売る売らないはワタシが決める 売春肯定宣言

発行:ポット出版
松沢 呉一 編, スタジオ・ポット 編
定価:1,900円 + 税
ISBN978-4-939015-24-3(4-939015-24-6) C0036
四六判 / 352ページ /並製
[2000年01月刊行]

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内容紹介

セックスワーカー・フェミニスト・風俗ライターたちが、上野千鶴子・中山千夏・兼松左知子・立岩真也・角田由紀子・松井やよりらの売買春否定論を徹底論破。また、松沢呉一・宮台真司・南智子・佐藤悟志らの座談「いま性風俗と売買春を考える」も掲載。

目次

はじめに







01山本直英氏へ ほんとの敵と闘いましょう



02庄子晶子氏へ 買春で相手を言いなりにできるのか



03鎌田慧氏へ 第三者は、それをレイプと決めつけることも、レイプではないと決めつけることもできない



04兼松左知子氏へ 楽して稼げるのか



05瀬戸トシコ氏へ 医者が主観でものを語るな



06中村彰氏へ メンズリブの性風俗産業蔑視はいったいなにが目的なの



07丸本百合子氏へ コンドームを使用しないのは誰のせい?



08小谷野敦氏へ 買春者が売春者差別をする権利があるのか



09中山千夏氏へ 非合法だから売春はいけないのか



10福田和彦氏へ 「公娼制度」が復活すれば問題は解決するのか



11村上龍氏へ なぜ女だけが責められるのか



12林マリサ氏へ フェミニストにとって、セックスワーカーの権利運動とは?



13櫻井よしこ氏へ こんな馬鹿な国は日本だけか



14小野幹雄氏らへ 「一般婦女子」と売春婦の身体の自由は異なるのか?



15松井やより氏へ タイ人女性たちは、本当に強制売春させられているのか



16大治朋子氏へ 「埋め合わせ」として「性を買う」ことはいけないことか



17山下明子氏へ 「暴力の助長」は「性風土の助長」より優先されるのか



18若尾典子氏へ どうせなら労働環境をよくする方向で考えてみません?



19角田由紀子氏へ 売春は腎臓売買と同じか



20谷口和憲氏へ 「買春は強姦である」ということはどういうことなのか



21佐藤学氏へ 女は社会の所有物か



22中川八洋氏へ 売買春の肯定は家族を崩壊させるか?



23林陽子氏へ 売春は何らかの強制の結果か?



24小倉千加子氏へ 性労働者は性だけを商品化しているのか、人間全体を商品化しているのか



25吉武輝子氏へ 語れないことは恥ずべきことか?



26伊田広行氏へ なぜ社会構造を理由に「買売春」が制限されなければならないのか



27立岩真也氏へ 「売春」は「他者が他者でなくなる」ことか



28永田えり子氏へ 社会の再生者責任を免除する、永田えり子の主張こそ不道徳である



29上野千鶴子氏へ 売春は許容し、買春は許容しないという主張の組み合わせは矛盾しないか?



30河合隼雄氏へ 売春すると、魂が傷つく?







●座談



売買春合法宣言——性の価値観の違う人間が、お互いを認め合い侵害し合わない、ゆとりと余裕のある精神力の確立を願って







編者あとがき

前書きなど

 性的な行為をして金銭を授受することはいけないことなのか否か。答えを出すのが非常に困難にも思えるこのテーマだが、あえて困難な議論を持ち込もうとすることによって、答えが出ないようにしている人々がいるだけなのではないか。そう疑わないではいられない。



 売買春を否定する人々のほとんどは、様々な詐術さえ弄しながら、売買春憎さのために、杜撰極まりない言論をばらまいている。では、彼らの言論に見られる杜撰さの代表的なパターンを挙げてみよう。



 その一は「事実誤認」。売買春否定派の書くことには、あまりに数多くの明白な間違いがあって、この中には意図的な改竄もままある。



 その二は「調査作業の欠如」。実態を調査しないことで、自己の妄想に基づいた主張を辛うじて支えようとしているとしか思えない。



 その三は「検証作業の欠如」。あえて検証しないで、他者の言葉を鵜呑みにして繰り返す。



 その四は「恣意的な選択」。既存のデータや他者の発言の中から、自分に都合のいい部分のみを取り出し、都合の悪い部分は無視する。



 その五は「当事者無視」。いくら働く者たちが発言しても、これらはまったく存在しないかの如く扱われ、時にはその意思を愚弄するようなことも平気でやってのける。



 その六は「特例的な適用」。それ自体を取り出せば一見正しいようにも見えるが、この論理を他の労働には決して適用しない。



 その七は「一部の全体化」。極一部の現象を取り上げて全体を否定するのもよくやる手だ。



 その八は「根拠なき決めつけ」。最初に「売買春は〜である」との定義を出してきて、そこから話を展開するのだが、その定義自体に根拠がない。



 その九は「原因と結果のすり替え」。暴力団の介入を筆頭として、禁圧することによってこそ生じた現象を、あたかも売買春そのものが内包する性質かのように語る。



 その十は「本質の回避」。売買春において、この社会を反映しているに過ぎない点を取り上げて、売買春の問題と決めつけがちだ。本当はより大きな問題があることからあえて目を逸らしているとしか思えない。



 細かく言えば、まだまだあるだろうが、以上のような点をいくつも組み合わせて、売買春の批判はなされてきた。おそらく、これほどまでに杜撰な言論が垂れ流され続けている事象はほかにあるまい。



 「性的な行為をして金銭を授受することはいけないことなのか否か」を真摯に論ずるためには、一度これらの言論を整理し、ノイズを排除する必要がある。その作業は、性の現場をろくに知らないくせに知ったようなふりをして語る人々ではなく、現に性労働に従事する者たち、その現場をよく知り、理解している者たちが適任であり、彼らが異議を申し立て、誤りを修正する必要があるだろう。



 本書の発刊によって、これまで無批判に垂れ流されてきた、お話にならない売買春否定の言論がひとつでも減ることを望みたい。

担当から一言

売買春否定の発言には、自分に都合の良い思い込みのみを根拠にしているのではないのか? 本当に論理的な根拠はあるのか? 最初から否定の立場で書かれた「売春否定論」に、論理ときちんと反論した本書で、もう一度考えて欲しい「なぜ売春は否定されるのか?」と。

著者プロフィール

松沢 呉一(マツザワ クレイチ)

1958年生まれ。幼少期は主に北海道を転々とする。大人になってからはいろんな仕事を転々とする。20代からライターはやっていたが、主たる仕事になったのは30代に入ってから。



一時、ライターを廃業にして、店員になろうとしたが、とてもそれでは食っていけないことを悟り、ライターに戻る。現在も中野タコシェでたまに店員をやっている。ここ3年ほどはすっかり風俗ライターで、風俗関係以外の原稿依頼は減る一方。書きすぎて、みずからボツにした原稿は溜まる一方。



現在、ポット出版のWEBサイトで「黒子の部屋」を公開している(http://www.pot.co.jp/)。

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