投稿者「五賀 雅子」のアーカイブ

園子温監督の「愛のむきだし」がW受賞

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初日に見て、青木さんも私も絶賛した
園子温監督の「愛のむきだし」が、
カリガリ賞と国際批評家連盟賞を受賞しました!
現在、ユーロスペースで公開中です。

「カリガリ賞」受賞について書かれたプレスリリースを
青木さんに読んでもらったところ、要約すると次のような内容でした。

ロマンティックなラブストーリーをはじめ、新興宗教など
いろいろなことが描かれている。
すごくアートを感じ、かつ創造的であり、
とても考えさせられる内容だ。
愛とは何か、宗教とは何か。
いわゆる政治的な映画よりも、もっと政治的である。
4時間という上映時間は、映画の喜びに浸れる至福の時間であり、
観客は喜んで4時間を受け入れるだろう。

もう、大絶賛ですね。
みなさんもぜひ、どうぞ!
ドイツの新聞「ターゲスシュピーゲル」を読んだ青木さん情報によると、
海外の会社にも買われたようですよ。

第59回ベルリナーレ 受賞作が決まりました!

●金熊賞 
「La teta asustada (The Milk Of Sorrow)」

●銀熊賞 
「Alle Anderen (Everyone else)」
「Gigante」

●最優秀監督賞 
Asghar Farhadi 「Darbareye Elly (About Elly)」

●最優秀女優賞 
Birgit Minichmayr 「Alle Anderen (Everyone else)」

●最優秀男優賞 
Sotigui Kouyate 「London River」

●脚本賞 Oren Moverman and Alessandro Camon
「The Messenger」

●アルフレッド・バウアー賞
「Gigante」
「Tatarak (Sweet Rush) 」

ちなみに、園子温監督の「愛のむきだし」は、
カリガリ賞を受賞しました。
感想など詳しくは、明日のレポートで!

第59回ベルリナーレ 2月14日

こちらベルリンは、今14日の夜7時45分です。
今日の8時半に賞の発表が行われます。
その前に、今日見た映画を紹介しますね。

コンペ部門のクロージング映画は、
ギリシャ出身監督の「Eden is West」
(コンペ外)

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クロージング映画だというのに、冒頭からハプニングがありました。
音声が出ないまま上映が始まり、それに劇場関係者がなかなか気づかず、
気づいて再度音声入りで上映したものの、
途中からだったものだから、ブーイングが起きて、再び中断。
ようやく、冒頭からやり直したという信じられない出来事でした。
コンペ最終日で、関係者も気を抜いてしまったのでしょうか。

でも、映画の方は思いのほか良くて、
こちらもちょっとお疲れモードで最初は寝ちゃうかも?と
思ったのですが、ヨーロッパの知らない一面を垣間見てしまいました。

物語は、エーゲ海で始まります。
ギリシャを経由して、ヨーロッパへ移住するため、
たくさんの人がお金を払って船に乗り込み、密航しようとしています。
航海の最中に警察に見つかり、逃げるために海に飛び込む男たち。
主人公のEliasは、そんな男たちのうちの一人でした。
彼が、ギリシャのリゾート地(ヌーディスト村?)に流れ着き、
そこから遠くパリを目指す物語です。
警察から逃れるために、身を隠しながらの逃走なのですが、
年上の女性に助けられたり、ドイツへ帰るトラックの運転手さんに
助けられたり、そうかと思えば、だまされてお金を取られたり…。
主役を演じるRiccardo Scamarcioが、吸い込まれそうな瞳をしていて、
とっても美しく、思わず引き込まれてしまいました。
彼自身が、英語も話せない設定で、助けられる人々とは、
言葉が通じないので、見ているこちらも心細くなって、
彼と一緒に旅しているような気分にもなります。
ラストシーンには不満が残りましたが、
クロージングに選ばれただけの見応えがありました。

監督は、Costa-Gavras(写真下右)

フォーラム部門&パノラマ部門の映画も見ました!

韓国の結婚にまつわるドキュメンタリー
「Die Koreanische Hochzeitstruhe」

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ドイツ人の女性監督Ulrike Ottinger(写真下右)が
韓国の結婚にまつわる儀式をテーマに撮ったドキュメンタリーです。
お隣の国だけど、知らないことがいっぱいでした。
例えば、結婚する前に、贈り物を交わす儀式では、
大きな箱に品物を入れ、それを男性が背負って運んだり、
ウエディングドレスも着るけれど、古い昔の着物を着て
儀式に挑んだり…。そこでは、花婿が、お嫁さん抱っこならぬ、
お嫁さんおんぶをするんです。
みんながみんな、このような結婚式をするわけではないでしょうが、
とても興味深くて面白かったです。

橋口亮輔監督のヒット作「ぐるりのこと」が
パノラマ部門で上映!

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日本で公開されたときに見て、とっても感動したのですが、
ベルリンで見て、再び涙しました。
改めて、心に染みるいい映画だなぁと思いました。
青木さんは開幕してすぐに、会場そばでリリー・フランキーさんを
見かけたそうです。私は見逃してしまったのですが、来ていたのですね。

この映画、ドイツの人にはどのように受け入れられるだろうと
思ったのですが、すご〜くいい感じでした。
青木さんによると、通常エンドロールが始まるとすぐにみんな立って
帰ってしまうそうですが、質疑応答もないのに
最後までいた人が多く、拍手のとても大きかったです。
最初の方で、妻がセックスの日を週3日と決めて強要するシーンが
あるのですが、そこでの微妙なやりとりにも、
くすくす笑いでかなり会場が沸いていたので、
うれしくなりました。
写真下は橋口監督。

日本映画「そらそい」がジェネレーション14プラスで上映!

