投稿者「沢辺 均」のアーカイブ

ポットの日誌に復帰します。出版権について

2011年10月から出版デジタル機構の準備室に出向、そのまま2年間、発足したての機構に出向。その間ポットの日誌を書かずにいた(はず)んだけど、今日から復帰することにしました。
「復帰させて」社内にメールしたらさっそく2日も間をあけてしまった。ごめん。
今日の午前中は、JPO近刊情報センター管理委員会があって、そこで出版権への対応ってのが議題になったので、今日は出版権について、だす。
事実関係についていちいち確認せずに、アタマのなかにある記憶だけでかいているので、以下すべて信用しないように、ね。

著作物を本にして出版する契約、いまポットは「紙の本にして独占して販売する権利」を得てる。
(出版権設定契約はしていない、出版権設定契約についての説明は省略だい、今日はこれから飲み会なので、長文書くと大きく遅刻するです)
電子にして販売する権利の交渉もするけど、著者が嫌なら、電子は販売する権利をえないで、紙だけで発行することがある。
同時に二次利用についても、ポットにその交渉する権利を委託するかしないかを決める。

たとえば、海外から翻訳して出版したいと連絡がきた場合。二次利用の交渉する権利を得てるなら、ポットで交渉して、契約して、集金して、マージンをもらって、著者に振り込む。
ポットに交渉する権利を委託したくないって著者の場合、どうぞ直接著者に連絡して交渉してみてください。
ポットはなにもしないよ、という考え方。

で、これで充分じゃないか?って思ってる。

出版権を契約する、よく海賊版対策とか言われてるようだけど、そもそも海賊版を作られてしまうような売れる本は、まあないかな−、って感じだし。海賊版を入手する人が、海賊版がなければ、本を買ってくれるともおもえない。
(図書館で借りられると、その分売上減るってことにはならないでしょう、てのとおんな)
で、海賊版が出回ってすごくやばくなったら、そんとき、著者と別な契約をして、弁護士やとって(ポットには顧問弁護士がいるんだぜい、村瀬弁護士)著者と共闘してガンガンやればいいんだよなー、てのが今の考え。

これって間違えてるのかな−、ホントによくわからないんだ。

なお、出版界が出版権に電子も対象にするってのをもとめたことに、積極的に批判はないよ。
あったほうがいい人が使えばいいし、うーん今はいらない、ということなら使わなければいい。
ほかにもっとやりたいことがあるもんで、、ね。

レジュメ・明日の版元ドットコム講座●電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方

版元ドットコムの会員のみなさま

明日、
版元ドットコム講座:電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方

です。

レジュメ(あと4枚ほど資料がありますが、それは当日)
をつくりましたので事前にお送りします。
プリントは当時配布します。

明日は
講談社のデジタル制作部長・蓬田さんから、
講談社での経験をはなしてもらうことになりました。

終わってから近所で一杯やりたいと思います。
残れる方は参加を。

満席になって断った方もいたのですが、申し訳ありません。

あ、宣伝ですが、ポット出版から、
電子書籍制作・流通の基礎テキスト
出版社・制作会社スタッフが知っておきたいこと
(植村 八潮 編著, 電子出版制作・流通協議会 著 )
というのを発行しました。
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7808-0206-1.html
版元ドットコム会員・会友は、版元ドットコムサイトから2割り引きです。
よろしければ(笑)、お買い上げください。
また、明日少し持っていきます。会場販売させてもらいます。

