2005-08-12

『アムステルダム・プライド2005』見聞録(1)

 ゲイ・パレードの取材は一日がかりのものとなる。ほとんどのパレードは午後にスタートするのだが、私は早朝から現場に行く。準備している人々に取材・写真撮影する為である。パレードが始まってしまえば、パフォーマンスをしている人々と話す機会を持つことは絶望的であるから、開始前に会っておしゃべりをする。

 アムステルダムは晴れていたと思ったら突如、雲が空を覆い、雨が時折、強くふる……という不安定な天候が前日から続いていた。気温は日中でも15度あるかないか。薄ら寒かった。パレード当日の朝は、お日様が目一杯照っていたのに、ホテルを出て路面電車に乗ってアムステルダム中央駅に向かう途中、天候はくずれ大粒の雨が降り出した。

一四時開始のアムステルダム・プライドは二時間ほど前から、出場チームの船・ボートがアムステルダム中央駅から歩いて五分ばかりの港に集まり、準備を始めた。その間も太陽が照りつけたかと思えば、厚い雲で覆われ暗くなり落ち着かない。
ふだんは喧噪とは無縁であろう港に、けばけばしい衣装を着た人々の乗った色鮮やかな船がそこかしこに停留しているのは、何とも異様だけれども可笑しい光景であった。
サンバ音楽のチームはメンバー全員で演奏を始めた。

ギリシア時代の闘士のような衣装に着替えるチーム。
白いパンタロンにピンク色のチームを来た女性だけのチーム。
中年・壮年・老年のレズビアン・ゲイのチーム。

ひとりひとり声をかけて写真を撮っていると、ある男が
「なんで僕のことは撮ってくれないのよー。こんなに美しいのに……。ちょっと、あなた、撮りなさいよー」
といって、勝手にポーズをとり、私に撮影を求めた。