2009-03-05

寄贈依頼について

図書館特集を組んだある雑誌の編集部に、日本図書館協会の資料室から「献本してください」という連絡があったという。

日本図書館協会の資料室では、全国の図書館の要覧、館報、利用案内などを収集している。他の図書館ではなかなかまとまった形で見られないので、それらは貴重な資料となっている。
ホームページに要覧、館報類を発行の際は資料室にも一部送ってくださいといった一文が掲載されているが、そこではもちろん、商業雑誌の図書館特集号の献本については触れていない。

僕も図書館員なので、外部に資料の寄贈を依頼することはあるが、商業出版社への依頼は極力避けている。
版元からの寄贈は、たとえフリーペーパーでも、ありがたいことだと思ってもいる。

予算が少ない資料室だから、できれば寄贈して欲しいという気持ちはよくわかる。版元の判断で日本図書館協会へ寄贈されるケースもあるのだろう。

だが地味な専門誌を出している商業出版社に対して、発行後3日しかたっていない雑誌を献本せよというのは、客観的に見るとやはり無理があるんじゃないだろうか?

予算がないとか、利用者の利益のためだといって、ついつい版元に負担を押し付けてしまうと、特に図書館への販売を期待している専門書を扱う版元などは、経営が圧迫されてしまうのではないのだろうか。
版元が潰れるということは、本来世に出るはずだった資料が失われてしまうことでもある。

図書館も書店も版元も、同じ出版流通業界の一部を担う者同士なのだから、今回の寄贈云々に限らず、普段から共存共栄という意識を持っておいた方がいいんじゃないかと思う。