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2014年1月20日(火)『アイドル=ヒロイン〜歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい〜』発売記念・トーク&サイン・写メ会開催決定

2015年1月15日、写メ会について追記しました。

IDOL DANCE!!!』に続く、振付師・竹中夏海の単行本第2弾『アイドル=ヒロイン〜歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい〜』発売記念!

パルコブックセンター渋谷店にて『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』著者の竹中夏海さんのトーク&サイン会を開催します。

PASSPO☆やアップアップガールズ(仮)、HKT48などの振付を手がける振付師・竹中夏海さんが、最近増えている女性の女子アイドルファンが、同性のアイドルに惹かれる理由を解説。女性ならではのアイドルの楽しみ方を語ります。

【日時】
2015年1月20日(火)
   集合時間:午後6時30分
   トークショー:午後7時~7時30分(予定)
   サイン・写メ会:午後7時35分~ご参加の列が途切れしだい終了

(※トークショー終了後にサイン・写メ会を開催)

【会場】
渋谷パルコパート1 B1F グリーンルームギャラリー横特設会場
【トーク&サイン・写メ会 参加方法】

12月27日(土)午前10時より『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』(ポット出版 税込1,620円 1月16日入荷予定)を店頭又はお電話にてご予約下さい。
(予約電話番号 03-3477-8736)
ご予約のお客様は同書入荷以降、イベント当日の開始時間までに、レジカウンターにて代金と引換えで同書と「トーク&サイン会参加整理券」をお引取り下さい。

トークイベントはワンドリンク制となります。お買上げの際に、本代の他に別途ドリンク代350円(税込)を頂戴いたします。(本代と合わせ税込合計1,970円をお支払いいただきます。当日会場にてグリーンルームギャラリーのアイスドリンクを整理券と引換えでお選びいただけます。

トーク&サイン・写メ会 定員:50名

 ※会場はオープンスペースとなっておりますが、整理券番号20番まではイス席をご用意いたします。それ以降の方は立席でのご参加となります。
 ※トーク&サイン会の参加整理券の配布はご本人お一人様1枚限りとなります。

【サイン・写メ会 参加方法】

サイン・写メ会のみのご参加も限定数で承ります。
12月27日(土)午前10時より『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』(ポット出版 税込1,620円 1月16日入荷予定)を店頭又はお電話にてご予約下さい。
(予約電話番号 03-3477-8736)
ご予約のお客様は同書入荷以降、イベント当日の開始時間までに、レジカウンターにて代金と引換えで同書と「サイン会参加整理券」をお引取り下さい。

【NEW!】当日、サイン券をお持ちでご希望の方は、竹中夏海さんとの2ショット撮影を行ないます。
カメラはお客様でご準備ください(スマホやデジカメ、なんでも構いません)。

※サイン・写メ会のみのご参加の方はドリンク代はなしです。
※「サイン会参加整理券」の配布は予定数に達次第、終了いたします。
※「サイン会参加整理券」でご参加のお客様は「トーク&サイン会整理券」でご参加のお客様が終了してからのサイン・写メ会参加となります。あらかじめご了承ください。

【注意事項】

★ 「トーク&サイン会整理券」「サイン会参加整理券」の配布は予定数に達し次第終了いたします。配布終了後にご予約・ご購入いただいてもトーク&サイン会・サイン会参加整理券はつきませんのでご注意下さい。
★ サインは『アイドル=ヒロイン~歌って踊る戦う女の子がいる限り、世界は美しい~』のみにいたします。他の本や色紙等には一切いたしませんのでご了承下さい。イベント当日はお買上げいただいた同書と参加整理券を必ずお持ち下さい。
★ サイン会はお並びのお客様の列が途切れ次第終了いたします。
★ 参加整理券の再発行はいかなる理由でも一切いたしませんのであらかじめご了承下さい。
★ 会場内外での写真・動画等の撮影は禁止とさせていただきます。ご了承ください。
★ イベント内容は予告なく変更になる場合があります。その際は当サイトにて逐次お知らせいたします。

第32回■サマーヌード〜日本縦断テレクラの旅Ⅲ 大阪編

第3の地での洗礼

博多を発った「ひかり」は新大阪駅のホームへ滑り込むように到着する。二人とも睡眠不足で(特に相棒は、私と違い仮眠も取れなかったみたいだ)朦朧とする頭と身体を抱え、私達のグレート・ジャーニー第3の地・大阪へやってきた。時間は既に7日(水)の午後2時を回っていた。環状線で大阪まで行き、地下街を潜って、梅田の繁華街へ出る。同所のホテルで、スタッフと合流、イベントの指示、資料の確認などを済ます。応援だから、打ち合わせの後、イベント会場に申し訳程度に顔を出して、その日の仕事は7時前までには終了してしまった。チョロイもんだ(笑)。

二人はスタッフの夕食でもどうですか、という誘いに乗らず、会場を後にする。目指すところがあったからだ。

LOFTや阪急などがあって、大阪にしてはお洒落といわれる「キタ」の繁華街・梅田も少し奥まったところへ行くと、途端に妖しい雰囲気を醸し出す。北新地などは飲み屋や風俗店が林立している。

そんな妖しいところにあるテレクラ「キャッツアイ」は、コール数、アポ率ともに関西一を誇る。男性客がボックスの空く順番を待つ、行列のできる店だ。流石、商売上手、商人の街。関西一を自負するこの店、日本一といわないところが大阪らしいが、大阪人気質というものなのだろう――だがしかし、それは東京生まれ・東京育ちの私にとって、致命的なことだった。東京弁(!?)でしゃべるだけで、気取っていると思われてしまう。事実、早取りにも関わらず、圧倒的にコール数があって、いとも簡単に電話を取ることができるのだが、ほとんど会話にならない。東京弁で喋っていると、すぐに切られてしまうのだ。相棒のように幼い頃に大阪に住んだことがあり、大阪弁を習得していれば随分と違っただろう。

