ドキュメンタリー作家 王兵 現代中国の叛史

発行:ポット出版プラス
土屋 昌明 編著, 鈴木 一誌 編著, 文海 著, 樋口裕子 著, 山根貞男 著, 藤井仁子 著, 劉文兵 著, 中山大樹 著, 山口俊洋 著
希望小売価格:3,600円 + 税 (この商品は非再販商品です)
ISBN978-4-86642-011-0 C0074
A5判 / 320ページ /並製
[2020年03月刊行]

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2020年3月20日(金・祝日)から28日(土)まで、「ワン・ビン(王兵)監督特集2020」
3月28日は臨時休館となり予定していた上映及びトークは延期となりました。(3/27追記)
(アテネ・フランセ文化センター)

2020年4月4日(土)から17日(金)まで、『死霊魂』上映 2020年6月27日(土)〜7月10日(金)予定に延期となりました。(3/27追記)
(シアター・イメージフォーラム)

内容紹介

2007年公開の王兵『鳳鳴 中国の記憶』を3人の批評家が映像を見ながら徹底討論。
和鳳鳴の語りにこめられた中国現代の「叛史」を読みとり、ドキュメンタリー作家・王兵の全仕事を眺望する。
監督が幼少期から最新作までを語るインタビュー、カメラマンのメモ、気鋭の研究者の王兵論、批評も考慮した詳細なフィルモグラフィも収録。
王兵の映像と歴史に対する洞察を知る決定版!

目次

はじめに=土屋昌明
中国全図と王兵監督作品の撮影地
『鳳鳴 中国の記憶』に関連する中国現代史年表

第1部 王兵監督が/を語る
 王兵監督インタビュー1 聞き手・文責=土屋昌明
   『鳳鳴』『無言歌』から『死霊魂』への思いと映画の可能性
 ドキュメンタリー撮影ノート ー 王兵監督との対話から=文平
 王兵監督インタビュー2 聞き手・構成=樋口裕子
   歴史の空白を描くことから、今、激変する中国を撮る

第2部 『鳳鳴 中国の記憶』を読み解く
 映画『鳳鳴 中国の記憶』と中国現代史=山根貞男、土屋昌明、鈴木一誌

第3部 作品の核心に向かって
 王兵という〈試し〉ーー『鉄西区』から『収容病棟』まで=藤井仁子
 ワン・ビン作品における視線のポリティクスーー見る/見られるの非対称性を巡って=劉文兵
 中国のインディペンデント・ドキュメンタリー=中山大樹
 記憶の居場所ーー鈴木一誌

第4部 創作の軌跡ーーフィルモグラフィ=山口俊洋、土屋昌明

前書きなど

王兵の大作『死霊魂』が姿をあらわした現在、『鳳鳴 中国の記憶』が王兵の映画創作の核心にあったことが理解できた。いままで『鳳鳴』は、『無言歌』を作るための副産物と考えられていたが、むしろこの三部作の背骨となっていたのだ。この三部作は有機的に関連し合っていて、登場する群像はあちこちに顔を出し、そのたびに各作品のイマージュが観客の脳裏に想起される。北京電影学院の張献民が司馬遷『史記』の群像表現に喩えたが、確かにあれと同じ効果である。鳳鳴の語りに中国現代史が保存されているのと似て、映画『鳳鳴』には王兵の創作のすべてが保存されていると言えるのではなかろうか。本書によって、「中国の記憶」への理解が進むとともに、王兵作品の全貌とまでは言えないにしても、中心像は見えてくるだろう(「はじめに」より)

担当から一言

山形国際ドキュメンタリー祭大賞を3度受賞。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの三大映画祭での受賞も数多い王兵監督、およびその作品を徹底的に解読。
第1部では、2015年6月、2018年8月に行われた王兵監督へのインタビューを収録。
第2部では、王兵監督の初期におけるドキュメンタリーの名作『鳳鳴 中国の記憶』を鈴木一誌を進行役に映画評論家・山根貞男が映画論的な立場から、中国文学者・土屋昌明が歴史的な立場から読み解く。
第3部では、日本映像学の代表・藤井仁子、中国映画の第一人者・劉文兵の他、鈴木一誌、無名時代からの監督の友人でもある中山大樹が王兵監督の作品群を論じる。
第4部では、『鉄西区』(2003年)から『上海の若者』(2019年)までのフィルモグラフを収録。

王兵(ワン・ビン、WANG BING)
一九六七年中国陝西省西安生まれ。一四歳のときに父親を亡くし、当時の政策によって父親の職を継いで建設設計院に勤め、二四歳まで働く。そのあと、一九九二年に瀋陽の魯迅美術学院写真学科と北京電影学院撮影科で学ぶ。瀋陽の国営工場の倒産とそれによる生活の困難を撮った衝撃作『鉄西区』(一九九九─二〇〇三)、反右派運動と文化大革命の時代を生き抜いた女性の証言を記録した『鳳鳴 中国の記憶』(二〇〇七)、そして反右派運動で夾辺溝というゴビ砂漠の農場へ遣られて、辛くも餓死を免れ生還したもと右派の老人たちに取材した『死霊魂』(二〇一八)で山形国際ドキュメンタリー祭大賞を三度受賞。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの三大映画祭での受賞も数多い。二一世紀で最も重要な映画作家の一人。

