2011-12-19
峰なゆか×雨宮まみ「こじらせ女子 総決起集会!!」
こじらせ女子同士との遭遇
雨宮 雨宮まみと申します。今日はよろしくお願いいたします。
峰 峰なゆかです。よろしくお願いします。
雨宮 今日のイベントは勝間和代さん以来の速さで席が埋まったと聞きまして、あまりの格の違いに逆に切ない気持ちです。今日は知り合いの方が10人以上来てくださっているので、勝間和代ほどいろんなものは持ってないけれど、友情には勝間さんよりも恵まれているな、と勝った気でいます(笑)
今日は『アラサーちゃん』が絶好調のなゆかちゃんに、「知り合いだからちょっと出て」と頼んでゲストに来てもらいました。『女子をこじらせて』の中でも、久保ミツロウさんに「知り合いだから対談して」とお願いしましたし、完全に友情の力だけでのし上がっている感じです。
手元に本をお持ちの方は帯を見て欲しいのですが、まるで久保ミツロウの本みたいに、背オビに著者名より大きく「久保ミツロウ」と入っています(笑)。間違わせて売る気満々で、完全に友情に乗っかって商売をさせていただいている感じなっております。
ところで、なゆかちゃんはこじらせてるの?

峰 雨宮さんとはよく二人でお茶をするんですけど、喫茶店で5時間ぐらい、コーヒーを何杯か頼んでずっとこじらせてる話しかしないんですよ。
雨宮 なゆかちゃんは初めて会った時の印象がかなり強烈なんです。なゆかちゃんがまだAV女優だった頃に、グラビアの撮影現場に私が取材に行ったときのことなんですが。
峰 よく覚えてます(笑)。
雨宮 そのときのなゆかちゃんといえば、ゴージャスセレブ系のキャラで売られてたじゃないですか。
峰 そうです。インチキセレブ痴女みたいな感じですね。
雨宮 「極上ボディ!」という感じで、パッケージでもゴールドの水着とか着てましたよね。だから私が「ゴージャス美女が中にいるんだ」と思ってドアを開けたら、そこにいたのはメガネをかけて全然巨乳とかが目立たない服を着た女の子で、しかも魚喃キリコの『ストロベリーショートケイクス』を読んでたんです(笑)。
「峰さんってこの人ですよね??」と不安になったんですが、その場にいる他の人は全員男だから、消去法で考えると峰さんである人はその人しかいないんですよ。「ゴージャスセレブじゃなくて、魚喃キリコかー」と思ったのを覚えてますね。
峰 すごく食いつかれましたね(笑)。
雨宮 「え、魚喃キリコ好きなんですか? 他にどんな漫画読んでるんですか?」と聞いた記憶があります。
峰 私のほうも、現場に来るライターさんはだいたいおっさんなので、若い上品な女の人がおしゃれな格好で来たから「この人はたぶん、普段はファッション誌でメイクとか美容について書いてるのに、悪い編プロの人にだまされてこんな現場に来ちゃって、どうしようって思ってるんだ。かわいそう」と思ってて(笑)。
雨宮 確かにそのころはまだ女優さんの取材に慣れてなくて「こんなにきれいな人と会うの超緊張する!」と思ってかなりドキドキしてましたね。
峰 だから脱ぐのも申し訳なくて、「別に私の乳首なんて見たくないだろうに、すみません」って(笑)。
雨宮 見たいんだけど、こんな間近で見ちゃっていいのかなってドキドキして、微妙に恥ずかしいムードが漂ってしまって申し訳なかったと思ってます。
峰 いやいや。その後、できた雑誌をもらって読んでいたら「男優さんの声がエロい」みたいなことをすごいねちねちと書いたコラムがあって、誰が書いてるんだろうと思って見たら、雨宮さんの名前が載っていてびっくりしました。
雨宮 『増刊 峰なゆか』ですよね。
峰 そうです。そのコラムを見てあまりにびっくりしたので「雨宮まみ」で検索したら、雨宮さんのブログを発見したんです。そこで「あ、全然美容ライターじゃない」と気づきました。
雨宮 そうなんだ! すっごい恥ずかしい(笑)。その後、私がアップリンクでやったイベントに来てくれたんですよね。ブログに感想を書いてくれたばかりか、本当に来てくれてたんだ、と思ってびっくりした記憶があります。
自分だけ遊園地に誘われなかった
雨宮 なゆかちゃんのこじらせ話に戻すと、自分の認識ではこじれてると思ってますか?
峰 はい、それはもう!
雨宮 『アラサーちゃん』を読むと、ストレートに順風満帆に生きてきた人には書けないものだとわかりますけど、外見ではわからないですよね。
峰 そうなんです。AV女優ってまったくこじらせてないと思われてますし。
雨宮 そうそう。どっちかというと、男からも女からも「こいつモテモテで人生送ってんだろ?」みたいに見られがちですよね。でも、そんなことはない?
峰 そうなんですよ。

雨宮 ちょっと半生を語ってくださいよ(笑)。
峰 では語ります(笑)。私も、いまは「イケてる女子」みたいな方に分類されるんだとわかってきたんですけど、小学生くらいの頃は、本当に自分がゲロブスだと思ってました。
雨宮 周りからそう言われたりしたの?
峰 そうですね。実際クラス内でもそういう扱いだったし。
雨宮 いわゆるスクールカーストの、イケてない女子の側に入ってたんだ。
峰 そうです。それで、世界で何百番くらいに入るブスだと思ってたんです。
雨宮 思い込みが激しいですね。
峰 そうなんです。だから、結婚するとか彼氏ができるとか、全く思ってませんでした。でも、だんだんエロいことがあるとわかってくるじゃないですか。そうすると、「私はセックスもできないのかもしれない」と思うようになって。当時は難しい順に、セックス→恋愛→結婚かな、と考えてました。
雨宮 そうそう。順番的に、セックスが先にくるんですよね。恋愛とか結婚は、愛し愛されて的なことだからセックスよりもハードルが高い。
峰 そうなんですよ。結婚や恋愛ができないことに対しては自我を保っていられたんですけど、セックスができないかもしれないっていう新たなものが出てきて、これはほんとに……
雨宮 自我が保てない(笑)。セックスについては、自分の内なる欲求としてもしたかったし、世間的に「できない」っていうのも嫌だという、両方がありましたか?
峰 そうです。その頃の私は町を見渡して、不細工なおばさんが子供を連れて歩いてるのを見ると「あんな人でもセックスしたんだな」って思ってました。
雨宮 考えてることが童貞と一緒だよね(笑)。
峰 そうですね(笑)。「私はできないんだ。あの人以下なんだ」と思って、改めて自分はゲロブスだと心に刻み込んでいったんですよ。
雨宮 刻み込まなくてもいいことを……(笑)。でも、わかります。「あの人が結婚できてるのに私はできてない」「あの人がセックスできてるのに私はできてない」というのは、私には何か欠落があるからだと考えてしまうんですよね。私は顔以外にも内面にも原因を求めたので、こじらせていっちゃいました。なゆかちゃんは外見だけだった?
