2011-08-24

お部屋2243/米袋の何が問題か【追記ありあり】

中国の核施設火災に続いて米袋の話です。今回も今まで「マツワル」やツイッターで書いたことのまとめであって、面倒なので、いちいちリンクはしないです。各自検索のこと。

ネットで販売している米袋業者が叩かれているのですが、意味ないです。

米がどういう状態で流通しているのか理解しておらず、農家やJAですべての米は2キロ、5キロ、10キロといった単位の袋に詰められていると思っている人がどうやら多いみたい。これを前提に、ネットで新潟産や秋田産の米袋が売られているのを見れば、即、「偽装用だ」と思い込む。

今の時代は、米をスーパーでしか買ったことのない人たちがいるんですから、やむを得ないとは思うんですけど、問題の解決を遠ざけるので、皆さん、冷静にやりましょう。

事実、農家やJAで袋詰めされることもあるわけですが、今でも大きな米屋に行くと、精米機ってもんがあります。あれで白米になって、袋詰めはそこでもなされます。あるいは卸し問屋でもこの作業はなされます。

農家の直販であれば一種類の袋でもいいわけですが、問屋や小売りではさまざまな産地のさまざまな品種の米を扱いますから、何種類もの袋が必要になります。

一部で、福島県の問屋に新潟産の米袋があったことが問題視されてますが、これも全然おかしくない。福島県の人たちも新潟産の米を買うわけですから。

この袋を紙の加工業者が販売していて、既製品に屋号を入れたり、オリジナルの袋を依頼されて作ったりしています。

これをネットで販売しているだけのことです。ここを叩いて、販売中止にさせたところでなにも解決しない。ネット販売されている袋は一部であって、それ以外に大量に袋は製造され、販売されているんですから。

米袋の業者はその先でどう使うかなんてわかりようがないのですから、これは米袋の業者の問題ではなく、偽装をする側の問題です。

製造者や販売者が袋の管理をして、どこにどう流れたかを把握することも困難。1枚数十円の商品ですよ。そんなことをしたら値段が跳ね上がりますから、そんなことをしない業者の安い袋を買うようになるだけです。

袋にはもう一種類あって、白米にする前の運搬用、保存用の30キロの袋です。

これの新潟産の袋が福島県の問屋や小売りにあることもおかしなことではない。そういった袋に入った状態であちこちを流通し、当然新潟の袋が福島でも流通します。この袋はリサイクルされるようで、そのために保存しているのもおかしくない。

問題なのは、この中古品の販売方法です。あくまで別用途のための販売で、以前から売られていたらしい。大きくて頑丈なので使い道はいろいろありそう。

政府米用の袋には、年度や等級、品種、農薬使用などの記載があって、日付入りの検印もついてます。この中古品に米を入れると、あたかも年度や産地、等級のお墨付きがあるように見えてしまいます。

これをやると法に抵触するのですが、その気になったら簡単にできてしまう。もちろん、これも販売した側の問題ではなく、本来、違法に使用する側の問題ではあるのですが、別用途のために売っているのですから、その部分をマジックで消せば済む話です。経費も手間もかかからない。なんでそのまま販売しているのか。

ここは改善した方がいい。

これもおおっぴらに販売されなくしたところで、見えないところで流通したらそれまでのことですから、破棄しない袋についてはすべて黒塗りにするなどの措置を講ずることを義務づけるしかないでしょう。

しかし、袋ごときを規制したところで、結局のところ、偽装は防げない。魚沼産コシヒカリの偽装が数年前に話題になりましたが、これだって袋の問題ではなく、生産者間で米を移動させれば、正規ルートで正規の袋入りの偽装米が流通してしまうわけです。

問題になりながらも規制できないでいたのは規制が難しいからでしょう。米粒ですから、牛のような個体管理なんてしようがない。また、同じ年度の同じ品種、近い環境で育成されたものであれば、米を見て偽装であることの判別は不可能なんだと思います。

今危惧されているのは、「汚染されている米が流通するのではないか」ってことなのですから、線量の検査を徹底するくらいしか方法はないんじゃなかろうか。行政がやらないなら自分らでやる仕組みを作る。これもブレンドによって数値を下げることが予想できてしまうわけですから、消費者が生産者と提携して、刈り取りから出荷までを完全管理する。そこまでやらないと問題は解消できないかも。

「どうしようもないから諦めろ」というのではなく、問題がどこにあるのかを見極めないと、解決はできないですよって話。見えやすいだけのことで、ネットで販売される小売用の袋を叩いても問題は少しも解決しない。

ちなみに私は相変わらず野菜も果物も肉も魚も産地なんて全然気にしてないです。もともとスーパーで買いもしないのに産地チェックするのが趣味なので、そのレベルではチェックしてますが、いざ食う時は気にしていないです。弁当や外食だったら、まして気にしようもなく。

問題の解決にならないのに、米袋の販売業者を叩くのは意味がない上に迷惑だと思いますが、神経質に食べ物を気にする人たちがいることは理解できます。とくに子どものいる家庭。

これが数十年間続きます。しかも、福島原発で終わる保証はない。

個人が「どこに逃げるか」「何を食べればいいのか」で頭を悩ますのもいいのですが、同時に原発をなくすために声を上げることも大事です。さもないと、元も子もなくなります。

27日(土曜日)は渋谷と神戸で「ツイッター有志による脱原発デモ 」があります。

以下は7月のデモの様子です。


 
 
追記1:米屋さんにも袋の話を聞いてきまして、30キロ用の袋は米屋からも回収していく業者があるんだそうです。これは今に始まったことではなく、昔からいたとのこと。この米屋は「偽装用だと疑えば疑えるので、今は出していない」と言ってました。前は出していたわけです。

とくに正規ルートのものに関しては、米は袋からその経路を辿れることになっていて、中古の袋を悪用した場合、バレることもあり得るのですが、これで偽装米を断つことは難しそうです。

「おおっぴらにしゃべってもらっては困る」という前提で、その辺の事情や今年の米事情についてさまざまな話を教えてもらったのですが、こんなところでは書けないです。この店のように真面目にやっている店まで誤解されちゃいますから。デモに来た人には教えちゃる。

追記2:現在、9月10日でありますが、その後またこの件を取り上げた雑誌があったらしい。それを契機にツイッターでまた「袋叩き」がなされていて、一方で、「袋があっただけでは偽装とは言えない」「中古の袋は前から流通していた」というまっとうな意見も出ているのですが、呆れるのは、この件をもって「反原発派は情弱」なんて批判をやっている馬鹿が湧いていることです。

今になってとやかく言っている人たちよりずっと前にこの件をまとめた私はゴリゴリの反原発派なんですけど…。

米袋について調べず、考えず、米袋の販売をやっている業者をあたかも偽装を推奨しているかのように叩く反原発派がいるのは事実。米のことをよく知らない人たちもいますから、そこまではやむを得ないとしても、私のツイートを中途半端に利用して「偽装だ」と騒いでいる人たちにツイッターで注意をしたら逆切れされて、さすがに私もムカつきました。こいつらはいくら批判してもいいでしょう。

また、米袋について調べず、考えず、他人が書いたものを読んだけの輩が「反原発派」とまとめて貶めようとするのもムカつきます。反原発派の一部に呆れた人たちがいるのと同時に、それを批判する側にも呆れた人たちがいるってことです。どっちも似たようなもんさね。