2005-10-21

マッカーシズムで「同性愛」は国賊扱いされた。

19日(水)、フランスのテレビ局「F5 Arte」で実に素晴らしいドキュメンタリーが放映されました。DVDで録画していたのであとで見ればいいか……とおもい、仕事をしながら見ていたのですが。

タイトルは「Les Derniers Jours Du SENATEURU McCARTHY」というものです。上院議員・マッカーシーの最晩年とでも訳しましょうか。

ジョセフ=マッカーシー(Joseph McCarthy)という米国上院議員のおっさんがおりまして、「共産主義者狩り」の急先鋒として知られています。赤狩りは「マッカーシズム」といわれています。晩年はアルコール依存症で物忘れが激しくなったとか。

なぜこんな過去の人物に興味を持ったのかというと、映画「Dr. Kinsey」(邦題:愛についてのキンゼイ・レポート)を見たからです。同映画の中では、性科学のさきがけであるキンゼイが「共産主義者」扱いされて弾圧されるシーンがありました。キンゼイ弾圧の先頭にいたのがマッカーシーでして、それで興味を持ったわけですね。

マッカーシズムで弾圧されたのは、キンゼイのような性的寛容派だけでありませんで、同性愛者もまた「赤の走狗」として検挙されていきました。

いまの時代、マッカーシーを見れば「変人」であり、「同性愛」=「共産主義」など言いがかりにしかみえません。しかし、時代の風にあうと、「変人」が「救国の主」に見え、熱狂を以て迎えられるのであり、ヒットラーしかり、日本の現首相然り(?)であります。現首相については歴史の評価が下るのは先のことですから、いまは断定できませんが。

マッカーシーは死んだわけでありますが、「マッカーシズム」的なものはいまなお徘徊しています。米国のエロ狩り、ゲイ・バッシングなど形をかえたマッカーシズムでありましょう。

日本では性教育バッシングの一環として、性解放派は「共産主義」思想であるかのようにいわれ、同性愛も敵視されています。こんなのは50年遅れのマッカーシズムなのではないかとわしは思います。

このたびのドキュメンタリー作品と、『Dr Kinsey』、まもなく日本で公開されるドキュメンタリー映画『インサイド ディープ スロート』をあわせて見ますと、米国の潔癖性的なエロ狩り・エロ嫌悪がよーく分かります。