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第33回■虎の尾を踏む女 Ⅰ

93年の夏を彩った“俺たちのグレート・ジャーニー〜日本縦断テレクラの旅”には後日談があった。私達が帰京した数週間後、“相棒”と福岡のドラマのプロローグを演じた28歳のOLから、彼へ連絡があったのだ。用件は、自動車事故を起こし、修理代が必要になったから10万円を送って欲しいというものだった。

事故そのものの真偽も怪しいし、自動車事故なら保険で対応できるはず。しかし、彼は迷うことなく、振り込んでしまった。もちろん、貸して欲しいといわれたのだが、一度口座へ入金されたら、お金は彼女のもの。相棒にしたら、怪しいという思いより、彼女の窮状を救いたいという気持ちが勝ったのだろう。いまの振込め詐欺のようなものだ。振り込んだ後、彼女から連絡はなかった。

援助交際が頻繁に行われ、テレクラが売春や買春の温床としてマスコミをにぎわすようになるのはもう少し後だが、既にテレクラには男と女の騙し合い、金銭のやりとりが横行していたのだ。そんな中から“事件”も起き始めた。テレクラで男をホテルに呼び出し、その男の恥ずかしい写真を取り、それを元に脅したり、女に呼び出された男がその彼氏やご主人に金銭を脅し取られるという“テレクラ美人局”などが、数年後、出てきたのだ。
テレクラは、単純に男と女の出会いのドラマを演出する“装置”ではなくなってきていた。テレクラの終わりの始まり、荒廃寸前のような状況だったのだ。

時期が前後するが、そんな事件に私も巻き込まれたことがあった。相棒のことを甘いやつだと笑えない。その契機となる女(後に逮捕されるので、敢えて女と表記させていただく)との出会いは同じく、93年の夏のことだった。

事件

テレクラは、学校や会社、家庭などを越え、本来であれば出会う環境になかった男女の出会いを演出することがある。それがテレクラの魅力でもある。スチュワーデスやモデル、ホステス、タレントなど、当時は高嶺の花といわれる業種の女性と出会ったこともあった。アイドルの誰々と話したなど、いわゆる都市伝説のようなものもあったが、テレクラ仲間が武勇伝を誇らしげに語ることもあった。そもそもテレクラは、男女とも虚言癖を持つ、詐欺師の溜まり場のようなところだが、まんざら、嘘でもなさそうなこともあったのだ。

その電話を取ったのは、渋谷道玄坂の店だったと思う。スチュワーデス(いまではキャビンアテンダントという名になったが、スッチーとしておこう)などの“上客”は、新宿や五反田ではぶち当たらない。意外なところで、蒲田、船橋辺りに生息しているという都市伝説があったが、実際はどうだろう。いずれにしろ、そんな女を引き当てたのは渋谷だった。20代後半で、日本の航空会社の国際線に乗っているという。フライトを終え、日本に戻ってきたばかり。彼女の口から出るのは、華麗なる交友関係だ。誰もが知るようなタレントやスポーツ選手の名前が次々と出てきて、そんな話を延々と聞かされた。辛抱強く聞き手に徹する。その女は独壇場と感じで喋りまくった。おそらく、フライト明け(!?)の躁状態で、気分がハイになっているのだろう。話は止むことはない。
聞き役ならお手の物。そのうち、私のことを、本当に話しやすく、親しみがわく人だと言ってくれた。仕事上、話しやすい雰囲気を作るのは任せておけだ。私自身も、コピーライターなどと称して、適当に業界臭さを演出したことも奏功したのだろう。こいつとつきあっていれば得かもしれないという、スチュワーデスのすけべ心も刺激したのかもしれない。

結局、話は盛り上がったが、アポには至らず。ただ、電話番号を教えて欲しいといわれ、番号の交換だけはした。まだ携帯の時代ではなく、家電であった。もちろん個人用で、留守電もついていた。それから思い出したように暇つぶしで電話がかかって来るようになった。

テレビ局のプロデューサーや代理店の重役との会食など、華やかな近況報告を聞かされる中で、彼女には“お兄ちゃん”と呼ぶ仲のいい野球選手がいることを知った。特に名前はいわなかったが、関西の球団にいて、東京へ遠征に来るたびに宿舎まで遊びに行くという。その時は話半分で聞き流していた。

そんなやり取りが続き、半ばアポ取りは諦めていた頃、いきなり、「いま、お兄ちゃんが家に来ているから遊びに来ないか」と誘いの電話があったのだ。最初に電話を取ってから数か月後。既に秋ではあったが、まだ夏の暑さが残る夕方の時間帯だった。

指定された地下鉄の駅を降り、そこから歩いて数分のところに、その女のマンションはあった。バブルの影響か、華美な装飾を施されたその外観は、パパが愛人に買い与えそうな物件、といったところである。

マンションのインターフォンを押すと、彼女が出た。オートロックの玄関が開く。エレベーターに乗って、彼女の住む部屋の前まで行ってインターフォンを押すと、女が現れた。

自宅なので、普段着っぽい恰好だったが、化粧だけは忘れず、少し華美と感じるような水商売っぽい雰囲気を纏っていた。年齢も30歳は超えているように見える。だからといって老けているわけではなく、いわゆる妙齢の女盛りであることに変わらない。華麗なる交流も頷けるところだ。予め、彼女からは、仕事上の知り合いということにしておいてくれと言われていた。