話を弾ませようと、軽い冗談をいっても東京の笑いは通じない。やはり、よしもと新喜劇の世界。大阪人が2人いるとボケとツッコミの漫才が始まるというが、私の笑いの感覚は東京流。それなりにギャグセンスには自信はあったが、とてもテレクラにかけている女性とは“漫才”ができそうもない。実は、東京の下町出身ゆえ、学生時代に、浅草の演芸場で、現在は“世界の”と冠せられるあの芸人の師匠にあたる伝説のコメディアン&ボードビリアンに薫陶を得ていたが、そんなことはまったく役に立たなかった。まるで不戦敗である(笑)。

期待

そんな中、唯一会話らしい会話が成立した相手が阪急神戸線の沿線に住むという21歳のOL。前の彼氏が千葉出身だっただけに偏見がない。ところが、彼が東京へ転勤になると、何も言われずに振られてしまったという。できれば復讐したいというのだ。穏やかではないが、きっかけは何でもいい、協力するから会ってくれと無理矢理に頼むと、その女性は迷いながらもOKしてくれた。ただ、アポが取れたのが夜の11時近くだったので、今日ではなく、明日と言われる。明日の昼休みに彼女の住む街のスーパーマーケットの前で待ち合わせをする。彼女の特徴は、身長は168㎝、当時、ヌード写真集が話題になったアイドル女優に似ているという。これは期待を抱かせる。

一方、大阪在住経験のある相棒だが、この日は別の意味で、悪戦苦闘を強いられたという。コールしてきたのが自殺志願の女性だったのだ。26歳のフリーターで、かなり精神的にまいっている。下手なギャグを口走って死なれたらたまらない。2時間近くは話しただろうか。その女性から、
「こんな真剣に話、聞いてくれたん、初めてやわぁ。ありがとね〜」
と、言われた時はほっとしたそうだ。

深夜0時前など、テレクラ時間としては宵の口だが、翌朝から仕事があるので、ここはホテルへ撤退。明日へと希望を繋ぐ。幸い、昼休みにアポは取れている。また、夜には、前から行きたいと思っていた別のテレクラへ行くことになっている。明日のため、大人しく夜を過ごす。

十三のテレクラ

翌7日(水)は朝から真面目に仕事をこなし、昼休みの間に、私は昨日、待ち合わせした阪急神戸線沿線のスーパーへ向かう。ホテルまで持ち込む時間は当然ないが、せっかくだから、一目でも会っておこうと思ったからだ。

梅田から阪急電車で30分ほど。約束の午後1時には着いていた。女性を待つが、来る気配はない。すっぽかしか。漸く、30分ほどして、件の女優に似た、いい女が現れるが、こちらへ来るそぶりは見せない。私から近づき、尋ねるものの、違うの一点張り。だからと言って立ち去るわけではなく、年齢を尋ねてくる。ダブル・ブッキングをしたのだろうか。何度かしつこく聞くと、彼女は立ち去ってしまった。その女性が私を気にいらなかったのは確かだが、それにしても謎の行動ではある。とりあえず、会えただけで良しとするか。思いのほか、時間がかかってしまった。慌てながらも仕事場へは何食わぬ顔をして、戻ることにする。

私達は、仕事を適当に(こればっかりで、会社の方、本当にすいません!)切り上げ、夕方に大阪の繁華街・十三(じゅうそう)にあるテレクラ「ベルエポック」へ。十三といえば、かの松田優作の遺作になった『ブラック・レイン』(リドリー・スコット監督)のロケ地として有名だが、ある意味、もっとも大阪らしい、妖しい風俗のある街でもある。ねぎ焼きなどの名店もあるが、まわりには風俗店が多く、出張ヘルスやSMクラブの事務所も少なくない。街往く人の風情も只者ではなく、後年、この街でSMの女王様のコスプレをした中年男性が普通に街中を闊歩しているのを見かけた時、十三の奥深さを知ったものだ。

そんなところにある「ベルエポック」。普通のテレクラであるわけはない。実に特殊でマニアックなテレクラである。大きな特色はSM回線や3P回線などの特殊な回線を設置し、性癖に合わせ、ボックスへ取り次いでくれることだ。広告も、普通の雑誌や新聞(といってもおやじ向けのエロ週刊誌&三行広告満載の夕刊紙)だけでなく、SMやスワッピング(夫婦交換)など、マニアックな雑誌にも出している。その分、性癖の利害関係が一致するだけに、話がまとまれば、ことは早く進む。同店の常連客は相当、いい思いをしているという。

実はこの店、伝言ダイヤルで見つけた乱交パーティやスワッピングクラブなど、“マニアの巣窟”を探索していた時に専門誌で見つけ、同時に遊び仲間からもその存在を聞いていた。ネットが普及したいまでは信じられないかもしれないが、当時はマニアな雑誌や遊び人の口コミが有力な情報源。そんなわけで、大阪へ行った際には、是非一度、訪問したいと思っていた店なのだ。

私は特殊回線、相棒は一般回線に挑む。私がボックスへ入ると、奈良に住む40代の夫婦から早速、3Pのお誘いがある。3P回線に掛かってきたコールだ。
念のため、3P(“サンピ―”と発音する)を簡単に説明しておくと、男性2人に女性1人でのプレイ(風俗だと、3輪車といって、女性2人、男性1人という遊びがあるが、それとは逆の組み合わせである)で、この場合、夫婦やカップルの中に入って、快感に導くお手伝いをするというもの。

大阪と奈良の距離は実際には大したことはないが、当時は大阪から奈良へというのが大旅行に思えて、遠慮してしまった。その夫婦へ翌日は東京に戻ることを理由にして断りを入れたら、家に泊まって、朝出ていくことを勧められた。そんなことまで考えてくれる、なんか、情の深さに感動してしまう。スワッパー(スワッピング愛好家)は優しい。

相棒は一般回線では成果が出ないので、特殊回線に切り替える。主にSM回線に対応する回線だ。M女性が電話の向こうで勝手にオナニーをして、果てたところで電話を切られたり、SMクラブのママからは店に来るようにと誘われたりする。普段垣間見ない世界なので、相棒はどぎまぎしたそうだ。

