2013-03-11

「エツラン」

先週末、ひさしぶりに学科の閲覧室を訪れました。大学にいた四年間のうち、一番足繁く通った場所が、この閲覧室でした。こう言うと私がすごく勉強家のように思われますが、実は私の所属していた史学科の閲覧室というのは特殊で、蔵書に囲まれながらお弁当を食べたり、お菓子をつまみながらずっと喋っていたり、いかめしい印象はまるでありませんでした。エツランに行けば誰か、見知った顔がいる。待ち合わせは、エツランで。いわば、リビングのようなところでした。
100ページ手書きの卒論を皆で完成させたのもこの部屋で、あれからまだ数ヶ月しか経っていないのですが、もう閲覧室は下の学年のものとなっていて、いつもの顔ぶれはありません。

閲覧室の横の史学科事務室には、学生の就職先一覧をまとめたファイルが置いてあります。それを見ると、みんな、じつに色々な業界に、地方に、就職していくんだなぁということがわかります。砂鉄の上に磁石をかざしたときのように、パァッと散らばっていくのです。バラバラになることの不思議よりも、これだけ進む道の違う人間が、今までひとところに固まり、同じ空気を吸っていたことの不思議のほうが、大きいです。

しかしその分、数年後には皆と顔を合わせるだけで、自分の知らない世界を覗くことが出来るのだろう、という楽しみもあります。また、私はその時、皆から「どういう世界の人間だと」思われるのでしょうか。卒業式が、一週間ちょっと後に迫っています。