沢辺

レジュメ
版元ドットコム講座 電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方 2014.06.17火
──────────────────────────────────────── 進行予定
18:00 電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方(沢辺)
18:30 講談社の電子書籍の取組(蓬田)
18:45 事前にもらった質問について
19:00 質疑応答
20:00 終了予定 ────────────────────────────────────────
電子書籍にあまり取組んでいない出版社の取組み方(沢辺)
■紙の新刊発行時に、電子書籍も一緒につくってしまおう ●新刊発行時つくる ○ 著者許諾を紙も電子も同時にとれる ・電子化を断る著者に深追いしない ・改め て電子化許諾をとることの大きなコスト ○フォーマットはEPUB一本でいい ・で きるだけリフローで
・あえてフィックス? ・ドットブック/XMDF/EPUB/(PDF) ○組版データからテキス トを再利用しやすい ・テキスト入力のコスト
・付合せ・校正のコスト ・OS/アプリバージョン/フォントのバージョン ・PDF がない場合も、PDFを作りやすい
写真・図版類はPDFから ・組版作業者の近くに電子化作業者がいればなお良 い ・組版データの所有権問題 ・紙はモノクロ写真、電子はカラー写真の可能性 ○EPUBチェッカーを開発中
■電子書籍のメリットとデメリット、なぜ今つくるのか?
●電子書籍化の意味
・売行き 12年=729億円(端末368億円/携帯=351億円/PC=10億円) 11年=629億円 (端末112億円/携帯=480億円/PC=37億円) 紙の本 12年=8013億円・6億8790万冊 (1兆7398億円 雑誌=9385億円)
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ポット出版の体感=紙の本の5%あたりか(金額) ・電子図書館市場が登場する可能性
・品切れ・絶版をなくせる
・テキストデータの保存ができる。 発行後長い時間がたっても重版・復刊時に テキストを利用できる 図書館での利用、データベースでの利用 (JAPANKnowledgeなど)
■どうやってつくるのか、どこにたのむのか、どう販売するのか
●電子書籍制作
・作る 取次の無料制作はすくなっている ・完パケ 出版社が(制作会社にたのむ などして)作って取次に渡すこと
●販売先
・流通に載せる
取次・書店
取次を利用するのが良い、しかない
・ポット出版の場合
MBJ Kindleストア/eBookJapan/TOP BOOKS/いまよむ for Android/コープデリe フレンズ電子書店/ VarsityWave eBooks/honto/まんがこっち/BOOKSMART /boocross/BooksV/遊スタ/どこでも読書/ PDABOOK.JP/本よみうり堂デジタル
Bitway(出版デジタル機構)
GALAPAGOS STORE/紀伊國屋BookWebPlus/KDDI/セブンネットショッピング /SonyTablet/ SonyReaderStore/ソフトバンクブックストア/東芝ブックプレイス /ドコモブックストア/NEOWING/ひかり TV書店/BookLive!/漫画全巻ドットコム
直接取引 iBookStore/楽天Kobo/Google Playブックス/BinBストア ・完パケで 入れると、データに問題があった場合は出版社責任
・配信用書誌情報
・売上げデータ
■事前の質問
○紙の本を作る時に、同時に電子書籍が作れること は、印刷をお願いしているシ ナノパブリッシングから聞きましたが、電子書籍版が出ることによって紙の本 の売上への影響が心配です。その辺のことをお聞きしたいです。宜しくお願いし ます。 ○読者に案内すべき電子書店と、すべきでない電子書店。 ○製作コストと 電子取次掛け率と価格設定について ○雑誌的なレイアウトの本を1冊PDF形式で販 売していますが、リフロー型に作り直した方がいいか迷って います。
またKindleで販売している電子 書籍の紙版を、後から書籍コードを取って販売 する予定ですが、その場合今の電 子書籍はどうすればいいのか、などお伺いで きればありがたいです。

緊デジ、私的な総括

 緊デジ(経済産業省コンテンツ緊急電子化事業)についての、極めて私的な総括を書こうと思う。

緊デジの目標は大きくわけて二つに集約されると思う。
・東北の雇用を促進
・電子書籍市場の活性化

「東北の雇用の促進」とは、僕流に言い換えれば、東北の会社と人たちに売上や給料というカタチでお金が流れていくことだと思う。

この、東北にお金が流れていくようにすることは、基本的には成功した、というのが僕の総括だ。
僕の概算だけれど、10数億円程度のお金が流れていったと思っている。

具体的には、東北の制作会社に制作をお願いしたこと。
東京などの会社も、東北の会社に外注を依頼したり(売上が生まれる)、東北にある事業所に制作ラインをつくったりした(人員を増やす、雇用を生む)。

緊デジ事業では制作会社から、月ごとの請求書のほかに、この事業で働いた人たちの月の労働時間合計を、人ごとに出してもらった。働いた人の勤務地が東北なのか、東京などなのかも記録して提出してもらった。

集計した労働時間比率では、全制作会社の総労働時間のうち、約70%強が東北の人たちの労働時間となっている。
アルバイトや派遣スタッフなども動員しただろうから、この労働時間比率が、支払われた金額の比率に直結してはいないだろうが、東北の会社や労働者に支払われた金額は、それらを勘案して三分の二あたりだろうと見ている。