峰 どうだったかな。性格があまりよくない自覚はありました。かわいい子はいるだけで周りの人を幸せにしますけど、いっぽうで不細工な人は見たくもないし、そういう扱いを受けるから、性格だってねじれて当然、と開き直ってた部分はありますね。
雨宮 「私は性格がねじれたってしょうがない」というのは切なすぎます(笑)。
峰 あと、「モテない」という状態は男と私の問題だけじゃなくて、女友達との関係にも関わってきますよね。『女子をこじらせて』に「自分だけ恋愛の相談をされなかった」と書いてありましたけど、すっごいわかります。私もされなかったんですよ。
雨宮 マジで!?
峰 誰と誰が付き合ってるとかも、ぜったい教えてもらえませんでした。たぶん、ちょっと哀れまれてたところもあったと思うんですよ。
雨宮 「こいつは恋愛とか縁がないから、こういう話したらかわいそう」みたいなやつですよね。それ、未だに多少感じるときがありますよ(笑)。辛いですよね、あれ。周りはみんな知ってるのに、別のクラスの別のクラスの別のクラスの……とぐるって回った後に部活の後輩とかから伝わってきて、「あ、そうなんだ……」みたいな。
峰 「1ヵ月半くらい前にみんなが話をにごしてたのって、その話してたんだ……」みたいな。
雨宮 タンスの中の古新聞の記事で初めて知ったニュースくらいの遅さで伝わってきますよね。
峰 友達ができても、男女みんなで行く遊園地に誘われないですよね。
雨宮 ダブルデートじゃなくて、みんなで行くやつでしょ?
峰 そうです。別に男女の人数を合わせるとかじゃなくて、みんなで行くやつで。
雨宮 合コンでもなくて、仲良しグループみんなで行こうね、みたいなやつなのに。
峰 そうです。あ……
雨宮 あ、いまちょっと古傷を……(笑)。
峰 辛いから忘れてたんですけど、『女子をこじらせて』を読んで、私の傷が開いたんです。
雨宮 ごめんなさい(笑)。
自分の頭の中のイケてる男子が許さない
峰 自分は顔も中身もダメだしアピールするところがないなと思っていたんですが、勘違いブスになるのも怖かったんですよ。不細工な女の子が濃いメイクをして露出系の服とか着てるのを、男の人はすごいバッシングするじゃないですか。
雨宮 あれを一度でも聞くと、もうできなくなるよね。「あいつ脚太いくせに網タイツ履いてなんだと思ってんだよ」みたいなことを陰で男の人が言ってるのを聞くと、わあって震えあがって、「私の今日の服装もなんか言われてるのかな」と思ってしまいます。何かを選ぶごとに、ひどい男のバッシングが脳裏に蘇るよね。
峰 だから、モテ系の格好ができない。まずミニスカートが履けません。
雨宮 ありますね。「こいつブスのくせにミニスカート履いて、色気ねえくせに誘ってんのか?」みたいな言葉が頭のなかをぐるぐると……。
峰 誰にも言われなくても、頭の中のイケてる男子が言ってくるんですよね。
雨宮 払っても払っても聴こえてきますよね。
峰 私が小学生だか中学生のころに「肌水」が流行ったんですね。小学生の女の子も、肌水だったらおこづかいで買えるから、みんな肌水を使ってたんですよ。私も「ペチペチやってみたい」と思って薬局に行ったんですけど、どうしても買えないんですよ。
雨宮 肌水ですら(笑)。
峰 そう。肌水ですら、「おまえ肌をどうにかしたらモテると思ってんの?」と思われたら、「私もうその場で爆散しちゃう!」みたいな。なんでもかんでも、それぐらいに考えてました。
雨宮 いまはいい感じになってよかったですね。
峰 いまはもう肌水買えます(笑)。
雨宮 こういう考えは、何かきっかけがあって克服できたですか? 完全に克服したかどうかはともかく、いまは肌水も買えるし、かわいい格好もできてるじゃないですか。
峰 きっかけになったのは、たぶん、胸が大きくなってきたことです。
雨宮 胸で成り上がった!
峰 中身も外身もなかった女におっぱいがついたことで、ひとつの自信になったんです。
雨宮 神様がオプションを与えてくれたんだ(笑)。
峰 とはいえ、おっぱいがあるだけだと。これは歳をとればとるほど価値が下がってしまうから、女子高生のうちになんとか処女を捨てておかないとチャンスはないと思ったんです。
雨宮 若さもオプションだから、そのオプションがとれないうちに捨てておかないとと思いますよね。
峰 あと、気づいたんですよ。勘違いブスも、高校生ぐらいになるとセックスできるんです。
雨宮 そう! そうなんですよね。
峰 地味なブスは、男が10人いたら10人無関心ですけど、勘違いブスは10人いたら9人からは嫌われても1人くらいセックスしてくれるんですよね。そのことに気がついたときは「すごい発見だ!」と思いました(笑)。だから私は勘違いブスでもいいやと思って、ドエロい格好をして街を練り歩くようになったんです。すごい田舎の雪国だったんですけど、私はホットパンツに乳の谷間丸出しにして、寒さで脚を真っ赤にしてました(笑)。
雨宮 すごい、いじらしい! いい話ですね。
峰 当時は頭おかしいって言われてましたね。でも、セックスができました。
雨宮 セックスさえできれば、恥ずかしいなんて大したことじゃないですもんね。恥ずかしいとか、○○って言われたらどうしようという恐怖を1回乗り越えると、けっこういけますよね。「私は恥ずかしいこととセックスだったらセックスの方が大事!」と割り切っちゃえば。
こじらせ女子ヒエラルキーの図
雨宮 私、今回「こじらせ女子ヒエラルキーの図」を作ってきたんですよ。
会場 (笑)
峰 雨宮さんの手描きで(笑)。超かわいいです。
雨宮 すみません、パワーポイントが使えなくて……。しかもスキャナーがないので、手で書いたものを写真に撮ってきました(笑)。
1番下がいわゆる非モテ、喪女と言われる人たちで、セックスはできない、恋愛も困難。しかし結婚に関しては、後がないと思っているぶん真剣に臨むので、意外と強い。
その上がセフレ的存在です。要するにセックスの対象として見られる存在ですね。この層はセックスできる。口説かれるし、恋愛もできなくはないので、周りから見るとそこそこモテてるように見えるし、自分自身でもモテてると勘違いして、夢や希望を捨てられず、婚期が遅れていく。非モテ喪女からセフレ的存在へは成り上がれるんですよね。
峰 ブスでも顔をぐちゃぐちゃ塗っておけばいけるんですよ。
雨 ひどいなあ(笑)。
峰 勘違いブスの濃いメイクは、綺麗になりたいのではなくて、顔を隠したいだけなんですよね。モザイクをかけるような感覚でつけまつげをいっぱいつけて、本来の顔の作りをわからないようにしてるんです。
雨宮 そうですね。ブスでもセフレ的存在へは成り上がれるんです。成り上がったところで婚期は遠のいているので、真剣な恋愛とか、愛し愛されて生きるという面では、逆に非モテ喪女のほうが強かったりもするんですよ。便宜上成り上がりっていう言葉を使ってるけど、むしろセフレ的存在になったことで不幸が増すパターンもあり得ます。
峰 非モテの人は、付き合ったら「この人しかいない」と思うからパッと結婚したりするんですけど、セフレ的存在は「まだいるかも」と考える。
雨宮 自分もそう思ってるし、相手からも「こいつはセフレだから本命とか嫁には選ばない」みたいに若干格下に見られて、なかなか難しいんですよね。遊んでる感じになってしまうからかな?
