2007-05-06

サルコジ氏が優位を保ち投票へ 仏大統領選挙、ロワイヤル氏は逆転も可能 

オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。フランス政治や大統領選挙に関するディープな情報は拙著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)に掲載していますので、御関心のある方はお手におとりください。

タイトル:サルコジ氏が優位を保ち投票へ
サブ・タイトル:仏大統領選挙、ロワイヤル氏は逆転も可能

【本文】
 5月6日、フランスでは大統領の決選投票が行われる。右派のニコラ=サルコジ候補(52)の優勢が伝えられ、左派のセゴレーヌ=ロワイヤル候補(53)が懸命に追い上げる。

 5月4日に世論調査会社イフォップが有権者853人を対象に行った電話調査では、「サルコジ氏に投票する」と答えた人が53%だったのに対し、対戦相手のロワイヤル氏は47%だった。

 『TNS-Sofres』社が同日に有権者1000人を対象に行った電話調査では、サルコジ支持が54.5%、ロワイヤル支持は45.5%にとどまった。

 日刊紙「ルモンド」は、社会党員に広がる諦めムードをとりあげ、「社会党員は厳しい情勢を認識」という記事を掲載した。政治学者のドミニク=レイニエ教授は同紙のインタビューに応え、サルコジ氏が人気を得ている背景について、「フランス社会が『右派の文化』に陥っている」と述べ、同国が右傾化していると分析した。

 レイニエ教授は「情勢は極めて厳しいが、ロワイヤル氏の逆転は可能だ」として、ロワイヤル氏が勝つための要因を3つ挙げた。

 1つは中道層への浸透。4月22日の第1回投票では、中道政党『フランス民主連合』(UDF)のフランソワ・バイルー党首(55歳)が682万0119票(18.57%)を獲得し3位につけた。勝敗の鍵となる同氏支持者の中で、ロワイヤル氏は支持を拡大している、とレイニエ教授は分析する。

 2つ目の要因は、サルコジ氏の極右支持者層への浸透が不十分なこと。極右の大御所であるジャンマリー・ルペン「国民戦線」党首が棄権を呼びかけたことで、極右層で人気の高かったサルコジ氏が票を大量に失う可能性が出てきたというのだ。

 そして第3点は、第1回投票の棄権者たちのロワイヤル氏への投票の可能性である。1974年の大統領選挙では、第1回投票を棄権した人が大量に投票所へ行ったことで、優勢を保っていた候補が敗退したという例があり、今回も同様の展開を見せる可能性があると教授は指摘する。

 ロワイヤル氏は「世論調査を信用してはいけない」と強気の姿勢を崩していない。はたして、フランス人はどのような判断を下すのか。6日に勝敗は決まる。