2010-05-07

「公共図書館Webサービス勉強会」へのご招待

クロスポスト失礼いたします。
ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)メルマガ版のNo.421(2010-04-05発行)に掲載いただいた勉強会の紹介文ですが、配信から1か月経過したので、こちらにもアップします。

「公共図書館Webサービス勉強会の紹介、そして公共図書館Webサービス勉強会への招待」

笹沼崇、長谷川拓哉(ゆうき図書館)

1. この会の趣旨について

「公共図書館Webサービス勉強会」という、現職図書館員なら誰でもwelcomeな会の管理人を務めています、ゆうき図書館の笹沼です。

この会は、茨城県結城市のゆうき図書館が事務局をしている、Googleグループを利用した勉強会です。そもそもは、Webサービスをどのように公共図書館サービスに導入すれば効果的かについての意見交換を中心とした、ゆうき図書館内部の軽いブレストがはじまりでした。

昨年夏、活動の場をオフラインからGoogleグループに移したのを機に、自館スタッフに限定するよりは、他館の方々と一緒に前進したいと考え、会の名前の自館名を「公共図書館」と改めました。
現在は東京・千葉・埼玉・茨城・山梨・愛知・大阪から16館27名の方々が参加されています。この会に他館の方もお誘いしようとした際、最初に考えたのは、先端の知識を習得する勉強会ではなく、公共図書館のサービスに実際に「効く」場にしたいということでした。

実際に「効く」にはどうすれば良いのか?

それには、多くの公共図書館員が協力し、各館のブレイクスルーのために知恵を出しあい、一緒に進むためのきっかけをつくることが大事ではないかと考えました。
最近、特に、図書館界の内輪の勉強会だけでなく、アウェーに出てどんどん新しいことを吸収しているアンテナの高い図書館員が増えつつあります。
それに対し、そんな先進的な図書館員ばかりで公共図書館の現場は動いているわけではないという現実があります。スタッフの中核は、諸々の制約で1日4~6時間しか働けない非正規職員が担っているという館も、相当多いことでしょう。
また仮に正職員であっても、権限がない・組織の壁に阻まれ動けない・知識やスキルが及ばずセミナーに行っても訳がわからないなど、人によってアクションを起こせない理由は様々だと思います。
そこで、たとえばFuture Librarian全国図書館大会U40プレミアセッション < http://futurelibrarian.g.hatena.ne.jp/ >はじめ『ACADEMIC RESOURCE GUIDE』(以下、「ARG」)周辺にいらっしゃる先進的な図書館員の方々の知識・熱意と、実際に現場でサービスに従事している方々とを結びつけ、各館のアウトプットを少しでも後押しするような、図書館員同士の相談の場を創り出そうと考えたわけです。

この会のお約束ごととして「所属と実名を明記」「ここで得た他館の情報は無断で口外しない」といった最低限のルールはあります。その上で、現実を踏まえなければ実際に前に踏み出すことはできませんから普通はタブーと思われる、たとえば所属組織の問題点(壁)の話なんかもあって構いません。そういったインサイダーな話もできる空気を維持するため、あえてメンバーを現段階では現職図書館員に限定しています。
こうした同業者だけのコミュニティでは、その場で普遍的・客観的と思われたことが、世間一般の価値観と乖離してしまうことがよくあります。この会も、具体的に踏み出すためのきっかけと捉えなければ、同じことを繰り返す可能性は否定できません。そんな蛸壺状態に陥らないためには、各自がそれぞれの職場で行動を起こし小さくても構わないから何か結果を出して、それに対する周囲からの評価を次の行動に反映するサイクルを確立すること、そしてそれを相互にフィードバックしあう場に発展させていく
ことが重要ではないかと考えています。

推敲なしで話すような感覚で投稿しても、ここなら平気という感覚のメンバーも多い、かなりインフォーマルな場です。
素朴な疑問でも何でも、あまり考えずに投げ込める点が便利だという声もよく出ています。オンラインでのディスカッションのみの活動なので、人見知りの方も心配無用。公共図書館員、または公共図書館のWebサービスに関心をお持ちの異館種の方で、当勉強会に興味がある、あるいは協力してくださるという方がいらっしゃれば、ぜひご一報ください。
職場の方々にもお声掛けいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

・公共図書館Webサービス勉強会

http://groups.google.co.jp/group/lib-web

(ここからお問い合わせください)

(以上、文責:笹沼)

