2007-04-26

サルコジをロワイヤルが追う展開~フランス大統領選挙、5月6日に決選投票~

オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。

タイトル:サルコジをロワイヤルが追う展開
サブ・タイトル:フランス大統領選挙、5月6日に決選投票

本文
 「ヨーロッパの行方を決する」選挙として、世界の注目を集めるフランス大統領選挙は、与党『国民運動連合』党首で右派のニコラ=サルコジ前内務大臣(52歳)が22日の第一回投票で1145万0302票(31.18%)を獲得し1位に、野党第一党『社会党』候補で左派のセゴレーヌ=ロワイヤル下院議員(53歳)が950万1295票(25.87%)を獲得し2位につけ、両候補が5月6日の決選投票に進出することが決まった。同国の大統領選挙は2回投票制で、第一回投票で過半数を上回る票を獲得した候補がいない場合、上位2位の候補者が決選投票へと進む。2002年の前回選挙で決選投票に進出した極右政党『国民戦線』のジャンマリー=ルペン党首(78歳)の得票は383万5029票(10.44%)で4位とふるわず、極右勢力の衰退を印象づけた。ロワイヤル氏とサルコジ氏の激しい非難の応酬に嫌気がさした有権者の受け皿として選挙戦の後半に支持を伸ばした中道政党『フランス民主連合』のフランソワ=バイルー党首(55%)は3位につけ、前回選挙の194万9170票(6.84%)の約3倍の682万0914票(18.57%)を獲得し、善戦した。

 「史上、稀に見る大激戦」ということもあり、投票率は前回選挙の71.6%を12%も上回る83.78%だった。これは第5共和制初の直接選挙となった1965年大統領選の過去最高記録84・75%に次ぐ高さだ。

 サルコジ氏とロワイヤル氏の票差は194万9007票(5.31%)と開きがあり、サルコジ氏が優勢という見方が多い。勝敗を決するのは、バイルー氏が獲得した約682万票と見られ、右派・左派を支持しない中道層への浸透が鍵となる。バイルー氏が率いる『フランス民主連合』は2002年6月からジャック=シラク政権の連立与党であり、『国民運動連合』との結びつきが強い。しかし、『社会党』幹部の一部では、「社会党-フランス民主連合」の共同戦線を構想し、実現に向け動いている者もいる。バイルー氏はいまのところ、どちらの候補を支持するか明言していない。決選投票は5月6日(日)に行われる。

 サルコジ氏は社会保障の手厚いフランスの構造変革を主張し、自由競争を尊重する米英流の競争原理をフランス経済に導入すると公約し、「もっと働きもっと稼ごう」というスローガンを掲げている。サルコジ氏の政策は、公共部門の民営化を推進する小泉純一郎・首相流の「聖域なき構造改革」や、英国のマーガレット=サッチャー首相(保守党)や米国のロナルド=レーガン大統領(共和党)の実行した「小さな政府」路線に通じるもので、フランス経済を「根本的に変える」と強調する。

 治安を担当する内務大臣を長く務めたサルコジ氏は、犯罪の厳罰化や警察力の強化で「犯罪の街」として知られたニューヨーク市の治安を劇的に改善させたルドルフ=ジュリアーニ前ニューヨーク市長の治安対策をモデルにして、強硬な治安対策を実行しフランスの犯罪発生率を大幅に減少させた。その実績から脚光を浴び、人気政治家となった。

 サルコジ氏は自他共に認める「大のアメリカ好き」だ。イラク戦争の開戦に激しく抵抗したフランスの外交を「誤った判断だった」と語り、昨年9月11日には訪米して、ジョージ=ブッシュ大統領と会談し、「仏米関係を立て直し、強化する」と訴えた。

 一方のロワイヤル氏は最低賃金の引き上げや失業者への支援強化など、手厚い社会保障を政策として前面に出す。「イラク戦争時にサルコジ氏が大統領だったらフランスも米英と共に参戦していただろう」「フランス経済はアメリカ流のやりかたは合わない」と、サルコジ氏の露骨な親米路線を批判する。

 ロワイヤル氏はフランソワ=オランド『社会党』党首と事実婚関係にあり、2人の間には4人の子どもがいる。ロワイヤル氏は「4人の子どもを育て上げた」母親であることを強調し、公立であれば小学校から大学まで学費は無料という教育制度や、出生率を欧州2位にまで上昇させた手厚い子育て支援など、充実した社会保障は「フランスの長所」と語り、制度見直しを主張するサルコジ氏との違いを鮮明にしている。

 フランスの大手世論調査会社・イフォップ(IFOP)が22日に有権者1010人を対象に行った電話調査によれば、第2回投票でサルコジ氏に投票すると回答した人は54%で、ロワイヤル氏の46%を上回った。

 「逆転劇」でフランス初の女性大統領が誕生するのか、それとも、大方の予想通り、フランス政界では珍しい「大のアメリカ好き」の人物が大統領になるのか。その行方が注目されている。

このエントリへの反応

  1. あのお、メールマガジンを作ってください。もっとフランスの政治の動きを知りたい。