セフレ的存在の上からはモテ枠で、「テクニックモテ」です。『アラサーちゃん』に出てくる層でいうと、ゆるふわちゃんとアラサーちゃんはどっちもテクニックモテに入るかなと思ってるんだけど、どうですかね?
峰 両方、テクニックモテですね。
雨宮 テクニックモテはセフレ的存在から成り上がる場合もあるし、元からテクニックモテっていう人もいます。共通しているのは、自分の本質を熟知していて、モテというのは向こうから勝手にやってくるものではないこともよく知っているから、自覚的に自分を演出してテクニックでモテているところ。こういう人はちゃんと考えてやっているので、本命に自分を選ばせるし、結婚相手としても選ばせるようにうまく事を運んでいきます。もちろん失敗もあるし、ゆるふわちゃんの悲哀もそこにあると思うんですけど、たいてい抜かりなく結婚するルートを選ぼうとしていて、実際うまくいくことが多いですよね。うまいです。
セフレ的存在として苦みを噛み締めたあとに、「やっぱりこれは本命に選ばせないといかん」と気合いを入れて、テクニックモテに変身を遂げようとする人もいますね。
そして、このピラミッドの頂点に達しているのが「天然モテ」です。テクニックモテから天然モテへの間には超えられない壁が存在しています。成り上がりはあり得ません。天然モテは100万人に1人の割合で生まれる奇跡的な存在なんです。
峰 100万人なんですか(笑)。
雨宮 実際はもうちょっといると思うけど(笑)。ルックス、性格、言葉遣いやしぐさ、センスまで、全てがモテるために生まれてきたかのようなサラブレッド。本人はモテようと思ってモテてるわけじゃないので、特にモテをありがたがってはいないんですよね。モテることに執着がないので、自分が好きと思えば割とサクっと結婚しちゃったりするのが特徴です。いますよね、天然でモテてる人。
峰 います、います。だいたい恵まれてる環境なんですよね。育ちがよかったり、「なんで小学生なのに仕草がそんなに優雅なんだい?」みたいな。そういう子って、モテなさそうなメイクとか露出の多い服を「はしたない」と思ってますよね。これやっちゃうとモテないとかじゃなくって。
雨宮 でも、同性から見ても全然嫌な人じゃない。あまりにもモテすぎてて、「あいつわざとやってんじゃねえの?」みたいな陰口をたたかれることはあるけど、本人はまったく意識してないんですよね。
峰 女の子にも優しいし、君ほんと素晴らしいね、と。
雨宮 君ほんと素晴らしいねって、プロデューサーみたい(笑)。
リア充に憧れてはいけない
峰 そういえば私、女子アナが大嫌いで黒い感情を持ってるんですよ。小動物系というか、全体的に小さい感じ……「おまえ手ちっちぇーな」とか言われる感じ。そういうのには自分は絶対なれない。自分がどう頑張っても絶対なれないの腹が立つんです。でも、天然モテの人にはそういう黒い感情は一切抱かないんですよね。
雨宮 天然だからしょうがないっていうことですかね。才能の前に人はひれ伏しますよね。
峰 この場にいてくれるだけで本当に清らかな心になれますね。
雨宮 テクニックモテも、さすがって感服するレベルだと「お見事!」と思えるけど、女子アナって職業が姑息ですよね。芸能人っていう華やかな職業なのに会社員だから堅実なイメージもあって、一挙両得のずるいポジション。
峰 それなのにバナナばっかり食べてね。ほんと最低ですよ。
雨宮 やってることは最低ですよね。
峰 バナナNGの女子アナか、開き直ってバナナを食べるDVDに出たりすれば応援するんですけどね。「それが何かを男性にイメージされてるとはまったく知りません。私はバナナを食べてます」みたいな感じでバナナ食べられると、つねりたくなってくるんです。
雨宮 私は、ヒエラルキーの一番下の非モテ喪女からスタートしたときには、自分の1ランク上のセフレ的存在がこの世の中の頂点に見えてたんですよ。
峰 あはは(笑)。
雨宮 人は自分のひとつ上の段階しか見えない生き物なんですよね。天然モテは絶対無理だし、テクニックモテですら自分とは人種が違うから、視界に入ってこない。でも、セフレ的存在だったらもしかしたら成り上がれるかもしれないと思いつつ、セフレ的存在の頂点に立ってる人たちのことはすごいまぶしくて。だから、AV女優は私の中で理想の頂点だったんですよ。そう思いこんだことにより、いまも婚期を逃していますが……。
そのころに思っていた、「私の中でのリア充とはこういうものだ」という映像を、今日は持ってきました。
—————(RIP SLYME『熱帯夜』PV 映像上映中)———————————
雨宮 これがリア充の映像です。
峰 あはは(笑)。雨宮さんは、あれになりたかったんですか?
雨宮 なりたかったんです。冷静に見れるようになったのはごく最近で、これがヒットしていた頃は、涙なしでは見れなかったです。
とくにものすごく美形ではなくても、自信がある女がうらやましいし、男もうらやましいんです。余裕あると、リア充オーラで魅力的に見えるんですよね。憧れの世界。
峰 私もいますごく憧れました。
雨宮 でも憧れちゃだめなんですよ。絶対このあと乱交パーティとかやったに決まってますけど、この人たちが結婚するのは結局モデルとか女優なんですよ!