なぜ、もっと正確にだせないかというと、それぞれの労働者の給与を書き出してもらわないとならないこと、電子書籍1タイトルの制作費単価が1万〜5万程度の仕事にこれ以上の正確さを求めると、管理費用ばかりが増大してしまうことを恐れたのだ。

緊デジの経産省からの補助金は10億円。さらに出版社が出版社負担分の50%の9億円前後を出して電子書籍を作ったのだから、総額20億円を下回る金額がこの事業で使われたことになる。三分の二程度が東北の会社や労働者に支払われたとすれば12億円程度になる、というのが「東北に10数億円程度の」という考えの理由。

補助金のほぼそのままの金額を東北の会社や労働者の売上・賃金として使われたとすれば、「東北の雇用の促進」という目的は果たされたと思う。
補助金という「税金」を10億円使ったことの意味は達成されたというのが、僕の第一の総括だ。

もう一つの目標である電子書籍市場の活性化については、タイトル数は増やすことができたが、市場そのもの=つまり売上げを増やすことまではできていない、というのが僕の第二の総括だ。

活性化のためには、まずタイトル数の増加が必要だ、というのがこの緊デジの具体的な想定だったと思う。
JPOで発表した緊デジ制作の最終確定タイトル数は、64,833タイトル。
ファイル数では、80,893ファイル=約8万ファイル。

「電子書籍情報まとめサイト」という、個人が一生懸命に調べて公開してくれているサイトがある。それによると、2012年12月の日本の電子書籍の流通タイトルは約7〜8万タイトルだった。つまり緊デジ事業で、電子書籍を倍近く増やせたことになる。

実際に、2012年12月と2014年1月の流通状況を比較すると大きくタイトル数が増加している。
楽天KOBOストアは約11万タイトルから19万タイトルに。
Kindleストアは、約8万タイトルから17万タイトルに。
紀伊國屋書店ウェブストアの電子書籍は、約7万タイトルから14万タイトル弱に。
いずれの電子書籍ストアもだいたい7〜8万タイトル程度増やしている。

出版社は、緊デジとは別に電子書籍を増やしているし、サイトによっては楽譜などをタイトル数に入れているなど、書店ごとの特別な事情もあるので、この増加が緊デジで制作したタイトルによるものばかりだとは言えないが、緊デジの果たした役割はそれなりにあったのだと思う。

電子書籍化に対する著者の反応も、以前は「ちょっと考えさせて」的なものから、「まあ業界全体で取り組んでいるんだろうから」という前向きなものになったよという声も出版社から緊デジの後期に聞いた。緊デジによって、著者の了解を得やすくなった、ということもあったようで、ムードメークな効果も果たせたと思う。

だだし、作られたタイトルがよく売れて、市場規模全体が拡大したかというと、現在のところよくわからない、としか言いようがない。判断するための調査結果がまだないのだ。
販売数は、2012年度の調査(インプレスビジネスメディア)までしかなく、2013年度の調査がたぶんこの6月あたりに発表されるだろうから、それまでは想像するしかない。
個人的には、周囲に電子書籍を読むようになった人が増えた実感はなく、たくさん売れるようになったとはあまり思えない。
市場の拡大にはタイトル数のほかに、なにかもう一つ別なインパクトが必要なのかな、と思っている。

緊デジの目標の一つである東北の雇用の促進は、10億円の補助金に近い額の売上や賃金をもたらせたと思うので一定の成果を上げた。もう一つの目標である電子書籍市場の拡大は、その条件の一つであるタイトル数は増やすことができたが、実際の市場規模への寄与はまだ不明だ。

では、東北の雇用について、実際にどのようなことがあったのかもう少し詳しく振り返って見る。

まず、制作会社選定方法だ。
制作会社を公募して申し込みをしてもらったのだが、東北以外からのものも含めて、かなり多くの申し込みがあった。
書類選考では、ドットブック・XMDFの制作経験を見ることにした。

実際にかなり多くの申請があったので、経験がある会社を優先した。ただし、東北の会社には経験を問わずに受け付けた。事業の趣旨からいって東北の制作会社が優先されるべきなのだからだ。
次は試作だ。
商品として電子書籍をつくるために一定の技術力は必要だ。東北の会社にも、それ以外の会社にも、評価軸は同じにした。
受注を希望するフォーマット(ドットブック・XMDFとフィックス・リフロー・テキスト入力してのリフロー、の組み合わせで合計6パターン)の試作をしてもらい選考させてもらった。