九州の二人

私は引き続き、特殊回線の3P回線のコールを待つ。特殊な世界ゆえ、一般回線やSM回線(SMでも充分、特殊だが)に比べると、さすがにその数は少ない。店もちゃんと、相手の二人と会話してカップルかを確認しているから、悪戯もほとんどないという。

深夜0時過ぎに男性30代後半、女性20代後半のカップルから3Pの誘いが入る。話していると関西弁ではない。二人とも九州出身だという。ようやく、大阪の呪縛から逃れられる! 心斎橋でスナックを二人して切り盛りしているらしく、丁度、客が引け、閉店するところなので、これから遊ぼうという。

待ち合わせは心斎橋の彼らの店の側だった。十三から心斎橋まで、タクシーを飛ばす。逸る気持ちを押さえる。用心をしなければいけない。彼らの店の側ということは、ぼったくりや美人局の可能性だってある。すけべ心を抱きながらも冷静な私ではある。

待ち合わせに現れたのは、随分前に見たテレビドラマの1シーンを思い起こさせるような二人だった。理由あり女のバーのカウンターに理由あり男が佇み、無言で酒を酌み交わす――幼な心ながら、あんな風になりたいと憧れた男女。実際はそんなシチエ―ションではないが、二人とも実に絵になる。風情があって、まるで女優と男優のようなのだ。

軽い挨拶とともに、まずは軽く飲もうということになり、閉めたばかりの店へ案内される。二人への警戒心は、会ってすぐになくなっていた。その店は落ち着いた大人の雰囲気を醸すバーだった。大阪には相応しくない(?)お洒落さがあった。彼らも二人して九州から出て来て、苦労はしたようだが、いまだに大阪人の扱いに苦慮するという。昨日、大阪人の洗礼を受けたばかりなので、共感するところも多い。なんとなく、話も合ってくる。また、私も東京での活動ぶりを話す。勿論、マニア活動である。初心者でなく、パーティやクラブなど、この世界の遊びの経験者であることで、安心してもらう。

合意を得ることができたので、3Pをすることになったのだが、心斎橋周辺のラブホテルは普通に3人で入ることができた。本来、2人で利用するところだから、3人だと断られるかと思ったら、特に割増料金(ホテル代は割り勘!)も取られることなく、そればかりか、余分にバスタオルやガウンも出してもらえた。

多分、パーティルームのように大きい部屋だったから問題なかったのだろう。メゾネットタイプで、下にリビングルームやバスルーム、上にベッドルームがあった。

私は最初にシャワーを浴びると、二人に“準備”をするから、ベッドルームで待つようにと言われる。その時は、何の準備かわからなかったが、よくよく考えると、エチケットとしては必要なことだろう。

二人がベッドルームに来ると、いよいよ、3Pの開始である。その女性は服を着ている時にはわからなかったが、実にグラマラスで、グラビアモデルのようなスタイルである。顔立ちは古風だが、体躯そのものは当時の今風であった。男性も歌舞伎役者のような風貌ながら、遊びを仕掛ける時は、偽悪的な相好になる。嫌らしい言葉責めが様になる。

その女性の秘部を見ると、剃毛されている。先ほど、バスルームで剃ったそうだ。そして、3Pだから前と後ろ同時に挿入しようと提案される。そのため、浣腸も済ませたという。準備とは、そのことだったのか。

3Pそのものはパーティなどで経験があったが、アナルまでとなると初体験。しかし、ここで二人の期待を裏切ってはいけない。性の冒険者である私は引き下がるわけにはいかないのだ。果敢に挑むことにする。最初は私が前で、彼が後ろ。そして、次は私が後ろで、彼が前。微妙に不自然な体勢を取らなければならないので、身体もしんどくなってくる。また、経験したことがある方はわかると思うが、薄皮一枚で、男性のお互いのものが擦れ合う感覚も微妙である。だが、その女性は気持ち良いらしく、思い切り嘉悦の声を上げる。私自身の快感というより、二人のお役に立っているという満足感が沸いてくる。

3人の絡みは、いろいろ、組合せを変えながら朝まで続く。夜が白み始める頃(といってもラブホテルの窓は閉じられているから外の景色はわからなかった)、宴も終わりに近づき、私は二人に感謝を告げ、先に帰らせてもらうことにした。相棒が待っているホテルへ帰らなければならないし、午前中には東京行きの新幹線に乗らなければならないのだ。

私にとっては苦戦を強いられた大阪でのテレクラ体験。最後の最後に、大阪の神髄(!?)に触れた夜だ。考えてみたら、大阪はノーパン喫茶やカップル喫茶など、新しい風俗の発祥の地であり、常に性風俗の先駆者でもある。マニアは国境(県境)を超えるというところか。

ふらふらになりながらホテルに戻ると、相棒は深い眠りに落ちていた。叩き起こすと、彼は、私が出た後もSM回線に挑み続け、アポは取れなかったが、SMクラブに勤める女王様から店の電話番号を聞くことはできたという。その後、彼が大阪出張の際、そのSMクラブを利用したかは知らない。

二人は急いで帰りの支度を整えると、ホテルを出て、新大阪駅を目指す。私たちを送り出してくれた会社のスタッフへの土産も買う間もなく、午前9時前には同駅を後にした。長いようで短かった1週間。札幌・福岡・大阪という3都市を巡る私達のグレート・ジャーニーは漸く終わりに近づきつつある。午後0時過ぎに、ひかりが東京駅のホームに静か入る。東京でのサミットは、まだ続いていたが、二人の心の戒厳令は確かに解かれていた――。

第31回■サマーヌード〜日本縦断テレクラの旅Ⅱ 福岡編

天神

私達の“グレート・ジャーニー”、札幌に続いて訪れた地は福岡である。北海道から一気に南下。日本列島を縦断する。福岡へは飛行機で、2時間30分ほど。数時間前まで札幌にいたとは信じられない。一瞬のことだ。福岡では激しい雨が二人を迎えた。心と身体の滓のようなものを洗い流すかのように。