峰 あはは(笑)。
雨宮 こんなやらしいことしながら、結婚するときは手堅く、なんなら女子アナも視野に入れてるわけですよ。だから騙されちゃだめ。すごい好きな世界なんですけど、これが至高の姿だと思っていると婚期を逃すという怖さが、私の中でありますね。
峰 衝撃映像でした。
雨宮 ほんとですか? 持ってきてよかった(笑)。
私は、これを史上最大のリア充の姿だと思い込んでしまったばっかりに、セフレ的存在から抜け出せない層に入ってしまったです。セックスできればリア充だと思うこと自体が童貞の発想だと、最近気づいたんですよ。その発想それ自体は別にいいんですけど、「人生の上がり」をせせこましく考えると問題のある思想かな、と。
峰 私も、当時はセックス1回でもできれば完全に勝ち組だと思ってました。
雨宮 処女喪失した後とか、勝利感溢れて「わっしょーい!」という感じでしたよね。シャンパンコールしたいくらいのテンションで、勝ち組になれたと思って。
峰 そうなんですよ。私は初体験は適当なヤンキーの男と一発やったんですけど、「私、これで死ぬまで一生勝ち組側に入った!」と思いましたよ。
雨宮 死ぬまで(笑)。じゃあ、その後は勝ち組人生を歩んでるということになりますね。
峰 当時の私の価値観でいえば勝ち組なんですけど、当時の私の価値観って完全におかしいですからね。
雨宮 テンション下がりますね(笑)。
自分の好みと「釣り堀」を見極めろ!
雨宮 さっき見たリア充の映像は、確かに今見てもうらやましいとは思うんですけど、これだけではないなということに気が付きますよね。セックスの上には「好きな男子にモテる」というステージがある。「セックスができるようになったからには、いよいよ恋愛もできるんじゃないの?」という欲が出てくるというか。
そうすると、好きな男子にモテるにはどうすればいいのかを考えはじめますよね。先日聞いたら、なゆかちゃんの髪型は蒼井優の真似をしているそうで(笑)。
峰 私は基本的に、「蒼井優が好き」と言うような男が好きなんですよ。
雨宮 蒼井優が好きなわけじゃなくて、蒼井優が好きな男が好きなんだ(笑)。
峰 蒼井優は超嫌いです。蒼井優のことが好きな男の人は、たいてい私みたいな似非セレブ痴女みたいなのは嫌いなんですね。だから、せめて髪型だけでも努力したいと思って、真ん中分け黒髪ロングにしてるんです。
この話をするとみんな笑うけど、私けっこう真剣にやってるんですよ。
雨宮さんは「清原みたいな男が好き」とよく言ってますけど、清原みたいな男にモテるために頑張っていることは何ですか?
雨宮 清原みたいな男ではないですけど、一時期ギャル好きの男に好かれようと必死にギャル服を買いあさってました(笑)。でも、109の真ん中で「私の骨盤はどうしてこんなに太いんだろう」と号泣しそうになったくらい、本当に似合わなかった。
峰 109のフリーサイズって超小さいですよね。自由って、狭いな……みたいな(笑)
雨宮 肉じゃなくて骨が入らないんですよね。骨格の違いは乗り越えられない壁じゃないですか。髪型を真似しようと思うけど癖っ毛だから真似るのが大変、とかだったらなんとかなるけど、骨はちょっと無理かなと……。
最近、その当時作った免許証が出てきたんですけど、すごい茶髪で今見ると全然似合ってなかったり。その頃はそういう努力をしてましたね。いまも若干努力してるけど、姑息すぎてあんまり言えないです(笑)
現在も努力してるなゆかちゃんは実際どうなんですか? 男子からは「なゆかちゃんって蒼井優に似てるね」みたいなこと言われるんですか?
峰 言われるわけがないじゃないですか! 超いじわるな質問ですよ!(笑)
雨宮 アラサーちゃんがゆるふわちゃんの服を着たとき、文系くんだけは「あ、今日の服かわいいね」と言ってたから、もしかして言われたことあるのかなと思ってたんですよ。
峰 まあ、ないですね(笑)。
雨宮 髪型を蒼井優にしたことによる効果を感じたことは?
峰 ないですね。私は文系男子には嫌われますけど、バブル期に活躍していたおっさんたちにはモテるんです。
雨宮 肩からセーターかけてたような人たちには(笑)。
峰 そうです。自分がバブル側であるという自覚はあるんですけど、私はそういうおっさんは全然好きじゃない。
雨宮 私は村上龍が大好きなので、その状態はすごくうらやましいですよ。でも、なゆかちゃんは村上春樹が好きなんだよね。
峰 そうです。
雨宮 私はどんな人にでも、「その人がモテるジャンル」があると思っていて、それを「釣り堀」と呼んでるんですけど、なゆかちゃんの釣り堀はバブル期のプロデューサーなんですよね。
峰 雨宮さんの釣り堀はどこですか?
雨宮 私の釣り堀は……(笑)
峰 なんでそこ照れるんですか(笑)。
雨宮 えっとね。思い込みが激しい……
峰 あ、わかった。この中にいるから言いづらいんだ。
雨宮 いやいや(笑)。
峰 だって、今日のイベントに、男子はなんで来てるんですか? 雨宮さんが好きだからじゃないんですか?
雨宮 あはは(笑)。
峰 (会場を指さして)あれ?
雨宮 指ささない!(笑)でも、必ずしも釣り堀の人と自分の好みのタイプは一致しないじゃないですか。
峰 だいたいみんな違いますよね。私も自分の釣り堀の人は嫌なんです。
雨宮 観察してると、天然でモテてる人は意外とそこを気にしないですね。こじらせていて、そこから卒業してテクニックモテに行こうと頑張っている人ほど、釣り堀の人のことを嫌がる傾向がある。
峰 なんかグサッときた! 私いま、すごいショック受けてます!
雨宮 自分と同類のにおいがする人を嫌うんですよ。自分は現在進行形でこじらせていると認識しているこじらせ男子なら分かり合えるから、いい感じに話せたりできるんだけど、昔はこじらせてたけど今は卒業したという意識の人は、こじらせてる人のことをすごく嫌います。女もそう。自分が這い上がってきた泥沼からゾンビが手を伸ばしてきたみたいに感じて「来るな、来るな」と振り払ってくるんですよ。ちょっとでも気を抜くとまたダークサイドに落ちてしまうという恐怖からくる同族嫌悪だと思います。
峰 そういうことだったのか……。
雨宮 だから釣り堀の人のことを「こんなぬるま湯にオレは甘んじてちゃいけない」と嫌がるんです。「もっと高みをめざさなきゃ」みたいにね。
いきおいで巨乳を否定しないでほしい
雨宮 なゆかちゃんの好みはどこになるんですか?
峰 好みは文系男子です。
雨宮 草食系メガネ男子とか言われるタイプ?
峰 そうですね。
雨宮 そういう人とおつきあいしたことは?
峰 ありますよ。
雨宮 どうでした?
峰 最初はものすごい嫌われるんですよね。
雨宮 嫌われてるのによく付き合えましたね。どうやって乗り越えたんですか?
