2012-04-05

『ねんねこりん』刊行記念、南三陸で「ミシンでお仕事プロジェクト」とともに

4月1日(月)、チームねんねこりん(!)は、南三陸に行きました。
チームねんねこりんとは、ポットの4月の新刊『赤ちゃんのためのおくるみスリング ねんねこりんの作り方』
の著者釘村千夜子さん、編集者戸塚貴子さん、そして那須の3人です。

釘村さんは、「ねんねこりん」の発案者で制作・販売もしています。
製造・販売しているのに「なぜ作り方の本?」と思うかもしれませんが、
釘村さんの考えの根本には、赤ちゃんや子どもを育てる人が日々の「抱っこ」で赤ちゃんとの関係をもっともっと深めてほしいという思いが強くあります。
簡便な「ねんねこりん」スリングで、負担なく気軽なく抱っこできるように
家庭でも縫える「ねんねこりん」の作り方を紹介しました。

でも洋裁が得意じゃない方もいらっしゃることでしょう。
ということで、本の刊行記念と題して、
本の作り方で紹介した縫い方で制作した「ねんねこりん」を
価格を安くして販売することにしました。

そこでなぜ南三陸なのか!?
東日本大震災の直後から、被災地を応援し続けている
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」のなかに
「ミシンでお仕事」というプロジェクトがあります。

プロジェクトリーダーの熊谷さんに話をさせていただき、
「南三陸ミシン工房」の方々にこの刊行記念の「ねんねこりん」の縫製を依頼することとなったのです。
以下、二日間の報告レポートです。

3月31日(日)に仙台から車で宮城県の海岸沿い(石巻街道→女川街道からブルーラインで御前浜)を
ひたすら続く津波がおそったあとの荒涼たる風景に言葉もなく、ただ黙々と車を走らせるだけ。
北上川沿いから内陸に入っていきましたが、河口付近の集落は津波に飲み込まれ、背後に広がる山々の
斜面の杉の木も海の波をかぶった痕跡が残っていて、延々と続く被害の大きさに打ちのめされ続けました。

ようやく登米市にある、料理旅館「三浦屋」に到着。
南三陸町の旅館は復興工事関係者の宿泊が急増していて満室だったので、
南三陸の隣に位置する登米市で探すことに。
ここは宿泊だけじゃなくて、料理店として利用される方々も多いようで、
おいしいお料理をいただきました。
この日は珍しく暖かい日だったのですが、深夜には雪が降ったと朝起きたら
旅館の女将が教えてくれました。冷え込んだ〜。

翌日の朝は、南三陸ホテル観洋でプロジェクトリーダーの熊谷さんとメンバーの川本さんと待ち合わせ。
5Fにあるロビーにはおひなさまが飾られ、広い窓からは南三陸のおだやかな海が広がっていました。

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下層階は津波で被害にあい、一時は避難所として部屋を提供されていたそうです。

そこから南三陸町に。町の中心、志津川地区は跡形もなく、南三陸では、いまも600人を超える人々が行方不明のままだ(2012年4月3日午後3時現在)。

山道を少し入ったところに、今回「ねんねこりん」縫製をお願いする方々が集まってくれている細浦仮設住宅に到着。

IMG_0450.jpgいちばん左が細浦仮設住宅の集会所。

8畳ほどの部屋に、プロジェクトスタッフの鈴木さん、藤原さん、そして今回縫い手を引き受けてくれた
木下さん、阿部さん、畠山さん、そして細浦仮設住宅のリーダー大森さんが集まってくれました。

挨拶もそこそこにさっそく「ねんねこりん」の説明と縫い方ワークショップ。
試作品をすでに作ってくれた阿部さんからのアドバイスもいただきながら、
「ねんねこりん」1本を作っていきました。

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ワークショップはお昼をはさんで3時間ほど。
みなさんに布と糸をお渡しして、終了!

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別の仮設住宅から車で1時間かけてくださった方もいます。
みなさまお時間をいただいて、ありがとうございました。
できあがりが楽しみです。よろしくお願いいたします。

細浦仮設住宅の方から差し入れてもらったおまんじゅうと、
阿部さんが買ってきてくれた地元の和菓子屋さんの和菓子をいただきながら、
大森さんが南三陸の現状について話してくれました。
南三陸町のなかには移転先が決まったところもあるようですが、大森さんたちの地域では、規模も大きい事もあって、まだ移転先がまとまらないそうです。
震災直後よりも、こうして一年経って、いまのほうが「心が折れそう」な時があると…。

気が遠くなるようなこれからのことを目の当たりにしつつ、それでもひとつひとつ人々の知恵を集めて
進んでいるんだということもよくわかりました。
「ねんねこりん」はそんなに大量に縫製をお願いすることはできないかもしれませんが、
これからも長くお願いしていければと3人で話しながら帰途につきました。

直接見て、お会いして、お話して、という貴重な時間をもらえて本当によかったです。

「ねんねこりん」の製品の販売は、めどがついたら、またHPでお知らせします。
書店のみなさま、本といっしょに置いてもいいよ、とおっしゃっていただけるなら、うかがいます!
ぜひお声かけください。