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[第13章●本の買い方読み方しまい方]
6… 自分の読書事情をカミングアウトしてしまう
[2004.06.20登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

ひとさまの話ばかりをあげつらっているのもなんなので、自分の事情もカミングアウトしておくことにしよう。

石田豊……49歳、男性、妻と2人で暮らす、自営業


読書量はここ数年、極端に減った。ちゃんと読んでいるのは月3冊程度かな。

最近は図書館の利用がずいぶん増えた。不定期に杉並中央図書館(徒歩15分程度)に行き、5〜10冊程度を借りてくる。半数くらいは仕事上の必要だが、残りは純粋に楽しみのため。

仕事上で必要な本(少々参照したい程度が多い。どまんなかのは、さすがに買う)や、どうしても読みたい本(友人にすすめられた、サイトで見たなど)はケータイに書誌をメールしておくので、それらは図書館の情報端末で検索する。経験上半数程度が閉架のものなので、用紙に記入して提出。

書庫から出てくるまでの時間、開架をぶらついて出会いをさぐる。

だいたいは、その日の気分によって狙いの書架をきめ、その1.8mほどの幅の中から面白そうなのを数冊抜き出す。その「狩り場」の書架は日によって異なる。日本語論の棚であったり、植物学の棚であったり、地誌とか随筆なんて場合もある。ただし、まず立たない書架もある。社会科学とか哲学とか美術とか。この分野の本は苦手ということもあるし、2週間では読み切れないということもある。

小説の棚にも立たない。これは長いから、一目で見渡せない。それに著者五十音順になっているので、どの本が面白いのか、見当がつかない。面白いことがわかっている小説家の本は買ってるって。それに図書館の小説本はキタないんだよね。本、特に小説はベッドで読む。図書館の小説本は、えてして同衾に耐えないほどキタない。

図書館から借りてきた本で完読するのは「中程度」のおもしろさのもの。最高におもしろいと思った本は完読するまでに、Amazonやスーパー源氏で検索して、あれば購入する。

図書館で借りる本には多くを期待していない。

ぼくにとって本は
単行本新刊で買う>文庫になったら買う>古本屋で見つけたら買う>古本屋店頭の百均の棚にあれば買う>図書館で借りる
というふうにランク付けされている。もちろん、もうすでに新刊書店で入手不可能になっているのは、この価値軸にあてはまらないのだが。

ともあれ、このようにサベツ的に見下しているせいもあるのだろうが、借りてきた本の処遇には冷たい。完読するほうが圧倒的に少ない。

書店では、立ち読みはほぼしない。待ち合わせで書店を選んでしまったような時はする時もあるが、買うために行くときには、しない。

それは単純に「もったいない」からだ。2000円200頁の本を買うとして、4ページ立ち読みをすれば、4ページのぶんだけ、今夜の楽しみが減少することになる。お金にしてまず40円がとこ、ソンである。カバーを見、帯を見て、その本の中身をあれこれ想像する。装丁やタイトル、著者や出版社、外側から読み取れる情報の裏側からオーラがでているかどうかを値踏む。

中身はチラっと文体ないし組み版をチェックする程度。

つまりは、本選びは賭である。大袈裟に言えば、読書人としての全経験と全感覚を投入して中身を見ずに面白い本を選び出すわけだ。

読んでみて、その賭に勝っていたことがわかったときは、とてもうれしい。ほうらみろ、ざまあみあがれ!! 意味不明ながらそのような勝利感でいっぱいになる。

これもまた、本を選ぶヨロコビの一部であり、このヨロコビのために、お金をだしているという側面もある。

であるから中身を確認してから、つまり立ち読みをしてから、本を買う人は、ぼくに言わせれば無駄なお金の使い方をしていることになる。グリコを買ってキャラメルだけ食べて満足しているようなものであり、ポイントカードにたまったポイントを死蔵してしまうようなものである。

ギャンブルを楽しんでいるわけですね。

で、立ち読みしない人にとっては、立ち読み人士は不倶戴天の敵である。ぼくは客だ。彼は客であるぼくの潜在的な財産(買うかもしれないからね)を汚しているばかりか、ぼくの購買行為を書架の前に長時間仁王立ちになることで侵害している。なのになんであんなにでっかい態度なのかね。どかないもんね。五万歩ゆずって立ち読みもいいとしよう。でも最低限、平台にかばんを置くな。他の客が来たら水平に1mずれろ。

客であるぼくを大事にしないで、客の購買行為を著しく阻害する立ち読み専従者を優遇する本屋もバカだと思うよ。ジュンクなんてソファも用意しているもんね。


さて。

つい先日、駅前の書店で買ってきたのは
歴史人口学で見た日本」速水融 文春新書
雑草にも名前がある」草野双人 文春新書
都市に自然を回復するには」野村圭佑 どうぶつ社
権力の失墜 1」B・ウッドワード 日経ビジネス人文庫(なんちゅう名前やねん)
の4冊。まだ机の上に置きっぱなしで手をだしていない。目的買いは最初の1冊だけ。これだけが若干仕事がらみで、あとは「ギャンブル」。ぼくとしては、これでもいささか堅めの選書だ。もしかしたらここに書くかも、という意識がブレーキとして働いていたかもしれない。

古本屋ではなぜかこのギャンブル感が味わえない。誰かが先に手に取ってしまっているので、本の持つオーラがすり減ってしまっているのかもしれない。よって、古本屋店頭では、若干の立ち読みをする。ネット書店においてはもっとない。やはりブツとしての質感を味わえないのが致命傷だ。

ネット書店での買い物は、コマセを撒いての釣りのようでもあり、仕入れ業務のようでもあり、いささか無味乾燥である。

ああー、自分のことになると言いたいことはいっぱいある。いままでいろいろ聴いてきた人も、やっぱりもうひとことふたことあったに違いない。語り尽くせないまま、反省。

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あかねさんより
ご意見いただきました

[2006-10-29]

なんと Σ(゚口゚)

1から順調に読み進んでまいりましたが、
ここで石田さんご本人について読んで驚きました!

と言うのも、
まず利用している図書館が同じ区内!
私は高井戸と南荻窪館を利用しています^^
すごく親近感が沸きました〜('-'*)

それと、本屋での「賭け」も、
「わかるわかる!!」
と共感。
立ち読みしない理由も同じですし、
(楽しみが減る事と その分金額をそんした気分)
読んでいてすごく楽しかったです。

【ISBN】を検索してこちらに辿り着き いきなり読み始めたので、
さっきまで個人のブログかと思っていました^^;
この人はすごく面白いブログ書く〜なんて思ってたら、
本物のライターさんでしたね!どうりで文章が読みやすいわけだ???(^^;)ゞ

今日は夜中からずっと本を検索していたのですが、
眠気も覚めて読みふけっています。

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