2019-03-15

出版に活用するためのプリント・オン・デマンドについて

もう10年近く前になるかな? プリント・オン・デマンド(POD)という、紙の本をつくる方法が登場して、一部には未来の出版の方法としてもてはやされた時期があったよね。
今は、話題になることはへったけど、技術も道具もそれなりに改善の努力がつづいていて、本の本体を印刷するなら、オフセット印刷と遜色ないくらいの仕上がりのところまで来ているみたい。

問題は、制作費用だ。
今、ある本のPODをつくっているけど、
A5判/254ページ/本文モノクロ/表紙4色/カバーなし、の本を
50部つくって4.5万くらい。100部つくって8万くらい。
この他に本文組版料/表紙のデザイン料がかかるわけだけど、。
でこれだと一部あたりの単価800円。印刷原価率を20%だとすると
価格は4,000の本になるわけだ。
それでも、50部とか100部の本づくりでは
編集費・組版デザイン費・流通費は完全な赤字なわけだ。
オフセット印刷で1,000部〜2,000部つくれる本なら、価格は1,600〜2,000程度だろう。
だからまだまだ、な感じだ。

そうしたコスト話を置いといて、どこで、どのように売ることができるのか? だ。
それは主に、大きく二つの商流になる。
①取次(日販・トーハン・大阪屋栗田などなど)を経由して書店
②ネット書店(honto・アマゾン)と三省堂店頭

①の場合、通常のオフセット印刷と同様に、本として売るだけ。
印刷方法が違うだけなので、制作はISBNを印刷してなければならないし、いつもん注文品のように、ただ取次に納品するだけ。
②の場合は、電子書籍取次のMBJを利用して、データを予めhonto・アマゾン・三省堂にあずけておく。
PODの印刷の場合カバーをつけると、さらに制作コストが大きく増えるし、そもそも②の場合は、カバーをつけることができない。
制作コストが増えると、増刷の場合は、価格を紙の本のままではコスト割れするし、POD版に限って価格を上げるならISBNをどうするか、などの問題に波及する

①、②のような区別を基礎において、価格設定・PODの方法(例えばカバーをつけるのか、つけないのか?)などを整理して考えるのがいい、と思うのだ。