峰 まず、AV女優だと言うと、文系男子にはもの凄く引かれますよね。そして「へー……。いいと思うよ」とか、心ないことを言われたり(笑)。
雨宮 他人事みたいなコメントを。
峰 俺の人生には関わりのない人と思われるんですよね。だから最初に「私は、君が読むような本も読む人間なんですよ」とアピールしていくところから始めるんです。春樹好きですよ、怖くないよって。
雨宮 ナウシカ的な(笑)。根気よく「私も文系女子なの」と内面をアピールしていくということですよね。「AV女優という肩書きにだまされないで、ほんとの私を見て」的な感じでいくと、わりと良かったわけですか?
峰 AV女優のイメージはすごく強いので、時間はかかりますけどね。
雨宮 「私はそれでも春樹が好き」と刷り込むのには時間が必要。
峰 それくらいしかアピールするポイントもないので……。
雨宮 文系の男子には、おっぱいは効かないんですか?
峰 ああいう人は、「貧乳のほうが好き」と言うのが知的だと思ってるんですよ(笑)
雨宮 なゆかちゃんは、たまに貧乳をすごいdisるよね
峰 いいかげん貧乳にガタガタ言われるのに腹が立ってきて。
雨宮 巨乳disをされるってこと?
峰 貧乳がコンプレックスだというのは個人の勝手なので、いいんですけど、それでついでに巨乳をdisるのは、ちょっと面の皮が厚すぎるんじゃないかと思うんですよ。貧乳だって巨乳だって、それなりにコンプレックスがあるわけじゃないですか。でも、巨乳がちょっとでもそういうこと言うと、貧乳は「出た! 巨乳自慢出た!」みたいな(笑)。
雨宮 世間的には巨乳のほうがいいと思われてるから、そういう風に言われますよね。
峰 でも、世間的にいいと思われているのと、実際それでモテが得られるかは全然違うじゃないですか。
雨宮 自分の好きなタイプのニーズに合致しなくて悩んでいる立場としては、よけいに腹が立ちますよね。
峰 そうなんですよ。前は我慢してたんですけど、最近は「いいかげんにお前ら黙れよ」と。
雨宮 私も基本的に巨乳の人は羨ましいと思っていて、巨乳をdisる気持ちは全然なかったんですけど、1回だけ「これは」という場面に遭遇したことがありました。
巨乳の女優さんがいるAVの撮影現場で、お昼ご飯に鶏の唐揚げの大皿が出たんですね。ご飯とかは別であって、みんなでおかずをつまみながら食べるシステムで。
そのときに誰かが「鶏肉を食べると胸が大きくなるらしいよ」というトリビアを披露したんですけど、そしたらその巨乳の子が、「えー、私、これ以上大きくなったら困るー」とか言って、鶏肉にのばした箸を止めたの。そのとき「こいつ、殺してやろうか!」と(笑)。
峰 そうやって巨乳の評判を下げる巨乳がいると本当に腹が立つんですよ! ほんとに最低です!
雨宮 私も貧乳の品位を下げるような貧乳に対しては、「君たちやめなさい」と言いたいですね。言わなきゃいいことじゃないですか。
峰 男の人も「巨乳とかあんまり好きじゃないんだよね」みたいなことを言いますよね。
雨宮 そういう男むかつく! 巨乳の女の子がどういう気持ちでそれを聞いてるのか考えろって思う! 貧乳が好きって言うことで「女に優しい俺」をアピールする人もいますよね。
峰 いる! 「大きさは関係ないよ」くらいなら「つまらないこと言ってるな」ぐらいにしか思わないのに。
雨宮 「こじらせてる女子もかわいいじゃん」とか言って「優しい俺」をアピールして、姑息にモテようとしてくるやつもいますよ。「今まで付き合った女の子のタイプもバラバラだし、あんまり気にしたことないな。好きになった女の子が好きな子じゃん」ぐらいの無難な言い方ならいいけど。
峰 どうしてついでに巨乳バッシングをする必要があるのかわからないです。
控えめとこじらせのあいだで
雨宮 いま聞いてると、無難な人がモテるような気がしてきた。あまり自分の好みをハッキリと発揮しない方が、「いい人」という印象をもたれますよね。のほほんとしてる人のほうが、巨乳と貧乳について語りまくってる男の人よりも感じよくない?
峰 確かに(笑)。
雨宮 私たちも、モテるにはもうちょっと黙ったほうがいんじゃない?(笑) こういう激しいことを言ってるとまずいというのは、たまに感じます。
なゆかちゃんは、『アラサーちゃん』を出して、どうですか? すごいモテたとか、男が引き潮のように引いていったとかありますか?
峰 私、『アラサーちゃん』はモテたくて描いたんですよ。
雨宮 間違ってるよ(笑)。
峰 わかんない! 別に蒼井優の髪型も間違ってないし、モテようと思って『アラサーちゃん』描いたのも、間違ってないですよ!
雨宮 (笑)なゆかちゃんの人生的には絶対に描いたほうがよかったと思うけど。
峰 アラサー女性の魅力を描いて、もうちょっと男の人の萌えポイントを広げてほしいし、『アラサーちゃん』って、主人公のキャラがまずかわいいじゃないですか。だから、「峰さんもこんなかわいいこと考えてるんだ」ってなれば。
雨宮 なんか、それちょっと……(笑)。
峰 なに、その笑いかた!
雨宮 こんなにいろんなことが見えてるのに、自分自身のことに関しては、あれですね……(笑)。
アラサーちゃんは見た目もかわいいし、素敵な女性だし、頭もいいと思いますけど、これを読んだ男性は「俺もこんなに厳しい目で見られてるのか」と若干ビビるんじゃないですかね。
峰 これまでも「モテるために描きました」と言うと「逆効果じゃん……?」と首をかしげられることが多かったんですけど、今の説明を聞いて「へー」と思いました。
雨宮 度量の広い男ならそういうことは気にしないので、泰然と構えていて大丈夫だと思いますよ。
峰 文系男子は度量が超狭いので。
雨宮 やばいですね。文系男子の群れの中から「アラサーちゃんこわい」と思ってる男子を排除すると、だいぶ残りが少なくなって、絶滅危惧種みたいになってきますね。
峰 雨宮さんも『女子をこじらせて』を出して、モテなくなることをすごい気にしてますけど、モテなくなるかな? 今までもブログで色々書いてきたじゃないですか。
雨宮 ブログなんて人は細かく読まないですよ。書いた本人だって何書いたか忘れてるんだから。本になるとまとまって読めちゃうので不安なんです。これを出したことによって、いろんなことに影響が出るのを懸念しています。
峰 実際どうですか? まだ発売からそんなに経ってないですけど、変化はありました?