適当(笑)に現地のスタッフと打ち合わせを終え、夕方に福岡の中心、天神へ。同所にあるテレクラ「ペンギンルーム」は、札幌の「ペンギンクラブ」と名前が似ているが、系列ではない。福岡でも最大の店舗数を誇る大型店。個室や待合室も広く、居住性がいい。ここの店長は「たかがテレクラ、されどテレクラ」をポリシーにテレクラの地位向上を訴えていた。テレクラは風俗ではなく、出会いの場だと断言する。実際、この店で出会い、結婚したカップルもいて、感謝状も届いているという。

「ペンギンルーム」は早取りだが、コールが多く、ボックスもたくさんあるので、たやすく電話が取れる。8時に公衆電話からコールがあり、22歳の女性とアポを取りつける。待ち合わせの場所を指定して、10分後に会うことにする。ところが彼女は来ない。すっぽかしだ。

その数十分後、また、当のすっぽかしの女性から電話があり、偶然、私が取った。彼女は待ち合わせ場所がわからなかったという。今度は場所をちゃんと決めた。また、すっぽかされるかと思ったが、彼女はそこにいた。スレンダーなスタイルと、いまならクールビューティとでもいうのであろうシャープなルックス、そして少し派手目なファッションがまわりから浮くことなくなじんでいる。職業を聞くと病院の経理の仕事をしているという。彼女と博多一の歓楽街・中洲の飲み屋へ行く。親が中州で店を開いているらしく、人目を避けるように歩かなければならない。狭い街だからしかたがない。1時間ほど、飲んで盛り上がる。彼女は明日なら夕方から時間があるので、彼女の運転で海へ行こうと言う。そんな約束を交わし、ひとしきり盛り上がったところで、二人きりになれるところへ行こうということになり、平尾というホテル街へタクシーを走らせた。

いわゆるラブホテルだが、部屋は広々として、バスルームにはサウナまである。近くに住む彼女は家族とカラオケやジェットバスに入るために来るともいう。ところが、そこで突然、彼女はお金の話を切り出した。明日、カードの引き落としがあり、1万円足りないというのだ。私はそんなつもりはないので断ったが、それでも懇願するので、明日の車代ということなら払ってもいいと伝えた。勿論、それで彼女を抱く気にはなれない。それでも妙に様子がおかしく、なんだか信用できないので、今は現金がないので明日、払うと伝えた。すると、すぐに必要だと食い下がる。私は仕事のために宿泊しているホテルへ戻って、お金を取りにいくことにした。実際はホテルに戻り、お金を持ってくるのではなく、逆に現金を1万5千円だけにし、用心のため、カードや名刺など、身許のわかるものをすべて置いていくのだ。

その後、ホテルに戻ると彼女はいた。見ると新しい荷物が増えている。近くの友人に預けていたものを取りに行ったのだという。彼女に1万円を渡すと、今から家へ戻って、明日の仕事の洋服を取りに行くという。これで消えるのかもしれないと思ったが、彼女の言うとおりにさせた。

彼女が出ていくとフロントに電話して、私が外出している間、荷物を取りに行ったかを尋ねた。すると、それは昨晩、そのホテルに泊まった彼女が不足分を払うまで預けていたものだということがわかった。ということは、彼女はここに泊まったのだ。ホテトル嬢かもしれないし、客から金を取り損ねたのかもしれない。もし戻ってくるとしたら、怖いお兄さんと一緒の可能性もある。フロントに理由を話し、もし誰かと一緒であれば、私は帰ったことにしてくれと頼んだ。

それから30数分後、彼女が一人で戻ってきた。一安心ではある。とにかく、二人でベッドに別々に寝ることにする。といいつつも、なかなか寝れないでいた。可愛い女性が横にいるからではない。いろんな疑問が沸いてくるのだ。左の薬指にした指輪のような刺青が気になるし、よく見ないとわからないが、刃物で切られたような腕の傷も気にかかる。それにましても不可解なのは明日の計画を嬉しそうに語ることと、今度、家に招待したいと真顔で話すことだ。結局、翌日のチェックアウトの時間まで一緒にいて、その日の夕方に再会することを約束して別れた。

その頃、相棒は…

相棒は私からの連絡のないことを心配していたが、その間に10時過ぎにアポを取りつけていた。テレクラの近くからかけてきた22歳(後から18歳と白状される)の化粧品会社のOLと、テレクラの側にあるファミリーレストランで会ったという。気の強そうな女性だが、悪くない、とのこと。彼女と親不孝通りのカラオケボックスに入って、深夜3時まで歌いまくった。演歌が上手かったそうだ。その後、待ち合わせしたファミリーレストランに戻り、氷いちごと氷あずきを食べながら話す。彼女から指輪が欲しいというのをボーッと聞いていたという。指のサイズは10号。30分後、翌日(もう今日だ)に会う約束をして別れる。待ち合わせは同じ場所だそうだ。

翌日(というか、明けた5日)。「ペンギンルーム」の店長からは午前中は主婦のコールが多いと聞いていたが、私が昨夜から帰ってなかったので、彼は店には行かず、ホテルで待っていた。合流し、二人はあまり寝る間もなく、仕事をこなす。相棒は昼休みに銀行へ出掛け、その帰りに宝飾店に立ち寄り、ゴールドの指輪を買った。

福岡の赤坂にある「ダイヤルNo.1」は、老舗で、店長は“福岡のテレクラの父”と言われているそうだ。かつてここで知りあったカップルの結婚式に招かれ、祝辞も述べたこともあるという。取り次ぎと早取り、順番回線、テレビ電話など、様々な趣向を凝らしているのがアイデアマンの店長らしい。

夕方から電話を取り出したが、二人とも約束があるのでいまいち会話に身が入らない。電話を取るつもりがなかった相棒だが、運悪く(!?)取り次がれてしまった28歳のOLと何故か、話が合う。話していて、すごく楽しい。彼はこれから約束があって、昨日会った人と会うことを伝えたが、彼女はその女性と会った後でもいいから、会ってくれという。10時に会う約束をする。

