投稿者「ポット出版」のアーカイブ

いただいた本●筋肉奇譚

ヴェルヴェット・ポゥの砂谷さんからいただきました。

書名●筋肉奇譚
著●田亀源五郎
発行●オークス
定価●1,143円+税
2012年10月12日発行
ISBN978-4-7990-0346-6 C9979
A5判/132ページ(カラー口絵付き)/並製

Amazon.co.jpで見る

著者による紹介「田亀源五郎’s Blog: 単行本『筋肉奇譚』明日発売です」

収録作

◎クレタの牝牛
◎モンスター・ハント・ショー
◎おでんぐつぐつ
◎転職
◎END LINE
◎社畜哀歌
◎鬼祓
◎MISSING〜ミッシング〜

春川ナミオが参加!「united dead artists」開催中@パリ

2012年9月7日から10月6日まで、パリのarts factoryにて、フランス人アーティストのステファン・ブランケ主催の展示「united dead artists」が開催されています。。

日本からは蛭子能収、根本敬、友沢ミミヨ、春川ナミオ、市場大介、瘡原亘、各氏が参加。
先日ポット出版から『絵物語 ドミナの園』を出版した春川ナミオの原画も展示。

現地のIsabelle Boinotさんから会場の写真が届いたので、いくつかご紹介します。
しゃがんで見入っている人がいたり、連れと語り合う人がいたり、パリの人々の興味を引いているようです。



開廊時間など詳細は以下をご確認ください。

dead artists / 400 vivid drawings

また、『絵物語 ドミナの園』に関する英語の情報をまとめたFacebookページを作りました。
Garden of Domina: An Illustrated Story
こちもぜひ「いいね!」してチェックしてみてください。

隠密剣士、いまここに甦る!

昭和30年代ーー
忍者ブームの火付け役、テレビ映画「隠密剣士」の世界が帰ってきた。
最高視聴率40%近くをマークし、一大忍者ブームを巻き起こした「隠密剣士」。
今年は放送開始から50周年。
製作時のエピソードとともに物語の魅力をあますところなく紹介した一冊です。
名場面やロケ風景など、貴重な写真も多数収録!

『銀の華【復刻版】』全巻購入者特典◎「『銀の華』未収録図画集」プレゼント※【終了】11月30日(金)までにご応募いただいた方には田亀さんのサイン入りでプレゼントします!

銀の華 上 【復刻版】』、『銀の華 中 【復刻版】』、『銀の華 下 【復刻版】』を全巻お買い上げいただいた方には特典小冊子『「銀の華」未収録図画集』をポット出版からお送り致します。

【応募方法】
各巻に挟み込まれているチラシの応募券を切り取り、合計3枚をハガキに貼り付け、郵便番号住所お名前ご連絡先(お電話番号、もしくはE-mailアドレス)をご記入の上、ポット出版(〒150-0001 渋谷区神宮前2-33-18#303)まで郵送してください。

【応募締切】
特典の在庫がなくなり次第、終了とさせていただきます。終了の際にはポット出版ウェブサイトにて告知いたします。

「『銀の華』単行本未収録図画集」
32ページ/1C印刷/中綴じ

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田亀源五郎直筆の『銀の華』プレ段階の未発表アイデアスケッチ、イラストをはじめ、単行本未収録の貴重な図画を一挙収録。「男女郎・銀次郎」のアイデアがどのように生まれ、『銀の華』に集約されていったのか、ストーリーの背景をもお楽しみいただける図画集です。

※2012年11月30日(金)10月31日(水)までにご応募いただいた方には田亀さんのサイン入りでプレゼントします!
サイン入り小冊子の応募は終了致しました(2012.12.4追記)

【※終了しました】ポット出版へ直接のご予約いただくと先着30名様まで田亀源五郎直筆サイン入り!!─『銀の華【復刻版】』上、中、下巻(著●田亀源五郎)の予約を開始しました