著者プロフィール

土屋 昌明(ツチヤ マサアキ)

一九六〇年神奈川県生まれ。国学院大学大学院博士課程退学。専修大学国際コミュニケーション学部教授。中国古代文化を研究しつつ中国現代史・映像歴史学にも関心を持っている。編著に『目撃!文化大革命』(太田出版)、『文化大革命を問い直す』(勉誠出版)、共訳書に廖亦武『銃弾とアヘン』(白水社)など。

鈴木 一誌(スズキ ヒトシ)

一九五〇年東京都生まれ。ブックデザイナー。杉浦康平氏のアシスタントを一二年間つとめ、一九八五年に独立。映画や写真の批評も手がけつつ、デザイン批評誌『d/SIGN』を戸田ツトムとともに責任編集(二〇〇一─一一年)。神戸芸術工科大学客員教授。著書に『画面の誕生』(みすす書房)、『ページと力』『重力のデザイン』(ともに青土社)、『ブックデザイナー鈴木一誌の生活と意見』(誠文堂新光社)、共編著に『知恵蔵裁判全記録』(太田出版)、『デザインの種』(大月書店)、『絶対平面都市』(月曜社)など。

文海(ブン カイ)

一九七一年中国湖南省生まれ。ドキュメンタリー作家、独立中文筆会会員、キュレイター。北京電影学院写真撮影専攻で学ぶ。作品に『喧嘩的塵土』『夢遊』『我們』『西方去此不遠』『凶年之畔』『喊叫与耳語』『在流放地』などがあり、フランスやカナダで高く評価される。著書に『放逐的凝視 見証中国独立記録片』(台湾:傾向出版社)、『在流放地的影像』(同前)。企画展に『「決絶」影展』。

樋口裕子(ヒグチ ユウコ)

翻訳家、エッセイスト。中国語を学んでいた一九八〇年代に、文革の苦難を生き抜いた中国人に共感。北京留学を経て翻訳・通訳を職業とする。著書に『懐旧的中国を歩く』(NHK出版)他。訳書に『上海音楽学院のある女学生の純愛物語』(講談社)、『藍色夏恋』(角川書店)など。字幕翻訳では、ワン・ビンやロウ・イエ、チャン・イーモウの作品など多数。早稲田大学非常勤講師。

山根貞男(ヤマネ サダオ)

一九三九年大阪府生まれ。映画評論家。書評紙や書籍の編集者を経て、映画批評誌「シネマ六九」の編集・発行に参加。一九八六年より「キネマ旬報」に日本映画時評を連載中。主な著書に『映画狩り』(現代企画室)、『活劇の行方』(草思社)、『増村保造 意志としてのエロス』(筑摩書房)、『映画の貌』(みすず書房)、『マキノ雅弘 映画という祭り』(新潮社)、『日本映画時評集成』(全3巻・国書刊行会)など。

藤井仁子(フジイ ジンシ)

一九七三年大阪府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程退学、早稲田大学文学学術院教授。主に日本映画と現代アメリカ映画を研究する傍ら、批評的見地から同時代作品にも強い関心を持つ。編著書に『入門・現代ハリウッド映画講義』(人文書院)、『甦る相米慎二』(共編、インスクリプト)、『森﨑東党宣言!』(インスクリプト)、共訳書に『わたしは邪魔された ニコラス・レイ映画講義録』(みすず書房)。

劉文兵(リュウ ブンペイ)

一九六七年中国山東省生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。大阪大学専任教員。主な単著に『映画がつなぐ中国と日本』(東方書店)、『日中映画交流史』(東京大学出版会)、『中国映画の熱狂的黄金期』(岩波書店)、『証言 日中映画人交流』(集英社)、『中国一〇億人の日本映画熱愛史』(集英社)、『映画のなかの上海』(慶應義塾大学出版会)がある。日本映画ペンクラブ賞奨励賞受賞。

中山大樹(ナカヤマ ヒロキ)

一九七三年千葉県生まれ。金沢大学文学部卒。二〇〇八年より中国インディペンデント映画祭を開催。現在は日中で上映活動や映画製作に携わる。著書に『現代中国独立電影』(講談社)。

山口俊洋(ヤマグチ トシヒロ)

一九六八年東京都生まれ。東京都立大学人文科学研究科博士課程退学、現代フランス文学専攻。大学でフランス語講師、フランス映画の授業などを担当。訳書に『フェリーニ』(祥伝社)、『マリリン・モンロー最後の年』(中央公論新社)、共訳書に『アイルランド』(白水社)、『ドゴール』(祥伝社)など。