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[第5章●録音データのデジタル化道]
5… Sound Studioを使う
[2003.10.15登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

テープから原稿を起こす場合、世間ではどのような手順でなさっているのだろうか。それぞれ違うんだろうな。いろいろ聞いてみたいような気がする。

私の場合は、最初1、2回はテープを通しで聞き流す。全体の流れを再認識するのが主目的。机の上にはいらない紙をひろげておき、流れをスケッチするか、もしくは取材時のメモ帳に別色のボールペンで書きたしをしたり、主要部分をマルでくるんだりする程度の作業しか行わない。

MDからSound Studioへの取り込み作業は、この「全体を聞き流す」工程のウラで進行しているわけだから、今までの作業の流れに余分の作業が付け加わったわけではない。だから、負担にならない。

そのうえすばらしいことに、Sound Studio(他の同類ソフトにもあるだろうが)には、Mark機能がある。私はこれを勝手に「しおり」と呼んでいるが。

前回述べたように、Sound Studioで取り込んだ音を再生する場合、その音の流れが波形で表示され、現在再生されている部分を示す線が左から右に走っていく。

任意の時点でcommand+Mを押すと、そこにMarker1という具合にしおりが挟み込まれる。もちろんコマンドMのたびに数字はひとつずつ増えていく。

寄り道になるけど、「数字がひとつずつ増加していく」ことをコンピュータ界では「インクリメント」という。広辞苑・大辞林などの国語辞書には載っていないし、世間一般ではまだまだ通用していない語彙なのだが、もちょっと流通して欲しいコトバだ。これが通じるか通じないかで、コンピュータ絡みの説明の面倒さがまったく変わってくる。

しおりは波形データの上に[Marker1]という具合に表示される。これをドラッグして他の文字列に書き換えることもできるのだが、日本語が通らないこともあって、私はインクリメントされる数字のままつかっている。

Sound Studioの「しおり」はこんな感じ



つまり再生を聞きながら、要所要所でコマンドMし、メモの当該場所に番号を丸数字で書き込んでおく。

たいていの取材というのは、相手にとって非常に失礼なもので、文字数の関係で、聞いてきた話のほんの一部しか原稿化できないようなことも多い。そういう場合は、あとでメモを眺めながら、しおりの3番14番22番23番で行こう、なんて方針をたてる。

しおりのところにいきなりジャンプして再生することが可能だ。つまり自分のマークした場所をいきなり頭出しできるわけだ。

MDをそのまま再生していたころに比べると、この「しおり」機能と前回述べた「不要部分を視覚的に選択して削除できる」機能が、もっとも利便性があがった部分だ。

再生時にピッチを変更できる機能があり、これもやってみる前は効果を期待していたのだが、思った程でもなかった。

しかし、使う前には予想していなかった難点もある。

それは保存できるファイル形式がAIFFだけになっているということだ。AIFFはMP3などに比べると、ファイルのサイズが大きい。音楽CDに使用するファイル形式であるから、音質はいいのだが、取材の録音なんてものは、さして高音質は必要がないのだ。

MP3ファイルの読み込みはできる。それは嬉しいのだが、逆の書き込みはできない。ただAIFFといっても、いろんな設定はできるようになっている。まだよく理解していないのだが、Sound Studioで保存できるファイル形式の中でも、圧縮率はずいぶんかわるようだ。

ただ、保存するファイル形式には、ある程度神経質でいるべきである。別章で書く予定だが、ファイルの形式と言うのはもともと特定のアプリケーションでしか読めないものであるのが原則だ。しかし、中にはいろんなアプリケーションで読むことのできる「汎用的」なファイル形式がある。たとえば画像で言えばJPEG形式などがそれにあたる。しかし、その「汎用的」なファイル形式であっても、なにも法律とか国際条約とかで汎用性が担保されているわけではない。ただ、現時点でたまたま「汎用的」であるにすぎない。

長期間にわたって保存する必要のあるデータは、そのファイル形式に注意を払っておかなければならない。

AIFFやMP3はある程度ではあるが、これから先も「汎用的」な形式であり続けるだろう。そういう「読み」からこうしたファイル形式をとりたいと思う。よく知らないで言うのだが、Sound Studioで保存できる種々のファイル形式は怖くて採用できない。

そのため、Sound Studioを使うのであれば、大きいのを承知でAIFF形式にして保存するか、他のソフト(たとえばiTunes)を使ってMP3に保存し直すかの選択になる。

もちろん、別ソフトで保存し直すのは手間がかかる。

頭の痛いところだ。

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福田邦夫さんより
ご意見いただきました

[2004-12-14]

sound studioをどのように購入されましたか?

私も仕事柄、音楽の簡単な編集をしようと思っているのですが、現在持っている、sound it!では、一部の音を消去するだけで、死ぬ程時間がかかります。
そのため、ネットでいろいろ調べてみたら、sound studioが良さそうだと思ったのですが、海外からのダウンロードは問題ないのですが、送金がちょっと心配で、できたら日本で購入したいと思っています。

少し永くなりましたが、どこかでsound studioを売っているようでしたら、教えていただけると、とても助かります。

よろしくお願いします。

福田邦夫/プロダクトデザイナー

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