彼女に導かれ居間に入ると、二人の男性がいた。そのうち一人に、なんとなく見覚えがあった。当時の私はすでに興味をはなくしていたが、元々は野球少年。後楽園球場(東京ドームになる前!)に巨人戦なども見に行ったことがある。そんな私でさえ、顔を見てすぐにわかる、関西の人気球団のスター選手だった。“お兄ちゃん”とは、その男性のことらしい。
テレクラで知りあった女性の部屋に、著名人と一緒にいる。現実離れしたシチエ―ションというか、予想だにしないことで、なかなか、目の前の光景が頭の中で整理ができないでいた。そのスター選手は、そんな私を気遣って、気さくに声をかけてくれる。食事をしていないなら、寿司でも取ろうかとも言ってくれた。

私は適当に挨拶を交わし、その申し入れを受け入れ、寿司を頼んでもらうことにした。球界を代表するスーパースターは自ら電話をかけ、特上を4人前頼んでくれた。

そして、もう一人の男性。彼女によれば某菓子メーカーの御曹司らしい。しかし、正妻ではなく、妾の子のため、表に出ることはなく、役職も重役では会ったが社長や副社長ではなかった。曰くありげな話だが、その彼も変に卑屈になることなく、物腰もやわらかい。ただ、ふとした瞬間に影みたいなものが見え隠れするのは、妾の子という境遇ゆえか。

いままで話半分に聞いてきたその女の華麗なる交友録もまんざら嘘ではなさそうだ。何よりも私の目の前に、誰もが知る野球選手がいる。嘘ではない、現実だ。テレクラはもともと思いもかけない出会いを演出するものだが、まさか、有名野球選手に遭遇するなど、誰が予想できるだろうか。アイドルやタレントとの出会いではないが、テレクラ都市伝説を目の当たりにした瞬間だ。

その女と野球選手、御曹司、そして、私は寿司をつまみながら談笑した。しかし、話題をどう振っていいかわからず、なんとなくその場しのぎの言葉を紡いでいく。そんな空気を察してか、その女はテレビをビデオに切り替え、画面ではアクションものの洋画が始まった。
映画そのものは見たか見てないか覚えていないが、エンドタイトルを目で追っていたことだけは覚えている。記憶とは不思議なものだ。

話が途切れると気まずいのか、その女はカラオケをしようと言い出した。彼女の家にはカラオケがあったのだ。家庭用のレーザーディスクのカラオケだったと思うが、普通の家にあるものではない。

その女が歌ったのは高橋真梨子の歌だった。「桃色吐息」と「はがゆい唇」。多分、他にも歌ったとはずだがその2曲しか思い出せない。異常にうまく、妙に彼女の雰囲気に合っていたのがいまでも印象に残っている。ちょっとしたリサイタル気分で、気持ちよさそうに歌っていた。

なんだかんだで、11時近くになってしまった。特に乱交パーティ(!?)など、何かが起こるわけではなく、私は帰るように促された。こうして、その女と有名野球選手、菓子メーカーの御曹司という、まったく縁もゆかりもない、本来であれば接点も持ちようもない人たちとの数時間が過ぎていったのである。

ありえない組み合わせ、出会い。その後、彼らとは会うことはなかったが、話がこれで終わりなら、テレクラが生んだ“真夏(もう秋になっていたが)の夜の夢”というところだろう。ところが、事態は意外な展開をすることになる。この出会いにも“後日談”があったのだ。

その顛末は、次回、語ることにしよう。私自身が事件や事故に巻き込まれることはないと思っていたが、危機は確かに、“いまそこにあ”ったのだ……。

「アイドル女子会&セーラームーン妄想キャスティング会議」開催決定!●2014年3月26日(水)

「anan」や「NYLON Japan」などの女性誌でアイドル特集が組まれるほど盛り上がる今、なぜ女性たちは女性アイドルに惹かれるのでしょうか?

もっともっとアイドルについて話したい大森靖子、児玉雨子、日笠麗奈、竹中夏海の4人のアイドル好きが集まって、女性アイドルの魅力について語ります。


『IDOL DANCE!!!〜歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい 〜』の著者で振付師の竹中夏海が提唱する「女性が女性アイドルを好きになる感覚は、セーラームーンを好きになるのに似ている」という理論にもとづき、実在するグループアイドルのメンバーをセーラームーンのキャラに当てはめて考える妄想キャスティング会議も開催!

前売チケットは2月22日(土)からe+にて販売になります。

アイドル女子会&セーラームーン妄想キャスティング会議

日時

2014年3月26日(水)
OPEN 18:30 / START 19:30

会場・問い合わせ

阿佐ヶ谷ロフトA
〒166-0004
東京都杉並区阿佐谷南1-36-16-B1
TEL: 03-5929-3445

出演

大森靖子(シンガー・ソングライター)
児玉雨子(作家・作詞家)
日笠麗奈(モデル)
竹中夏海(振付師)

チケット

前売&当日2,000円(飲食別)
前売り券はe+にて2月22日(土)12:00発売

鉄・すずカレンダー2014年

2014年1月がすでに終わりそうですが、
ポットのお出迎え犬、鉄・すずカレンダー2014年が出来上がっております。

カレンダー2014表紙_1.jpg

2013年版は作成が遅れ異例の2月始まりカレンダーとなり、
一部マニアの間では、2014年は3月始まり、2015年は4月始まり…と
なっていくのではとささやかれておりましたが、
期待を裏切って申し訳ありませんが、今年は1月からです。
1月が終わろうというのに…。

ちなみに1月は鉄のどじょうすくいです。

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ご希望の方がいらっしゃればどうぞお問い合わせください。
無料でお送りします。
メールはこちらに→pub@pot.co.jp

2014年1月20日(火)『アイドル=ヒロイン〜歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい〜』発売記念・トーク&サイン・写メ会開催決定

2015年1月15日、写メ会について追記しました。

『IDOL DANCE!!!』に続く、振付師・竹中夏海の単行本第2弾『アイドル=ヒロイン〜歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい〜』発売記念!