雨宮 危機感を感じすぎて、最近はモテる人に恥をしのんで「どうやったらそんなにモテるの?」という聞き取り調査をしてるんですけど、まず言われたのは、「よくAVライターなんていうモテない職業を選んだね」ということ。モテる人は意識の持ち方が高いから、職種を選ぶときもモテる職業を選ぶ。AVライターになったときの私も、もしちょっとでもモテてていたら、失うものを気にして別の職業を選んでいたと思うんですけど、まったくモテていなかったのでAVライターになってしまい、こんな本も出してしまい、「あちゃー」みたいな。モテてないから失うものはないと思ってたんですけど、確実に未来を失いましたね。
峰 そういうことは、本を出す前は考えなかったんですか?
雨宮 考えてなかったね。ゲラの時点でもあんまり考えてなくて、見本誌が刷り上がったくらいになって、初めて青ざめて。
峰 それまでは全然気づかなかったんですか?
雨宮 まったく気づいてなかった。今のところ、特に男性からは何も言われてないですね。腹が立つのが、いろんな人に献本をお送りしたんですけど、送った男の人本人より先に、嫁とか彼女が読んでるんですよ。彼女のほうが先にツイートしてたりして。自分より先に読ませるんだったら、これから彼女に直接送るから、住所教えろや! と(笑)
峰 『アラサーちゃん』を出してモテるようになったかを考えて気づいたけど、この半月、モテるモテないを判断される場にいっさい行ってないんですよ。それがまず終わってる。
雨宮 引きこもりってこと? 男女のことが関係ある場所に行かなかったの?
峰 そうですね。
雨宮 『アラサーちゃん』に「男からモテたいんじゃなくて、女からモテる人認定されたいだけ」という言葉が出てましたけど、実際そう思ってるんですか? 男からはモテなくていいの?
峰 いっさいモテなかったら困るんですけど、ちゃんと恋愛相談の話とかをハブらずにしてもらえるポジションにつきたいんです。
雨宮 なんだー。私でよかったらするよ、相談(笑)。
峰 はい(笑)。
雨宮さんは、女の人から「こいつダサイしモテない」と思われてるけど、意外とモテてているという存在でいいんですか?
雨宮 全くモテないというよりはいいけど、女に見下されるのって辛いんだよね。
峰 そうなんですよ。
雨宮 私、大人になってからは女の友人には恵まれていて、なゆかちゃんもそうなんですけど、優しくされた記憶しかないんです。いまは、いじわるされたり見下した目線をあからさまに感じたりすることはほとんどないから、たまにあると学生時代の悪夢が蘇ってゾッとするのね。
峰 うん。やっぱり、同窓会とか怖くていけないですもん。
雨宮 私も行ったことないし、この本を出したことによって絶対に行けない感じになっちゃった(笑)
こじらせてる女子は、私はすごくいいと思ってるんです。性根がねじれてて「自分がこじらせてるのは社会が悪い」と怒りを誰かにぶつけたりしている人は、こじらせてるんじゃなくて単に性格が悪いと思うんですよ。まともにこじらせてる人は、だいたいちゃんとしてるんですよね。働いてるし、見た目もひどくないし。じゃあなにがこじらせてるのかというと、内省的なんですよね。自分に対して厳しいというか。「私はここがダメだから」とか「私なんかこんなんじゃダメ」とか、謙虚が度を超した状態の人が多いと思うんです。度を超さなければ、「私なんか」というのは控えめだと見えるし、単なるいい人じゃないですか。
こじらせてる女子は、男子の目から見てどう映るかはわからないけど、同性から見るとすごくかわいい人が多いんですよね。
峰 うんうん。
雨宮 だから、私はこじらせてる女子に肯定的な気持ちを持ってるし、幸せになってほしいと思ってます。
この本を踏み台にして、「こいつと同じ失敗はすまい」と思ってステップアップして、コンプレックスを克服し、劣等感をバネに社会でのし上がり、文系男子を篭絡し、体育会系男子を手玉にとって、幸せなゴールへと突き進んでほしいと思ってるんです。
というわけで、こんな週末の夜に新宿くんだりまで来ていただいて、本当にありがとうございます。絶対に幸せになってください。
峰 あはは(笑)。
会場からの質問
———セフレ的存在からテクニックモテに上がるにはどうすればいいでしょうか?
峰 非モテからセフレ的存在は、すごく簡単なんですよね。
雨宮 自意識の恥ずかしささえ振り切ればね。
峰 それを一発捨ててしまえば、一晩で変われるところだから。ただ、セフレ的存在からテクニックモテへは、地道な努力が必要じゃないですか?
雨宮 大変ですよ。
峰 むかし、テクニックモテの女の子に、「なゆちゃんって目つき悪いけど、目をもっと開きなよ。私いつも、目をカッて見開くようにしてるよ」と言われたことがあって、それから頑張って目を見開いてみたんですけど、すごい疲れるし「24時間こんなことしてるの?」と思って諦めました。
雨宮 それをテクニックモテの子はやってるんですよね! なのに「ムリムリ〜」とか言ってるようじゃだめですよ。血のにじむような努力をしなきゃいけない。なんにもしないで「モテたい」と言うのは、なんにもしないで「宝くじ当たんないかな」と言ってるのと同じだからね。目を見開いて、真っ赤にしながら目薬さしつつ「モテたい」と言うんだったら「がんばってモテて!」と思うけど。
峰 少しずつの積み重ねでしかないんですよね。
雨宮 積み重ねのやり方は、ターゲットによって変わるよね。目がほよーんとしてるのが好きな男を狙ってるのに、目を見開いてもだめじゃないですか。相手によるし、自分の特性を見極めて、長所と短所をいかに繰り出していくかが重要なので。
だから一概にこうとは言えなけど、努力を自覚的にやることですよね。自然にしていて「いつか素敵な人が私を好きになってくれる」という展開になるというのが夢物語だと悟ったとき、真のテクニックモテへの道が始まるんです。ありのままの自分ではダメだということを徹底的に思い知ることから始めましょう。
峰 努力せずに「外見じゃなくて中身で選んでほしい」とか言ってるやつがいると、「そんなに中身が立派なの?」と思います(笑)。
雨宮 そのままで自分のことを好きになってくれる人がいると思ってるから、危機感を感じずにのんべんだらりとしていられるんでしょうね。こっちは四十路の鐘の音が聞こえてきてるから、もうそんな夢物語みたいなこと言ってらんないですよ。
本当に必死になったら、自分のこと「非モテ」とか絶対言えないですから。少しでもモテないイメージをぬぐい去りたいから「非モテ」とか自分から絶対言わない。だからホントはこんなところに出てちゃいけないんですけど(笑)。
人の気持ちをどうやって動かすのかとか、テクニックモテの人がずっとちゃんとやってきたことを、今さら初めて考えてます。
峰 私の髪型もそういうテクニックの一つです。
雨宮 春樹好きアピールもそういうことですよね。外面、内面ともにアピールすることを考えていくのが第一歩。でもそれってすごく難しいんですよね。自分のことは自分ではなかなかわからないから、自分のどういうところを長所として発揮していけばいいのか、わかんないよね。
峰 そういう意味でも、自分がどういうところにモテるのかをちゃんと自覚しておくのは大事ですよね。
雨宮 釣り堀を自覚して、自分のターゲットも自覚して、努力していく、と。
———はい、努力します……。
雨宮 頑張りすぎると、女子は余裕がなくなってよろしくないので、ほどほどに。
———ありがとうございます。
雨宮 ほかにどなたか質問ありますか?
