2005-08-09

ゲイ男性死刑執行を弔ったアムステルダム=ゲイ=パレード

_12_0144.jpg

真っ白なシーツで覆われたボートの上には、紫色の花束が飾られていた。
ボートの後部には、モノクロの写真が掲げられていた。目隠しをした男性が二人、絞首台の前に立たされている。

運河がいたるところに通っているアムステルダムのゲイ・パレードは、「Canal Pride」と銘打っているように、70を超えるチームが大きな船にのって次ぎ次と、プリンセン運河を流れていく。

先頭を行ったのが真っ白なシーツのボートであった。

ファインダー越しに焦点を合わせても、それが何を意味しているのか、すぐには理解できなかった。絞首台に立たされた二人の男性について思いを巡らせていて、最近、起きた事件に思いが至った。

本年七月に、イランで16歳と18歳の青年が公の場で絞首刑によって殺害された。刑の理由は、彼らが同性とセックスをした……ということであった。

『イラン・イスラム共和国刑法』には次のような条文があるという。

第108条 ソドミーとは二名の男性で行われる性行為で、かつ性器の挿入を含むもののことを指す。
第109条 ソドミーが行われた場合、挿入者と被挿入者はともに処罰の対象となる。
第110条 ソドミーの処罰は死刑であり、執行の方法はイスラム法判事の指示に基づく。

(http://blog.livedoor.jp/cool_k/archives/28676555.html)

20歳(はたち)にも満たぬ10代青年が「ゲイである」というだけでその命を国家によって奪われるということが、地球上で未だに起きているのだ。
例年25万人(主催者発表)が参加するアムステルダムのゲイ・パレードは、オランダで三番目に大きな祭典である。年に一度の無礼講とばかりに、賑やかにパーと騒ぐのが慣わしであろうに、今年は痛ましく残忍な事件の弔いを、前面に出した。ロンドンのゲイ・パレードにムスリムの同性愛者男女が顔をヴェールで隠し参加していた話は、ゲイ雑誌『バディ』(テラ出版)最新号の写真記事で報告した。パリのパレードでは途中、数分間、AIDSによって命を落とした人々を悼み、すべての音楽・演奏をとめて黙祷した。
レズビアン・ゲイの解放を祝福しながらも、異国の地で殺された同朋にたいする配慮・心遣いに、私はひそかに感動を覚えた。
久々の東京レズビアン・ゲイパレードの開催を心から喜びつつ、しかし、心の片隅で未だに激しく迫害されているレズビアン・ゲイが世界にいることを、想起しなければなるまい。

(報告は後日に続く)

このエントリへの反応

  1. ゲイ男性死刑執行を弔ったアムステルダム=ゲイ=パレード
    及川健二のパリ修行日記 書き手●及川健二

    2005年8月9日 (火)
    ゲイ男性死刑執行を弔ったアムステルダム=ゲイ=パレード
    公開時刻● 5時05分

    真っ白なシーツで覆われたボートの上…

  2. 東京:同性愛者パレード開催へ 社会の理解求め3年ぶり / Tokyo pride set for…
    同性愛者パレード開催へ 社会の理解求め3年ぶり (共同 2005/08/09)

     同性愛者ら性的少数者の存在を少しでも知ってもらおうと「東京レズビアン&ゲイパレード」が13日、東京で3年…

  3. パレードのまとめ
    パレードが差し迫ってきた中、ニュースとしても配信されています。
    _______________________________________

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20...