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ジェネレーション部門は子ども向けの映画で、
今日は土曜日ということもあり、
子ども連れの人々で、あっという間に会場は満席になりました。
創作ダンスサークルの大学生のひと夏の合宿を描いた映画なのですが、
びっくりしました。客席の反応に。
中年女が見ると、冒頭から中盤までは、
ちょっと子どもっぽいなぁと、ちょっと引いて見ていたのですが、
会場からは終始笑い声が上がるんです。
子どもって、理屈じゃないんですよね。
私の隣の女の子なんて、身を乗り出して見ていましたからね。
私も最後は、結構面白く見ました。
学生たちが練習しているダンスが、
すごく下手なんだけど(毎年最下位という設定)、
最後に見せる海岸でのダンスシーンは、とっても素敵に見えるんです。

コンペでずっと、どっちかというと、年配の人々の暗い、
考える映画ばかり見ていたので、
若いっていいなぁと素直に思える映画でした。
映画に出た女の子たちが結構な人数でベルリンに来ていて、
写真下の右は、この日の質疑応答のシーンです。

第59回ベルリナーレ 2月13日

いよいよ映画祭も終盤です。
コンペ部門の上映は、今日と明日とで
残り4本(コンペ対象1本、コンペ外3本)となりました。
金熊賞の対象となる作品は、今日の3本目で最後となるので、
明日には賞の発表が行われます。
どれが受賞するでしょうか。
今日のレポートの最後に、私の予想を立ててみたいと思います。

13人の監督が今のドイツを描写した
「Deutschland 09,13Kurze Filme Zer Lage Der Nation」
(コンペ外)

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この映画は、「The International」のトム・ティクヴァや
「グッバイ、レーニン」のヴォルフガング・ベッカーなど、
ドイツを代表する映画監督13人が、ドイツの今を
それぞれの視点で描いたものです。全編140分。
青木さん情報によると、16歳の新人監督も含まれているそうです。
それぞれの監督のドイツへの思いやイメージが、
独創的に表現されています。

会話中心に構成されたものは、よくわからず寝てしまった箇所もありますが、
映像や視点の面白さで、4本ほどが印象に残りました。
例えば、ドイツ人のまじめで、お固い感じの気質をアイロニカルに描いた
1本目の作品。ある薬を飲むと、突然自分の周りが陽気になるというもので
音楽の使い方や、ぶっ飛び加減が暗くなくて楽しめました。
また、ある地方新聞のオーナーが、
一面には写真を載せないというポリシーを持っていて、
それがある日部下によって破られたことで、
とんでもない行動に出る話…。
病院を描いているのかと思いきや、建物は廃墟同然で、
そこで治療する医師も看護士も、もちろん患者も
すべて病んでいる…という作品。
世界を飛び回るビジネスマンを描いたトム・ティクヴァの作品も、
オチるところにオチていて、ニンマリ笑える作品でした。

この映画、日本で公開されるでしょうか?
日本でも誰かが音頭をとって、作ったら面白いのに…。
まあ、13人は多すぎるので、8人くらいでどうでしょうか。

コンペ外なのでパスした
「ピンクパンサー2」

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コンペティション部門では、今後の公開の宣伝的な意味を込めて、
ハリウッドなどの大作映画をコンペ外として上映しています。
今回も、そういう映画が8本あって、
今日まではもれなく見てきたのですが、
「ピンクパンサー」はリメイクだし、しかも、2作目なので、
何もベルリンで見なくてもいいや、とパスしてしまいました。

多分、日本でも公開されると思うので、
あらすじなどは、日本での情報を見てくださいね。
監督は、「ジュエルに気をつけろ!」のハロルド・ズワルト(写真下右)。
クルーゾ警部役は、スティーブ・マーティン。
そのほか、ジャン・レノ、アンディ・ガルシアが出演します。
ジャン・レノ人気なのか、ハイヤットホテルの裏口では、
出待ちのファンが大勢いました。

コンペ部門を追いかけていると、時間がなくて、
なかなかほかの部門の映画が見れません。
なので、ピンクパンサーの代わりに、この時間は、
ドイツ人の女性監督が撮ったフォーラム部門のドキュメンタリーを
見てきました。明日と15日も、他部門の映画やショートフィルムを
見る予定です。それらの紹介は、後日まとめてしますね。

コンペ対象の最後の作品は
巨匠アンジェイ・ワイダ監督の「Tatarak(Sweet Rush)」

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「地下水道」や「灰とダイヤモンド」などで有名な
ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダ(写真下右)。
御年82歳でなお現役、創作意欲が衰えていないのがスゴい。

この映画のベースになっているのは、
ポーランドでよく知られた作家Jaroslaw Lwaskiewiczの物語。
どこまで忠実に描いているのかわからないのですが、
映画では、1人の女性のモノローグシーンと、
息子を亡くした過去があり、今の暮らしに孤独感を募らせ、
息子のような若い男性の出現に心浮き立たせるマルタのストーリーが
交互に出てきます。
青木さんに聞いたところ、モノローグシーンは、
マルタを演じる女優さんが、自分自身の夫について語っているところで、
その女優さんがマルタという役を演じている設定で、
現実とフィクションが入れ子構造のように構成されているとのことです。

これらは映画が終わった後に聞いたので、
見ている間はチンプンカンプンだったのですが、
巨匠アンジェイ・ワイダのスゴさは感じ取れたと思います。
特にモノローグシーンの長回し。
カメラは一つの部屋を一方向から映し出しているのですが、
位置は変わらず、女性が動く姿を追うこともしません。
女性が画面から見切れたまま、というシーンが何分も続いたりもしました。

どの作品が賞を取るか、私の予想!

今回のコンペティション部門は、女性の視点で描かれたものが
ものすごく多かったなぁという印象を受けました。
特に、30歳以上で、子育て中あるいは子育てを終えた女性を
主人公にしていて、その女性のすごく狭い世界の話なのだけど、
誰もが経験するような感情や経験を扱っていて共感できる部分も
多かったなぁと感じました。
でも、テーマとしては暗かったり、救いがなかったり、
絵空事だったりも多くて、
もっと若い人が主人公のエネルギッシュな作品も見たかったですね。

そんな中で、映画のテーマ、描き方、演技力など
すべてのバランスを考えると、「London River」が一押しです。
それについで、何かの賞は取るのでは?と思っているのが、
「Little Soldier」「Gigante」「The Messenger」「Katalin Varga」。

また、主演男優賞は「In The Electric Mist」のトミー・リー・ジョーンズ。
または、ドイツ映画「Alle Anderen(Everyone Else)」の
Birgit Minichmayrもありかも…。
主演女優賞は、「Little Soldier」のTrine Dyrholmか、
「Katalin Varga」のHilda Peter。
助演男優賞はあるかないかわかりませんが、
「The Messenger」のウディ・ハレルソンか、
個人的には「Forever Enthralled(梅蘭芳)」の
安藤政信くんにあげたいですね。

さあ、果たして当たるでしょうか?
明日の発表をお楽しみに!

