2006-04-24
尊敬するゲイ
「尊敬しているゲイは?」と問われたら、今なら間違いなくゲイバー、アイランドのラクちゃんの名前を挙げるだろう。どうしてかと言えば、ラクちゃんほど等身大の自分を十全に生きている人はいないからだ。伏見をはじめとして自分のことをsomebodyだと錯覚しているオカマは山ほどいて、自分のsomethingを承認させようと躍起になっている。そういう「スケベ心」は我ながら痛い。
一方、ラクちゃんは単調な毎日が何より楽しいと言うほど、生活者、消費者に徹している。自分のテリトリーを決めて、日々の何気ない発見を好物にして生きている様はお見事。ちょっとした街の変化や、普通の人々の欲望に触れる情報は何でもキャッチしている。それって当たり前のことのようで、意外と当たり前ではない。昨晩も、絶対にもう試しているだろうと思って話を振ってみたら、やっぱり秋葉原のおでん缶も食べていた! もう日常をカルト的に生きている、というべきか(笑)。
たぶん、そういうところに足場を置いているから、アベレージを維持した接客業を十年以上続けていられるのだろう。とりあえずどこかゲイバーに行ってみたいと思う初心者には、アイランドはいちばん安心してご紹介できる店だ。すっごく個性的なわけでもないし、カリスマママがいるタイプではないけれど、後味のいいバーであることは間違いない。べつに伏見は常連でもなければ(←年に数度伺う程度)、宣伝費をもらっているわけでもないんですが。

意味もなく
う”ーう”ー。
「クィア・ジャパン vol.5—夢見る老後!」でお世話になった社会学者の小倉康嗣さんに、博士論文(「高齢化社会と人間生成ー現代中年のライフストーリー調査にみるエイジング」)を製本したものをいただいた。電話帳くらいの厚さがある労作で、研究者にとって博士論文がいかに重要な仕事なのかがその重みからも伝わってきた。むろん、素人の伏見にはそこで展開されている議論について論評することなどできないのだが、研究者が人生を賭けて記したものであることは、行間からひしひしと感じ取れた。
先週からQJrの取材で毎日でいろんなところへ出向いているのだが、会う人ごとに体型について指摘される。待ち合わせ場所に立っていると、近づいて来るなり、「そんなにでかかったっけ?」と目を丸くした人もいれば、並んで歩いていて「2割増しになりましたね」とため息をもらした人もいる。振り向きざまに「山が動いた」と絶句した編集者もいる。あるゲイバーのママには腹部を10秒間だまって見つめられ(←同情)、別のゲイバーのママには「置物みたいですね!」とキラキラした目で言われた(←マニア)。
映画『ブロークバック・マウンテン』に関しては、多くは語らず、いらだつので他人の批評は極力読まないようにしている。自分の心の聖域に確保しておきたい気分の作品なのだ。
パチンコで数時間にン万円すってもまったく平気なくせに、他のものにはほとんどお金を使わない伏見である。パチンコに印税丸ごと持っていかれて余裕がないのもあるが、そもそも消費という行為に興味がわかない。物欲はほとんどなし。その上、服飾品を買いに行くのが何より嫌い、ときてる。だって、なかなか合うサイズがないし、似合う(と思える)ものを見つけるのがとにかく至難の業。試着室は恐怖の空間で、あそこの鏡を見ることくらいつらい瞬間はない。それで服は必要最小限しか持っていない。
先週は人の生死について考えさせられる一週間だった。知人が相次いで亡くなったり、大病をしている恩人をお見舞いしたり、海外で働いていた親友が、あわや半身不随かといった大けがで成田に搬送されてきたり、なんだか慌ただしかった。
