2005-05-16

まえがき

73b9.jpgはじめまして。五月十六日からここポット出版で実習生をはじめた藤井崇雅(ふじいたかまさ)です。ポットには日高さんというコンピューターのプロフェッショナルの方がいて、彼が僕のためにこの実習生日誌を作ってくださいました。実習生日誌をクリックしてここにたどりついてきた方の中には、きっと出版業界に興味を持たれている方や、僕と同い年ぐらいでどんな仕事が向いているのか迷っている方も少なからずいらっしゃると思います。僕は出版の知識はゼロです。文字通り、本当に何も知りません。ただ本を読むのが好きで、文章を書くのが好きで、それに一番近い場所である出版社に興味を持ってポットの門をたたきました。そんな僕が飛び込んだ出版業界の片隅から、印象的だった出来事や新鮮な日々の出来事をここでお伝えできたらと思います。僕と同じように出版に興味を持っている方々が、出版社の日常をこの場所を通して少しでも感じていただけたら幸いです。

はじめに僕がどんな人間で、どんな風にしてポットにやってきたのか、ということについて簡単に記しておきたいと思います。僕は今年19歳になったアメリカの大学の学生です。専攻を一つにしぼれなかったことや他の価値観にどっぷりつかり自分を客観視してみたかったことなどから、幅広いリベラルアーツ教育を提供する今の大学を選びました。高校を卒業してから半年間、あるテーマパークで準社員として働き、その後渡米しました。今月、やっと僕の米国での一年目が終わり、夏期休暇にあわせて東京に戻ってきたところです。逆カルチャーショックの対処をする暇もないまま、この実習に突入し今これを書いています。

そう遠くない将来待ち受けている就職。自分は一年生とはいえ、それはもう三年後に迫っているのです。こんなに早く大人になっていくとは想像もしていませんでした。大学の図書館から戻り一杯のコーヒーで一息つく深夜、気がつくとGoogleの検索ボックスに「就職」だとか「仕事」だとかいうキーワードを打ち込んでいる自分がいます。掲示板のあふれる情報の中でひとつだけ明らかだったのは、大学への受験戦争と同様の厳しい日本の就職活動の現実でした。焦ってしまい、「バイリンガルの就職情報」や「みんなの就職掲示板」などを狂ったように読み進めてみるものの、そう簡単にやりたい仕事など見つかるはずもありません。結局、明け方近くになってようやくベッドに潜り込むのが前学期の僕の日常でした。今僕がここにいるのはそういった恐怖の現れです。「仕事」と聞いても、「出版」と聞いても、頭に何のイメージもわいてこない自分への挑戦です。

インターネットで、出版のインターンを探していたとき最初に見つかったのがポットの実習でした。自分の興味や会社の雰囲気などを考えて、一番面白い経験のできそうだったポットを選びました。

それでは皆様、もしよろしければこれから三ヶ月間、この日誌におつきあいくださいませ。何か質問やお叱りなどがありましたらぜひお願いいたします。