その時、私は昨日、一夜を共にした女性と待ち合わせたホテルのロビーにいた。しかし、彼女は現れなかった。いったいなんだったんだろう? ただ、1万円を取られたに過ぎないし、テレクラには“嘘つき女”がつきもの、テレクラなど、男と女の騙し合いでしかないが、それでも彼女を信じたい気もする。ひょっとしたら、何かのアクシデントがあって、これなかったのではないかと、自分勝手な解釈もしてみる。複雑な感情だ。

相棒は8時に、昨日会った女性と、同じファミリーレストランで再会し、指輪を渡す。彼女は大粒の涙を浮かべ、泣き出したという。彼は、このあと仕事で仲間と飲まないといけないと告げ、東京の連絡先を教え、その女性を一人置いてレストランを後にした。

私といえば、釈然としない気持ちを抱えながらも空腹を覚え、親不孝通りの屋台で、少し遅い夕食を取っていた。

食事を終えた私は、冷やかしがてら、相棒が待ち合わせをしているホテルのロビーを覗く。すると、彼がぽつんと一人でソファーに座っていた。話しかけようとすると、慌てて止めるように目配せされる。待ち合わせをしていた28歳のOLがちょうど彼の前に現れ、私の横にいたのだ。長身の女性だが、どこか可憐さと清楚さが同居していた。

あとから聞くと、相棒は彼女の車で親不孝通りへ向かうが、ひどい方向音痴で、目指す店になかなか辿りつかなかったという。恋に遠回りはつきものだ。漸く、お目当ての店で出会いの祝杯を上げ、その後、カラオケボックスへ。延長に次ぐ延長で、午前4時を回った。温かい珈琲を飲みたいというので、ファミリーレストランへ行くが、閉まっている。出来過ぎたドラマのような展開だが、その後二人はホテルへ行ったという。

18歳のバースデー

私といえば、二人のドラマのプロローグに刺激を受け、雪辱戦をしなければならないという思いから、「ダイヤルNo.1」へ戻った。ところが、思うようにアポは取れない。閉店近くの午前3時、天神の公衆電話からコールがあった。聞けば、今日は18歳の誕生日で、友達がカラオケボックスで祝ってくれるはずだったが、段取りが悪く、会えずしまいになってしまったという。それではあまりに可愛そう過ぎるというもの。私は「僕にお祝いさせてくれ」と誘うと、彼女は躊躇うことなく、OKを出す。待ち合わせをしたホテルの前に彼女は自転車でやってきた。小太りであどけない、どこにでもいそうな少女。フリーターだという。親不孝通りのカラオケボックスへ行く。そこで彼女は歌うのだが、なんだか様子がヘンだ。歌うのは中森明菜の「難破船」や中島みゆきの「わかれうた」など、暗い歌ばかり。自暴自棄になっているのか。そればかりでなく、ボックスの照明をわざと暗くしたり、横になって甘えてくる。何かを期待をしていることは明らかだ。けれど、18歳の少女の誕生日を名前も住所もろくに知らない男に抱かれるなんていうものにしてはならない。してはいけないのだ。私はブルーハーツの「トレイン・トレイン」を、声を限りに叫んで歌った。私が彼女へ贈れるのは、こんな歌しかない。

夜が明け、空が白みだした頃、自転車に乗って帰ろうとする彼女へ、私はもう一度、歌った。“栄光に向かって走る あの列車に飛び乗って行こう”と。彼女はきっと列車に飛び乗れるはずだ。

私はホテルへ戻り、相棒の帰りを待ちながら、仮眠をとることにした。運命のドラマの主人公を演じた相棒が漸く帰ると、JR博多駅へ向かう。午後0時発の新大阪行きの新幹線に乗るためだ。そんな二人を駅前に飾られた山笠が見送る。博多の男だけでなく、女も浮き浮きし、そわそわしていたのは、博多祇園山笠のせいかもしれない。

シダの群れ 港の女歌手編

本書は、2013年11月6日(水)〜11月30日(土)東京・Bunkamuraシアターコクーン、12月6日(金)〜12月15日(日)大阪・シアターBRAVA!、12月21日(土)〜12月23日(月・祝)福岡・北九州芸術劇場にて上演される岩松了の任侠劇シリーズ第三弾の書き下ろし戯曲です。

作・演出、岩松了。
出演は阿部サダヲ、小泉今日子、豊原功補、市川実和子、赤堀雅秋、末吉秀太(AAA)、佐藤銀平、永岡 佑、岡田 力、足立 理、桜木テン、戸井田 稔、吹越 満、小林 薫。そしてSwan House Bandのエミ・エレオノーラ(pf)、佐藤正治(dr)、横山英規(bs)、平田直樹(tp)、ロベルト小山(sax)。

志波崎組から逃れ、とある港町に辿り着いた森本は、クラブ《スワン》で女歌手のジーナに出会う。組と組との争い、そして男女の仲に揺さぶられた森本が行き着く先とは……。

ず・ぼん編集委員の沢辺均が朝日新聞「ニュースの本棚」に寄稿しました

2013年11月3日(日)の朝日新聞「ニュースの本棚」に、ず・ぼん編集委員の沢辺均が寄稿しました。

(ニュースの本棚)武雄市図書館の試み 「知の提供」の手段とは 沢辺均 – 朝日新聞デジタル

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『シダの群れ 港の女歌手編』(著:岩松 了)の予約受付を開始しました

2013年11月20日発売予定の新刊『シダの群れ 港の女歌手編』の予約受付を開始しました。

本書は、2013年11月6日(水)〜11月30日(土)東京・Bunkamuraシアターコクーン、12月6日(金)〜12月15日(日)大阪・シアターBRAVA!、12月21日(土)〜12月23日(月・祝)福岡・北九州芸術劇場にて上演される岩松了の任侠劇シリーズ第三弾の書き下ろし戯曲です。

作・演出、岩松了。
出演は阿部サダヲ、小泉今日子、豊原功補、市川実和子、赤堀雅秋、末吉秀太(AAA)、佐藤銀平、永岡 佑、岡田 力、足立 理、桜木テン、戸井田 稔、吹越 満、小林 薫。そしてSwan House Bandのエミ・エレオノーラ(pf)、佐藤正治(dr)、横山英規(bs)、平田直樹(tp)、ロベルト小山(sax)。

志波崎組から逃れ、とある港町に辿り着いた森本は、クラブ《スワン》で女歌手のジーナに出会う。組と組との争い、そして男女の仲に揺さぶられた森本が行き着く先とは……。

公演会場では、著者・岩松了さんのサイン入りのものを先行発売いたします。
お見逃しなく!

