2011-11-15

お部屋2263/デモは終わらない

またメルマガが1日3本配信ペースに戻ってしまったので、ブログの更新をしている暇がないです。

一週間遅れのお知らせですが、「デモ参加者の声」04と05が完成しました。



04は「デモ参加者の声 01」に続いて、「ツイッター有志による脱原発デモ」です。05はそのあと行われたアフターパーティで収録したものです。

この日のツイッターデモは面白かったんですよ。

よくデモに出た人が「沿道の人たちは無反応」なんてことを言いますが、あれは大きな勘違い。自分のことを考えればわかると思いますが、関心があるテーマだとしても、そこで足を止めて聞き入ることは稀。心の中で「その通り」「頑張れ」と思いつつ、それを意思表示することなく通りすぎるってものです。自分がそうなのに、他人はそうも積極的に意思表示することを期待するのは思い上がりってものです。

それを無反応だの無関心だのと決めつける態度こそが人を離反させます。敵意を向ければ敵意で返されるだけ。

しかし、渋谷に関しては、目に見える形で反応が返ってくるようになってきています。当初は、手を振ったり、声をかけてくれるのはたいてい外国人だったのですが、この日は大きな変化がありました。

旗のおかげです。横断幕などを製作しているSAYANARA ATOMが新しい旗をこの日に披露しています。04の冒頭に出ている旗です。それと同時に小旗を配布。これが絶大な効力を発揮しました。

私自身、小旗を手にした途端に、道具を得たサル状態になって、デモ隊の中から、あるいは沿道から旗を振ってました。見ず知らずのおばちゃんと沿道から旗を振っている動画も撮ってあるんですが、やらせ臭いので、公開はしてないです。でも、やらせじゃなくて、本当に振ってしまうのです。

拙著『クズが世界を豊かにする』で、フリーハグにからめて、「日本人にハグは無理」という話を書いてます。それより手を振ることだと。しかし、これにもいくつかの条件があって、デモ隊に手を振るのは勇気がいります。海外の人たちはこれも平気でやるわけですが、日本人にはハードルが高い。

小旗ひとつでこれが解消された場面を目撃して、「道具ってすげえ」と感激しました。「デモ参加者の声」では、その場面は十分には確認できないので、他の動画や写真を見ていただきたい。

もちろん、小旗を振る人がああもいたのは、デザイン上の工夫があってのことで、つまらん旗じゃ受け取ってもらえないでしょうし、振ってもらえないでしょう。また、それ以前の地ならしが済んでいたからでもあって、渋谷はすっかりデモの街になってきています。「慣れた」ってことです。

また、「見物人」という層が膨らんでいるという事情もあります。参加するのはなお抵抗があっても、応援はしたいという人たちがいます。さらには、デモを見るのが楽しいという人たちもいます。この層が街の空気を変えています。参加できない人は見物だけでもいいので出かけることをオススメします。

今回も参加していた「安心安全な未来をこどもたちにオーケストラ」は最近新しい音のパターンを加えていて、音が一層厚くなっている。音としても面白いのですよ。

この翌週渋谷であった「暗い日曜日」の第二弾は原発葬儀がテーマで、このデモも面白かったです。

「面白い」だの「楽しい」だのという言葉を使うと、「デモを面白がっていいのか、楽しんでいいのか」とまたイチャモン屋が難癖をつけてくるわけですが、いいに決まっているではないか。

家族にも語れない、友人にも語れない、職場でも語れないことをデモに出て声に出せる。同じ考えの人たちと出会えてともに歩ける。そこから友だちづきあいが始まる。

たかがそんなことを楽しいことにしているのは、イチャモン屋たちだったりする。「恐い」「不安だ」と語ることさえできない社会を作ろうとしている人たちが人を分断する。その分断への抵抗がデモです。

このことは「デモ参加者の声」を見ていただいてもある程度は読み取れるはずです。気づいていない人、気づきたくない人も多いでしょうけど、この新しく作られつつあるコミュニティや人間関係を基盤としたネットワークが、社会を変える力を溜め込んでいます。05のアフターパーティのような試みが、その関係を作り出し、強化する場になっています。

一時的なものでしかないとも思われていたデモがなぜこうも持続しているのか。それどころか、なぜデモの数が増えているのか。なぜ各地に飛び火しているのか。

それを解釈するためには、デモとインターネットによって新たに作られたネットワークを理解するしかないです。わかりたいヤツはデモに来い。

デモは終わらない。まだ始まったばかりです。

このエントリへの反応

  1. 松沢様

    加賀です。「デモ参加者の声」のVol.5でインタビューをしていただきました。スタッフの方にはTwitterでお伝えしたのですが、事故以来、自分の思いを吐露する場所もなく、モヤモヤした気持ちを抱えたままでしたが、インタビューで話をする事が出来て救われた気持ちです。何よりも自分が何を考えていたのか、自分で知る事が出来た事はとてもよかった事だと感じました。

    遅いお礼となって申し訳ございませんでしたが、ありがとうございました。

  2. 返事が遅くなってすいません。スパムに紛れてました。

    あのインタビューは外向けには「こんなことを考えている人たちが参加している」と見せる目的があるのですが、実は内的な意義もあると思って始めました。つまり、「自分が何を考えているか語ること」「語ってもらうことで人と人がつながること」も目的にしています。

    01に出てくれた人の中には、その後、デモのスタッフとして参加するようになったのもいて、その効果も着々と出てきていると実感しています。

    またデモでお会いしましょう。