パルコブックセンター渋谷店にて『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』著者の竹中夏海さんのトーク&サイン会を開催します。

PASSPO☆やアップアップガールズ(仮)、HKT48などの振付を手がける振付師・竹中夏海さんが、最近増えている女性の女子アイドルファンが、同性のアイドルに惹かれる理由を解説。女性ならではのアイドルの楽しみ方を語ります。

【日時】
2015年1月20日(火)
   集合時間:午後6時30分
   トークショー:午後7時~7時30分(予定)
   サイン・写メ会:午後7時35分~ご参加の列が途切れしだい終了

(※トークショー終了後にサイン・写メ会を開催)

【会場】
渋谷パルコパート1 B1F グリーンルームギャラリー横特設会場
【トーク&サイン・写メ会 参加方法】

12月27日(土)午前10時より『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』(ポット出版 税込1,620円 1月16日入荷予定)を店頭又はお電話にてご予約下さい。
(予約電話番号 03-3477-8736)
ご予約のお客様は同書入荷以降、イベント当日の開始時間までに、レジカウンターにて代金と引換えで同書と「トーク&サイン会参加整理券」をお引取り下さい。

トークイベントはワンドリンク制となります。お買上げの際に、本代の他に別途ドリンク代350円(税込)を頂戴いたします。(本代と合わせ税込合計1,970円をお支払いいただきます。当日会場にてグリーンルームギャラリーのアイスドリンクを整理券と引換えでお選びいただけます。

トーク&サイン・写メ会 定員:50名

 ※会場はオープンスペースとなっておりますが、整理券番号20番まではイス席をご用意いたします。それ以降の方は立席でのご参加となります。
 ※トーク&サイン会の参加整理券の配布はご本人お一人様1枚限りとなります。

【サイン・写メ会 参加方法】

サイン・写メ会のみのご参加も限定数で承ります。
12月27日(土)午前10時より『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』(ポット出版 税込1,620円 1月16日入荷予定)を店頭又はお電話にてご予約下さい。
(予約電話番号 03-3477-8736)
ご予約のお客様は同書入荷以降、イベント当日の開始時間までに、レジカウンターにて代金と引換えで同書と「サイン会参加整理券」をお引取り下さい。

【NEW!】当日、サイン券をお持ちでご希望の方は、竹中夏海さんとの2ショット撮影を行ないます。
カメラはお客様でご準備ください(スマホやデジカメ、なんでも構いません)。

※サイン・写メ会のみのご参加の方はドリンク代はなしです。
※「サイン会参加整理券」の配布は予定数に達次第、終了いたします。
※「サイン会参加整理券」でご参加のお客様は「トーク&サイン会整理券」でご参加のお客様が終了してからのサイン・写メ会参加となります。あらかじめご了承ください。

【注意事項】

★ 「トーク&サイン会整理券」「サイン会参加整理券」の配布は予定数に達し次第終了いたします。配布終了後にご予約・ご購入いただいてもトーク&サイン会・サイン会参加整理券はつきませんのでご注意下さい。
★ サインは『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』のみにいたします。他の本や色紙等には一切いたしませんのでご了承下さい。イベント当日はお買上げいただいた同書と参加整理券を必ずお持ち下さい。
★ サイン会はお並びのお客様の列が途切れ次第終了いたします。
★ 参加整理券の再発行はいかなる理由でも一切いたしませんのであらかじめご了承下さい。
★ 会場内外での写真・動画等の撮影は禁止とさせていただきます。ご了承ください。
★ イベント内容は予告なく変更になる場合があります。その際は当サイトにて逐次お知らせいたします。

第32回■サマーヌード〜日本縦断テレクラの旅Ⅲ 大阪編

第3の地での洗礼

博多を発った「ひかり」は新大阪駅のホームへ滑り込むように到着する。二人とも睡眠不足で(特に相棒は、私と違い仮眠も取れなかったみたいだ)朦朧とする頭と身体を抱え、私達のグレート・ジャーニー第3の地・大阪へやってきた。時間は既に7日(水)の午後2時を回っていた。環状線で大阪まで行き、地下街を潜って、梅田の繁華街へ出る。同所のホテルで、スタッフと合流、イベントの指示、資料の確認などを済ます。応援だから、打ち合わせの後、イベント会場に申し訳程度に顔を出して、その日の仕事は7時前までには終了してしまった。チョロイもんだ(笑)。

二人はスタッフの夕食でもどうですか、という誘いに乗らず、会場を後にする。目指すところがあったからだ。

LOFTや阪急などがあって、大阪にしてはお洒落といわれる「キタ」の繁華街・梅田も少し奥まったところへ行くと、途端に妖しい雰囲気を醸し出す。北新地などは飲み屋や風俗店が林立している。

