト10映画」は、
以下のようなラインナップとなりました。

第1位「ゆれる」/オダギリ・ジョーがおさななじみの女とキスしながら「舌出せよ」というシーンに、ビックリ、ドキドキ。兄弟のやりとりなど、あらゆるシーンで、見ているこっちの心も大きく「ゆれる」作品。

第2位「歓びを歌にのせて」/主人公の中年男が、年の離れた若き女性とついに愛を確かめ合うシーンに思わず涙…。音楽はもちろん、それに絡めて描かれた人間ドラマも超感動的。

第3位「リトル・ミス・サンシャイン」/第19回東京国際映画祭で鑑賞。大爆笑しながら泣けしまい、なおかつ心もあったかくなる希有な作品。ラストの美少女コンテストのシーンは最高!

第4位「かもめ食堂」/恋も友情も、おしつけがましい人生訓も、何もないのが心地よい。清潔で、アートチックな食堂で、おいしいご飯を食べる姿に、ただ癒される。

第5位「ユナイテッド93」/作り手の志の高さが感じられる。乗客の人たちが最後まで生き残る望みを捨てずに立ち向かった様子がひしひしと伝わってきて、胸が締め付けられた。

第6位「白バラの祈り〜ゾフィー・ショル、最期の日々」/ゾフィーを演じたユリア・イェンチがすばらしい。彼女が、自分が見た夢を語るシーンが忘れられない。

第7位「RIZE」/「クランプ・ダンス」に自分のすべてを注ぐ若者たちの姿が圧巻。極限まで鍛え抜かれた筋肉美にクラクラ。

第8位「グエムルー漢江の怪物」/怪獣との戦いを家族の視点からのみ描く手法に批判もあったようだが私ははまった。娘を取り戻そうとする祖父、父、おじ、おばの必死な姿から目が離せない。

第9位「プラダを着た悪魔」/アメリカらしい、いかにも〜のバリキャリウーマンの話にどんなオチをつけるかと思ったら、ホロリと涙のラストシーン。メリル・ストリープのさすがの演技に座布団5枚!

第10位「アメリカ,家族のいる風景」/おちぶれた映画スターの主人公は、ただただ身勝手な男なのに、なぜか憎めない。人間くさくて、情けない生き様に、「人生ってそうだよなぁ」と心傾いてしまう。

☆2006年・ワースト1☆
☆2006年は、「第19回東京国際映画祭」のコンペ作品を9本見た。何と言ってもショックだったのは、9本中マイ・ワースト1であり、2006年ワース ト1とも思っていた「OSS117 カイロ、スパイの巣窟」 がグランプリを取ったことだ。50〜60年代に映画化されたスパイ映画OSSシリーズの新作で、アラブ世界で騒動を巻き起こす主人公の話なのだが、ブラッ クな 笑いが期待できるかと思ったら全く笑えず。笑いの中にも社会風刺があるとか、ホロリとさせるとかいうコメディもあるが、これはその要素も全くないので、 「見て損した」と強く思ってしまった作品。なのに、グランプリだなんて、自分の見識眼まで傷つけられたようでとてもショックだった。審査委員長のジャン= ピエール・ジュネなど、審査員は冗談でこれを選んだのではないか、と思ってしまう。賞をもらった「OSS」の監督自ら、自身の受賞に滅食らっていたという 感じなのだから…。そのほかの作品に佳作もあっただけに、とっても残念。

2007-02-11

魂萌え

原作本を超えた爽快感!
魂萌え

桐野夏生の原作本は衝撃的だった。
「夫の浮気」や「財産を狙う子ども」という題材はよくある話だろう。
それが、彼女の手にかかると、ドロドロの怨念の世界へ行くのではなく、
59歳の女性の凄みのある、それでいて一種さわやかな成長物語へと結実する。

夫に10年来の愛人がいた。
そのことを夫の死後知った主人公。
これは、ものすごく残酷なことだと思う。
夫が生きていれば、ののしり、罵声を浴びせ、
自分の感じた裏切りの気持ちを相手にぶつけることができる。
それができない状況では、普通ならどこまでも、どこまでも
深い穴に落ちていくのではないだろうか。
こういう傷は、夫を愛していたからより傷つくとか、
愛していなかったから傷つかないとか、そういう問題ではないと思う。
自尊心の問題なのだ。
主人公は、子どもたちにもその自尊心を踏みにじられるような行為をされるが、
彼女なりのやり方で、最後には踏みにじられた自尊心を取り戻していく。

原作に感動して映画を見ると、多くの場合、失望することが多いが、
阪本順治監督のこの映画は、私の中では数少ない例外となった。

まず、キャラの立ち方がスゴイ!
本を読んでいたときには、60歳間近の主人公、その夫、愛人の色恋が、
リアルに感じられなかった。でも、映像化されることで、
よりリアルに主人公やその周辺の人々の息づかいが伝わってきた。
特に、妻vs愛人の対決場面は見所満載だ。
妻を演じる風吹ジュンと愛人を演じる三田佳子。
とても静かな台詞のやりとりの中にも、火花が飛ぶさまが見えるようだった。

ラストに向かっては、原作をも超えたのでは?と思えるような爽快感だった。
もちろん、現実はそう甘くない。
そう言えるかもしれないが、映画にはやはり、どこかに夢がないと…。
私自身は、その希望あふれる描き方にとても感動した。
特に、ラストに流れる映画「ひまわり」。
多感だった10代のころ、ソフィア・ローレンとマスチェロ・マストロヤンニの
駅での別れのシーンに大泣きした記憶がある。
戦争で行方不明だった夫がロシアで生きていると知り、
会いに出かけた妻。しかし、記憶喪失だった夫にはすでにロシア人の妻と娘がいたと知る。
駅での二人の別れのシーン。妻は涙を隠し、列車に乗る。夫を深く愛しながらも、すがりつくことをせずに、前を向いて歩いていくこのシーンが、見事に「魂萌え」の主人公に重なってくるのだ。

2006-09-27

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