第59回ベルリナーレ 2月12日

早くもベルリナーレ8日目です。
金熊賞対象となる作品は、今日を含めてあと3本。
コンペ外の作品は、あと4本です。
今日見た3本の映画と、昨日のぞいてきた
ヨーロッパフィルムマーケットの日本ブースの紹介をしますね。

圧倒的な風景の中で語られる
ペルーの現実「La Teta Asustada(The Milk of Sorrow)」

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ペルーが舞台の映画。ペルーと言えば、ナスカの地上絵や
インカ帝国などの世界遺産が有名で、一回は行ってみたい国の一つです。
でも、そこでどんな人々が、どんな風に暮らしているのかは
私自身、全く知りませんでした。

物語は、Faustaという若い娘の年老いた母親の死に際のシーンから
始まります。母親が歌い、娘もそれに答えて歌います。
その歌の中で語られるのは、「悲しみのミルク」というキーワード。
映画の後、青木さんにドイツ語で事前資料を読んでもらったところ、
以下のような内容でした。
その女の子は、病気で、その病気というのは母親が妊娠中や授乳期間中に
レイプや暴力を受けたことが原因でなってしまうというものでした。
それは今では、過去のものになっているが、
彼女は不安などによって魂が病んでいるという状態になっていて、
母親の死によって、それが一層深まってしまったということのようです。

映画では、この女の子が母親をきちんと埋葬するために、
働いてお金を貯め、最後はついに望みを達成するという話なのですが、
その間、母親は布に包まれ、娘のベッドの下にずっと置かれ、
時に娘は添い寝をしたりします。

母親の死後、娘は親戚のおじさんの世話になっているのですが、
その村での結婚式のシーンが何度も何度も映されます。
そのシーンは、まさの世界遺産の国ペルーの圧倒的な自然美、
見たこともない風景の中で行われていて、
でも、結婚式自体は、ベールの長さだとか、
いかに派手に行うかというバカバカしいほどの演出に満ちていて、
そのギャップに驚かされます。

娘と母親の顔立ちは、先住民族のようで、
ペルーでは、内戦の時代にレイプや暴行があったようなので、
この国独自の時代背景を映し出した映画なのだと思います。
その辺がもっとわかって見ると、より理解できたと思います。
終了後の拍手は大きく、社会性などから考えても、
賞をとる可能性が高いのでは?と思いました。

監督は、ペルー出身のClaudia Llosaという女性(写真下右)。
第2作目の監督作品のようです。

浮気された妻が息子連れで
リッチな夫探しの旅に出る「My One And Only」

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1950年代のアメリカが舞台。
バンドマスターの夫が家に女を連れ込んだ日、
妻のアンは2人の息子を連れて新しい生活を始めるため、
旅立ちます。美人で男性の目を引くタイプのアンは、
自分と息子たちを養ってくれるリッチな男性を探すため、
奔走するのですが…。
レニー・ゼルウィガーが、思春期の息子を持つ母親役を
魅力的に演じています。
父親役は、ケビン・ベーコン。この人、好きなのですが、
昔と変わらずスリムで、でも適度に年取った感じが良かったです。

映画はコメディタッチで、会場は終始笑いに包まれていました。
でも、母親と息子との関係の描き方は、
心にジンとくるものがあって、そのバランスが良かったです。

この作品は、俳優のジョージ・ハミルトンの子ども時代の思い出もとに
しているとのことで、最後には、撮影所で俳優として見いだされる場面も
出てきます。名前は聞いたことはあったけど、御年70歳ですから、
よく知りませんでしたがプレイボーイとして名を馳せていたそうです。

母親の描き方は、自分の魅力を武器に。
結局は男に頼って生きようとするものでしたが、
どこかに凛としたものがあって、性根の座ったと言うか、
芯が通っているというか、息子たちが誇りに思えるようなものでした。
でもまあ、多少は美化しているのでは?
昔の記憶は、年とともに、美しく書き換えられるものですからね。

監督は、Richard Loncraine)写真下)。

難解すぎてよく分からなかった
テオ・アンゲロプロスの「The Dust of Time」
(コンペ外)

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世界中の映画祭で数々の賞を取っている、
テオ・アンゲロプロス監督(写真下右)の新作。
「旅芸人の記録」「ユリシーズの瞳」「永遠と一日」など、
日本でも有名ですね。

ギリシャ、ドイツ、イタリア、ロシアの合作で、
舞台は、ギリシャ、ロシア、ベルリンと移り変わります。

監督自身の両親と自身を描いているようで、
どうやらこれは、「エレニの旅」を第一部とする
三部作のうちの二作目に当たるようです。
スターリンが死んだ1953年から始まり、それ以後50年以上の
家族の歴史が出てくるのですが、
時代が行ったり来たりしたり、
同じ場面でいつの間にか時代がさかのぼっていたりするので、
誰が誰なのか、よく理解できず、
特に、社会的な出来事もオーバーラップするので、
訳がわかりませんでした。
途中で退席した人も多かったです。

ウィレム・デフォーが監督Aを演じ、
「ふたりのベロニカ」のイレーネ・ジャコブが母親エレニ、
往年の名優ミッシェル・ピコリが父親役を演じ、
「ベルリン天使の詩」のブルーノ・ガンツも出ています。

ヨーロピアンフィルムマーケットの
ジャパンブースに行ってきました!

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映画祭の会場で、映画評論家の森山京子さんと
大久保賢一さんのご夫妻によくお会いします。
青木さんのお知り合いで、会場でばったり会った時は
私も話に参加させてもらって、いろいろ情報をいただいています。
ジャパンブースの件は、大久保さんに教えていただき、
昨日のぞいてきました。

マルティングロピアスバウ(ミュージアム)という素敵な建物の中に、
いろいろな国のブースが設けられ、映画のパンプレットや資料が
置いてあります(写真右)。

ジャパンブースには、「人のセックスを笑うな」や「七待草」などの
英語のパンフレットがたくさんありました(写真左)。

第59回ベルリナーレ 2月11日

ドイツにいながらも、W杯予選のオーストラリア戦が
気になっていました。家族に録画を頼んだのですが、
やっぱり気になっちゃって、ネットニュースで見てしまいました。
引き分けって、どーなんでしょうか?
帰ってから、「よくやった!」の引き分けなのか、
「ああもう勝てたのに!」の引き分けなのか、録画で確かめることにします。

さて、サッカーではなく、映画祭に戻りますね。
今日も青木さんに、新聞評を読んでもらいました。
前回、プレススペースにはドイツの新聞2紙が置いてあると言いましたが、
あとでよく聞いてみると、5紙ぐらい置いてあるそうです。
その中から、長年ドイツに住んでいる青木さんが、
これ!とチョイスした「ベルリン新聞」と「ターゲスシュピーゲル」の2紙を
毎朝手に入れて、そこからの情報を解説してくれるのです。