そんな妖しいところにあるテレクラ「キャッツアイ」は、コール数、アポ率ともに関西一を誇る。男性客がボックスの空く順番を待つ、行列のできる店だ。流石、商売上手、商人の街。関西一を自負するこの店、日本一といわないところが大阪らしいが、大阪人気質というものなのだろう――だがしかし、それは東京生まれ・東京育ちの私にとって、致命的なことだった。東京弁(!?)でしゃべるだけで、気取っていると思われてしまう。事実、早取りにも関わらず、圧倒的にコール数があって、いとも簡単に電話を取ることができるのだが、ほとんど会話にならない。東京弁で喋っていると、すぐに切られてしまうのだ。相棒のように幼い頃に大阪に住んだことがあり、大阪弁を習得していれば随分と違っただろう。

話を弾ませようと、軽い冗談をいっても東京の笑いは通じない。やはり、よしもと新喜劇の世界。大阪人が2人いるとボケとツッコミの漫才が始まるというが、私の笑いの感覚は東京流。それなりにギャグセンスには自信はあったが、とてもテレクラにかけている女性とは“漫才”ができそうもない。実は、東京の下町出身ゆえ、学生時代に、浅草の演芸場で、現在は“世界の”と冠せられるあの芸人の師匠にあたる伝説のコメディアン&ボードビリアンに薫陶を得ていたが、そんなことはまったく役に立たなかった。まるで不戦敗である(笑)。

期待

そんな中、唯一会話らしい会話が成立した相手が阪急神戸線の沿線に住むという21歳のOL。前の彼氏が千葉出身だっただけに偏見がない。ところが、彼が東京へ転勤になると、何も言われずに振られてしまったという。できれば復讐したいというのだ。穏やかではないが、きっかけは何でもいい、協力するから会ってくれと無理矢理に頼むと、その女性は迷いながらもOKしてくれた。ただ、アポが取れたのが夜の11時近くだったので、今日ではなく、明日と言われる。明日の昼休みに彼女の住む街のスーパーマーケットの前で待ち合わせをする。彼女の特徴は、身長は168㎝、当時、ヌード写真集が話題になったアイドル女優に似ているという。これは期待を抱かせる。

一方、大阪在住経験のある相棒だが、この日は別の意味で、悪戦苦闘を強いられたという。コールしてきたのが自殺志願の女性だったのだ。26歳のフリーターで、かなり精神的にまいっている。下手なギャグを口走って死なれたらたまらない。2時間近くは話しただろうか。その女性から、
「こんな真剣に話、聞いてくれたん、初めてやわぁ。ありがとね〜」
と、言われた時はほっとしたそうだ。

深夜0時前など、テレクラ時間としては宵の口だが、翌朝から仕事があるので、ここはホテルへ撤退。明日へと希望を繋ぐ。幸い、昼休みにアポは取れている。また、夜には、前から行きたいと思っていた別のテレクラへ行くことになっている。明日のため、大人しく夜を過ごす。

十三のテレクラ

翌7日(水)は朝から真面目に仕事をこなし、昼休みの間に、私は昨日、待ち合わせした阪急神戸線沿線のスーパーへ向かう。ホテルまで持ち込む時間は当然ないが、せっかくだから、一目でも会っておこうと思ったからだ。

梅田から阪急電車で30分ほど。約束の午後1時には着いていた。女性を待つが、来る気配はない。すっぽかしか。漸く、30分ほどして、件の女優に似た、いい女が現れるが、こちらへ来るそぶりは見せない。私から近づき、尋ねるものの、違うの一点張り。だからと言って立ち去るわけではなく、年齢を尋ねてくる。ダブル・ブッキングをしたのだろうか。何度かしつこく聞くと、彼女は立ち去ってしまった。その女性が私を気にいらなかったのは確かだが、それにしても謎の行動ではある。とりあえず、会えただけで良しとするか。思いのほか、時間がかかってしまった。慌てながらも仕事場へは何食わぬ顔をして、戻ることにする。

私達は、仕事を適当に(こればっかりで、会社の方、本当にすいません!)切り上げ、夕方に大阪の繁華街・十三(じゅうそう)にあるテレクラ「ベルエポック」へ。十三といえば、かの松田優作の遺作になった『ブラック・レイン』(リドリー・スコット監督)のロケ地として有名だが、ある意味、もっとも大阪らしい、妖しい風俗のある街でもある。ねぎ焼きなどの名店もあるが、まわりには風俗店が多く、出張ヘルスやSMクラブの事務所も少なくない。街往く人の風情も只者ではなく、後年、この街でSMの女王様のコスプレをした中年男性が普通に街中を闊歩しているのを見かけた時、十三の奥深さを知ったものだ。

そんなところにある「ベルエポック」。普通のテレクラであるわけはない。実に特殊でマニアックなテレクラである。大きな特色はSM回線や3P回線などの特殊な回線を設置し、性癖に合わせ、ボックスへ取り次いでくれることだ。広告も、普通の雑誌や新聞(といってもおやじ向けのエロ週刊誌&三行広告満載の夕刊紙)だけでなく、SMやスワッピング(夫婦交換)など、マニアックな雑誌にも出している。その分、性癖の利害関係が一致するだけに、話がまとまれば、ことは早く進む。同店の常連客は相当、いい思いをしているという。