2012年10月3日刊行予定の近刊『銀の華 上 【復刻版】』、『銀の華 中 【復刻版】』、『銀の華 下 【復刻版】』の予約受付を開始しました。

弊社へ直接ご予約いただくと、ご注文冊数に関係なく先着30名様まで「田亀源五郎直筆サイン入り」となります!!
(※上巻〜下巻までセットでご購入いただいても、一巻のみのご購入でも、「1名様」とカウントします)
たくさんのご予約をお待ちしております。ご予約方法は以下をご覧ください。

【2012.9.7追記】応募者が定員に達したため、締め切らせていただきました。たくさんのご予約、ありがとうございました。

通常のご予約は引き続き承ります。

◎予約方法

本のタイトル(※セット購入の際は「銀の華セット」とご記入ください)/冊数お名前郵便番号住所電話番号メールアドレスお支払い方法(郵便振替または代引がご利用できます)をお書きのうえ、こちらへメールをお送りください。折り返しご確認のメールを差しあげます。
※ご注意 サイン本を希望される方は必ず当ページからご応募ください。
※サイン本を希望されない場合は、希望しない旨お書き添えの上、ご予約下さい。

ご予約希望の方は本が出来次第、送料無料でお送りします(代引の場合は代引手数料300円[代金1万円以下]のみご負担いただきます)。

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パリで開催される展示「united dead artists」に春川ナミオが参加

2012年9月7日から10月6日まで、パリのarts factoryにて、フランス人アーティストのステファン・ブランケ主催の展示「united dead artists」が開催されます。

日本からは蛭子能収、根本敬、友沢ミミヨ、春川ナミオ、市場大介、瘡原亘、各氏が参加。
先日ポット出版から『絵物語 ドミナの園』を出版した春川ナミオの原画も展示されます。

開廊時間など詳細は以下をご確認ください。

dead artists / 400 vivid drawings

第15回■コンビニのおにぎり

逆戻り

まだ、私にも良心らしきものは残っていたのかもしれない。埼玉の家電量販店に勤める20代の女性とアポをとりつつもの、すっぽかして、家に帰ろうとしていたところで、(「連続幼女誘拐殺人事件」の)“臨時ニュース”。思い込みだけで深夜にタクシーを飛ばし、渋谷まで来て、ハチ公前で知らない男に声をかけられ、ほいほいとついていってしまう女性だ。もし、変な男につかまったら大変なことになる、と急に不安になった。「東電OL事件」が起こるのはまだ10年ほど先(1997年)だが、道玄坂を上った先の円山町のラブホテル街では、女性が行きずりのセックスの果てに傷害や殺人などの被害者になる事件も起きていた。

もし、その女性が見ず知らずの男とホテルに消え、事件などに巻き込まれたとしたら、それこそ罪悪感のようなものが重くのし掛かり、一生、後悔して生きなければならないだろう。翌朝、新聞に彼女の名前や顔写真が出ていたら、寝覚めが悪いこと、この上ない。いくら私でもそのぐらいの良心(というか、自分かわいさゆえの自己防衛本能だろう)はあったようだ。

慌てて渋谷へ戻ると、その女性はハチ公前で待っていた。改めて見ると、歯並びが悪く、口元がだらしない。そんな容貌にかかわらず、やっと会えたことが嬉しいらしく、にやりと微笑むから、よけい不気味(失礼!)である。

既に時間は遅く、飲食店はほとんど閉まっていたが、道玄坂に深夜までやっている喫茶店があることを知っていた。テレクラの朝までコースを利用しない場合、始発までの時間稼ぎに使っていた店だ。深夜だと、珈琲を頼んでも必ず食べ物(マドレーヌやカステラみたいなもの)が付いてくる。当時、喫茶店を深夜営業にするためには、食品衛生法か、風営法かの関係で、食べ物を提供しなければならなかったのだ。

本来であれば、深夜ということもあり、居酒屋やカフェバーなど、アルコールの出る、雰囲気のあるところに入るべきだろう。しかし、酔った勢いでことに及ぶ、というのを避けるため、なるべくソフトドリンクのみ、アルコールのないところにした。店内の照明も明るく、性的な匂いのするところから、敢えて遠ざかる。

“地雷女”?