これまでに電子書籍制作の経験のない東北の制作会社にとって、そのノウハウを独自に獲得するのは大変だったはずだ。
サンプルファイルを配って、これに習って作ってくださいとか、制作ツールを紹介したり、実際、何社かには直接出向いてやり方を提供することなどもやった。
けれど、実際に納品されたデータを検品してみると、現場の困難がそのデータの向こうにみえるようだった。

いっぽう東京などに本社がある会社の中にも、東北に事業所や子会社があったり、東北の協力会社を持っていたり、この緊デジのために協力会社をあらたに募集してくれたりした会社がいくつもあった。

ある会社では、もともと仙台にあった子会社に作業スペースを確保して、そこにPCやスキャナを設備し、社員で足りない分を派遣社員やアルバイトを雇用した。雇用にあたっては、はじめはInDesignなどのDTPソフトを使えるといった条件で募集したが、ハードルが高すぎて集まらなくなり、デザイン専門学校を出た人でもOK、PCを触ったことがある人であればOK、とどんどん条件をゆるくした。そんなエピソードも聞いた。

また、協力会社を探すために、東北の印刷会社の名簿で片っ端から電話した会社があった。そうやって協力会社になってもらった東北の会社でも、準備に費用がかかる。
設備投資資金を銀行に借りる際に、東京の発注元の社員がこの事業の説明をしたり、協力会社に仕事を発注するからなどの説明などをしたことも聞いた。
労働者を募集するにしろ、協力会社を募集するにろ、設備の用意をしなければならない。だがもっとも大変なのは、電子書籍制作のノウハウをそうした人や会社に伝えることだ。そのために東京の本社のスタッフを長期間、現地に派遣したり、逆に東北の労働者を東京の現場研修のために呼んだりしたという。
会社の独身寮に空きがあってよかったよ、という話も聞いた。

さて、こうした東北の製作会社、東北でラインをつくった東京などの制作会社への制作費だが、「東北加算」として次のように加算することにした。

東北での制作が全作業の75%を越える場合=基本見積単価の30%増
東北での制作が全作業の50%を越える場合=基本見積単価の15%増

電子書籍を制作するのに必要な平均作業量(1人日単位) のうち、東北での作業量(1人日単位)が75%や、50%を超えるかどうかということだ。
当然、50%未満の場合は加算がない。

この加算をつくったのは、東北の会社が設備投資やノウハウの獲得に費用がかかるだろうという前提からだ。
また東京などの制作会社が、この作業を東北でおこなった場合の、東北へのスタッフの派遣や、あらたなラインをつくることのコスト増に対応するためだ。

こうしたことを通して、東京などの制作会社でも、できるだけ東北で雇用を生み出してもらおうと考えたのだ。

だから緊デジはすべてうまくいったのだ、と思っているわけではない。
制作会社からのさまざまな不満がやはり耳に入ってきた。

第一に、単年度事業で、せっかくつくった体制を次年度以降活かせない、あるいは、その保証がないという指摘だ。
たとえば仙台での説明会で「役所の仕事は毎年毎年大きな変化はなく見込めるけど、この仕事は一年ポッキリ」といった発言もあった。

確かにその通りで、設備をあたらしく導入したり、ノウハウを取得しても、緊デジ事業は一年で終わるので、翌年の仕事に結びつけづらい。

緊デジで偶然割り振られた出版社とのつながりを活かして、直接営業する以外にないのだ。実際、東北の電子書籍制作にはじめて取り組んだ会社のひとから、そうした相談もされたけれど「今回のつながりを利用して、直接出版社にはたらきかけて」というしかなかった。

ただし、東北の制作会社が、今後も出版社から仕事を受けられればすべての問題が解決するかというと、僕はそう思えない。
東京を中心に、すでに出版社の電子書籍の制作を請け負う中小の会社がある。
そうしたところから見れば、緊デジは、自分たちの仕事が税金を使って奪われるものと映ったことだろう。
紙の本のDTP・組版、印刷を請け負っている印刷会社は、当然その出版社の電子書籍制作はDTP・組版と同時に自分たちが請負いたいと考えているはずだ。むしろ、電子書籍制作ができないとやがてDTP・組版の仕事もなくなってしまうのではないか、という危機感すらあるのではないか。
実際には「オレたちの仕事をどうしてくれるんだ」という声は僕の耳には聞こえてはこなかったのだが。