実はこの店、伝言ダイヤルで見つけた乱交パーティやスワッピングクラブなど、“マニアの巣窟”を探索していた時に専門誌で見つけ、同時に遊び仲間からもその存在を聞いていた。ネットが普及したいまでは信じられないかもしれないが、当時はマニアな雑誌や遊び人の口コミが有力な情報源。そんなわけで、大阪へ行った際には、是非一度、訪問したいと思っていた店なのだ。

私は特殊回線、相棒は一般回線に挑む。私がボックスへ入ると、奈良に住む40代の夫婦から早速、3Pのお誘いがある。3P回線に掛かってきたコールだ。
念のため、3P(“サンピ―”と発音する)を簡単に説明しておくと、男性2人に女性1人でのプレイ(風俗だと、3輪車といって、女性2人、男性1人という遊びがあるが、それとは逆の組み合わせである)で、この場合、夫婦やカップルの中に入って、快感に導くお手伝いをするというもの。

大阪と奈良の距離は実際には大したことはないが、当時は大阪から奈良へというのが大旅行に思えて、遠慮してしまった。その夫婦へ翌日は東京に戻ることを理由にして断りを入れたら、家に泊まって、朝出ていくことを勧められた。そんなことまで考えてくれる、なんか、情の深さに感動してしまう。スワッパー(スワッピング愛好家)は優しい。

相棒は一般回線では成果が出ないので、特殊回線に切り替える。主にSM回線に対応する回線だ。M女性が電話の向こうで勝手にオナニーをして、果てたところで電話を切られたり、SMクラブのママからは店に来るようにと誘われたりする。普段垣間見ない世界なので、相棒はどぎまぎしたそうだ。

九州の二人

私は引き続き、特殊回線の3P回線のコールを待つ。特殊な世界ゆえ、一般回線やSM回線(SMでも充分、特殊だが)に比べると、さすがにその数は少ない。店もちゃんと、相手の二人と会話してカップルかを確認しているから、悪戯もほとんどないという。

深夜0時過ぎに男性30代後半、女性20代後半のカップルから3Pの誘いが入る。話していると関西弁ではない。二人とも九州出身だという。ようやく、大阪の呪縛から逃れられる! 心斎橋でスナックを二人して切り盛りしているらしく、丁度、客が引け、閉店するところなので、これから遊ぼうという。

待ち合わせは心斎橋の彼らの店の側だった。十三から心斎橋まで、タクシーを飛ばす。逸る気持ちを押さえる。用心をしなければいけない。彼らの店の側ということは、ぼったくりや美人局の可能性だってある。すけべ心を抱きながらも冷静な私ではある。

待ち合わせに現れたのは、随分前に見たテレビドラマの1シーンを思い起こさせるような二人だった。理由あり女のバーのカウンターに理由あり男が佇み、無言で酒を酌み交わす――幼な心ながら、あんな風になりたいと憧れた男女。実際はそんなシチエ―ションではないが、二人とも実に絵になる。風情があって、まるで女優と男優のようなのだ。

軽い挨拶とともに、まずは軽く飲もうということになり、閉めたばかりの店へ案内される。二人への警戒心は、会ってすぐになくなっていた。その店は落ち着いた大人の雰囲気を醸すバーだった。大阪には相応しくない(?)お洒落さがあった。彼らも二人して九州から出て来て、苦労はしたようだが、いまだに大阪人の扱いに苦慮するという。昨日、大阪人の洗礼を受けたばかりなので、共感するところも多い。なんとなく、話も合ってくる。また、私も東京での活動ぶりを話す。勿論、マニア活動である。初心者でなく、パーティやクラブなど、この世界の遊びの経験者であることで、安心してもらう。

合意を得ることができたので、3Pをすることになったのだが、心斎橋周辺のラブホテルは普通に3人で入ることができた。本来、2人で利用するところだから、3人だと断られるかと思ったら、特に割増料金(ホテル代は割り勘!)も取られることなく、そればかりか、余分にバスタオルやガウンも出してもらえた。

多分、パーティルームのように大きい部屋だったから問題なかったのだろう。メゾネットタイプで、下にリビングルームやバスルーム、上にベッドルームがあった。

私は最初にシャワーを浴びると、二人に“準備”をするから、ベッドルームで待つようにと言われる。その時は、何の準備かわからなかったが、よくよく考えると、エチケットとしては必要なことだろう。

二人がベッドルームに来ると、いよいよ、3Pの開始である。その女性は服を着ている時にはわからなかったが、実にグラマラスで、グラビアモデルのようなスタイルである。顔立ちは古風だが、体躯そのものは当時の今風であった。男性も歌舞伎役者のような風貌ながら、遊びを仕掛ける時は、偽悪的な相好になる。嫌らしい言葉責めが様になる。

その女性の秘部を見ると、剃毛されている。先ほど、バスルームで剃ったそうだ。そして、3Pだから前と後ろ同時に挿入しようと提案される。そのため、浣腸も済ませたという。準備とは、そのことだったのか。

3Pそのものはパーティなどで経験があったが、アナルまでとなると初体験。しかし、ここで二人の期待を裏切ってはいけない。性の冒険者である私は引き下がるわけにはいかないのだ。果敢に挑むことにする。最初は私が前で、彼が後ろ。そして、次は私が後ろで、彼が前。微妙に不自然な体勢を取らなければならないので、身体もしんどくなってくる。また、経験したことがある方はわかると思うが、薄皮一枚で、男性のお互いのものが擦れ合う感覚も微妙である。だが、その女性は気持ち良いらしく、思い切り嘉悦の声を上げる。私自身の快感というより、二人のお役に立っているという満足感が沸いてくる。