シダの群れ 港の女歌手編|公演概要&チケット情報(Bunkamura)

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2013年10月16日(水)25時〜『水中ニーソ』著者・古賀学さんラジオ出演のお知らせ●TOKYO FM「妄想科学デパート AKIBA NOISE」

2013年10月16日(水)放送のTOKYO FM「妄想科学デパート AKIBA NOISE」(25:00~25:30)に『水中ニーソ』の著者・古賀学さんが出演します。

副店長の通称「もふくてんちょう」こともふくちゃんと、公式執事のサンキュータツオさんが、毎週水曜日の夜中にこっそり開店させている総合妄想科学デパートに「水中ニーソ」の古賀学さんが来店!

水の中の女の子のかわいさや「萌え」について語ります。

お楽しみに!

TOKYO FM「妄想科学デパート AKIBA NOISE」

写真集『水中ニーソ』


書名●水中ニーソ
著者●古賀 学
希望小売価格●1,800円+税
B5判/並製/オールカラー・96P
ISBN978-4-7808-0201-6 C0072
2013年8月29日(木)発売予定
ポット出版『水中ニーソ』
Amazon.co.jpの『水中ニーソ』のページ

いただいた本●ずっと独身でいるつもり?

著者の雨宮まみさんからいただきました。

書名●ずっと独身でいるつもり?
著者●雨宮まみ
定価●1,150円+税
KKベストセラーズ
2013年10月18日発行
ISBN978-4-584-13526-6 C0095
B6変型判/224ページ/並製

Amazon.co.jpで『ずっと独身でいるつもり?』を見る

紹介

「結婚って自然にできるものだと思ってたのに、気づいたらまだ独身…」「今すぐ婚活する気はないけれど、一生独身でもいたくない…」
――そんな”なんとなく独身”の現状と本音を綴るエッセイ。

『女子をこじらせて』で鮮烈デビューした雨宮まみが、今まであまり触れられてこなかった独身女性の心の機微を丁寧に語ります。

結婚したくても結婚できないのは自分に問題があるからなのか、それとも特に理由などなくて単なる「運」に近い何かなのか、そして、いつまで続くかわからないこの独身期間とどう付き合っていけばいいのかなどを中心に、結婚や独身生活について考える、独身女性の心に寄り添う1冊です。

※ 本書は、マイナビニュースの人気web連載「ずっと独身でいるつもり?」に加筆修正をし、書き下ろしを加えて再編したものです(「第4章 私が結婚しなかった理由」は、本書のための完全書き下ろし)。

目次

【結婚できないのは自分に問題があるから?】
私は、どうして結婚できないの?
理想が高いから結婚できない?
「良妻賢母」の幻想
「えり好み」はいけないこと?
独身女は「人間失格」?
結婚できないのは「プライドが高い」から?
優等生ほど結婚できない?
甘え下手が結婚を遠ざける?
「なんとなく」結婚、「なんとなく」独身
「独身慣れ」したら結婚は遠のく?
結婚どころか彼氏がいない
独身はヒマなもの?
仕事に夢中になると結婚が遠のく?

【第二章 なぜ独身はつらい? 三十歳を越えた独身女性が恐れるもの】
独身女の”重さ”
独身女は「かわいそう」?
「怖い独身女」になりたくない
友だちが結婚するとき
独身女性の人生設計
結婚できない“つらさ”って?
妥協や我慢で幸せになれる?
もしかして「恋愛」に向いてない?

【第三章 結婚したい理由】
どうして「結婚したい」のか?
「結婚したい! 」と思う瞬間
独身女の社会常識
結婚で保障されたいもの
結婚しないと寂しくて死ぬ?
選ばれない女になりたくない
“普通”になりたい
「孤独死」よりもこわいもの

【第四章 私が結婚しなかった理由】
子供の頃は「お嫁さん」になりたくなかった
初めての同棲
結婚願望がなかった二十代
「本当にその人と結婚がしたいの?」
人並みの幸せに憧れて
三十代も半ばを過ぎて

【第五章 気になる恋愛・結婚セオリー】
どこまで信じる?「モテ本・婚活本」
期日を決めると結婚できる?
三十過ぎの結婚はもう“復活愛”しかない?
真面目な女は結婚できない?
あの口約束の効果は?
偽装しなければモテないの?
これをすると結婚できない
ドバイに行って考えたこと
ドバイから帰ってきて考えたこと
自由に生きるのはいけないこと?

【第六章 独身よ、立ち上がれ! 】
「寂しい女」が陥る罠
説教に負けるな!
「結婚したい」は気軽な言葉?
それぞれの焦り
「いつか」を目指して生きない
「失敗しない結婚」の基準
クリスマスに思うこと
「普通」という呪縛
幸せという名の暴力
幸せっていったい、何?
自分らしさの輝き

著者紹介

雨宮まみ:1976年、福岡県生まれ。ライター。著書『女子をこじらせて』や対談集『だって、女子だもん!!』(共にポット出版)で、女であることに素直に向き合えなかった自分自身の経験を書く。主に女性の自意識や恋愛などをテーマに「音楽と人」「Numero」「マイナビニュース」「ウェブ平凡」等で連載中。

『水中ニーソ』(著:古賀学)読者プレゼント●「CGWORLD」(2013年11月号)