———雨宮さんも峰さんも初めて拝見しました。いろんな人に言われると思うんですが、すごくお綺麗ですよね。雨宮さんのお顔の写真はネット上にそんなに出ていないと思うんですが、何枚か見た中で髪型をそんなに変えてなかったんです。その髪型は、自分の顔の欠点を隠せるからそういう風にされてるのか、それとも好きだからしているのか、知りたいです。
雨宮 分析されると恥ずかしいね(笑)。
若干伸ばしてるときもあるんですが、確かに基本的には長くしていません。でも顔の欠点を隠すというわけではなくて、明らかにショートの方が似合う顔なので。
峰 うんうん。
雨宮 無理して蒼井優に近づける努力を若干放棄してるとも言えますが、それよりはショートが好きな男の人にターゲットを絞ったほうがいいという、勝間和代ばりの合理的な判断により、この髪型にしてますね(笑)
———さっきのヒエラルキーを男性に例えるとどうなりますか? そして、一番下の非モテ男子が上の階層に上がっていくにはどうしたらいいでしょうか?
雨宮 男性の場合は、非モテからセックスできる人に上がるのは簡単だと思う。しかも、セックスしちゃえば、した女が好きになってくれる可能性が高いので、男の場合は三階層くらいになりそうですね。セックスできるようになった層がテクニックモテにかなり近いので、真ん中2層がつながってる感じですね。
峰 男の人のほうが、あとからどうとでもなることで判断される部分が大きですよね。男の人の場合、顔とかどうでもいいじゃないですか。
雨宮 男で非モテとか、甘えるなって言いたいよね。仕事とか、いっぱい見直される機会があるのに。男がこんな本出したら入れ食いですよ! 打ち上げとかで「本読んでくれたんだ」みたいな感じで簡単にね。
あと、こじらせてる系の女子とか自分に自信がない女子には有効なテクニックがあるんですよ。自分のレベルがどうであれ、女に対してダメ出しする男はけっこう簡単にやれると思う。
峰 えっ!?
雨宮 なゆかちゃんには多分効かないと思うんだけど、たとえばなゆかちゃんに会ったとして、はじめは「峰さん」とか言ってるのに、途中から「なゆかはさ」みたいになって、「おまえこうしなきゃだめだよ」とか「おまそれだからモテないんだよ」みたいなことを言うの。言われてる側は痛いところを突かれたって感じて「この人についていけば、私もモテるようになるのかもしれない」とフラフラと行っちゃって、付き合ったりとかして。あげく彼氏じゃなくて師匠とか呼び始めたりする関係がよくあるのよ。
峰 それ、雨宮さんの実体験じゃないですか?
雨宮 実体験ではないんだけど(笑)。
峰 私、そんなこと1回もないですよ!
雨宮 でも、女を否定することによって口説いてる男ってめちゃくちゃいるし、実際簡単な方法だと思う。自分に自信がある人に見えるし、否定することによって相手より優位に立つから「え、やらせないの?」みたいな感じになれるの。
人の欠点なんて、立場が上か下かに関わらず指摘しようと思えばできるじゃないですか。それを指摘することによって優位に立ってなんとかしようとするのって、汚い手段だなと思うから、清く正しい男性にはしてほしくないんですけど、どうしてもクリスマス前に……みたいな感じだったら……(笑)。
峰 ちょっと前に男の人にそういうこと言われたの思い出しました。
雨宮 それはちょっと口説いてるんだよね。あわよくばと思ってる。
峰 全然気づかなくて、マジ切れして居酒屋で大げんかしたんですけど。
雨宮 「女流作家、深夜の大乱闘」みたいな感じですか。
峰 でも、口説かれてたんだと思ったら、ちょっと嬉しいですね(笑)。
雨宮 たぶんそういうことだと思います。
峰 でも、(質問者は)そういうタイプに見えないですよ。
雨宮 言わないでほしいですね、むしろ(笑)。もっと朴訥な感じで、優しさで見せたほうがいい。「いつでも俺が味方だから」とか。女はさみしいときに男に急にメールとかする生き物だから、「いつでもメールしてね」みたいな雰囲気を出しておけば、その女の都合のいいタイミングで連絡がやってくると思うので。
峰 さっきから「モテテクを伝授する」みたいになってるじゃないですか。
雨宮 でもあんまり成功してない私が言っても……(笑)。
峰 そう! 私のなかのイケてる男子が「お前なにモテる女ぶってんの?」と言ってるんです。だからさっきから挙動不審になっちゃってて……。
雨宮 すいません、ほんとに。申し訳ないです、あんまり参考にしないほうがいい(笑)。
大富豪が大富豪の話をするならいいけど、私がモテの話してもダメだよね。いち早くサクセスしないとこんな話しちゃいけない。
峰 だから、「モテるにはどうすればいいですか?」系の質問じゃないほうがいいと思います
雨宮 じゃあ、別のタイプの質問がある方。
———ずっとモテなかった人は、学生時代もモテなかったわけですよね。その後社会人になって少しモテるようになっても、あの過ぎ去った青春は帰ってこない的な、満たされない心があると思うんです。女性にもそういう気持ちがあるとすると、そもそもこじらせって直るものなんでしょうか?
雨宮 私のまわりの男の人には「過ぎ去った青春が」とか「『時をかける少女』大好き」みたいな人がけっこういるんですけど、私は全然その気持ちがわからないんです。
私の青春時代は超暗黒時代だから、「青春なんかに憧れてやるものか」みたいな反骨心があるんですね。青春ものの映画も漫画もすごく嫌いだし、絶対に見ない、読まないと徹底してます。2、3年前のクリスマスにすごく自虐的な気持ちになって「時をかける少女」を観に一人で映画館へ行ったりしたんですけど(笑)。青春を取り戻したいとか、学生時代にあんなことがあればよかったとか、私はあんまりないかな。なゆかちゃんはある?