3人の絡みは、いろいろ、組合せを変えながら朝まで続く。夜が白み始める頃(といってもラブホテルの窓は閉じられているから外の景色はわからなかった)、宴も終わりに近づき、私は二人に感謝を告げ、先に帰らせてもらうことにした。相棒が待っているホテルへ帰らなければならないし、午前中には東京行きの新幹線に乗らなければならないのだ。

私にとっては苦戦を強いられた大阪でのテレクラ体験。最後の最後に、大阪の神髄(!?)に触れた夜だ。考えてみたら、大阪はノーパン喫茶やカップル喫茶など、新しい風俗の発祥の地であり、常に性風俗の先駆者でもある。マニアは国境(県境)を超えるというところか。

ふらふらになりながらホテルに戻ると、相棒は深い眠りに落ちていた。叩き起こすと、彼は、私が出た後もSM回線に挑み続け、アポは取れなかったが、SMクラブに勤める女王様から店の電話番号を聞くことはできたという。その後、彼が大阪出張の際、そのSMクラブを利用したかは知らない。

二人は急いで帰りの支度を整えると、ホテルを出て、新大阪駅を目指す。私たちを送り出してくれた会社のスタッフへの土産も買う間もなく、午前9時前には同駅を後にした。長いようで短かった1週間。札幌・福岡・大阪という3都市を巡る私達のグレート・ジャーニーは漸く終わりに近づきつつある。午後0時過ぎに、ひかりが東京駅のホームに静か入る。東京でのサミットは、まだ続いていたが、二人の心の戒厳令は確かに解かれていた――。

第31回■サマーヌード〜日本縦断テレクラの旅Ⅱ 福岡編

天神

私達の“グレート・ジャーニー”、札幌に続いて訪れた地は福岡である。北海道から一気に南下。日本列島を縦断する。福岡へは飛行機で、2時間30分ほど。数時間前まで札幌にいたとは信じられない。一瞬のことだ。福岡では激しい雨が二人を迎えた。心と身体の滓のようなものを洗い流すかのように。

適当(笑)に現地のスタッフと打ち合わせを終え、夕方に福岡の中心、天神へ。同所にあるテレクラ「ペンギンルーム」は、札幌の「ペンギンクラブ」と名前が似ているが、系列ではない。福岡でも最大の店舗数を誇る大型店。個室や待合室も広く、居住性がいい。ここの店長は「たかがテレクラ、されどテレクラ」をポリシーにテレクラの地位向上を訴えていた。テレクラは風俗ではなく、出会いの場だと断言する。実際、この店で出会い、結婚したカップルもいて、感謝状も届いているという。

「ペンギンルーム」は早取りだが、コールが多く、ボックスもたくさんあるので、たやすく電話が取れる。8時に公衆電話からコールがあり、22歳の女性とアポを取りつける。待ち合わせの場所を指定して、10分後に会うことにする。ところが彼女は来ない。すっぽかしだ。

その数十分後、また、当のすっぽかしの女性から電話があり、偶然、私が取った。彼女は待ち合わせ場所がわからなかったという。今度は場所をちゃんと決めた。また、すっぽかされるかと思ったが、彼女はそこにいた。スレンダーなスタイルと、いまならクールビューティとでもいうのであろうシャープなルックス、そして少し派手目なファッションがまわりから浮くことなくなじんでいる。職業を聞くと病院の経理の仕事をしているという。彼女と博多一の歓楽街・中洲の飲み屋へ行く。親が中州で店を開いているらしく、人目を避けるように歩かなければならない。狭い街だからしかたがない。1時間ほど、飲んで盛り上がる。彼女は明日なら夕方から時間があるので、彼女の運転で海へ行こうと言う。そんな約束を交わし、ひとしきり盛り上がったところで、二人きりになれるところへ行こうということになり、平尾というホテル街へタクシーを走らせた。

いわゆるラブホテルだが、部屋は広々として、バスルームにはサウナまである。近くに住む彼女は家族とカラオケやジェットバスに入るために来るともいう。ところが、そこで突然、彼女はお金の話を切り出した。明日、カードの引き落としがあり、1万円足りないというのだ。私はそんなつもりはないので断ったが、それでも懇願するので、明日の車代ということなら払ってもいいと伝えた。勿論、それで彼女を抱く気にはなれない。それでも妙に様子がおかしく、なんだか信用できないので、今は現金がないので明日、払うと伝えた。すると、すぐに必要だと食い下がる。私は仕事のために宿泊しているホテルへ戻って、お金を取りにいくことにした。実際はホテルに戻り、お金を持ってくるのではなく、逆に現金を1万5千円だけにし、用心のため、カードや名刺など、身許のわかるものをすべて置いていくのだ。

その後、ホテルに戻ると彼女はいた。見ると新しい荷物が増えている。近くの友人に預けていたものを取りに行ったのだという。彼女に1万円を渡すと、今から家へ戻って、明日の仕事の洋服を取りに行くという。これで消えるのかもしれないと思ったが、彼女の言うとおりにさせた。

