2006-03-04
入試問題
今年、跡見学園など何校かの国語の受験問題に、拙著『さびしさの授業』の一部が使用されたとのことで、権利問題を扱っている団体から事後承諾を求める通知が届いた。一瞬、「なにぃ、無断使用かよ!」とムカつくものの、著作権問題に詳しいポット出版のサワベ社長に相談すると、教材に著者の許可なく使用することは教育基本法でOKされていると教わり、不本意ながら納得。事後報告なのは、受験問題に使用することを事前に連絡したら、情報が漏洩するかもしれないので、そうするしかないだろう、と(たしかに、おしゃべりの伏見だったら、絶対にぺらぺら話すに違いない)。まあ、国語の題材に、自分のヘタな文章を取り上げていただけたのだから、嬉しくないでもないので、素直に印税振込の口座番号を記入し、返信することにした。
それで、せっかくなので、その問題を自分で解いてみることに……。ところが、これが難しい! 漢字の書き取りができないのは当然のこと(←ワープロ時代からもう漢字力はなきに等しい)、著者は読者に何を伝えたいのか、という選択問題も、いったいどれが正解なんだー!? と自分でも首を傾げる始末(←情けない著者)。むかし塾講師をしていた時には、そんなの簡単に解答できたはずなんだけど、実際に、自分が文章を書いていると、そう明確に言いたいことなんて示せなくなるもんっすね。
例えば、こんな問題。
問七 ー−部4「『私』と世界の裂け目に、どんな橋を架けることができるのか」とありますが、「橋を架ける」とはどうすることですか。書き出しを「世界に」とし、「『私』」という言葉を用いて書きなさい。
……うーん、なんて書きゃ正解なんだ?

仕事先の電話の対応でときどき面白いのがある。これまでの爆笑ベストワンは、某ゲイ雑誌の編集部にかけたときのこと。
私の散歩のコースにはグラウンドがあって、日曜日にはよく小学生のサッカーチームが練習や試合をしている。それを見守る親御さんたちの様子を眺めながら、親の気持ちというのはいったいどのようなものだろうかと思うときがある。彼らの多くは私と同世代なのだが、私には子供がいない。それに負い目を抱くことはないのだが、ある種のうらやましさを感じないとは言わない。
ヒ…日高さん?! と思わず目を疑った。今月のバディのおまけDVDの中でズコズコと腰を振っている兄貴の顔が、ポットの日高さんによく似ているのだ。いやだ、こんなところで、アルバイト? などとスケベに凝視してみると、兄貴は大胸筋が厚く張っていて、ガリっぽい日高さん(失礼)であるはずがない。他人のそら似か。(*右の表紙モデルさんのことではありません)
今月、この本の著者の小浜逸郎さんが主宰されている「人間学アカデミー」の講師をやっている。引き受けたのを後悔するほど、大変な作業を背負い込んでしまった。3回の講演を新書にまとめるということなので、一冊書き下ろすのと同様の労力を要することになる。それがパン!セの『男子のための恋愛検定』の入稿と重なり、そういう時にかぎって他の仕事が入ってきたりして、もう首が回らない(ついでにエヴァ2までパチンコ屋に入ってしまって…)。暇なときには「仕事来ないかなあ」と切なく思うのだが、忙しくなればなったで「仕事なんてやってられない」と投げ出したくなる。人は我がままなもの。
著者は元「週刊金曜日」編集長・黒川宣之さん。伏見とは「オカマは差別か」以来の因縁の関係。というのは嘘(笑)。個人的に黒川さんに悪い感情を抱いたことはまったくなく、あの時、面倒くさがらずにシンポジウムに参加してくださり、また真摯な議論を交わすことができて好印象を持っている。体調が悪いのを押して出席してくださったのは知っていたが、多重がんと闘っていらしたとは知らなかった。いまさらながら、本当に感謝の気持ちでいっぱいになった。
血圧が上がって死んでもかまわない。終わらない原稿なんかほっぽってもいい。俺様は今日は朝も早よから、パチンコ屋の新装開店に並んだのだ。なんたってなじみの店舗にCRエヴァンゲリオン2が新台導入されたのだから。午前8時半には地元のろくでなしどもが100人は列を作っていたよ。ちなみに俺様は前から3番目。すっごい気合いだろう?