それぞれの星取り表(5、6人の評価)によると、今のところ
「ベルリン新聞」ではイギリスの爆破事件を描いた「London River」が
トップだそうです。一方、「ターゲスシュピーゲル」では、
ドイツのラブストーリー「Alle Anderen(Everyone Else)」がトップで、
「London River」は評価が低いのだとか。
これには、共感できず、思わず首をひねってしまいましたね。

さて、今日見た3本と、昨日のヴィム・ヴェンダースのパーティについて
紹介します。

恐ろしいほど救いがなくて
残酷な物語「Katalin Varga」

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いい悪いは抜きにして、今日までのコンペ作品の中で、
一番残酷で過激な内容であり、監督の個性が際立っている作品でした。
ただ、映像や手法はどこかで見たような…という感じが
しないでもないです。
何となく、ラース・フォントリアーを思い出したのですが、
救いのなさにおいては、彼の映画を上回っているかもしれません。

主人公のKatalinは、夫と11歳の息子と幸せに暮らしていたのですが、
ある日、息子が夫の子どもではないことが
明るみに出てしまいます。それによって、彼女と息子は
家を出ざるを得なくなります。
息子には、病気のおばあちゃんの見舞いに行くとうそをつき、
家を後にして、息子の父親を探す旅に出ます。

ルーマニア、イギリス、ハンガリーの合作なのですが、
舞台はルーマニアの田舎のようです。
広大な草原や野山が広がり、村々では羊の放牧や
農業で生活している人々の生活が映し出されていきます。
しかも、Katalinと息子は馬に荷車を引かせて旅をしているのです。
いつの時代?と思ったのですが、
途中で携帯電話を村の男が使うシーンが出てくるので、
映画の時代設定は現代なのだと分かります。

Katalinの真の目的が分からないまま、何か恐ろしいことが起こりそうな
効果音と映像が続きます。途中で、彼女の目的が判明するのですが、
その後も救いのない、かつ予想外の展開が続き、
ついに、まったく希望のない、残酷なラストシーンを迎えます。

監督は、Peter Strickland(写真下右)。
プログラムによると、ミュージシャンでもあるそうです。
ロンドンとブダペストに住み、「the Sonic Catering Band」の
創設者で、この映画は長編第一作目。

妖怪チックなエレン・バーキンはじめ
俳優陣のコラボが楽しめる「Happy Tears」

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何ともご都合主義的なエンディングでしたが、
映画としては楽しみどころがいっぱいで、
私は好きなテイストです。

父親が24時間の介護を必要とするようになり、
家族を置いて実家へ帰るローラとジェーンの姉妹。
母はすでに亡くなり、家には、父親の愛人が居座っていました。

あらすじだけ読むと、深刻なテーマを社会的メッセージを込めて
描くのかと思いきや、妹ジェーンの視点で、
終始ユーモア&シニカルなテイストで描いていました。
冒頭で、妹のジェーンが2800ドルもするブーツを
衝動買いするのですが、姉に「新しいのね。いくら?」と
聞かれ、「500ドルくらい」と答えてしまったり、
父の愛人がすご〜く、挙動不審で奇妙な女だったり…。
この愛人をエレン・バーキンが演じているのだけど、
これが妖怪チックでスゴいです。
かつては独特の雰囲気が魅力のセクシーな女優さんでしたが、
雰囲気はそのままに、彼女ならでは変な女を演じているので、
面白かったです。
そのほか、姉をデミ・ムーア、妹をパーカー・ポージー、
父親をメン・イン・ブラックシリーズのリップ・トーンが
演じていて、俳優陣もコラボも楽しめます。

監督は、「ウェディング・バンケット」などで
俳優としても活躍しているミッシェル・リヒテンシュタイン。
この映画は、彼の2作目の作品とのことです。

24歳で凶弾に倒れた
伝説のラッパーを描いた「Notorious」
(コンペ外)

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24歳で凶弾に倒れたクリストファー・ウォレスの伝記映画。
ブルクックリンに生まれ、ドラッグの売人として逮捕される青年時代から、
The Notorious B.I.Gとして一時代を築き、
24歳で殺されるまでを描いています。

ヒップホップやラップは好きだけど、
名前と顔が一致するのはエミネムくらいで、
この業界についてはよく知らないので、批評は控えます。
でも、私が女だからか、彼を巡る女たちに興味を引かれました。
特に、母親ですね。アンジェラ・バセットが演じたのですが、
女手一つで育てながらも、溺愛して甘やかすのではなく、
常に一定の距離をとりながら、それでも彼を深く愛してる様子が
心に染みました。

アメリカでは1月に公開されたようですが、
ネットで検索しても日本での公開についての情報は
見つけられませんでした。
彼を殺したのが誰なのか、今なお見つかっていないようです。

監督は、アメリカ出身のGeorge Tillman.Jr(写真下右)。
主人公を演じたのは、ニューヨークのラッパー、Jamal Woolard。

ヴィム・ヴェンダース監督と
握手ができて感激!

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昨日は、ヴィム・ヴェンダース監督がDJをするという、
ミッテにあるVerve Clubのパーティーに行ってきました。
入り口には何の看板もなく、知っている人しか入れない
秘密のお店という雰囲気でした。
10時過ぎに着くと、店内はすでに大混雑で、
おしゃれなドイツ人でにぎわっていました。
すでにヴィム・ヴェンダース監督は、DJブースにいました。
青木さんが、ヴィム・ヴェンダース夫妻と知り合いで、
一緒に仕事をしたこともあるので、
なんと、こんな私も紹介してもらって、握手してもらっちゃいました。
キアヌのときといい、ただのミーハーですね。
でも、監督の手は大きくて暖かかったです。
近々、村上龍の「イン・ザ・ミソスープ」を映画化するという話が
あるそうで、楽しみですね。
上の写真は、店内の様子と、クラブがあるフリードリッヒシュトラーゼ駅。
ここは昔、旧西から旧東に入るための検問所があったところだそうです。
それから、下の写真は快く写真撮影に応じてくれた、
気さくなヴィム・ヴェンダース夫人の
ドナータさんです。彼女は写真家で、夫妻の写真展が
表参道ヒルズで開催されたこともあります。
暗い店内で撮ったので、何回か失敗したにもかかわらず、
何回もカメラに向かってくれた、とてもいい人です。