彼女が出ていくとフロントに電話して、私が外出している間、荷物を取りに行ったかを尋ねた。すると、それは昨晩、そのホテルに泊まった彼女が不足分を払うまで預けていたものだということがわかった。ということは、彼女はここに泊まったのだ。ホテトル嬢かもしれないし、客から金を取り損ねたのかもしれない。もし戻ってくるとしたら、怖いお兄さんと一緒の可能性もある。フロントに理由を話し、もし誰かと一緒であれば、私は帰ったことにしてくれと頼んだ。

それから30数分後、彼女が一人で戻ってきた。一安心ではある。とにかく、二人でベッドに別々に寝ることにする。といいつつも、なかなか寝れないでいた。可愛い女性が横にいるからではない。いろんな疑問が沸いてくるのだ。左の薬指にした指輪のような刺青が気になるし、よく見ないとわからないが、刃物で切られたような腕の傷も気にかかる。それにましても不可解なのは明日の計画を嬉しそうに語ることと、今度、家に招待したいと真顔で話すことだ。結局、翌日のチェックアウトの時間まで一緒にいて、その日の夕方に再会することを約束して別れた。

その頃、相棒は…

相棒は私からの連絡のないことを心配していたが、その間に10時過ぎにアポを取りつけていた。テレクラの近くからかけてきた22歳(後から18歳と白状される)の化粧品会社のOLと、テレクラの側にあるファミリーレストランで会ったという。気の強そうな女性だが、悪くない、とのこと。彼女と親不孝通りのカラオケボックスに入って、深夜3時まで歌いまくった。演歌が上手かったそうだ。その後、待ち合わせしたファミリーレストランに戻り、氷いちごと氷あずきを食べながら話す。彼女から指輪が欲しいというのをボーッと聞いていたという。指のサイズは10号。30分後、翌日(もう今日だ)に会う約束をして別れる。待ち合わせは同じ場所だそうだ。

翌日(というか、明けた5日)。「ペンギンルーム」の店長からは午前中は主婦のコールが多いと聞いていたが、私が昨夜から帰ってなかったので、彼は店には行かず、ホテルで待っていた。合流し、二人はあまり寝る間もなく、仕事をこなす。相棒は昼休みに銀行へ出掛け、その帰りに宝飾店に立ち寄り、ゴールドの指輪を買った。

福岡の赤坂にある「ダイヤルNo.1」は、老舗で、店長は“福岡のテレクラの父”と言われているそうだ。かつてここで知りあったカップルの結婚式に招かれ、祝辞も述べたこともあるという。取り次ぎと早取り、順番回線、テレビ電話など、様々な趣向を凝らしているのがアイデアマンの店長らしい。

夕方から電話を取り出したが、二人とも約束があるのでいまいち会話に身が入らない。電話を取るつもりがなかった相棒だが、運悪く(!?)取り次がれてしまった28歳のOLと何故か、話が合う。話していて、すごく楽しい。彼はこれから約束があって、昨日会った人と会うことを伝えたが、彼女はその女性と会った後でもいいから、会ってくれという。10時に会う約束をする。

その時、私は昨日、一夜を共にした女性と待ち合わせたホテルのロビーにいた。しかし、彼女は現れなかった。いったいなんだったんだろう? ただ、1万円を取られたに過ぎないし、テレクラには“嘘つき女”がつきもの、テレクラなど、男と女の騙し合いでしかないが、それでも彼女を信じたい気もする。ひょっとしたら、何かのアクシデントがあって、これなかったのではないかと、自分勝手な解釈もしてみる。複雑な感情だ。

相棒は8時に、昨日会った女性と、同じファミリーレストランで再会し、指輪を渡す。彼女は大粒の涙を浮かべ、泣き出したという。彼は、このあと仕事で仲間と飲まないといけないと告げ、東京の連絡先を教え、その女性を一人置いてレストランを後にした。

私といえば、釈然としない気持ちを抱えながらも空腹を覚え、親不孝通りの屋台で、少し遅い夕食を取っていた。

食事を終えた私は、冷やかしがてら、相棒が待ち合わせをしているホテルのロビーを覗く。すると、彼がぽつんと一人でソファーに座っていた。話しかけようとすると、慌てて止めるように目配せされる。待ち合わせをしていた28歳のOLがちょうど彼の前に現れ、私の横にいたのだ。長身の女性だが、どこか可憐さと清楚さが同居していた。

あとから聞くと、相棒は彼女の車で親不孝通りへ向かうが、ひどい方向音痴で、目指す店になかなか辿りつかなかったという。恋に遠回りはつきものだ。漸く、お目当ての店で出会いの祝杯を上げ、その後、カラオケボックスへ。延長に次ぐ延長で、午前4時を回った。温かい珈琲を飲みたいというので、ファミリーレストランへ行くが、閉まっている。出来過ぎたドラマのような展開だが、その後二人はホテルへ行ったという。