喫茶店では、マドレーヌを紅茶に浸してみるが、その女性との“永遠”は見えなかった(プルーストの「失われた時を求めて」ではない、当たり前だ!)。他愛のない話で時間をやり過ごしていたら、いきなり、その女性が顔を近づけ、私の耳元で、「いいのよ、ホテルへ行っても」と、甘く(?)囁いた。

この積極性に余計、引いた。普通なら、男は女性からこんなことを言われたら嬉しく、天にも昇る気持ちになるところだ。私自身も散々、テレクラで粘り、釣りあげたのだから、本来であれば話に乗らなければいけない。ところが、なかなか、話の先へ行く気になれないのだ。

まだ、「草食系」や「肉食系」などの“陳腐”な表現がない時代だった。そんな例えで敢えていえば、私はテレクラに行くくらいだから、「肉食系」で、性欲旺盛だった。ところが、あまり“やる気まんまん” (©横山まさみち)に迫られると、こちらも思い切り引いてしまう。

ご存知の通り、意外と強引になれず、押しも弱い私だが、逆に、相手が無理矢理に押してくると引いてしまうもの。天邪鬼なものだが、そんな弱腰の態勢のせばかりでなく、私の中の危険を察知するレーダーが反応していたことも確かだ。

深夜に埼玉から渋谷までタクシーで来てしまうくらい思い込みが強い、しかもすれ違った(!?)後に指名コールをされたことで、ストーカー的な資質を感じた女性だ。セックスなどしたら、面倒くさいことになる、後にテレクラ界で流行る“地雷女”になりそうな予感を抱いたのだ。

性欲にまみれていても理性はなくしてはいけない。我ながら、遊びながらもちゃんとわきまえている。たった一度の火遊びで、人生を台無しにしたくない、と漠然と考えていたのかもしれない。単純に容貌が好きか嫌いかだけでなく、その女性が放つ危険な香り(異臭!?)が私を遠ざける。

ちなみに、その女性の容貌だが、当時、人気だったロック・バンドの女性キーボード奏者に似ていた。多分、同じバンドのメンバーと結婚したはずだ。前述した通り、笑うと、独特の不気味さがある。怖いと感じてしまう。体系もスレンダーというより、痩せぎすといったようなスタイルで、あまり、抱き心地がいいとは思えない。勿論、抱く気はない(笑)。すべてがきつかった。

円山町へ

甘い囁きをさりげなく聞き流し、かみ合わない話をしながらも、時間をやり過ごそうとするが、なかなか、時間は過ぎていかない。始発まではまだ大分ある。「変な人についていっちゃだめだよ」と、子供に諭すように言い含め、先に帰りたくなるが、流石、そこまで非情にはなれない。そのうち、だんだんと眠くもなる。当時、深夜喫茶は、睡眠が禁じられていて、仮眠などしていると起こされてしまう。その頃、いまのようなネットカフェや漫画喫茶があればきっと、利用していたはずだが、まだ、そんなものは出揃ってはいなかった。

仕方ないので、深夜喫茶を出て、道玄坂を上った。女性は嬉しそうに腕を絡めてくるが、横断歩道を渡る隙にさりげなく振りほどく。露骨に嫌な顔は出来ないので、あくまでも自然な流れで離れた、といったそぶりをとる。道玄坂を上ると、百軒店を過ぎ、円山町の入口になる。いまのようにクラブやバー、ライブハウス(「オンエアー」が出来たのは1991年)などもなく、あるのはラブホテルばかり。その街に消えるものたちの目的は既に決まっていた。

円山町は道が入り組み、迷路のようになっている。実際、その時、どこにいたのか、どこのホテルに入ったかは覚えてない。道玄坂から東急本店に抜けるメインストリートに面したホテルではなく、少し奥まったところだったと思う。まさに意を決して、ラブホテルに突入だ。嫌々に不承不承でラブホテルへ行くなんて、初めてのこと。考えてみれば、これまでとは真逆の展開だ(いつもはこれから始まることに期待を込めつつ、喜々として入った)。深夜なので既に休憩料金ではなく、宿泊料金になっていた。多分、タクシーで帰った方が安かったと思う。

