2007-11-11

『緑の党』は同性愛者の権利を擁護する

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 1968年にフランスで起きた『パリ五月革命』のリーダーで、現在、欧州議会議員を務め、議会内会派「欧州緑の党」代表の、エコロジストの大御所・ダニエル=コーン=ベンディット氏に、2006年3月23日、ブリュッセルの欧州議会・事務所で独占インタビューすることができた。ダニーが「同性愛者の権利」について語った部分を紹介します。

────緑の党の特徴の一つに、同性愛者の権利を熱心に擁護する姿勢があります。なぜ緑の党は熱心に同性愛者の権利擁護に取り組むのですか。

ダニー 政治的環境主義は、自由という考えでもあります。自然だけを守れ!というものではありません。緑の党にとって個人の自由とは、その人の方向性、志向、生き方を選ぶ自由です。

 わたしたちは自由を強く擁護していますので、少数派が性的指向 (注1) を選ぶ自由も擁護しているのです。ですから、同性愛者が社会から認められ、同性愛者が結婚しようと思えば結婚でき、結婚しないことを選ぼうとすれば、結婚しないようになるべきだと考えています。ほかの性的指向よりも価値のある性的指向があるとは思えません。

────それは全体主義に対する闘いということにもなるわけですね。

ダニー ええ、全体主義に対する闘いです。キューバであれ、イスラム同化主義であれ、あらゆる全体主義者は同性愛問題に焦点を当てています。

 米国のジョージ=ブッシュ大統領は自由の擁護を語っていますが、あれが嘘だということは同性愛の問題を見ればよく分かります。彼には一つの世界の見方しかない。彼の世界の見方では、同性愛は罪ということになります。

同性愛的指向、衝動があると言い出せずにいるアメリカ人の同化主義者は多くいるでしょうから、アメリカの同性愛を描いた『ブロークバック・マウンテン』(Brokeback Mountain)(注2)のような映画はアメリカ人にとって非常に重要なのです。

────この映画を見てどのように感じましたか。

ダニー とても美しいですね。非常にいい映画だと思います。というのも、イデオロギーを作り上げることなく、性的指向を公言することとは何か、ということを2人のカウボーイによって示しているからです。そして、社会の規範から外れた異質である者に対する、社会の「暴政」ぶりが何たるもかをよく示しています。

自然の映像と、二人の男の自然な特性、性向という2つのモチーフが、非常によく機能していますね。とても魅力的で印象的でした。

(注1) 英語の「sexual orientation」の訳。性的な意識が向く方向。たとえば、同性のみに性欲が向くならば同性愛者といえ、異性のみに性欲が向くならば異性愛者といえる。

(注2) 保守的なアメリカの西部で、20年以上にも渡って男同士の愛を貫いたドラマ。2人のカウボーイは美しい山々から成るブロークバック・マウンテンで知り合い、恋に落ち、互いに結婚した後も密会を続ける。2006年の米国アカデミー賞では監督賞、脚色賞、主題歌賞を受賞した。2005年のヴェネチア国際映画祭で最高の栄誉「金獅子賞」を受賞した。ゴールデングローブ賞では、作品賞(ドラマ部門)、監督賞、脚本賞、主題歌賞の4部門で受賞した。