2. 勉強会メンバーからの声-メンバーによる現状分析

「公共図書館Webサービス勉強会」(以下、「会」と略します。)メンバーのゆうき図書館の長谷川です。

この会は、先の「趣旨」で触れているように、『公共図書館のサービスに実際に「効く」場』となることを目指したものです。今回ARGに寄稿させていただいたことは、私にとって『公共図書館のサービスに実際に「効く」場』という会の方向性について再考する良い機会となりました。再考するにあたって、この会が今後どのように発展して欲しいのか、自分なりに現状を検討してみました。

この会は、地域を問わず、現職図書館員(雇用形態・所属館種不問)同士が公共図書館のWebサービス活用について語れる場です。一般論ではなく、地域の違いを越え各館の事情を踏まえたディスカッションができることが、会の大きな特長ではないかと思います。また、ゆうき図書館からは正職員・嘱託職員・臨時職員の計9名が職位を越えてこの会に参加しており、他館の事例や他館からの見え方を共通して学べる貴重な研修機会ともなっています。

会に報告された最近の事例をご紹介します。2010年3月10日にリリースされ、主に公共図書館を取り巻く環境で議論を沸き起こしたことでも皆さまのご記憶に新しい、日本最大の図書館蔵書検索サイト「カーリル」 < http://calil.jp/ >についてです。
ゆうき図書館では、Nota Inc.の洛西一周氏らが開発したこのサイトについて、職場内ディスカッションを開始しました。リリース2日後のホットな時期に開始した、「カーリル」が図書館界に与える影響や可能性について行ったディスカッションは、懐疑論なども渦巻くなか一応の結論を見ました。

このやり取りのログを当事者了解の元で、ほぼそのままアップしてみたところ、他館の方から即座に好意的な反応があったことから、実際に現場で発生した情報は、やはり別の図書館の方にとって稀少な情報なのだろうと感じました。

このような、各館固有の話をも共有しつつ、相互に刺激し合うスタイルを持っている会を今後いっそう発展させていくには、どんなことができるのでしょうか。私なりに考えをまとめてみます。

現在、われわれを取り巻く環境は、日常生活にWebサービス(ブログ、オンライン書店、Web本棚、Twitter、Web API公開機関の増加など)が浸透し、身近にWebがある環境になったため、Webを図書館サービスに応用することが比較的想像しやすい状況です。こうした状況下で、私たちの会の特長を伸ばすには、同一館内の複数のメンバーにご参加いただくと良いかもしれません。
複数のメンバーがいると意思疎通や情報共有、ひいてはビジョンの共有などの利点があるのではないでしょうか。経験上、私はそう思っています。

今回の、ARGのような広報媒体-ARGに掲載していただいたことは、さらに多くの方々に呼び掛けることができて有難かったです-によって、ARG読者の多くの方が職場で紹介して下さり、そのご紹介が広がっていけば同一館内に複数のメンバーが現れるかもしれません。

今後は、「実際に現場でサービスに従事している方々」にも多くご参加いただき、この会での成果が各館の現場のサービスに効果として及んで行けば良いなと考えています。
その効果は、今はたとえ大海に小石を投げ入れ、わずかに小波を起こすようなものであったとしても、やがてうねりとなっていくものであると私は信じています。

ここまで分析を重ねてみましたが、ちょっとした話題から一図書館員の視野が広がるような場面も見えてきています。ディスカッションに触れていただくことで、皆さまの普段の仕事にちょっとした彩りを加える、一助になれば幸いです。
たくさんの皆さまのご参加を、心よりお待ちしております。

(以上、文責:長谷川)

[筆者の横顔]

笹沼崇(ささぬま・たかし)。1969年生まれ、栃木県出身。銀行系SEを経て1993年より拓殖大学茗荷谷図書館勤務。
2002年、結城市教育委員会の誘いで市の図書館準備室に移籍。2004年より、ゆうき図書館勤務。現在は副館長。
mail:qzw05476@nifty.com
blog:http://d.hatena.ne.jp/t_rabi/

長谷川拓哉(はせがわ・たくや)。1978年生まれ、京都府出身。図書館情報大学大学院博士前期課程修了後、私立大学教務課、製薬会社ファーマコヴィジランス部(医薬翻訳、DB登録)勤務等を経て2007年より、ゆうき図書館勤務。
今年度はマイニング探検会に参加し、その効果も現場に及ばせたいと考えています。
mail:ta9.hase@gmail.com
Twitter:http://twitter.com/ta9hase

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