蛇に睨まれた蛙

派手な内装や凝った間取りではなく、とりたてて記すべきものがない、何の変哲もないラブホテルだった。昔からある連れ込み宿的な風情があったことだけは覚えている。たたきを上がると和室があり、障子の向こうには寝室がある。畳に座り、机を囲み、お茶を飲む。まるで、不倫旅行にでも来たような感じになる。和室から寝室へ目をやると、当時の流行なのだろうか、浴室がガラス張りで、寝室から見えるようになっている。ここら辺は、せめてもか、ラブホテルらしいところ。

うだるような暑さだった。汗もかき、身体もベタついている。その女性は風呂に入ると言うと、急ぐように浴室へ消えた。ガラス越しに薄ぼんやりと、シャワーを浴びる肢体が見えるが、敢えて見ないようにする。もし間違いでも起こしたら、大変なことになる(笑)。浴室から出てくると、その女性は裸体をバスタオルを包んだだけの姿だった。すっかり、やる気だ。私も汗だくなので、シャワーを浴びることにする。汗を洗い流しながら、この絶体絶命のピンチをどう切り抜けるか、考えを巡らす。と、その時、天啓のように閃いた。「星空のドライブの看護師作戦!」(もう随分前のことになる。連載では第5回だ。シティ・ホテルでのプール・デート後、「星空のドライブ」をした看護師を覚えているだろうか。彼女はホテルに入り、ベッドを共にしながらも「好きな人とでないと、できない…」と、言い放ったのだ。この手がある!)があった。

浴室から出て、脱衣所で、濡れた体をバスタオルで拭き、ホテルの浴衣を羽織る。裸体にバスタオルだと、変な期待をさせてしまう。

寝室ではなく、和室へ行き、冷蔵庫から清涼飲料水を出し、火照った身体を静めていく。その女性にも勧める。コップの縁に口をつけると、性的なものを暗喩させるようなしぐさで、飲み干す。目つきも獲物を狙うように妖しい光を帯びる。まるで、私は蛇に睨まれた蛙だが、修羅場を切り抜ける算段はついている。「大丈夫だ、頑張れ、自分」、と、心の中で言い聞かせた。

前のめりになっているその女性をすかし、かわすように、少し落ち着いた声色で話し始めた。

「ぼくは、そんな男性じゃないから」
(そんな男とは、いきなり会った見ず知らずの女性と一夜を共にするような男性のこと)

「身体目当てじゃないんだ。何もしないよ」
(勿論、テレクラだから身体目当てできている)

天使と悪魔ではないが、誰も二面性があるもの。まったく意に反することを、さもいい人という面持で、しらっと言う。“なんて誠実な人、変な人じゃなくて良かった”と、思ってくれることに賭け、一芝居を打ったのだ。

本来、“誠実さのかけらもなく、笑っている”(©ブルーハーツ)ような人間だが、相手のことをさも大事に思っているように見せかける。

多分、いま、こんなことをラブホテルというシチエ―ションでいったら、女性に興味がないと思われるか、自分が女性として見られてないと思い、女性自身がショックを受けるはず。昔は、敢えてセックスしないことが“いい人”だと判断され、通用する、のどかな時代だった。

その女性は不満な表情を浮かべつつも、なんとなく、私の誠実(!?)な対応に納得したようだ。かの「星空のドライブの看護師作戦!」、我、成功せり、である。

ただ、睡魔が襲い、性欲は限界ではないが、睡眠欲が限界に近づいてきた。始発の時間まで、寝ることにする。寝室には当然の如く、ベッドがひとつしかない。仕方なく、二人で寝ることにする。

しかし、ベッドで二人いることで、何か間違いが起こってはいけない。ここは慎重な私のこと、しっかりと、「星空のドライブの看護師作戦!」に続く、次の作戦は用意していた。

“誠実な人”

まず、その女性にベッドに寝てもらい、その上から掛け布団を横にして掛ける。そして、私も横になり、掛け布団の上に寝る。そして、掛け布団を折り曲げ、身体に掛ける。こうすると、直接、肌と肌が接しないようになる。丁度、コンビニのおにぎりのようなもの。ご飯と海苔が包装フィルムで仕切られ、直に接しないようになっている。それゆえ、食べる時にフィルムを剥すので、海苔がべとべとになることなく、パリッとした食感で、食べられる。

