2005-10-31

レーゲルンクの嵐

この週末のことを書くのは、とても厳しいです。でも、きっと良いことなのだと思い、お知らせいたします。本当に、心の持ち方で、どうにでもなるような気がします。

土曜日の朝、私はいつものように気持ちよく起きました。夕方には、ペトラとフィルハーモニーでドミンゴを聴くことになっていましたし、日曜日は息子と管弦楽、ちょっとリッチな気分の、久々に優雅な週末。楽しみにしていたのです。素晴らしい週末のはずでした。ところが・・・・。

起きてからPCを開けて、補聴器をつけました。いつもと変わらない手順です。でも、補聴器をつけても聞こえないのです。正確に言えば、金属音のような響きしか感じず、自分の声も、そして他の声もほとんど遠くかなた・・・。びっくりして補聴器を外しました。今現在は、右耳のみ聞こえるので、でも左にも一応補聴器を装着しているという状態です。なので、とにかく右の補聴器を外し、バッテリーを交換しました。けれども、やはり同じ音しか聞こえないのです。もしかしたら・・・もう随分使っているから、補聴器が壊れてしまったのではないかしら?高価なものですし、これは困った、と思って、再び外してチェックしました。私ではわからないし、でも本当に補聴器が壊れたのか知るには、自分の耳が今までと同じ状態であることを確認しなければなりません。そこで私は、PCにDVDを入れました。そこにイヤホンをつけて、音を聞こうと思ったのです。今まででしたら、最音量にすれば、DVDの音をイヤホンで拾うことができました。

ところが、イヤホンから全く音が聞こえないのです! ものすごくびっくりしました。もしかしたら、補聴器が原因ではなくて、私の耳が原因? でも、突然、前以上に聞こえなくなるはずはない!そう思って、とはいえ怖くなってきて、ペトラにメールをしました。もしかしたら、耳が聞こえなくなっているかもしれないので、コンサートには行かれないかもしれない、私の分のチケットをプレゼントするので、誰か友達と行ってきて、と書きました。すると数分後に電話が!でも、全く聞こえないのです!!今まででしたら、とりあえずかすかに聞こえて、相手が大きな声で話してくだされば、何とかなりました。その場合は、いつも補聴器を外し、耳を直接受話器にあてて、聞くことができたのです。補聴器をつけて受話器に近づくと、ハウリングを起こすので、どうしても補聴器なしになります。でも、それでも聞こえていたので、嬉しかったのですけれども、今は全く聞こえません。金属音が遠くの方から聞こえます。誰かが電話で話しているみたいだけれども、全くわからない!受話器をおいて、私はうなだれてしまいました。どうして?一体何が起こったの?? 私はついに、何も聞こえなくなってしまうの??

ものすごく怖くなって、声を出してみました。「あ・い・う・え・お!」駄目です、「あ」しか聞こえません。あとは自分がロボットになったみたいな音が聞こえてくるだけ・・・。愕然としました。
昨日まで、とても調子が良かったのです。ストレスもなかったし、きつい仕事も終了しているし、疲労もなかったのでイメージトレーニングもとてもうまくいっていましたし、何ひとつネガティブなことはありませんでした。なのに、朝起きたら突然聞こえなくなっていたのです・・・。今日から生菜食Bなのに・・・・。

ふと、思いました。今までも、脱線していてもさほどひどいものではなかったし、とても前向きな状況もあり、悪くなるはずがない。となれば、これは好転反応なのではないか?と・・・・。ドイツ語では、レーゲルンクという言葉があり、これが、こういった場合の日本語の好転反応に近い状況なのですが、つまり、良くなる過程で、さらに良くなるために一時期現状より悪くなることを指します。私は、これはレーゲルンクなのではないか、と思ったのです。

そう思ったら、悲観的な気持ちが少し消えました。今ここで、マイナスのエネルギーにやられてしまったら、きっと治るものも治らない。これは良くなるためのプロセスであって、レーゲルンクなのだから、大丈夫、黙って受け入れよう!と思ったのです。もちろん、口で言うのは簡単ですが、実際そうしようと心で思おうとしても、なかなかうまくいきません。とても怖かったのです。このまま全く聞こえなくなってしまったらどうしよう・・・。しばらく自分の中で葛藤が続きました。息子が午後1時頃友達のところから戻って来て、私の様子を見てものすごくびっくりし、うろたえて大泣きしながら「お母さん、ごめんね、朝一緒にいてあげられなくてごめんね!大丈夫だよ、絶対に治るんだから!」と言うのですが、とても不安な様子が伝わってきました。「大丈夫。心配しなくても、きっとお母さんの耳は良くなるわ。だって今は悪くないんだもの。こんなことになるはずがない。」でも、そうは言っても、私もすごくドキドキしていました。けれども80%くらいは、元に戻るに違いない、と信じていたのでした。そして私は再びふとんに入り、眠ってしまいました。