第二に、出版社の申請がなかなか進まなかったため、初期には、人は雇ったものの仕事がない、という状況を生み出してしまったことだ。
夏前にすでに一部のスタッフの雇用をしていた制作会社では、日々給料という費用は出て行くけれど、制作するものがないという状況になった。この時期に不要な費用を支出せざるを得なかったという声は、東北の制作会社からも、それ以外の制作会社からも聞いた。丁寧な言葉遣いで「いつ仕事は入りますか?」と聞かれると、申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。

さらにこれは、売上の入金時期が遅れるということでもある。
緊デジの売上を見越して融資を受けて設備投資をした東北の協力会社の銀行との返済打合せに、元請けの東京の制作会社が飛んで行ったりしたこともあったようだ。

第三に、やはり短期間では電子書籍制作のノウハウや技術の習得が難しかったようだ。
電子書籍は基本的にウェブサイトのHTMLというマークアップ言語なので、それほどの難しさではないと思っていたが、やはり、細かいところのノウハウは実際にやってみたり、それを出版社などに納品してチェックを受けて指摘されないとわからないことがたくさんあった。

事務局として、はじめから想定しているべきだったと反省したのが、たとえばフィックス型の底本断裁によるノドの欠落だ。

見開きに画像が配置されている書籍がある。
それを底本にして、断裁してスキャンして、フィックス型の電子書籍にした場合、ノドの部分の画像が切り落とされてしまう。
文字中心の書籍を、スキャンしてフィックス型の電子書籍にする。
紙の本の場合は完全に開くことがないので、ノドの一部が見られなくともそれほど気にならないが、電子書籍の画面はまっ平らなので、裁ち落とされた部分が気になってしまう。
だが、元の写真を保存している出版社ほとんどいなかった。
そこで、本のノド側を一気に裁断するのではなく、カッターなどで、一枚一枚「剥がして」いくようにバラしてスキャンするよう制作会社に依頼した。
また、電子書籍にするときにノド側に細い白い帯を置くことで、違和感を少なくするという対応をしたこともあった。
この件についてはわりとはじめのころに出版社からの指摘があったので、それ以降は事務局で到着した本を開き見開き画像がある場合はフセンをつけて、「カッターで剥がして」といった依頼を書くようにしたのだが、こうした小さなノウハウは、事務局でも、制作会社でもやってみて初めて気づいたことだ。

こういったことは、制作会社からみれば緊デジ全体の不備に見えたのだと思う。
絡み合ったさまざま状況のなかで、こうした問題を一気に解決する方法は残念ながら僕にはみつけられなかった。

この私的な総括をあえて書いたのは、当たり前だけど、緊デジに対する批判が増えてきたからだ。批判に対して逐条的に意見を書きたい気持ちもあった。

たとえば、「対象出版社の定義」が厳しすぎた、といった批判があった。

その中のひとつ、書協などの出版社団体の会員という条件について。
版元ドットコムもそうした出版社団体だし、その会員社であれば条件は満たす。
地方・小出版流通センターとの取引があってもオッケー。
もしどこの団体にもたまたま入っていなくても、あらためて団体の会員になってもいいわけだ。実際、電話でそうアドバイスしたこともあった。
補助金を使うわけだから、その対象範囲を明確にさだめることが必要だ。だが現に出版活動している出版社は、これらの条件をクリアしているはずだし、万一合致しない点があっても、申請時にクリアできる程度のものだ。

この間緊デジによせられる批判に対して、一つひとつ言いたいことはたくさんある。
しかし、問題は大きな課題、つまり「東北の雇用」に何をしてきて、何ができなかったのかということが語られるべきだと思った。
各論に埋没することが大きな課題を見えづらくなると思う。
まず、「東北の雇用」がどうだったのか、ということが語られるべきことなのではないだろうか。

デジクリ連載[22]緊デジ事業で中間交換フォーマットを見送ったことについて

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[22]
緊デジ事業で中間交換フォーマットを見送ったことについて

沢辺 均
< http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20120515140200.html >
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「緊デジ事業」というのがある。経済産業省の補助金事業で、中小出版社が電子書籍を制作する際に、その制作費の1/2、東北関連の出版社の本・東北関連の内容の本の場合は2/3を補助するもの。そして、その制作をできるだけ東北でおこなうことを条件としている。僕はそのフォーマット策定などに関わっている。

緊デジとは(緊デジ.jp)
< http://www.kindigi.jp/about/ >

●緊デジでの電子書籍フォーマット

フォーマットは、フィックス型とリフロー型の2種類で、フィックス型ではドットブック+XMDF+EPUB3、リフロー型ではドットブック+XMDFで制作することにした。

