2007-08-24

緊密化が進む米仏関係

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インターネット新聞・JANJAN』に【
緊密化が進む米仏関係
】という記事を書きましたので転載します。

【本文】
 今春の大統領選挙でフランス共和国の大統領に就任したニコラ=サルコジ大統領が仏の親米路線を加速させている。米仏関係は2003年にイラク戦争が始まる前にジャック=シラク大統領(当時)とドミニク=ドヴィルパン外相(当時)が国連を舞台にして開戦を急ぐ米英両国を相手に猛烈に抵抗して以来、冷え切ってきた。ところが、「根っからの親米派」を称するサルコジ氏の就任により、米仏関係は一気に緊密になってきている。

サルコジ氏は内務相だった昨年9月11日に、米国を訪問してジョージ=ブッシュ米大統領と会談し、固い握手を交わしてみせた。訪米前にはルモンド紙のインタビューに応じ、イラク戦争開戦前にシラク大統領が安保理で「拒否権」をちらつかせ、開戦に抵抗したことを「無駄な行為だった」と批判し、その理由を「米国に屈辱の感情を持たせてしまった」と述べ、「仏米関係の建て直し」を説いた。サルコジ氏は大統領選の期間中も米仏関係の重要性を強調し、当選した夜の演説では米国を何度も「友人」と呼び、持ち上げた。

 今月11日には、アメリカのニューハンプシャー州の湖畔で長期バカンス中を満喫しているフランスのサルコジ大統領をブッシュ米大統領はメーン州ケネバンクポートにある父親のブッシュ元大統領の別荘に招待して会談を行った。ケネバンクポートは大西洋に面した高級リゾート地で、ブッシュ一族から「盟友」と認められた親しいごくわずかな人間だけが別荘への来訪を認められる。ブッシュ・ファミリーからは大統領夫妻や元大統領夫妻、大統領の双子の娘らが総出で歓迎した。5月に就任したばかりのサルコジ氏は早々とブッシュ氏から「大切な友人」と認められたようだ。

 両氏の会談の内容は極秘事項だったが、イランやイラクについて長く議論したと米国の外交筋は語った。急速な米仏関係の緊密化によって実現したのが、ベルナール=クシュネル仏外務相によるイラク電撃訪問である。クシュネル外相は19日、極秘裏にバクダッドを訪れた。フランスの政府関係者がイラク戦争後、同国を訪問するのは今回が初めて、イラクのジャラル=タラバニ大統領は「フランスとイラクの親交をはかる歴史的な機会だ」と絶賛した。クシュネル外相は19日にイラクのホーシュヤール=マフムード=ズィーバーリー外相、ヌーリ=マリキ首相、20日にはジャラル・タラバニ大統領と相次いで会談した。

 すべての会談を終えた後にクシュネル外相はバクダットで記者会見を行った。その場で、「これまで数多くの市民を犠牲にしてきた暴力はとても許されるものではない」「(相次ぐ)暴力と闘う上でフランスは重要な役割を担う準備はできている」「民主主義が誕生しようとしている時に、この重要な大国・イラクの側に私たちはいたいと思っている」と述べ、イラク復興にフランスが寄与することを示唆した。ただ、クシュネル外相は「この国で暴力との闘いを進め、平和と民主主義を再建するには、国連が要(かなめ)になる。フランスは国連を通じた再建という方法を示し、その方向でイラク復興に協力していく」と述べ、フランスが直接イラクを支援するのではなく、国連を通じて貢献する姿勢を鮮明にした。

 シラク前大統領の政権下は米国のイラク政策を放置しており、協力・援助することもなかった。また、冷め切った米仏関係を再建する気はシラク前大統領にはなく、米仏関係は停滞していた。それが、サルコジ氏の大統領就任により、米仏関係は一気に緊密になっている。スペインやイタリアがイラクでの軍事作戦を撤退した後で、あえて火中の栗を拾おうとするサルコジ大統領。反米感情の強いフランス国民の理解が得られるかは不明だ。

写真脚注:昨年9月にホワイト・ハウスで会談するブッシュ米大統領とサルコジ仏大統領(ホワイト・ハウスHPより)。