2009-06-08

Googleカスタム検索

勤務先のWEBサービス勉強会で、Googleカスタム検索が面白そうだという話が出た。

Googleカスタム検索は、外見はサイト内検索の検索窓と似た感じだが、特定サイト内の指定したディレクトリ以下だけを検索するという機能で、さらに複数のサイトをまとめて検索することもできるというのが大きな特徴だ。

この話が出てすぐに、「はてな」や「ブクログ」を使った当館のWebサービスをまとめて検索する「WEB図書館横断検索」をつくってみた。
さらに、このカスタム検索をいろいろ試しているうちに、自館発の情報を束ねて検索する以外にも、もっと面白いことに使えそうな気がして思いついたのが、雑誌の出版社サイトを横断検索して、目次検索に近いものをつくることだ。

そこで、現在継続受入中の雑誌457タイトルの全出版社サイトをチェックし、fujisan.co.jpやCiniiなども利用して325誌の擬似目次検索機能をつくってみた。
これだけ大量のサイトを横断するのだから、いっそGoogleをそのまま使えばいいのか?などと迷いながら作業したのだが、意外に利用価値のあるものが出来たのではないかと思う。

★ゆうき図書館「雑誌記事サーチ」

ところで、各出版社サイトを見ているうちに思ったのだが、大半は目次を公開しているものの、そのファイルが画像であったり、サイトで独自に目次データベースを作っているなど、Googleのクローラが情報を拾えないサイトが案外多い。
自社出版物を全部まとめて同じフォルダに入れているサイトもいくつかあったのだが、それではノイズが多すぎて検索しにくい。
今のところ、自社サイトを訪れた人が刊行物の情報を見るという導線以外を想定していない出版社が多いようだが、書誌や目次に外部から直接飛んでくる導線をもっと意識した方が、より多くの人に本を見つけてもらいやすいのではないかと思った。

もっともこれは、図書館OPACについても同じことが言える。
今のところ多くの図書館システムは、書誌1つ1つが固有のURLを持っていないので、Googleから直接蔵書を検索することはできない。
だが、書誌データが開放された図書館システムが増えれば、Googleカスタム検索で、簡単に図書館間やオンライン書店と図書館との横断検索ができるようになる。
サーチエンジンで図書館蔵書が探せるとなれば、そこから実際に来館して図書館を利用する人も現われるかもしれない。
だから今後は、そういった図書館システムが増えて欲しいと思う。

この「雑誌記事サーチ」は出版社のサイト次第で、最新号に限らずバックナンバーも調べられる可能性がある。
これに対して、既に公開済みの「新着雑誌記事速報」は、RSSリーダーで分野ごとに新着記事をブラウズできるものだ。
今のところ「はてなRSS」を使っているが、タイトルごとに一覧できる仕組みをGoogle AJAX Feed APIでテストしている。

★ゆうき図書館「新着雑誌記事速報」

こういった外部の情報源を活用するやり方は、手軽に無料である程度のサービスを提供できるのだが、この方向で突き進めば万全だとは考えていない。
OPACや商用データベース、電子ジャーナルなど、これまで図書館が提供してきたサービスは、検索対象データが保証されたものに限られていた。
それに対し、出版社サイトを検索する仕組みのような不安定なサービスに軸足を置くことは、本当は好ましいことではないだろう。
例えば、文献に基づいた資料の正確な裏づけとして、資料のある、無しなどの確証を得たい場合は、このツールでは、不十分な結果となる。
網羅的で緻密な情報検索と、図書館資料への導線をたくさん設けることとの違いを利用者が理解して、それらの特性を活かした使い方をして役立ててもらえればうれしい。

ある程度不十分な状態であっても、現段階で出来る限り、調べもののツールを多く提供できるよう、利用者の選択肢を広げていけるよう、工夫しながら進めていきたいと思う。