下の写真は、このパーティーに来ていた
デザイナーのアニータ・ケックアイスさん。
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この方も、青木さんの懇意にしている人で、
ケックス(Kex)というブランドで独創的な首周りのアクセサリーを
作っています。
映画祭が終わったら、私も自分のお土産にぜひ、彼女のお店に
連れて行ってもらおうと思っています。
日本では、表参道にある「モディリアニ・ヌカ
で彼女の作品を購入できるそうなので、ぜひのぞいて見てくださいね。
ロンドンの有名な美術館、テイト・モダン(Tate Modern)でも、
ここでしか購入できない特別なコレクションを販売中とのことです。

第59回ベルリナーレ 2月10日

映画祭6日目です。
だんだん行き帰りの電車にも慣れ、
上映時間の合間に、近くのショッピングセンターで
買い物をする余裕も出てきました。

さて、今日もしっかり3本見ました。
これぞ金熊賞という作品に巡り会えるでしょうか。

これはかなり金熊賞に近いかも?と思った
テロによる爆破事件を扱った「London River」

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涙があふれるというより、心の奥底で静かに泣いてしまう映画でした。

2005年にロンドンで起こったテロリストによる爆破事件。
これにより、バスと地下鉄に乗っていた50人以上の
乗客が犠牲になりました。

「秘密と嘘」のブレンダ・ブレシン演じるエリザベスは、
ロンドンで暮らす娘と連絡が取れなくなり、
爆破事件に巻き込まれたのではないかと心配になって、
娘の住まいへと駆けつけます。娘がどんな暮らしをしていたのか
全く知らなかった彼女は、そこで、アフリカ出身で、
今はフランスに住むイスラム教徒のOusmaneに出会います。
娘がアラビア語を習い、Ousmaneの息子と同棲していたことを知り、
動揺するエリザベス。
この映画には、親と子の絆や、ジェネレーションギャップ、
人種問題や偏見、グローバル社会の現状など、
さまざまな問題が含まれています。
それらについて、押しつけがましいメッセージを送るのではなく、
人と人との感情のやり取りをていねいに描くことで、
胸に迫る映像を作り出していて、上映後もしばらくは
心が泣けるなぁという状態でした。
今まで見た中では、テーマも、映像も、演技も
一番質が高かったように思います。

アルジェリア、フランス、イギリスの合作。
監督は、フランス出身で、アルジェリア系の
ラシッド・ブシャール(写真下右)。
ブレンダ・ブレシンはこの作品で、
オスカーにノミネートされているようです。

年上の女と年下の男の
ラブアフェアを描いた「Cheri」

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フランスのColetteという人が書いた小説が原作。
1920年代を舞台に、上流階級のボンボン息子を相手にしている
高級娼婦と、若くてハンサムなCheriの出会いと愛を描いています。

まあ、テイストはまったく違いますが、
言ってみれば、社会的な部分を除いた
「The Reader」のような話とも言えます。
タッチはずっとずっと軽いですが、
年齢差のある愛はいつも残酷です。

監督は、「ザ・クイーン」「堕天使のパスポート」の
スティーヴン・フリアーズ(写真下右)。
高級娼婦を演じるのがミッシェル・ファイファーで、
とにかくスレンダーで、美しいです。
衣装も帽子も豪華で、話の内容はさておき、
そういうのを見るだけでも楽しめるかもしれません。
Cheriの母親を演じたキャシー・ベイツも
やり過ぎなくらい、笑いを誘う演技で、
いつもながら存在感がすごいです。

でも、いまなぜこの映画?という感想を抱いてしまいました。

安藤政信が軍人役で出ている
チェン・カイコーの「Forever Enthralled(梅蘭芳)」

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「さらば、わが愛/覇王別姫」のチェン・カイコー(写真下右)が
再び、京劇を題材にした映画を撮りました。
実在の京劇俳優メイランファン(梅蘭芳)の生涯を描いています。

しかし、なぜ今この題材?という違和感が拭えません。
「さらば、わが愛/覇王別姫」がヒットしたのは1993年です。
これは、カンヌでパルムドールを受賞したようですが、
あの当時には目新しかったであろうテーマが、
今は驚きでも何でもありません。
実際、上映中は途中退席する人が今までになく
多かったように感じます。

とはいえ、「北京ヴァイオリン」のときに感じた、
情に流れて甘過ぎ!という感じはなく、
押さえた演出で、芸術家の内面やその周りの人々の
生き様を描いていました。

主演は、レオン・ライ。チャン・ツイィーも
出ています。そして、ちょうど第二次世界大戦の時代なので、
軍人役で安藤政信が重要な役どころを演じています。
久々に見た安藤くんは、端正な顔立ちで、良かったです。

今日はこれから、ヴィム・ヴェンダースがDJをするという
ライブに出かけてきます。この様子は、後日また紹介しますね。

第59回ベルリナーレ 2月9日

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今日は早朝、ベルリンに雪が降りました。
でも、写真のように、うっすらと積もるくらい。
雪が降るくらいなので、こちらはずっと暖かく、
帽子や手袋なしで外を歩けるくらいです。
6年前はすごく寒かったのが、うそのようです。

毎日、青木さんと私は、だいたい8時半に会場について、
プレス用のエリアに行って資料をもらいます。
そこには、その日の記者会見のスケジュールや、新聞2紙、
スクリーンなどデイリーの冊子ほか、ミネラルウォーターが置いてあって、
自由に持っていくことができます。
新聞はドイツのものなので、青木さんが読んで、
前の日に見た映画の評判や、その日見る映画の情報について
いろいろ解説してくれるんです。

星取り表が毎日掲載されているのですが、
それを見ると、今のところ、フランソワ・オゾンの「Ricky」、
イラン映画の「About Elly」、ボスニアがらみの問題を扱った「Storm」、
ハートウォーミングなラブストーリー「Gaigante」などが
幅広い評価を集め、「Mammoth」「Little Soldier」などは
賛否両論でした。また、サリー・ポッターの「Rage」は
評価がだれも低かったです。
私の感じでは、まだ金熊賞一押しと言える作品は
出てないように思います。

さて、前置きはこのくらいにして、
今日見た4本を紹介します。
キアヌ・リーヴス見たさに潜入した記者会見の様子も
お知らせしますね。

新鮮さがほとんどなかった
ラブストーリー「Alle Anderen(Everyone Else)」

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ドイツ映画です。
バカンスを楽しむ1組のカップルが、最初は子どもじみたじゃれ合いを
楽しんでいるも、ちょっとしたことで気持ちがすれ違ったり、
また戻ったり、またすれ違ったり…という様子を延々映し出します。