2013年10月10日(木)発売の雑誌「CGWORLD」(2013年11月号)の読者プレゼントに、写真集『水中ニーソ』(著:古賀学)を提供しました。

「CGWORLD」誌を購入してWeb上のアンケートに回答することで応募ができます。

「CGWORLD」2013年11月号

写真集『水中ニーソ』


書名●水中ニーソ
著者●古賀 学
希望小売価格●1,800円+税
B5判/並製/オールカラー・96P
ISBN978-4-7808-0201-6 C0072
2013年8月29日(木)発売
ポット出版『水中ニーソ』
Amazon.co.jpの『水中ニーソ』のページ

第30回■サマーヌード〜日本縦断テレクラの旅Ⅰ 札幌編

2013年の夏は、猛暑とゲリラ豪雨と、竜巻と突風と地震。そして、福島第一原発からは汚染された地下水が漏れ出した。“招致”のため、コントロール下にあると、世界に向けて大嘘をつくものもいたが、いかがなものだろうか。

20年前の夏、1993年の夏は、私にとって、“日本縦断テレクラの旅”の夏だった。あまりにも阿呆らしく、馬鹿げているが、“いいじゃん、夏なんだから”(by「ビーチボーイズ」)。

訪ねたのは、北海道は札幌と九州は福岡、そして、関西は大阪である。丁度、私が関わる企画会社のイベントが各所であり、その視察と応援を兼ね、1週間で、三ヶ所を回ることになった。仕事ゆえ、“相棒”がいる。同行するのは、幸いなことに、仕事仲間では珍しく、私の夜の行状を知る同年代のフリーカメラマン。テレクラ歴5年の強者である彼と示し合せ、全国縦断するなら、各地のテレクラを体験するという“旅打ち”することにしたのだ。

札幌ですっぽかしの嵐!

私達の“グレート・ジャーニー”は、東京サミット(第19回先進国首脳会議。1993年7月7日から9日まで日本の東京で開催された)のために過剰警備が布かれ、まるで戒厳令下の街のような東京を抜け出すことから始まった。

1日目、梅雨の影響でこの日は大雨。うっとうしいこと、このうえない。そればかりか、午後4時発の札幌行きのANAは、その機体を雨に晒し、まだ、飛び立てないでいた。悪天候。期待とは裏腹に、空を覆う暗雲のような、心に黒い雲がかかる。心はブルーに染まっていく。飛行機は定刻を20分ほど過ぎて、羽田を飛び立つ。

札幌の千歳空港には2時間ほどで着く。前年、1992年に新設された同空港はハイテックな作りで、当時、私が仕事で何度も訪れたパリのシャルル・ドゴール空港を彷彿させる。

札幌へは新設されたJRで行く。地下から地上に出ると外は梅雨のない北海道。からっと、晴れ渡っている。車窓には広大な田園風景が広がる。札幌に着くと、仕事仲間と合流し、簡単な打ち合わせをして、この日の仕事は終わり。いよいよ、テレクラ・タイムだ。

相棒とともに、札幌の繁華街・すすきのにあるテレクラ「BEAT」を目指す。店は予め、同地のタウン情報誌(当然、夜のタウン情報誌である!)で、調べておいた。道内では優良コールの多い店として評判だという。

同店はとてもテレクラとは思えない豪華な作り。聞けば、オーナーは元々、建築関係の仕事をしていたという。テレクラへの異業種参入。当時、儲かる投資先だったのだ。

店内の装飾は本職だけあって、変に華美ではなく、小奇麗にまとまっている。都内のテレクラに比べたら雲泥の差だ。ボックスもスペースにゆとりがあり、チェアーも極上のリクラニングシート。ボックスに入ると、テレビ電話が設置されていた。

プリペイド・カードを買って、IDナンバーと暗証番号でアクセスすると、すぐに繋がる。電話で話し、相手に画像を送ってもらう。静止画像だが、相手の顔がわかる分、親近感がわく。こちらの画像も送る。お互いの雰囲気がわかるだけでも安心感がある。何人かと話してみる。話が乗ると、裸の画像を送ってくれるものもいる。胸だけでなく、秘部のアップまである。その中で、少し話し込んだ20代のOLとアポが取れ、店の前で会うことになった。午後11時30分。店に入って2時間で初めて取れたアポ(テレビ電話に嵌り過ぎ!?)だ。身長は150cmにも満たない、小柄だが、画像を見る限り、ルックスは悪くない。店の前で待つこと、30分。彼女はやってこない。すっぽかしだ。

考えてみたら、普通に会おうという女性がテレビ電話を所有しているわけがない。いまでいうチャットレディーみたいなもの。予め、仕込まれたサクラ。アポが成立するわけはない。Hな画像が見れただけ、ましというものか。

気分を変え、テレビ電話から普通の電話に替えてみる。この店は取り次ぎ制。札幌は取次がほとんどで、早取りはあまりないという。県民性だろうか。1時過ぎにアポが取れる。グレイに白の水玉のブラウスに白いイージーパンツ、紺の巾着型のバッグと、待ち合わせの目印を細かく教えてくれるから、可能性ありだ。会う気がなければ、服装などはいい加減に教えるもの。ところが、待ち合わせの場所にはこない。これもすっぽかしである。

相棒もアポを試みるが、思うようにアポが取れない。深夜になってもコール数は減らないが、なかなか、呼び出すことは難しい。

閉店間際の5時にアポを取る(翌日というか、今日も仕事があるというのに、熱心なものだ!)。純然たるアポではなく、おこづかい目当てのものだが、とりあえず会うだけでも会ってみる。勿論、会うという経験値を上げるためのもので、当然、おこづかいを上げて、身体をいただこうという気はない。すすきのから車で15分ほどのファミリーレストランで待ち合わせをする。

夜のドライブ

5時過ぎに彼女はやってきた。当初、家の近くということで、歩いてくるものばかりと思っていたら、車で来た。赤いホンダ・インテグラがファミリーレストランの前に横付けされる。車から出てきた彼女は、いわゆるコンパニオン系の見映えのする、いい女だ。

とりあえず彼女と食事(朝食!)をすることにする。彼女は20歳を過ぎたばかりのフリーターで、驚いたことに昨年はストリッパーとして、日本中を回っていたこともあるという。その時には、誰もが知るAV女優と共演もしている。