峰 青春時代に戻りたくはないですけど、私は非モテからセフレポジションに上がって、そこからさらに上を目指したいかというとそうでもないんです。頑張ってセフレの頂点であるAV女優にもなりましたけど、やっぱり向いてないのも、すごくよくわかった。「私が本来いる場所は最下層の非モテ層なんだ」と染み付いちゃってるし、どうしようもないんです。
雨宮 それは人生で大事なことですよね。あんまり無理に無理を重ねても大変ですからね。
峰 いまは非モテ女子は非モテ女子で仲間になって、「どうせモテないから」という会話を楽しむ空気がありますけど、私が現役非モテだったころは全然そんな空気はなかったですよね。
非モテ女子グループでも、「私たちモテない」という空気を出しちゃいけなくて、開き直ることがなかったんですよね。だから「最近の非モテ女子の友情関係いいよね」とか思っていられるのは、私が一段階上に進んで、ちょっと見下してる部分もあると思うんです。そういう意味で楽しいなとか、なつかしく思ったりとかはあるかもしれません。
雨宮 青春時代の暗黒っぷりとか、こじらせてたことを思い悩んだり、「ここまできても、まだダメだ」みたいなことは思わない?
峰 さっきモテ講習をしているときに挙動不審になったりはしましたけど(笑)
雨宮 自意識的にあるんですね。
峰 はい。でも、そこで「モテるためには」みたいなことを急に語り出す自分じゃなくてよかった、という思いはあります。そういうふうにはなりたくない。
雨宮 ごめん、私、すごい語っちゃった(笑)。
峰 雨宮さんは上を目指してるじゃないですか。
雨宮 目標が清原ですからね。夢がでっかすぎて、生きているうちにたどり着けるのか不安なんですけど(笑)
「こじらせは直るのか?」については、軽度のこじらせは直ると思うんですよ。軽いものなら見た目的には常人と変わらないレベルまで矯正できますけど、深いこじらせは障害みたいなもので、頑張れば普通の人と同じように行動はできるんだけど、直ったりはしないもののような気がします。
峰 うん。私はわりとポジティブに、それを受け入れていこうと思ってます。
雨宮 こじらせとともに生きていくしかないですからね。自分の体の一部として、嘆いてもしょうがないから、頑張っていこうかな、と。「こじらせてない人に生まれたらよかったなあ」とは思いますけど。
峰 私も、天然モテに生まれたかったです。
雨宮 欲を言えば誰だってそうですよね。
とはいえ、こじらせながらなんとかやってきた人生に愛着もあるし、努力で一段階のし上がった自信もあるから、自分ではそんなに嫌じゃないですよね。
峰 うん。
雨 直らないかもしれないけど、悪い意味で残ることもないかと思います。
———根本はみんな同じことを考えてるんだなと思いました。
雨宮 あはは。
———本でもブログでも読んでいて、まさに自分がそうだと共感することが多かったんですが、「こじらせて」という言葉がすごくしっくりきました。Twitterやブログで本について言って、暗に自分がこじらせてる人なんだよってじわじわカミングアウトしていってます(笑)
雨宮 そんなことカミングアウトしたらだめですよ(笑)。
———でも、「そういう子なのか」と優しくしてくれたり、話が合ったり、こじらせてるということを伝えると、楽になる部分があるんです。いっぽうで、人によっては拒絶されちゃったりもしました。こじらせのカミングアウトは、どのへんで設定していらっしゃいますか?
峰 こじらせのカミングアウト(笑)。
雨宮 私はいま、出版という形で全方位的にカミングアウトしてる(笑)。
モテ的には失敗したと思っているところもあるんですけど、女子同士の連帯があるので、同性にはどこまでもカミングアウトしていいと思うんですよ。もちろん見下してくる人には言わなくていいけど、わかりあえそうな女子には言って、そのことで話し合えることもいっぱいあると思うし。男子はどうなのかな……。
峰 こじらせてるというのを認めてほしいですね。今日来てる人も、みんなおしゃれしてかわいくしてるし、ズブズブの非モテだったんですと言っても、なかなか信じてもらえないと思うんです。
雨宮 ズブズブの非モテ(笑)おそろしい言葉だね。
峰 世間的には非モテかモテかで分けられることが多いから、非モテの人たちには「全然非モテじゃないじゃん、セックスもできてるんだし」みたいなことを言われるけれど、モテの仲間に入れるかというと、いまいち入っていけないわけですよ。
雨宮 中間層の板挟みの苦しみはあるよね。上からは「本命になれなくてかわいそう」と見下し目線で見られ、下からは「非モテの気持ちわかるみたいなこと言ってるけど、ぜんぜん非モテじゃないじゃん」と。
峰 「もともと恵まれてたんだろ」みたいなね。
雨宮 恵まれてねえよ、努力でここまで来たんだよっていうのを、10年前のパスポートの写真とか見せて言いたいですけど、言っちゃだめだよね。恥ずかしい。
峰 「私すっぴん酷いんだよね」という女の人って、化粧してどれだけかわいくなるか、頑張っているところを認めてほしいと思ってるんだろうけど、言われる男の人は、ほんと萎えますよ。
「こじらせ女子なんです」と男の人に言うのもそれなんですよ。努力を認めてほしいんですけど、方法が違う!
雨宮 こじらせている私を受け入れてくれという気持ちがどこかにあるから言っちゃうんだよね。男の人は、内面のドス黒い部分まで「喰えるんだったら喰ってみろ」と言われてもいきなりは受け入れられないですよ。焼肉でも、最初はタン塩とかから始めて、あとのほうでホルモンとかにいくじゃないですか。同じように、こじらせも深い仲になってから、小出しにしたほうがいい。
Twitterをやるなら、裏アカウントを作って女子しかフォローしてないところでそれを言うべきですよ。
峰 そうですよね。女子同士で、「どうしてもイケメンがこわいと思ってしまう」とか、そういうことを話し合えばいいんですよ。
雨宮 そのTwitter、超フォローしたい(笑)。
峰 これまでも、こじらせ女子自体はたくさんいたと思うんですけど、それが団結したり思い出を語り合える場はなかったと思うんですよ。
雨宮 今日は「総決起集会」ですから、決起するんですよね。
峰 うん。雨宮さんがそのポジションを作ってくれたことが、私はほんとに嬉しいんです。
雨宮 入れる場所ができた(笑)。
峰 俺たち仲間だぜみたいな気持ちになりますね。
雨宮 すごい一体感ありますよね(笑)。今日はありがとうございました。
(2011年12月2日金 ジュンク堂書店新宿店トークイベント記録)
【プロフィール】

峰なゆか(みね・なゆか)ライター。05年にAVデビュー。現役女優時代からコラム連載などを始め、 引退後、文筆業に専念。「週刊SPA!」をはじめ、連載多数。11月18日、自身初のコミック単行本『アラサーちゃん』をメディアファクトリーより刊行。

雨宮まみ(あまみや・まみ)ライター。「てぃんくる」「SMネット」「ウォーA組」などに執筆中。AV情報サイト「メンズナウ」で「AV監督への33の質問」連載中。共著に『エロの敵』(翔泳社)など。 『女子をこじらせて』は初の単著となる。



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