ポスターがちょっと刺激的だったので、
見る前はあらぬ妄想がいろいろ頭をかけめぐったのですが、
まあ、なんてことはない、よくあるラブストーリーでした。
痴話げんかをしては、愛をかわして仲直りし、
「私のこと愛してる?」と彼女が聞くと、彼は答えず、
その様子にいらだつ彼女…。
かといって、派手なけんかをするわけでもなく、
微妙にすれ違っていくんです。

でも、くだらないと言って席を立つほど
不快感を与えるわけではないので、
この2人、どうするのかなぁとダラダラ見続けてしまう、
ソフトな昼メロチックなテイストでした。

何の社会性があるわけではないけれど、
こういった男女間の感情のすれ違いは万国共通のようで、
途中退席する人はあまりいませんでした。
監督は、Maren Ade(写真下右)という女性です。

イラクからの帰還兵を描いた
アメリカ映画「The Messenger」

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イスラエル出身で、「アイム・ノット・ゼア」の脚本家である
オーレン・ムーヴァーマン(写真下右)の監督デビュー作。

イラクで負傷して、長い間病院にいたウィルが
アメリカに帰ってきます。その彼を待っていた仕事は、
イラクで戦死した兵士の家族に、その死を知らせにいくという
メッセンジャー役。
上司のトニーと連れ立って、何件もの家を訪ねるウィル。
伝えにきた彼を悲しみゆえに口汚くののしる家族や、
泣き崩れる老いた両親…、それを黙って見つめるしかないウィル。
そんな心が痛む任務の中で、心惹かれる女性オリヴィアに出会います。

一兵士の視線を通して、イラクに何人もの兵士を送り、
その兵士が死んで帰ってくるという、今なおあるアメリカの現実が
浮かび上がってきます。
その中で、上司と部下の関係の変化や、元恋人とのやりきれない別れ、
新しい恋の行方が、ベタつきのない演出で語られ、
とても質の高い作品に仕上がっていると思いました。
私自身はアメリカのTVドラマ「ブラザーズ&シスターズ」で
このイラクの問題を知り、普通の人々が苦しむ姿を垣間見ましたが、
映画でもこういうテーマが扱われるようになったのだなぁと
興味深く見ました。

ウィルを演じたベン・フォスター(写真上左)も、
上司のトニーを演じたウディ・ハレルソン(写真上右)も
いい味出していました。
ハレルソンはただでかいだけの印象しかなかったのですが、
中年になって、渋さが加わり、初めていい俳優さんだなぁと感心しました。
サマンサ・モートンは好きな女優さんで、ウィルに心寄せられる女性を
演じていたのですが、若かった頃のキュートさが消え、
ちょっと貫禄でちゃって、残念でした。
まあ、うまかったですがね。

中年の主婦が直面する魂の危機と
新たな旅立ちを描いた「The Private Lives Of PIPPA LEE」
(コンペ外)

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子育てが一段落した中年の主婦の方々にお勧めの映画です。
私はとっても好きです。ある種のファンタジーですね。

ロビン・ライト・ペン演じるピッパー・リーは、
2人の子どもを育て上げ、裕福で魅力的な30歳年上の夫をもち、
料理ももてなしも上手な完璧な主婦。
その彼女が、ある日、朝起きてみると、
キッチンにチョコレートケーキが食べ散らかされていて、
言いようのない不安におそわれます。
何回かそんなことが続いたある日、防犯カメラに録画された
キッチンの映像を見てみると、なんとそこに映っていたのは
夢遊病者のように動き、ケーキを食べる自分の姿で、
ピッパーは愕然とします。
そして、今まで自分がどんな人生を送ってきたのか、
振り返るのです。

母親を嫌って、母親のような生き方をしたくないと家を飛び出した娘時代。
夫に出会って、結婚するまでの自分…。
子育て、そして、今は娘に嫌われている自分…。
女の切ない人生が描かれるのですが、テイストがユニークなので、
結構笑えます。
出演時間は短いものの、ジュリアン・ムーアやモニカ・ベルッチ、
ウィノナ・ライダーがインパクトのある役で出ているんです。
特に、ウィノナはちょっとイタい感じがしますが、会場の爆笑を誘っていました。

そして、キアヌ・リーヴス。年上の女性との恋の役が多いですね。
今回もぴったりはまっていて、素敵でした。

監督は、レベッカ・ミラー(写真下右)。自身のデビュー小説を自身で映画化したそうで、
この監督さん、父はあの有名なアーサー・ミラー、
夫はダニエル・ルイス。そして、記者会見で見たご本人は、
女優かと思うくらい、美人さんでした。
天はいくつもの才能を彼女に与えたのですね。
まあ、親とか夫とかの七光りとは思えない仕上がりでした。

そして、キアヌ・リーヴスの記者会見に行ってきました。
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写真は、記者会見場のハイヤットホテルの裏口で、
スターの入り待ち(昼間の別の日)、出待ちをする人々です。
記者会見場には昨年からライターのカメラ持ち込みは禁止になったそうで、
記者会見の写真は撮れませんでした。
様子をちょっと紹介すると、ロビン・ライト・ペン、キアヌ、監督、
若手の女優2人の計5人が参加。やはり、質問はキアヌと監督に集中して
いましたね。キアヌは、映画とは違って、ほおのあたりからヒゲをはやし、
ワイルドでした。いくつになっても、脂ぎってなくて、素敵です。

よしながふみのマンガ「西洋骨董洋菓子店」を映画化した
韓国映画「Antique

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Kulinarisches Kinoのカテゴリーで上映された映画で、
22時からの上映に、行ってきました。
これはプレスパスで入れなかったので、7ユーロ払ったんです。
飲食できるところで、早く行けば、映画にちなんだケーキなども
食べられたようです。

この映画のことは、よしながふみ好きな青木さんの情報で
初めて知りました。青木さん宅にマンガもあったので、
夜寝る前に2巻まで読んだんです。中途半端ですが…。
日本では、4月から恵比寿ガーデンシネマなどで
公開するようですね。
日本では、タッキーや椎名桔平、藤木直人などで
テレビドラマ化されたみたいです。

監督は、ミン・ギュドン、主演は、チュ・ジフン。
上映前に、監督と、フランス人パティシエ役の俳優さんの
挨拶がありました。

映画は、半分ストーリーを知り、半分知らない状態で見たのですが、
前半のちょっとコメディタッチの軽い雰囲気が
事件がからんでくる後半はいいあんばいで緊迫し、
どんどんハイテンポになって、引き込まれていきました。
主要キャスト4人を演じる俳優陣が、どの人もはまっていて、
特に、私はチュ・ジフンによろめきました。
青木さんは、パティシエを演じたキム・ジェウクがいいそうです。
韓国では大ヒットしたようですが、日本でも、
またおばさまたちを動員するのではないでしょうか。