コンビニのおにぎりの包装方法のような形で、寝ることになった。いまにして思えば、この「コンビニのおにぎり作戦」、かなり滑稽ではあるが、その時は、生身の女性が隣に寝ている気の迷いで、良からぬことをしてしまうかもしれない、そんなことは決してあってはならない──そんな思いで、布団にくるまったのだ。

なんとなく落ち着かず、浅い眠りが続き、何度も目を覚ますが、欲望に駆られることなく、気づくと、完全に寝落ちしてしまった。

不思議なもので、こんな時は早起きになる。多分、6時過ぎには目覚め、顔を洗い、歯を磨いていた。起きてきたその女性に、おはようと、優しく声をかける。約束通り、何もしてない。“なんて誠実な人だろう”と、彼女は思っていると勝手に判断させていただいた。

着替えてもらい、ホテルを出る準備をする。一番近い駅はと聞かれ、京王井の頭線の神泉の駅を教え、ホテルの玄関を出たところで、「じゃあ、またね」と、心にもないことを言って(勿論、連絡先など聞いていないし、教えていないので、会う術などはない!)、別れる。もう朝だ。ホテル街を一人で歩いても危険なことはないだろう、と判断し、その女性を“放流”した。

私は渋谷駅を目指し道玄坂を急いで下る。修羅場(!?)を無事に切り抜けた安堵感に包まれる。やはり、この日も朝だというのに日差しは強く、眩しいくらい。また、汗をかいてしまいそうだ。駅の売店には、昨夜の“臨時ニュース”で、第一報が流れた“事件”を報道する朝刊が並ぶ──。

学生インターンふたりの2週間

8月20日(月)ポットに学生インターンが2人やってきた。専修大学の3年生Tくんと廣井くん。
二人とも長身で、掃除のときに天井にあるクーラーの蓋を椅子なしでラクラクにはずしたときには「つかえるやっちゃ〜」とほれぼれ。
今日までの2週間、10時〜17時まで私たちと一緒に机を並べ、一生懸命耳を傾け、まじめに取り組んでくれた。
そんな二人のインターンシップ体験記。猛暑のなか毎日お疲れさまでした![那須ゆかり]

●会社訪問記
文学部 人文・ジャーナリズム学科 3年  S.T.
 
 専修大学の火曜一限にインターンシップという講義がある。これは文学部、人文・人文ジャーナリズム学科の3.4年生のみが履修出来る専門科目だ。この学部学科の三年生である私は、この科目を履修して、夏期休暇期間にポット出版さまへ二週間の会社訪問をすることを決めた。
 放送・新聞・出版業界と様々な選択肢があった中、私は兼ねてからその実態が気になっていた出版業界を選んだ。その中でポット出版さまは募集人数2名だったのにもかかわらず、応募が6、7名いたので、選考が行われた。その方法というのが作文や面接ではなく、ジャンケンであったため、自信のなかった私でも何とかその当選者として名を連ねることが出来た。
 講義内で配布された資料には、会社ごとに簡単な紹介文が書いてあった。ポット出版については「本の企画、編集、デザイン、流通、etc……本のすべてがわかる」といったような紹介文が書かれており、「すべてがわかるならここしかない」と、それが決め手となった。しかし、自分で調べても教授に聞いても、会社が原宿にあり、犬がいて、多種多様な本を出版しているということ以外ほとんど分からないまま、8月20日のインターンシップ初日を迎えることになった。
 事前に那須さんに、メールでお尋ねして、分かっていたことは「10時に、普段通りの格好で、最低限の筆記用具を持って」会社へ行くこと。その言葉だけとってみると、大学の一限へ行くよりも気軽であるはずだった。しかし、初めてのインターンシップに私はひどく緊張していた。一緒にインターンシップへ行く廣井君と、炎天下、駅から会社へ歩く途中、私は寒気すら感じていた。
 オートロック式の黄色を基調とした、吹き抜けのあるデザインマンションの303号室に、ポット出版はあった。中に入ると那須さんと佐藤さんと犬2匹が迎えてくださった。挨拶をした後、デザイン・編集・出版部に分かれて仕事をしていることを教えて下さった。次に、大田さんに社内のどこに何があるかということと、ゴミの出し方を教えていただくと、早速はじめの仕事をいただいた。エクセルを使って番線印の情報を入力していく作業。私と廣井君は、背中合わせで1人ずつ仕事机を貸していただき、心の準備も整わぬまま初仕事にとりかかった。左の席でセンスのよい音楽をかけながら、煙草を吸いつつ颯爽と仕事をこなしていく上野さんを見て、圧倒されながら私は「本当に出版社に来たんだ」ということを実感していた。そして私は、社員の方々の話を聞き逃さないようにしたり、メモをとったりすることに必死で、緊張している場合ではなくなっていた。

