2007-09-10

片山さつき衆院議員が語る仏留学のススメ(下) アムールの国・フランスでの恋愛は?

オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。

主題:片山さつき衆院議員が語る仏留学のススメ(下)
副題:アムールの国・フランスでの恋愛は?

【本文】
 片山さつき衆院議員にフランス留学時代についてうかがった、インタビューの後編をお届けする。

◆フランスでの恋愛

――フランスは「愛の国」として知られていますが、片山さんの恋にまつわる話を教えていただけますか。

片山:上手に逃げていましたよ。非常によく言い寄られました。「僕はフラれたことがないのに、君に初めてフラれた」とかいうような男が周りにたくさんいましたね。日本人としても小さい私の手を見て、「女性の手は小さくなきゃ」と一所懸命、触る男もいましたよ。

 フランスって簡単に恋愛するじゃない? しょっちゅう電話かけてきたり、車で家の前で待っていたりとか、しつこかったですね。ただ、ストーカーみたいに「根暗」ではない。いい加減ダメよ! というとあきらめますね。1人でカフェに座っていたら、上は中年・老年から下は若い子まで、声をかけられまくりましたね。

――大恋愛はなかったんですか。

片山:残念ながら。適当に断っていました。

――日本の男性とフランスの男性、どちらが好きですか?

片山:「私は日本人だ」という意識が強いので、フランス人との恋は真剣には考えなかったですね。「国を背負って来ている」という国費留学生という立場もありましたし……。フランスに国費留学する日本人女性は私が初めてだったんです。向こうで結婚して、帰ってこなかったら、その後、行ける女性はいないと思っていました。

――フランス人の恋愛観をどう思いますか?

片山:愛情表現にしても、とにかく濃い。カップルになると、もう嫌っていうほど、人前でイチャつきますよね。それが平気な文化ですし。一度カップルになると、割と結びつきがしっかりしていますよね。

 日本の男性で、フランスの女性に想われている人たちが周りでいましたが、重そうでしたよ。男の子たちは困っていました。日本人女性みたいに軽くあしらってもどっかに行ってくれないから。好きになられると、本当にしがみつかれちゃう。

――フランスやフランス人の好きなところ、嫌いなところを教えていただけますか。

片山:パリが特にそうですが、フランスが素晴らしいのは真の国際国家である点ですね。才能があれば外国人であってもどこから入っていっても認められるし、都市としての魅力も素晴らしい。それに、フランスには国際政治力がある。

 マイナス面は、フランス人は往々にして几帳面さがないので、一緒に仕事をすると、「あれ? 」っていうところが多い点ですね。

◆日本が仏に学ぶべき点、ワイン、仏料理

――日本がフランスという国に学ぶべき点があるとしたら、それは何ですか?

片山:国としての存在感ですね。EU(欧州連合)ができた時のフランスの存在感は大したものですよ。

 アジアが連携していく中で、日本がアジアのゲート=ウェイとして、EUにおけるフランス以上の存在感を持てるのか……ということが問われています。日本はアジアでヨーロッパにおけるフランスになるのか、イギリスになるのか……ということです。

――ワインはお好きですか?

片山:たくさんは飲めませんけど、好きです。

――ワインには精通していますか?

片山:留学当時は詳しかったです。

――ワインに関するエピソードがあれば、教えていただけますか?

片山:1960年のサンテミリオン=グラン=クリュというワインをある作家の家に呼ばれて飲んで、これを12本持っているというからすごいなと思いました。妻が作家で旦那さんは実業家で、パリに大きなアパルトマンを持っていました。

 ワインの話ではありませんが、夜のパリで、パリ6区にある「キャステル」というディスコ(日本にも30~40年前に赤坂にあった)にパリの金持ちの知り合いと一緒に行ったら、隣のテーブルがカトリーヌ=ドヌーヴと一時期、同棲していて2人の間に娘さんが1人いるイタリアの大物俳優・マルチェロ=マストロヤンニで、じかに見ましたよ。

――フランス料理はお好きですか?