第59回ベルリナーレ 2月8日

昨日はいったん家に戻ってから、
想田和弘監督の「精神」を見に出かけました。
何と上映時間は22時15分からとかなり遅く、
2時間超の上映時間だったので、タクシーで家に帰り着いたのは
午前1時半を過ぎていました。
でも、ベルリンっ子たちのナイトライフが少し垣間見えて面白かったです。
上映場所のCubixという映画館は、旧東ドイツ地区にあり、
6年前に見た「グッバイレーニン」で知ったテレビ塔が
すぐそばにあるんです。
映画館の隣には、ビニールハウスのような簡易カフェなのか、
簡易ディスコなのかがあって、若者の派手な音楽がもれてきていて、
深夜を過ぎても、多くの人がまだたむろって遊んでいました。

さて、肝心の想田監督の映画「精神」がどうだったのかは、
今日見た3本の映画のあとに、紹介しますね。

巨漢でシャイな男性が主人公!
彼が恋に落ちてとる行動がユニークな「Gigante」

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恋とは無縁だった35歳のJaraのちょっと変わったラブストーリー。
Jaraはとにかく巨漢で、おなか周りなんか、
まるでワイン樽のよう。仕事は、スーパーマーケットの警備員。
いつも、スーバーの監視室で、何台もの防犯カメラを切り替えながら、
犯罪の防止に目を光らせています。
といっても、すっごく暇なスーパーのようで、
カメラに映し出されるのは、従業員同士の子どもじみたけんかや、
掃除用具に隠して万引きする姿などで、いつもクロスワードで
時間をつぶしています。
その彼が、ある日、監視カメラに映ったJuliaに恋してしまうのです。
以来、彼女のあとを毎日のようにつけて、
彼女の生活をのぞき見るわけです。

シャイで経験がないから、告白する、とかに行かないで、
まるでストーカーのごとく付け回すわけです。
でも、ヌーボーとした風貌ゆえか、なんか微笑ましい感じなんですね。
もっと音楽を派手に使って、テンポ良く描いてもいいんじゃない?とも
思いましたが、何とも言えないまったり感がこの映画はいいんだと思います。
細かいシチュエーションにもこだわって作っていて、
くすっと笑えるユーモアが心地よい、ハートウォーミングな作品でした。

ウルグアイ、ドイツ、アルゼンチン、オランダの合作で、
監督は、ブエノスアイレス出身のAdrian Biniez(写真下右)。

ニューヨーク、タイ、フィリピンの、
子どもをめぐる現実が描かれる「Mammoth」

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スウェーデン、ドイツ、デンマークの合作です。
監督は、スウェーデン出身のルーカス・ムーディソン(写真下右)。
日本でも「ショー・ミー・ラブ」や「エヴァとステファンとすてきな家族」が
公開されているので、知っている人も多いのではないでしょうか。

今回、映画の舞台はニューヨーク。
高級アパートに暮らす夫婦と8歳の娘、そして、そこで働く
フィリピンから来た子守りのグロリアをめぐる物語です。
ガエル・ガルシア・ベルナル演じるレオは成功したクリエイター。
出張でタイに2週間ほど行くことになります。
妻のエレンは、ERで働く外科医。刺されたり、暴力をふるわれて
運び込まれる人々の命を救うために献身しています。
そして、フィリピンに2人の息子を置いて出稼ぎにきている
子守りのグロリア。
彼女と息子との携帯電話でのやりとりはしょっぱなから泣けます。
年取ると、こういうシーンにはめっぽう弱いですね。

一番かわいい盛りの子どもを置いて、
他人の娘を世話しなければならない現実。医師の母親もまた、
自分で選んだ職業とはいえ、自分より子守りになついている娘を
ものすごくさびしい気持ちで見ています。
一方、父であるレオは、世界中の男たちがタイで女を買っている現実を見て、
自分だけはそうなるまいと、ヒーローじみた行動をとるのですが…。

ニューヨーク、フィリピン、タイと、
遠く離れてしまった家族が直面する問題が、
舞台を変えて、次々と描かれていきます。
そこに、その国特有とは言えない、グローバル化の中で生まれている問題が
浮かび上がり、それによって孤独に泣き、傷つけられる子どもたちの
姿が映し出されていきます。
最後の方は、少し感傷に流れすぎた気もしますが、
私的にはかなり高得点をあげたい映画です。
でも、終映後の客席の反応は、拍手もあったものの、
ブーイングもかなり多かったです。
ラストのまとめ方への批判なのでしょうか?
確かにここで扱っているタイやフィリピンの現実は、
「やっぱり家族はいい!」的な納得のさせ方で解決できるわけじゃないけれど、
この映画自体は、新しい描き方で問題を提起していたと感じました。

新しい試みではあるけれど
全編これはキツい「Rage」

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「タンゴ・レッスン」や「耳に残るは君の歌声」のサリー・ポッターの
新作と聞いて、プレス向けの上映は大混雑しました。
でも、NYのファッション業界を舞台にしたブラック・コメディという
題材の描き方があまりに斬新すぎて、途中退席の人が続出しました。

とにかく、ドキュメンタリーではなく、
フィクションでこの手の手法は、今まで見たことありません。
全編英語で、ほとんどよくわからなかったのですが、
設定としては、ファッション業界にかかわる14人の人々が、
新作コレクションの準備中に、若いブロガー、ミケランジェロの
インタビューを受けるというもの。
一人ひとりが、バストアップの大写しで、
正面を向いて、語りかけます。
背景はバックスクリーンのみで、人ごとに色が変わっていきます。

出ている俳優さんは、ジュディ・デンチ、ダイアン・ウィースト、
ジュード・ロウ、スティーブ・ブシェミなどなど、そうそうたるメンバー。
女装のジュード・ロウなんて、滅多に見れるもんじゃありません。
しかし、ただ、独白するだけの映像なので、
英語がわからないとキツいです。わかっても、最初から最後まで、
ずっと同じはキツいと思います。
しょうがないので、目の色がみんなキレイだなぁとか、
さすが、ファッション業界というだけあって、
仕立てのいい服着ているなぁとか、
人によって違う背景の色が、すっごくキレイだなぁとか、
そんな細部を眺めていました。

ただただ見つめることで
いろいろなことが見えてくる「精神

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フォーラム部門に招待されたこの作品は、想田和弘監督(写真下)の観察映画第2弾。
第1弾は、選挙運動を追ったドキュメンタリー。