18歳のバースデー

私といえば、二人のドラマのプロローグに刺激を受け、雪辱戦をしなければならないという思いから、「ダイヤルNo.1」へ戻った。ところが、思うようにアポは取れない。閉店近くの午前3時、天神の公衆電話からコールがあった。聞けば、今日は18歳の誕生日で、友達がカラオケボックスで祝ってくれるはずだったが、段取りが悪く、会えずしまいになってしまったという。それではあまりに可愛そう過ぎるというもの。私は「僕にお祝いさせてくれ」と誘うと、彼女は躊躇うことなく、OKを出す。待ち合わせをしたホテルの前に彼女は自転車でやってきた。小太りであどけない、どこにでもいそうな少女。フリーターだという。親不孝通りのカラオケボックスへ行く。そこで彼女は歌うのだが、なんだか様子がヘンだ。歌うのは中森明菜の「難破船」や中島みゆきの「わかれうた」など、暗い歌ばかり。自暴自棄になっているのか。そればかりでなく、ボックスの照明をわざと暗くしたり、横になって甘えてくる。何かを期待をしていることは明らかだ。けれど、18歳の少女の誕生日を名前も住所もろくに知らない男に抱かれるなんていうものにしてはならない。してはいけないのだ。私はブルーハーツの「トレイン・トレイン」を、声を限りに叫んで歌った。私が彼女へ贈れるのは、こんな歌しかない。

夜が明け、空が白みだした頃、自転車に乗って帰ろうとする彼女へ、私はもう一度、歌った。“栄光に向かって走る あの列車に飛び乗って行こう”と。彼女はきっと列車に飛び乗れるはずだ。

私はホテルへ戻り、相棒の帰りを待ちながら、仮眠をとることにした。運命のドラマの主人公を演じた相棒が漸く帰ると、JR博多駅へ向かう。午後0時発の新大阪行きの新幹線に乗るためだ。そんな二人を駅前に飾られた山笠が見送る。博多の男だけでなく、女も浮き浮きし、そわそわしていたのは、博多祇園山笠のせいかもしれない。

シダの群れ 港の女歌手編

本書は、2013年11月6日(水)〜11月30日(土)東京・Bunkamuraシアターコクーン、12月6日(金)〜12月15日(日)大阪・シアターBRAVA!、12月21日(土)〜12月23日(月・祝)福岡・北九州芸術劇場にて上演される岩松了の任侠劇シリーズ第三弾の書き下ろし戯曲です。

作・演出、岩松了。
出演は阿部サダヲ、小泉今日子、豊原功補、市川実和子、赤堀雅秋、末吉秀太(AAA)、佐藤銀平、永岡 佑、岡田 力、足立 理、桜木テン、戸井田 稔、吹越 満、小林 薫。そしてSwan House Bandのエミ・エレオノーラ(pf)、佐藤正治(dr)、横山英規(bs)、平田直樹(tp)、ロベルト小山(sax)。

志波崎組から逃れ、とある港町に辿り着いた森本は、クラブ《スワン》で女歌手のジーナに出会う。組と組との争い、そして男女の仲に揺さぶられた森本が行き着く先とは……。

ず・ぼん編集委員の沢辺均が朝日新聞「ニュースの本棚」に寄稿しました

2013年11月3日(日)の朝日新聞「ニュースの本棚」に、ず・ぼん編集委員の沢辺均が寄稿しました。

・(ニュースの本棚)武雄市図書館の試み 「知の提供」の手段とは 沢辺均 – 朝日新聞デジタル

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『シダの群れ 港の女歌手編』(著:岩松 了)の予約受付を開始しました

2013年11月20日発売予定の新刊『シダの群れ 港の女歌手編』の予約受付を開始しました。

本書は、2013年11月6日(水)〜11月30日(土)東京・Bunkamuraシアターコクーン、12月6日(金)〜12月15日(日)大阪・シアターBRAVA!、12月21日(土)〜12月23日(月・祝)福岡・北九州芸術劇場にて上演される岩松了の任侠劇シリーズ第三弾の書き下ろし戯曲です。

作・演出、岩松了。
出演は阿部サダヲ、小泉今日子、豊原功補、市川実和子、赤堀雅秋、末吉秀太(AAA)、佐藤銀平、永岡 佑、岡田 力、足立 理、桜木テン、戸井田 稔、吹越 満、小林 薫。そしてSwan House Bandのエミ・エレオノーラ(pf)、佐藤正治(dr)、横山英規(bs)、平田直樹(tp)、ロベルト小山(sax)。

志波崎組から逃れ、とある港町に辿り着いた森本は、クラブ《スワン》で女歌手のジーナに出会う。組と組との争い、そして男女の仲に揺さぶられた森本が行き着く先とは……。

公演会場では、著者・岩松了さんのサイン入りのものを先行発売いたします。
お見逃しなく!

・シダの群れ 港の女歌手編|公演概要&チケット情報(Bunkamura)

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2013年10月16日(水)25時〜『水中ニーソ』著者・古賀学さんラジオ出演のお知らせ●TOKYO FM「妄想科学デパート AKIBA NOISE」

2013年10月16日(水)放送のTOKYO FM「妄想科学デパート AKIBA NOISE」(25:00~25:30)に『水中ニーソ』の著者・古賀学さんが出演します。

副店長の通称「もふくてんちょう」こともふくちゃんと、公式執事のサンキュータツオさんが、毎週水曜日の夜中にこっそり開店させている総合妄想科学デパートに「水中ニーソ」の古賀学さんが来店!

水の中の女の子のかわいさや「萌え」について語ります。

お楽しみに!

・TOKYO FM「妄想科学デパート AKIBA NOISE」

写真集『水中ニーソ』


書名●水中ニーソ
著者●古賀 学
希望小売価格●1,800円+税
B5判/並製/オールカラー・96P
ISBN978-4-7808-0201-6 C0072
2013年8月29日(木)発売予定
・ポット出版『水中ニーソ』
・Amazon.co.jpの『水中ニーソ』のページ