2006-11-12

フランスに学ぶ「これからのパートナーシップ」

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 11月11日(土)、東京都内で「これからのパートナーシップ」というシンポジウムが開催されたので、私も足を運んだ。婚外子差別や同性カップルの権利保障を考えるシンポジウムで意義深いものだった。その後、予定が入っていたため、途中で帰ってしまったのだが、貴重な話を聞けて満足している。ただ、会場にトランスジェンダーの猿田玲さんのお姿をお見受けしたのに、御挨拶できず、後悔している。以前、いただいたメール・アドレスにメールするもエラーで戻ってきてしまう。猿田さんの御連絡先を知っている方は教えてください。

 さて、シンポジウムのパネリストは、事実婚を実践し婚外子を持つ福島みずほ社民党・党首、ゲイの石川大我さん、レズビアンの尾辻かな子・大阪府議だった。尾辻さんはいつも笑顔がステキで、私はすっかり魅了されている。今年、尾辻さんが中心となって、同性カップルの結婚合法化を含む「パートナーシップ」を考えるレインボー・トークというシンポジウムが日本各地で開催された。この問題を考える上で、フランスの話は大いに参考になる。

 拙著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)の第2部では、フランスのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)運動の先頭を行く人々にインタビューした。まず御登場いただいたのは、LGBTの理論家・専門家で国民議会議員&パリ市議を務めるパトリック=ブローシュ氏だ。

 「パクス(PACS)法をつくった超ゲイ・フレンドリーな政治家」と題したこのインタビューは、次のような章立てになっている。

1 ミッテラン政権、ジョスパン内閣での前進
2 パクスはこうして誕生した
3 同性婚、同性カップルの親権・養子縁組、女性カップルの人工授精に賛成する理由
4 「ホモ嫌い」、ベーグル市での同性婚、ヴァネスト議員の放言、HIV感染拡大
5 与党・国民運動連合(UMP)は同性愛者に貢献しているか
6 同性愛者がスケープゴートにされないか

 なぜ、同性カップルの権利を保障する制度が必要だったのか、なぜ、同性カップルの結婚合法化が必要なのか、フランスの最新理論・現代哲学に基づき、氏は議論を展開している。
 
 1997年から社会党の国民議会議員を務めているブローシュ氏は反差別の議員として知られている。同氏は異性カップルのみならず、同性カップルも結べる準結婚制度・パックスの創案者である。社会党・共産党・緑の党・市民運動・左翼急進党から成るリヨネル=ジョスパン連立政権が保守派の猛烈な抵抗が続く中、120時間の審議の末に1998年、パクス法を成立させた。「怯まず、屈せず、逃げず」の気概を以て、LGBTの権利を擁護しているのが、ブローシュさんだ。

(写真はブローシュ議員。著者撮影)