彼女は問わず語りに最近、失恋したことを切り出す。半年前に恋人に女を作られ、逃げられたという。そのショックから立ち直れないでもいる。おこづかい目当てのテレクラ利用も単純に金銭だけでなく、ひょっとしたら自傷行為の一環かもしれない。

ファミリーレストランを出て、ホテルにしけ込むのではなく、彼女の車で市内を当てもなく走る。

「私って、本当の恋をしてないの。いつも相手に言い寄られて付き合ってしまう。今度は自分から好きな人に付き合って欲しいといいたい」

彼女のそんな言葉に被さるように、カーステレオからは大瀧詠一が書き、稲垣潤一が歌う「ヴァチュラーガール」が流れてきた。“独身女性”という意味のタイトルがついたこの歌が流れたのは何かの偶然なのだろうか。

二人は話過ぎたようだ。彼女に泊まっているホテルの前まで送ってもらい、別れた。

翌日(というか、もう日が変わっている)も「BEAT!」へ。当然、僅かな仮眠後、仕事を難なくこなしてからだ。

同日は週末、土曜日。土日に休みのOLが特に多いという。ところが、天気が良すぎて、外に出てしまったのか、コールはほとんどない。

夕方、20代のOLと話し込む。東京から出張で札幌に来て、街をガイドしてくれる女性を探していると伝えると、快く引き受けてくれるという。おまけに相棒が一緒だというと、友達も連れてくるとまで言ってくれた。ちょっとした合コンだ。その話を相棒に話すと、そわそわして、伸びていた髭を剃ろうとする。待ち合わせは近くの駐車場、白いチェイサーでやってくるという。しかし、またしてもすっぽかし。待てど暮らせど、そんな車はやって来ない。相棒の落胆ぶりはいうまでもないだろう。

その後、アポ取りを試みるが、電話がほとんどない。テレビをつけると、その年、開幕したJリーグの鹿島アントラーズと横浜マリノス戦の中継をしていた。いまでは代表戦以外は考えられないだろうが、意外な大敵だった。

コールが少ない中、20代半ばのOLと話し込む。実に感じのいい女性で、会話に熱が入る。ようやく会おうという話になると、おこづかい目当てということで興ざめしてしまうが、それでも会うことにした。いや、それでも会いたかったのだ。店の近くのシティホテルのロビーで待ち合わせる。そこに現れた彼女はとてもおこづかいをねだるような女性には見えない。品格が備わっている。理由を聞くとカード・ローンの返済に困っているという。道央から出てきて、札幌で一人暮らし、けして贅沢をしたわけではないが、気づいたら、ローンに追われていたという。

だが、彼女と金銭のやりとりをすることを出来なかった。そういう関係になることが我慢ならなかったのだ。そのことを正直に話し、帰ってもらおうと思ったが、ここで別れるのは辛く、未練がましいけど、だめもとで食事だけでもと誘ってみる。自分勝手で、彼女にとっても迷惑かもしれない申し入れだが、付き合ってくれる。

彼女の案内で、すすきの居酒屋へ行く。ホッケやエボダイを焼いてもらう。地元の人が薦める店だけに美味しい。ビールや日本酒、ワインを交互に飲む。彼女の顔が色っぽく染まっていく。とても数時間前に話したばかりとは思えないほど、親密な空気が流れる。彼女は心地良く酔わせてくれる。11時近くまで彼女と過ごす。店を出て、二人は別れた。私の胸に痛みが走る。わずか数時間の出会いと別れ。切な過ぎるというもの。

私がセンチメンタルなドラマを演じている時、相棒は河岸を変え、「ペンギンクラブ」で、アポ取りに挑んでいた。同店はすすきの中心にあるという最高のロケーション。コール数も札幌一と言われている。7時に20代半ばのOLとアポを取る。公衆コールだから、会える確率は高い。約束通り、待ち合わせの場所に現れた女性は、可愛らしい声とは裏腹に顔は老け、体格も小太りで、相棒にとっては魅力的とはいいがたい。その場から立ち去ろうとしたが、アポは取った手前、すっぽかすわけにはいかず、居酒屋へ行くことになったという。北海道の新鮮な魚介類をつまみにビールで乾杯をする。その女性は、この秋、ナンパされた男性と結婚するという。そんな約束がある身にも関わらず、話題は猥褻なものになり、誘惑のサインが送られる。毒気に当てられた相棒は11時過ぎに店を出て、その女性を駅まで送る。途中、大通り公園のベンチの酔いを覚ます。据え膳食わぬは男の恥などという古式ゆかしいことわざがあるが、食わないところが相棒らしいところか―。

その頃、私は大通り公園の側のテレビ塔まで来ていた。居酒屋を一緒した女性と別れ、店に戻って、すぐの公衆コールで、二十歳のOL二人組に呼び出され、タクシーで駆けつけたところだった。ところが、すっぽかし、待ち人来たらずだ。

翌日に備え、ここでホテルへ戻ればいいものの、私も河岸を変え、「ペンギンクラブ」で、相棒と合流。さらに電話と格闘を続ける。深夜になると、すすきのらしく、店を引けた水商売や風俗の女性の電話が増える。アポを取るという感じではなく、暇つぶしに付き合わされる。おこづかいをねだる電話も増えだす。札幌郊外からの電話も多く、話が盛り上がるが、遠過ぎて行けない。店長は、札幌は車がないと、と言っていたが、機動力さえあれば、アポ率は飛躍的に伸びていただろう。

「ペンギンクラブ」は、土曜日はオールナイトで、朝までやっている。二人は朝9時40分の福岡行きの飛行機が出る直前まで、店で粘る。寝不足で朦朧となりながらも、コールが鳴ると、反射的に電話を取ってしまう。習慣(!?)とは恐ろしい。

二人は疲れた身体と心を癒す間もなく、ホテルへ荷物を取りに戻り、空港へと向かう。そして、福岡へ旅立つ。私達の旅は始まったばかりだ。