著者の浅野智哉さんは、以前、「ぴあ」の著者インタビューで伏見の『魔女の息子』を取り上げてくださった方で、そのとき、とても熱心に読み込んできてくれたのを覚えている。そういうライターさんはあまりいないので、印象的だった。あとがきに彼が書いているところを読むと、やはり小説というものに特別な思い入れがある人なのだろう。
昨日は「人間学アカデミー」の第1回目の講演だった。会場の麻布学園に行ってみて初めて、そこがあの東大進学の名門、麻布中学・高校であることを知った(笑)。元塾講師としては(大昔)、これがあの御三家の一角かあと、感慨ひとしお。伝統を感じさせる古めかしい厠を借りながら、そういえば、憧れの宮台真司先生もここで思春期を過ごされたんだよなあ、とあさがおに顔を赤らめる(←どんな)。
島田紳介が司会の恋愛トーク番組「キスイヤ」に、素人ゲイカップルが出演していた。伏見はこういうのが大好き! つい仕事をさぼって見てしまった。彼らは24と25歳のなかなかのイケメンで、少し前、ゲイのパーティで知り合ったのだという。
血圧測定器を購入。6890円。一発目から159の102という値で、買った甲斐があったもんだ。ワハハワハハ。なんて笑ってられん! これまでの不摂生のつけが回ってきたってやつ。中年って去年の自分ではなくなっていく、ということなのね。はあぁ(深いため息)。もうあと何冊、本が書けるかわからない。ここ数年で書くべきことは書いておかねば。長く遊びほうけていたことを悔やむばかり。
”人間と性”教育研究協議会が発行している季刊誌「セクシュアリティ」をお送りいただいた。ほうほう、こういう内容なんだ、とページをめくっていたら、編集後記にこんな文章が記されていた。
大学の同窓、鈴木裕之くんがテレビに出ていた! CXのスーパーニュースで国際結婚をしている夫婦としてレポートされていたのだ。もう卒業以来、ニ十年も連絡を取り合っていないけど、全然変わっていなかった。嬉しいやらなつかしいやら。なんでもいまは大学で文化人類学を教えているとのこと。奥さんは西アフリカのアイドル歌手だったそうで、ふたりが結婚した際にはあちらの国では新聞各紙のトップを飾ったという。奥さん、歌も踊りもすんごかった(あのキャラだと、遠からず日本でも外国人タレントとして人気者になるね)。
朝から母を連れて市の健康検診を受けてきた。母は血圧がかなりヤバい数値だった(本人にまったく自覚症状がなかったのが母らしい)。ぼくもこのところ頭が痛いときがあって、やはり高血圧気味になっていた。少し前に、台湾の相棒も血圧を下げる薬を飲み始めたので、我が家は高血圧家族になりつつある。
昨日は、京橋で『ブロークバック・マウンテン』の試写→感動おさまらず、地下鉄の中で涙する中年デブ→新宿で雑誌「ユリイカ」の対談→二丁目でQJrの打ち合わせ、という流れだった。
この映画に批評の言葉を加えることなどできません。
というゲイ向けエロビがあるのだけど、いまや本家ホリエモンもそんな風情。マスコミは手のひらを返したようにホリエモン叩きに狂奔している。彼の”合コン隠し撮り映像”まで流している番組もあって、もう気分悪くなった。だって、そんなプライベートなところを天下のテレビ局が(撮影していたのか、どっかから入手したのか知らないけど)公共の電波に乗せているんだよ。そっちのほうが問題じゃないか! この国のマスコミの、落ちたものに「ほーら、みろ」と言いたい心性にゾッとするものを感じる。
アン・リー監督『ブロークバック・マウンテン』がアカデミー賞を前にして話題沸騰の模様。「バディ」でもニューヨーク在住のジャーナリスト・北丸雄二さんが、胸にしみ入るレビューを書いていた。彼の感動がそのまま文体になっていたので、こちらも震えるような気持ちになった。日本よりも先に公開になっている台北で観た相棒も、興奮して電話をかけてきた。「絶対に観て!」。相棒とは映画の見方がほとんど同じなので、これは観なくては!と試写へ潜り込むことに決めた。
すっかり地元に引きこもっていた伏見だが、久しぶりに荒川を渡って都内へ。●新宿の東急ハンズを歩いていたら、コスプレのコーナーでHGのマネキンを発見。よく見たら、その一角が丸ごとハードゲイ・コーナーになっていて、ブレスレッドだとかグラサンだとかさまざまなグッズが並んでいた!(大爆笑)。ゲイでない人たちが(子供も含めて)これを買って「フォ〜ッ!!」とかやってるわけでしょ? ぼくみたいに高校生のときに映画『クルージング』でショックを受けた人間にとっては、もうわけわからない世界(笑)。ムーブメントはこういうのを真面目に批判するより、こちらの文脈に上手く利用することを考えたほうがいい。●原宿のポット出版の会議室でQJr vol.2の打ち合わせ。共同通信の取材が入っていたので、過剰にパフォーマンスしてしまう。自分、根っからの芸者体質。でも共同さんには本当にお世話になっていて、とくに文化部の記者とは総当たり戦ともいえる様相なので、できるだけお役に立ちたい、と。●記者さんを連れて二丁目に出動(密着取材?)。メゾフォルテへ出向き、遅ればせながら福島光生・二丁目振興会会長に新年のご挨拶(←要所はしっかり押さえておく)。食事をし荷物を置かせていただいて、ACEでの、HIV啓発のメッセージを込めたイベント”SEX”へ。ショータイムのトップはメロディアスで、HIV感染者やその友人たちの気持ちを綴った手記を朗読。ぼくとつとした語りと、ナマの言葉が心にしみいった。その後のG.O.レボリューションのポップスターや、HOSSYとマルガリータの青春アミーゴもおかしかった(笑)。司会のルチアーノたち女子組がほんわか場の癒し効果を出していた(取材協力に感謝!)。●ココロカフェで、QJrのライターのたなべねに説教タイム。どうも年取ると若いやつにえらそうなことを言いたくなる。いや、若い頃からそうだったかも(そういう性格)。●何軒かゲイバーを回っていろいろな話しに耳を傾ける(たまにこうしてゲイバーで時代のアンテナを立てる伏見)。うーん、やっぱHIVの問題は益々深刻さを増しているよう。そこに鬱病やら何やらの問題もからまって……ゲイ業界はなかなか前途多難。伏見の予言は、今年は「ゴメ紀」の反動が目に見える形になる、というものなのだが、それはとっくにはじまっているようだ。●ラストはタックスノットでしめ。タック先生と年金について語り合う(←急にババくさい)。●明け方タクシーで帰宅。ちょっとリッチな気分。雪の舞う窓の外を見ながら、(まだはじまったばかりなのに)2006年が平穏無事に終わってくれることを祈らずにはいられなかった……。
同じようなネタを10年前くらいにも書いたのだが。