2005-10-05

仏・全国ストに思う……国営化だからこそ……

10月4日、フランスで全国的なストライキが行われた。国鉄労働者のみならず公立校教員や郵便局職員など多くの職場・職種でストが実施された。ストする側の論理を読むべく、駅や路上のキヨスクでフランス共産党・日刊紙『L’Humanite』を探すも、普段はあるのにどこにも置いていない。『L’Humanite』関係者もストにあわせて発行をとめたのだろうか、それとも単に売り切れただけなのか。

パリ中心のレ・アール駅で夜、30分ほど電車を待ったぐらいで、私はさして被害を受けずにすんだ。

国鉄労働者の横柄な態度に時折 腹が立つこともある。冷房がないだけでなく窓がまともに開かない車両が郊外電車には多く、太陽に照らされサウナ状態と化した車両に夏は乗らなければならない。電車内や駅構内が汚く清潔でないことにも、電車が時間通りこないことにもいまは慣れたけどパリに来た当初は不快感を持った。

しかし、そんなパリ(フランス)の公共交通機関のほうが、日本のそれよりも私は好む。なぜか。

理由はひとつ。

安い!

そのことにつきる。

パリ市内では50.40ユーロ(7000円)で月額定期券を購入できる。この定期券でパリ市内のバス・地下鉄・交通電車は乗り放題。市内の移動にはまったく不自由しない。外の景色を眺めたいときはバスに乗ればよくその日の気分によって交通機関をかえられるし、乗り降りも自由だ。

先の衆院選挙で「郵政の民営化」が争点になった。国営化か民営化かといえば、多くの日本人は「民営化」を支持するのだろう。私だってそうだ。しかし、民営化の中身をあくまで問わねばなるまい。もしパリ市の公共交通機関が発行しているような格安でつかい勝手の良い定期券が日本でも国営化によって発行できるのであれば、たとえサービスの質が落ちたとしても駅員・車掌・運転手の態度が横柄になったとしても(フランス程度までに)、私は国営化を支持したい。

ストライキによる交通の乱れに苛立ちを覚えながらも、国営化されているおかげで、交通手段は安くなっているのだから、まあよしとしよう……と思ったのであった。しかし、車両の窓ぐらいは開くようにしてほしいが。