2007-09-18

パリ市民の58%が現市長の再選を期待 保守市政の改革を評価

パリ市長のベルトラン=ドラノエさんには来年3月、ぜひ、再選を果たしてもらいたいものです。再選すれば、来年秋の社会党大会で党首(第一書記)に選出される可能性が出てきます。そして、2012年の仏大統領選挙で「社会党」候補になり得ます。女性初の大統領も素晴らしいですが、同性愛者であることを公言している人物が大統領になることはもっと素晴らしい。パリ市民の良識に期待しています。

さて、『日刊ベリタ』に【パリ市民の58%が現市長の再選を期待 保守市政の改革を評価】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。

【本文】
  2008年3月のパリ市長選挙に関する世論調査で、2回投票制の市長選の第1回投票で、現職のベルトラン=ドラノエ市長に投票すると答えたパリ市民は47%で、有力な対抗馬で政権与党「国民運動連合」が推すパリ17区長のフランソワーズ=ドゥパナフュー下院議員の33%を大きく上回った。ドラノエ市長は01年3月に就任以来の改革政策の実績が高く評価されている。
 
 世論調査はイフォップ社が有権者804人を対象に9月6日から8日にかけて電話で行った。 
 
 その結果、58%のパリ市民がドラノエ氏の再選に期待し、ドゥパナフュー候補の勝利を期待するのは39%にとどまった。 
 
 同性愛者として知られるドラノエ氏は、徹底した歳出削減による財政の健全化、市民と真摯に対話する車座集会の実施や長く続いた過去の保守系市長の下で決められた無駄遣いの撤廃、情報公開・説明責任が十分に果たされる「ガラス張り」の行政、託児所の増設など手厚い社会保障政策、自動車優先の見直しによる大気汚染対策など数々の環境政策などなど数々の改革を実行してきた。再選を期待する声はこれらの実績を評価してのものと見られる。
 
 一方のドゥパナフュー氏は、1986年4月の総選挙で、ジャック=シラク元大統領が創立した右派の第一党「共和国連合」から下院議員に当選し、それ以来、下院議員を務めている。 
 
 同氏は女性ながら、フェミニズムに批判的で、伝統的な女性像を重視している。国政・地方議員の男女同数を目指したパリテ法や、人工中絶できる期間を伸ばす法律、公立の中学・高校で生徒に経口避妊薬を配布する政策、異性カップルのみならず同性カップルの権利をも保障する準結婚制度パクスに一貫して反対してきた。ドラノエ氏の思想とは正反対だ。 
 
 たとえば、男女平等にドラノエ氏は熱心だ。パリ市長に就いてからドラノエ氏は同市の男女比を勘案して、33人いる助役のうち女性を18名、男性を15名にした。さらに、パリ市役所においてあらゆる男女差別を撤廃した。受付や秘書を女性にだけやらせるということはなくなり、女性が要職に就くようになった。パリの21ある部局のうち、部局長は女性が11名、男性が10名になった。 
 
 女性が人工中絶する権利も強く擁護し、同性愛者であるドラノエ氏は上院議員だった1998年にパクスが議論の的になると、国会議員の中で最も熱心に支持した。 
 
 なお、世論調査で中道系政党・民主運動が推すマリエル=ドゥサンチェス氏に投票すると答えた人は8%、緑の党のドゥニ=ボーパン氏は5%、極右政党「国民戦線」の候補者は4%、極左政党の候補者は3%だった。