2009-05-08

近刊●『懺悔録』予約受付中です!

近刊『懺悔録 我は如何にしてマゾヒストとなりし乎』(著●沼正三)の予約受付を開始しました。

「戦後最大の奇書」と言われる『家畜人ヤプー』の著者・沼正三が死の直前まで書き続けたエッセイから選集して1冊にまとめました。未完の短編小説や生前のインタビューも収録した充実の一冊です。

ご予約希望の方は本が出来次第、送料無料でお送りします(代引の場合は代引手数料300円[代金1万円以下]のみご負担いただきます)。

本のタイトル/冊数/お名前/郵便番号/住所/電話番号/メールアドレス/お支払い方法(郵便振替または代引がご利用できます)をお書きのうえ、こちらへメールをお送りください。折り返しご確認のメールを差しあげます。

本の詳細は以下の通りです。

『懺悔録 我は如何にしてマゾヒストとなりし乎』
著●沼正三
定価●2,800円+税
ISBN978-4-7808-0125-5 C0095
四六判/280ページ/上製
[2009年5月21日(木)刊行予定]
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【内容紹介】

戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』の著者・沼正三、ついに逝く─

●沼正三がその死の直前までSM専門誌「S&Mスナイパー」(ワイレア出版、現在は休刊)に書き続けた実体験エッセイ、「ある異常者の体当たり随想録」から選集。

●未完の短編小説「化粧台の秘密」、2006年に受けた生前のインタビューを特別収録!!

【担当編集者より】

「S&Mスナイパー」というSM雑誌の編集をやっていました。昨年で同誌は休刊してしまったのですが、最終号が発行された翌々日、沼正三さんが亡くなったことを知りました。

「ある異常者の体当たり随想録」というエッセイを、20年間連載(本名の天野哲夫名義で)していただいていました。毎月、A4サイズの素っ気ない茶封筒が編集長宛に送られてきます。新潮社の原稿用紙に、線の細い、綺麗な文字がいっぱいに書かれていました。

内容は、女の足を舐めたい、とか、女性の吐いたツバを味わいたい、とか、お尻の下で窒息したい、とかです。伝説の奇書「家畜人ヤプー」がマゾヒスティックな妄想世界を描いているのに対し、このエッセイでは徹底的に自らの実体験を描いています。

連載は06年に終了しました。その間、沼さんは己の恥部をさらけ出し続けました。印象的な一文を引用します。

「吸ってあげるね」
 そういって、唇を当てた。佳子は後ろ手に手をついたまま両足を持ち
上げていた。私はしたたるビールの雫をハンケチの代わりに唇と舌で吸
い取った。足の裏の皮膚は堅くて頑丈で、足指にタコができていた。そ
こを噛むとビールの雫の味がした。その味に、垢と埃と汗の臭いがま
じっていた。
 上目遣いに見上げると、彼女は無表情だった。しかし、注意を一点に
凝らすように、このさもしい動物のような一人の男の行為を、好奇心を
交えて熟視していることがよく分かった。
(「垢と埃と汗の混じったビール」より)

マゾヒストって、きついなあ、寂しいなあ、と思います。好きな人にも、軽蔑されなくてはならないのです。それが悦びだから。

このエッセイ集は、そんな矛盾に、沼さんが最後まで、もがき、苦しみながら書き続けた、マゾヒストの執念がこもっています。

軽い気持ちで「私Mだから」とか言ってるうら若き女性に、是非とも読んでいただきたく存じます。[高橋大輔]

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