 そうこうしているうちに2週間。土日をのぞいて10日間。いつの間にか私の会社訪問は最終日を迎えていた。その中で私は、今まで知らなかった出版・本のことを多く知る事が出来た。それは例えば、注文販売と委託販売の違いや今までほとんど気にもとめていなかった書誌データのこと、社長の沢辺さんから講義していただいた著作権のことなど数えきれない。私がこのようなことを知ることが出来たのは、会社の方々が私の稚拙な質問に懇切丁寧に分かりやすく答えてくださったり、会議や話し合いを見学させてくださったりしたからだ。
 「出版業界のことを知ってみたい」という好奇心を第一の理由に講義を履修した私にとって、出版・本のことを多く知ることが出来たこのインターンは、本当に充実したものになった。ただ、私はその出版業界のこと以上に、【人が一つの場に集まり仕事をする】ということにおいて大切なことを、この会社では教えていただけたと感じている。それは仲間への気遣いであったり、礼儀であったり、まず自分で考えて行動するということだったりと様々だ。これらのことは直接アドバイスしていただいたものもあるが、私が個人的に肌で感じたものも多々ある。
 ポット出版さまは、服装や喫煙、ツイッターなど自由・自己責任な部分が多い。しかし私が思ったのは職場然としたピンと張りつめた空気が途切れることがないということだった。息苦しいとか全員が黙って仕事をしているとかそういう訳ではない。どこかで談笑がはじまってもそのまま話し続けているということはなく、社員の皆さんはすっと仕事モードに切り替えることが出来るのだ。また、何方かが別の何方かをただ怒鳴るというふうな光景は一度もなく、その個別のことがらをよりよくするにはどうしたらいいかということを分かりやすく指摘・説明されているのが印象的だった。

 仕事をする上でというよりもむしろ、社会に出て様々な人々とコミュニケーションをとっていく上で重要なこと、と言った方がいいだろうか。このインターンでは、そのようなことも学べたと思っている。そう思えた理由に、特に印象的だった二つの出来事がある。ひとつは、上野さんが私と廣井君が作ったメールを確認してくださった時、「自分がどう見られているか、どうしたら丁寧(にみえる)か考えて行動するといいよ」という話をしてくださったこと。そしてもうひとつは廣井君が沢辺さんへインタビューをした時、自分の弱点を見つけ、見つめ、カバーをするとよい、という趣旨のことを話して下さったことだ。それらは全く自分では思いつかないような視点であり、また、いつも何となくごまかしながら「正しそうな」言動を選択していた私にとって非常に新しく心強い考え方であり、アドバイスだったのだ。

 私はインターンシップでこの会社にこれて本当に良かったと思っている。会社の方々は皆さん優しく、私たちに割いていただいた時間や労力のことを思うと感謝してもしきれない。学んだことは多く、消化出来るか不安もあるが、私はこの会社訪問をさらに良いものにしたいと思えたので、学校に戻ったら今まで以上に勉強しようと思った。株式会社スタジオ・ポットの皆様、本当にお世話になりました。そして本当にありがとうございました。

