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[第8章●地理情報コミュニケーション]
8… 日本測地系と世界測地系
[2003.08.29登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

2002年にひとつの法律の改正があり、そのあおりで経度緯度情報は、現在ある意味で混乱している。

前回述べた甲子園球場の位置 東経135度21分51.8秒、北緯34度43分05.1秒はマピオンで調べたものだった。同じ場所を地形図閲覧サービス(試験公開)で調べると東経135度21分41秒北緯34度43分16秒となる。緯度経度ともだいたい11秒ほどちがっている。11秒と言えば、緯度経度とも300m以上ずれていることになる。300mといえば、大きい。タクシーなら、もう一回メーターが回ってしまうかもしれない。

なんで、こういうことになるか、というと、国土地理院の方は「世界測地系による緯度経度」であり、マピオンのほうが「日本測地系」でのそれであるからだ。

なんだ、グローバルスタンダードといいながら、緯度経度にも流儀流派があるのか、と叱られてしまいそうだが、実はそうなのだ。

ざっくりとした緯度経度は万国共通なのであるが、詳細に計測するには、地球楕円体をどのようにみなすのか、という理論上の根拠が必要になり、その根拠がいくつかあるため、いろんな測地系があり、測地系相互で、示されるポイントの緯度経度の値が変わってくる。

我が国では、今までは「日本測地系」というのを使っていたのだが、2002年以降は「世界測地系」に乗り換えたわけなのだ。地理情報コミュニケーションが、IT技術の発達とともに、社会的にも重要度を増してくるという時代の趨勢に配慮して、より厳密な世界測地系に(多少の混乱は覚悟の上で)移行したのである。

マピオンは「内部的には緯度経度を使っている」が別にそれが「緯度経度ですよ」と言っているわけでもなし、だいたいにおいて、開発されたのが日本測地系時代であったことから、依然として日本測地系での表現になっている。

しかし、国土地理院の地図は、現在急速に世界測地系に移行し始めており、この試験公開でも、全面的に世界測地系での表現になってしまっている。

日本測地系と世界測地系では同じ値が約400mほど離れた場所をポイントしてしまう。これでは困る。

したがって、緯度経度情報を記述する場合には、測地系を付記しておく必要がある。

東経135度21分51.8秒、北緯34度43分05.1秒(日本測地系)と書いておけば、根拠がはっきりして、場所がずれる心配はない。

同じ表現をE135°21’51.8”N34°43’05.1”(Tokyo Datum)と書いてもよいだろう。Tokyo Datumが日本測地系を現わす「英語」である。

いっぽう世界測地系の方は、国際的な基準としての「WGS-84」という略号で示してもいいし、JGD(正式にはJapanese Geodetic Datum2000)という書き方をしてもよい。つまり甲子園球場はE135°21’41” N34°43’16”(WGS-84)ないし(JDG)と表現されるわけだ。

両者の間の換算は可能か。もちろん可能です。国土地理院のサイトの中に両者相互の換算のためのWebアプリケーション(Web版TKY2JGD)が用意されている。Web上で経度緯度の数値を入れ、換算ボタンをクリックすると、測地系が変換される。

これさえ使えば、いつでも両者の間の換算が可能である。

手間はかかるが、ある意味、過渡期だからしかたがない。

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