2007-09-18

レズビアンのイラン難民、解放へ 死刑の危機をとりあえず脱出

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オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。

主題:レズビアンのイラン難民、解放へ
副題:死刑の危機をとりあえず脱出

【本文】

 2005年から英国に亡命しているレズビアンのイラン難民・ペガー=エマンバクシュさん(40)が難民申請を入国管理局に棄却されたことにより、8月 13日に不法滞在の罪で逮捕され、収容所に収監されていた問題で、英当局はペガーさんの保釈申請を認め、11日に身柄を解放した。

 イランの刑法では「レズビアン同士の性交への罰則はむち打ち100回、3回以上繰り返された場合は死刑」と定められており、本国送還は死刑を意味することから、国際的な問題になっていた。ペガーさんは8月23日、28日にイランへ送還される段取りになっていたが、国際的な圧力を受け、英国は送還の延期を決めた。

 ペガーさんは保釈と同時に難民認定の再審査の要求も認められ、これから裁判所では、彼女を難民として認定するかが再度審理される。

 これまで彼女は英国に滞在資格がないためいつでも本国へ強制送還さる可能性があったが、裁判が始まったことによりしばらくは英国に在住する資格が得られ、裁判を通じて永住できるかが決定される。最終的に難民申請が認められるかどうか結果がでるまでには数カ月かかるともいわれている。

 ただ、イタリア政府はペガーさんの亡命受け入れを表明していることから、英国を追われた場合もイランに強制送還される可能性は皆無に近い。クレメンテ=マステッラ伊司法大臣は8月25日、「われわれはペガーさんを難民として迎え入れる準備ができている」と語った。

 マステッラ司法大臣は27日、同性愛者向けサイトの取材に対して

 「同性愛者の公開処刑はイタリアでは考えられないことだ。私の信条は公開処刑を全世界からなくすことだ。人生は賜物であり、最高裁のようなところに誰かが生きるか死ぬかを決定する権利を誰も与えていない」

 と決断の動機を説明した。パトリツィア=センティネリ伊外務省副大臣も26日、「伊政府はすべての外交ルートを使って、ペガーさんをイランに強制送還しないよう英国政府に働きかけている」と司法大臣を援護。さらに、「その働きかけはよい方向に進んでいる」と成果があがっていることを示唆し、「万が一、ペガーさんが強制送還になったとしても、イタリアが彼女を受け入れる」と明言した。

 左派政権のトップ・ロマーノ=プロディ伊首相も彼女の亡命を認める意向で、ヴェニス市長が受け入れ先として名乗り出ていることから、ペガー氏が英国を追われた場合、伊政府が迎え入れる可能性が高い。

 だが、ペガーさんは第1希望としてイギリス滞在を求めていることから、英国の司法の判断に注目が集まっている。

写真脚注:ペガー=エマンバクシュさん(提供:Friends of Pegah)