3時頃、ペトラが来ました。とても心配してくれて、友達の医者に聞いたら、すぐにでも救急病院に行くべき、難聴だったらすぐに対処しないと大変なことになる、と言われ、一緒に病院へ行こうと言うのです。「でもペトラ、私はわかっているのよ。何度もベルリンでも日本でも、現代病院に行ったわ。いくつもの検査をして、血液を摂って、聴覚テストをして、挙句の果ては、治りません、即入院です。ステロイド大量摂取ですってなるの。ステロイドは私もいっぱい持っているから、それだったら自分で飲めば良いのだもの。」「でも淑子、そうじゃないかもしれないでしょ、一応診てもらうのもひとつの考え方よ。」いろいろ話し合いをして、ペトラは親身になって病院に行くことを勧めてくれたのですが、私はそれだったら甲田先生にお電話をしたいと思いました。それに、日本では現代病院で信頼している先生も診てくださるので、最悪の場合はメールを書いて日本に戻ればいい、と思いました。それでとにかく、夜中に甲田先生にお電話をし、(日本は朝)ご相談しようとしました。息子を夜中に起こし、電話をしてもらいました。でも、お留守でした。どなたも出ませんでした・・・。

私は土曜日、結局断食状態になりました。柿の葉っぱでできたお茶を飲むだけで、後は何も口にせず、ひたすら寝ていました。結果、断食をしたのでした。なので、生菜食B用の玄米粒をいただくこともしませんでした。それが良かったのかわかりませんが、夜中に甲田先生にお電話をした時には、耳の調子が少し戻っていました!息子に、「あれ、少し聞こえるわ!」と言ったら、大喜び! そうです、それまでは、息子ともペトラとも、筆談だったのですから・・・。「お母さん、僕の声が聞こえるの?」「うん、まだ本調子じゃないけれども、また聞こえるようになったよ!」泣きながら息子がハグしてきました。よっぽど心配していたのでしょうね・・・。辛い思いを息子にさせてしまって、かわいそうなことをしました。

結局甲田先生にご相談できませんでしたが、断食が良かったのか、ずっと寝ていたのが良かったのか、今はほとんど元に戻っています。(完全ではないのですが)そして、今日も生菜食Bをせず、玄米のお粥を少しいただきました。青汁も飲みました。それ以外はお茶のみ。明日から生菜食Bにしようと思います。

久しぶりに断食を1日だけしたのですけれども、私にはとても効果があったようです。実際、その後大動脈炎の咳が9割近く消えて、ほんの時たま咳をする程度になったのには驚きました!たった一度断食しただけで!!人間の身体って、本当に神秘的なのだなぁ、としみじみ思いました。

私は、これは好転反応だと思っています。現代病院では、一度落ちた聴覚は元に戻らない、と言われていました。けれども、元(というか、前の少しだけ聞こえる状態ですけれど)に戻ったのです。ですから、これからちゃんと少食養生をすれば、きっともうすぐ、健康だった時のように、耳鳴りも消えて素晴らしく聞こえるようになると確信しました!

とても怖い経験でしたが、好転反応だと思うようにして、さらなる養生を続けたいと思います。もう迷いがなくなりました!続けるのみです。

このエントリへの反応

  1. 貴重なお話をありがとうございます。大変な思いをされたのですね。でも、回復されて、本当に本当によかったです。必ずよくなると、私も思います。夜明け前なのだと思います。

  2. 素晴らしいです!好転反応ですね!!
    とてもご心配されて・・・・おつらかったですけれど。
    私も必ず良くなると思います。絶対に。。
    体って凄いですね。病気によってもたらされる症状もですが、まだまだたくさんの未知のエネルギーが、奥底に眠っていて、これから少しずつ、顔を出してきてくれる気がします。そうすると、自分の体とか心とか大事に思えてくる事が不思議ですがとても大事な事なんですね〜!!!
    ほんとに素晴らしいです。応援しています。

  3. 読んでいて、ぼろぼろ泣いてしまいました。特に息子さんの不安の大きさと優しさに。脱線ばかりでもう本線がどこだかわからなくなっているような私と違って、厳しい少食を続けていらっしゃる(それも楽しんで)青木さんです。全然心配していない、と言ったらウソになりますが、信じています。そして、祈っています。本当に,体ってすごいですね。自然の力って,宇宙のエネルギーって(そこまで大げさに言っていいのか!?)偉大ですね。

  4. 淑子さんの素敵な日記、いつも拝見しています。

    人様のお身体の具合について、無責任なコメントで失礼かもしれませんが、どうかお許しください。

    先日の咳といい、今回の耳の具合といい、、、
    本線への導きなのではないでしょうか?

    今迄、脱線をしながらでも、療法を続けてこられたことは、非常に価値のあることですよね。

    そのうえで、、、
    さらなる飛躍、一段のステップアップの為の、、、
    本線をしっかりと邁進させようとする為の、、、
    ありがたいサインなのだと思うのです。

    どうしてこんなアンラッキーな目に遭わなければならないのか?
    本当に不思議としか思えないことが、私にも何度か有りました。
    (内容はつまらないものですけどね、、、)

    そうした不運なことって、、、
    道を外れないで本来のコースに導かせる為の仕業なのではないのか?

    そうとしか考えられない不思議なアンラッキーな出来事によって、軌道修正を余儀なくされ、
    結果的に少しずつ良い方向へ向かうことが、出来ているみたいなんです。

    淑子さんもきっとそうなんだと思います。