●インターンシップの反省・感想文
専修大学 文学部 人文ジャーナリズム学科三年 廣井俊貴 

 今回、私は専修大学文学部•人文ジャーナリズム学科のインターンシップという形でポット出版にて二週間、職場体験、社会人としての経験をさせていただいた。
 実際に、社会人と仕事をしていく中で様々な課題•反省点が浮き上がってきた。やはり、大学や家庭などでは意識出来ていなかったこと、自分に足りないことや欠点に、このインターンシップを通して気づくことが出来たのは、大きな収穫になった。
 初日のパソコン作業では、番線と書店名、書店コードをエクセルの表に記入していくというものだったが、エクセルの基本操作を忘れていたため、作業に入るまでに時間がかかってしまった。また覚え書き(ISBN、出版社名、著者名、紙質、製本の型•大きさなど)のアプリ起動の仕方を忘れ、ここでも作業に入るまでに時間がかかってしまった。
 Windows7でしかパソコン操作をしたことがなかったため、マックの基本操作にすぐに馴染めず戸惑った。その上、指示された作業の手順を一回で理解する事が出来なかったので、作業の取りかかりが遅れてしまった。パソコンを仕事上、不自由なく使いこなすようになる必要性があると痛感した。
 
 メールの文章構成にも問題があり、上野さんから指導していただいた。撮影に使うクッキーをネットで探し、メールで報告することになった。私は見つけたクッキーのサイトのアドレスだけを記したため、これではクッキーの販売元と販売状況がどこに書いてあるのかが一目瞭然で分からない、とご指摘を受けた。日頃は何となく、相手も理解してくれるだろうという考えで、メールを作成してしまっていたため、このような失敗をしてしまった。件名は短く、丁寧に書く。相手にわかり易く伝えることを意識して書く重要性を学んだ。社会人になってからでは、懇切丁寧に教えてもらえず、失格の烙印を押されてしまうだけなので、上野さんに今回の失敗のご指導をしていただいたことは自分にとって、とても有り難かった。
 
 また、態度や人間性など生活面でも色々とご指摘していただいた。

 沢辺さんに著作権についてレクチャーをして頂いた際、教科書に載っている内容をただ丸覚えするだけでは、応用力が身につかず、社会では通用しないと教えていただいた。言われた事、教わった事をそのままやるのではなく、自分の頭で考え、自発的に行動する事が重要だということ。そして自分の意見をしっかり持つこと。たとえ人から違う意見を言われたり指摘されても、相手に無理に合わせないことだと教えていただいた。

 そして、自分にとって一番気をつけなければならないことを上野さんからアドバイスしていただいた。
 それは、人の話をよく聴くこと。内容をよく理解すること。自分の頭で考え、場に応じた対応をする。自分が話すときも、意見や主張を相手が理解出来るよう、順序立てて話すようにするくせ(習慣)をつけることだ。余計な(聞かれてもいないこと)を話すのはやめる。単刀直入に話すことだ。これらの行為を自分では出来ているつもりでいたが、実は全く出来ていなかったことに改めて気づいた。今後は、人と接する時にはこれらを意識し、自覚しながらコミュニケーションをとっていきたい。お互い気持ちよく過ごしていくためにも。
 
 私がポット出版をインターンシップ先に選んだ理由は、大学卒業後に出版業界(特にスポーツ雑誌を扱っている出版社)に身を置きたいと考えていたため、本•雑誌がどのような過程で製作され、世に広まっていくのかということを学びたかったからだ。
 前回、私が専攻しているゼミの教授である植村先生と共にポット出版を見学させて頂いた際、はたから見ていた作業を実際に自分でやってみると、チェック一つとってみても神経を使い、根気のいる仕事だと実感した。
 一冊の本が出来るまでには、多くの工程があり、また多くの人が関わっている。地道な作業の積み重ねを経て世の中に出ていく。身近な本がどういう風に完成するのかを、ごく一部ではあるが、実際に自分で経験することが出来たのは本当に嬉しく思う。改めて、出版の仕事に携わりたいという気持ちを強くした。 
 
 最後に、お忙しい中、私たちに色々と手取り足取り指導していただき本当にありがとうございました。社員の皆様にはご迷惑をおかけしましたが、色々とご指導をいただき感謝しております。このインターンシップでの経験をこれからの学生生活でも活かせていけるよう努力しつづけます。