フォトグラファーの早坂ヒロイチ氏(他のお名前でもお仕事なさっていたのですが、伏見とはこのお名前だったので)が急逝されました。早坂氏には、もう十年近く前、ぼくがAERAの「現代の肖像」に取り上げられたときに、数ヶ月にわたって取材していただきました。(若き日の)エスムラルダや肉乃小路ニクヨとの二丁目での撮影、唐十郎氏などとのシンポジウム、名古屋でのゲイたちとの会議などに同行してくださった姿が、いまでも目に浮かびます。
週末は新潟へ行ってまいりました。新潟女性財団主催の講演会で、聴衆はおもに中年のおばさまたち。用意していった講演原稿が少々難しすぎることに途中で気づき、「ジェンダーフリーはなぜ駄目なのか」というテーマから、「なぜ「同性愛者」はいるのに「潮吹き者」がいないのか」といった古いネタに方向転換(笑)。みなさんと楽しい一時を過ごすことができました。講演の後は、しばし新潟日報のインタビューを受けて、ホテルへ。
単行本3冊一挙書き下ろしの反動で、このところパチンコに走っています。っていうか、書き下ろしの最中もストレス解消を言い訳にやっていたわけですが、先週あたりから病的に打っています。おもにエヴァだけど、新宿のエスパスでは水戸黄門で大フィーバー! やっぱオカマの聖地ではコウモン様でしょ(ベタ)。渡辺恒三はごめんだけど。
続けざまに、古くからつき合いのある親友たちにこんなことを言われた。
今年、跡見学園など何校かの国語の受験問題に、拙著『さびしさの授業』の一部が使用されたとのことで、権利問題を扱っている団体から事後承諾を求める通知が届いた。一瞬、「なにぃ、無断使用かよ!」とムカつくものの、著作権問題に詳しいポット出版のサワベ社長に相談すると、教材に著者の許可なく使用することは教育基本法でOKされていると教わり、不本意ながら納得。事後報告なのは、受験問題に使用することを事前に連絡したら、情報が漏洩するかもしれないので、そうするしかないだろう、と(たしかに、おしゃべりの伏見だったら、絶対にぺらぺら話すに違いない)。まあ、国語の題材に、自分のヘタな文章を取り上げていただけたのだから、嬉しくないでもないので、素直に印税振込の口座番号を記入し、返信することにした。
仕事先の電話の対応でときどき面白いのがある。これまでの爆笑ベストワンは、某ゲイ雑誌の編集部にかけたときのこと。
ヒ…日高さん?! と思わず目を疑った。今月のバディのおまけDVDの中でズコズコと腰を振っている兄貴の顔が、ポットの日高さんによく似ているのだ。いやだ、こんなところで、アルバイト? などとスケベに凝視してみると、兄貴は大胸筋が厚く張っていて、ガリっぽい日高さん(失礼)であるはずがない。他人のそら似か。(*右の表紙モデルさんのことではありません)
血圧が上がって死んでもかまわない。終わらない原稿なんかほっぽってもいい。俺様は今日は朝も早よから、パチンコ屋の新装開店に並んだのだ。なんたってなじみの店舗にCRエヴァンゲリオン2が新台導入されたのだから。午前8時半には地元のろくでなしどもが100人は列を作っていたよ。ちなみに俺様は前から3番目。すっごい気合いだろう?
昨日は「人間学アカデミー」の第1回目の講演だった。会場の麻布学園に行ってみて初めて、そこがあの東大進学の名門、麻布中学・高校であることを知った(笑)。元塾講師としては(大昔)、これがあの御三家の一角かあと、感慨ひとしお。伝統を感じさせる古めかしい厠を借りながら、そういえば、憧れの宮台真司先生もここで思春期を過ごされたんだよなあ、とあさがおに顔を赤らめる(←どんな)。
島田紳介が司会の恋愛トーク番組「キスイヤ」に、素人ゲイカップルが出演していた。伏見はこういうのが大好き! つい仕事をさぼって見てしまった。彼らは24と25歳のなかなかのイケメンで、少し前、ゲイのパーティで知り合ったのだという。