「精神」は、岡山にある「こらーる岡山」という外来の精神科クリニックが
舞台。うつ病や躁鬱病、統合失調症などを長年患っている人々に、病気になるまでのことや、
今の日常生活、気持ち、不安や悩みなどをインタビューして、
それらを包み隠さず映し出していきます。
クリニックで先生(写真上右)の診療を受けるシーンも入っています。

精神疾患に関しては、まだまだ表立って取り上げることを避けたがる
日本にあって、よくこれだけの映像が撮れたなぁと思います。
実際、撮影は一人ひとり、許可を撮りつつ行ったそうで、
相当ていねいに作られています。

患者さんたちが話す内容は、それこそめちゃくちゃシリアスであるものの、
どこか突き抜けた感があるからか、見ている方がしんどくなることは
あまりありません。時折、笑いを誘う場面も結構ありました。

途中、25年患っているという人が出てきて語る、
偏見についてのくだりがとても印象深かったです。
他人は偏見の目で見るが、自分の中にも偏見があって、
それを取り去るのがとても大変だったということ。
また、普通とそうじゃないという分け方をするけれど、
すべてが健康で過不足ない人というのはあり得ない。
みんなどこかしら、健康に見える人にも普通じゃない部分があるということを
病気と向き合う中で感じたということでした。
確かにそうだよなぁと、聞き入るシーンがありました。

想田監督がすごく懐の深い視線で撮っているからでしょうか。
病気であってもなくても、そう変わりはないという、
温かさを感じました。
この映画には、全体を通して押しつけがましいところがなく、
そこがとっても心地よい。
そして、ただただ見つめることで、いろいろなことがわかってくるという
観察映画ならではの醍醐味も感じました。

第59回ベルリナーレ 2月7日

毎朝定時に起きて電車に揺られ、ポツダム広場駅まで。
まるで、会社に出勤するOLのような生活です。
ドイツには満員電車というものはないようで、
7時台の電車でも、ほぼ座って行けます。
ドイツの電車で驚くのは、自転車OK、犬OKなこと。
日本だったらあり得ないことですが、一両に自転車2、3台が
乗っていることもありますし、大型犬、小型犬問わず、
犬も電車内でよくみかけます。

さて今日見た3本の映画を紹介します。

監督が何を描きたかったのかわからなかった
イラン映画「Darbareye Elly(About Elly)」

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イラン映画というと、日本ではアッバス・キアロスタミが有名で、
子どもが主人公の映画が多いという印象だが、
ここ数年、日本で公開されたイラン映画って、あっただろうか?
ちょっと思い当たらない。

この映画は、イランの男女の関係、結婚事情がちらっと垣間見える作品で、
3組の夫婦と子どもたちが、連れたって泊まりがけのバカンス(?)に
出かけるところから始まります。
そこに、招かれたAhmadとElly。
Ahmadはドイツ人の妻と離婚したばかり。
その彼に紹介したいという意図で、Ellyも招かれていました。

前半は、海の見える小屋で楽しむ家族たちの姿がていねいに描かれ、
少し退屈。でも、イランに住む人々の暮らしをあまり知らない
私にとっては、興味深いシーンも多く、例えば、
夜、子どもも交えてみんなでジェスチャーゲームを楽しんだり、
何か決めるのに、女性も含めたみんなの意見を聞いてみたり…。

前半はそんなこんなでまったりと進んで行くのだけど、
途中で起こる突然の事故でEllyが行方不明になってしまうんです。
それを境に彼女の秘密が明らかになっていくのだけど、
その秘密はEllyのパーソナリティゆえなのか、
イランというお国柄ゆえのものなのか、
それが見終わってもよくわかりませんでした。

Asghar Farhadi監督(写真下右)の描きたいことが、
イラン人の普通の夫婦関係、男女関係のことだったのか、
それともそこに社会性を込めたかったのか。
たぶん、社会性を込めたかったのだろうとは思うのだけど、
それがストレートに見るものに伝わるまでには
描ききれていなかったように思います。

Ellyはこの旅行に鞄を持ってきているのだけど、
それがルイ・ヴィトンのバッグなんです。しかも、村上隆デザインの。
これが色味のあまりない映像の中で、
何かを象徴するように際立っていたんですね。
これって、西洋文明の流入で、
イランの夫婦関係、男女関係が変わりつつあるという
意味がこめられていたのでしょうか。

質の高い社会派映画とはわかるものの
言葉のハンデが大きかった「Storm」

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ボスニア戦争の戦犯を有罪にするための裁判の証人になっていた男が
自殺してしまう…。その裁判を担当していたハンナは、
その男の妹に証言してもらおうと彼女を説得し、
証言台に立ってもらうのだが、
大きな影の力に阻まれてしまう…。

質の高い社会派映画とはわかるものの、
内容がかなりハードなうえ、イギリス人俳優のしゃべる英語は早くて
まったくわからなかったので、批評は控えます。
ただ、わからないながらも、会話には緊迫感があり、
演じる俳優陣はすばらしかったので、日本で公開されたら、
ぜひ見直してみたいです。

この映画は、ドイツ、デンマーク、オランダの合作で、
監督はHans-Christian Schmidというドイツ人(写真下右)。
メインの言語は英語で、字幕はドイツ語、
時折ほかの国の言葉も出てきたりして、
その場合は、字幕がふたつ。かなり混乱します。
グローバル社会を象徴しているのか、合作映画が多いし、
言語もひとつにしぼらず、いろいろというのが増えているようです。

さて、主役のハンナを演じたケリー・フォックス(写真上左の奥)は
日本ではパトリス・シェロー監督の「インティマシー 親密」が
記憶にあるのではないでしょうか。
この映画、ほぼ全編、全裸のからみあい、というのが話題で、
2001年のベルリン映画祭で3部門を受賞しているそうです。

フランス人監督とトミー・リー・ジョーンズの
コラボが新鮮な「In The Electric Mist」

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何とも不思議な作品でした。
体裁は、連続殺人鬼を追うトミー・リー・ジョーンズの物語なのですが、
単純な警察もの、というより、横道にそれまくって、
途中で、南北戦争の老人の大将がでてきたり、
それが現実なのか、夢なのか、なんだかわからないまま進んだり。
まあ、私は結構好きなテイストです。

この映画、監督はフランス人のベルトラン・タベルニエ(写真下)。
そして、言語は英語なのに、なぜか字幕も英語でした。
この謎は最後まで溶けませんでした。

今日はこれから、想田監督の「精神」を見に行きます。
この映画の話は、また明日報告しますね。