片山:好きですよ。最近は日本で食べるものの方が美味しいです。日本のフランス料理は世界的に見てもすごくレベルが高い。私が留学していた頃、レストランの厨房で修行している日本人が多くいました。みんな、がんばっていましたね。あと、日本はお菓子作りのレベルがかなり高いですね。国際的なグランプリとかあると、日本人がよく優勝するじゃないですか。

◆大統領選2007、男女差、今後の日仏政治

――今春のフランス大統領選挙では右派のニコラ=サルコジ氏(現大統領)と左派のセゴレーヌ=ロワイヤル氏のどちらに勝って欲しかったですか?

片山:ENA出身であるということと、女性であるという点で共通するので、ロワイヤルさんに親近感を持っていたのですが、現在の国際政治の流れからすればサルコジ氏が勝つだろうな……と思っていました。

 2人の討論を見ましたが、サルコジ氏の方が安定していましたよ。ロワイヤルさんの方が焦ってワーっと感情的にしゃべっていました。フランスは核を持つ国として、有権者の間には必ず「核のボタンを預けられる人かどうか」という観点がありますから、落ち着きのあったサルコジ氏が勝ったのでしょう。でも、ロワイヤルさんもなかなか、すてきな人じゃないですか?

――私事ですが、2006年2月にロワイヤルさんには日本人ジャーナリストとして初めて取材した経験があります。

片山:どんな方でしたか?

――始終、微笑んでおられ、感じのいい方でしたね。会った人を皆、魅了するタイプだと思います。とても好感を持てました。

片山:フランスでは女性の政治家が最近増えているので、また大統領候補になる女性は出てくると思いますよ。フランスの社会では、男、女ということはさほど問われず、その人の資質や個性で評価されるようになっています。女性であることはロワイヤルさんの有力な個性ではあったけれど、彼女は女性だからという理由だけで社会党の大統領候補になれたわけじゃないですよ。20年前ですら、性別以前に“個”があるという国でした。大人なんですね。

――最後に、今後、日仏の政治交流のために働いていこうと思っていますか?

片山:私は日仏友好議員連盟のメンバーです。フランスの国会議員が来ると必ず呼ばれます。サルコジ政権下で今年6月に経済財務雇用相に就任されたクリスティーヌ=ラガルドさん(当時は貿易担当大臣)が昨年来日されたときも会合に招かれて、ラガルドさんとお話する機会を持てました。

――興味深いお話をありがとうございました。日仏友好のために今後もご活躍ください。

◆インタビューを終えて

 とても楽しいインタビューだった。留学当時を語る時の片山さつきさんの目は輝いていて、留学生活が充実していたことが察せられた。

 大変な“美貌”の持ち主である片山さんのことだから、フランスできっと大恋愛をしたに違いない……とインタビュー前は思っていた。恋話で盛り上がるだろうと思っていた。だが、フランスの男はずっと適当にあしらっていたという。片山さんがどんなに愛をささやかれようとも、強く「ノン」という姿が目に浮かぶ。日本人女性は「ノン」をハッキリといわないから、恋愛では押して攻めれば攻略できると思っているフランスの男性は少なくない。キッパリ、「ノン」をいう片山さんの姿はとても新鮮だ。

 きっと、毅然とした強い女性に見えたんだろうな……と思う。

 それにしても、片山さんのENAの同級生はすごい。クララ=ゲマールさんは2006年6月から米国の大手総合電機メーカーであるゼネラル=エレクトリックのフランス法人の社長を務めている。フランスで農相を務めたエルヴェ=ゲマール下院議員といい、世界各国で国の要職に同級生が就いている話といい、さすがENA……と感心させられる。

 片山さんの話を聞いて、ふと、私が留学生活を共にした同級生たちの顔が思い浮かんだ。彼/彼女らも出世して国の要職に就くようになるのだろうか? 仲の良かったスペイン人の女の子が帰国して弁護士になったことを共通の友人から知らされ、驚かされたことがある。祖国に帰った私の同級生たちもまた、将来エリートになっていくのだろう。

 要人・有名人になった元同級生をジャーナリストとして私が取材する日が来るとしたら……と思うと胸が弾む。