それぞれ、今後別なフォーマットへの変換用の作業ファイル一式(アーカイブ用中間作業ファイル)と、実際に配信するためのビルドした電子書籍ファイル(配信用電子書籍ファイル)の制作をすることにした。

電子書籍制作仕様書の確定版を公開しました(緊デジ.jp)
< http://www.kindigi.jp/info/20120510a/ >

第一次素案の段階では、リフロー型の作業用ファイルとして、中間交換フォーマットでの制作を依頼して納品してもらうことにしていたが、最終的にはドットブックとXMDFのソースファイルであるTTXと記述ファイル(XMDFのソースファイル)にした。中間交換フォーマットでの保存をやめたわけだ。

そもそも、アーカイブ用のファイルも配信用とは別にわざわざ保存することにしたのは、今後の新しいフォーマットへの変換を視野に入れたからだ。その新しいフォーマットというのは、もちろんEPUB3に他ならない。

EPUB3はその日本語版の基準の合意が形成されていないし、電子書籍書店での採用は進んでおらず、ビュアーでの対応も数少ない。しかし、いずれこうした問題は各社の努力で解消されて利用が拡大することは、ほぼ間違えないだろうと思う。だから、EPUB3への変換の準備は、この段階で必要なことである。

●中間交換フォーマットの採用を見送った理由

採用を見送ったイチバン大きな理由は、実際の制作経験が電子書籍制作現場になかったことだ。そのため、制作各社での作業ワークフロー構築が困難だと判断した。これは、第一次素案の段階でもわかっていて当たり前のことだったのだから、まったく僕の見通しが甘かったとしか言いようがない。

また、ツールなどがなくて、制作現場では一括置換などをそれぞれが準備するなど、多くの手間がかかることになり、それは必然的にコスト増を招く。実際に、制作会社からは「中間交換フォーマットを制作するためのツールなどはないのか?」といった問合せが寄せられたりした。

横道にはいってしまうけれど、「三省デジ懇」では基準策定や調査研究が多くて、実際にその成果を生かすための後始末が足りないように思う。この中間交換フォーマットでは、ツールの作成公開までサポートして欲しかった。

●中間交換フォーマットが果たした役割

ところで、こうした検討をしてきたことで、改めて中間交換フォーマットの果たした役割を確認することができた。一つ目は、中間交換フォーマット策定が行われたことによって、ドットブックとXMDFの仕様がなかば「公開」されたことだと思う。

たとえば、ドットブックの仕様自体は公開されていない。ネット上を検索すれば、ドットブックの仕様が貼付けられているサイトを見つけることができる。これを利用して個人的にドットブックを作ることはできるだろうが、あくまで「個人的につかう」だけである。

もちろん、ボイジャーとサポート契約をすれば仕様書などを一式提供されるので、入手も難しくないわけだ。だが、たんにドットブックを制作するために利用することはともかく、たとえばドットブックとXMDFの交換ツールをつくるって商売するには、あらためて両社と契約しなおす必要がある。この仕様は、ドットブックとXMDFとの間で変換するための利用を前提に提供されるわけではないからだ。

中間交換フォーマット策定という場に、ボイジャー、シャープ両者がつくことによって、変換のための仕様交換が実現した。これが、中間交換フォーマットの果たした第一の役割だ。

二つ目がより重要だと思うのだが、ドットブックだけができること/ドットブックもXMDFもできること/XMDFだけができること、が明確に整理されたことだ。実際「ドットブックもXMDFもできること」がイチバン多いわけだが、やはりそれぞれでしかできないことは残る。

「ドットブックだけができること」と「XMDFだけができること」があるということは、それを修正しない限り変換は終了しない。で、このことはEPUB3への変換を想定した場合に、同じことがおきるということだ。

単純にいえば、「ドットブックもXMDFもできること」の範囲であれば、ドットブックとXMDFからEPUB3への変換がかなり問題なくできる。汎用性のあるファイルであるからだ。

よく、「紙の本で実現してきた体裁すべてを電子書籍に求めるべきではない、別なものなのだから」といった意見を聞くことがある。基本的には僕もそれに同感である。「ドットブックだけができること」と「XMDFだけができること」は、紙の本で実現してきた体裁を電子書籍に求めた(求めすぎた)場合であることが多い。

今回の緊デジの仕様で、中間交換フォーマットを採用することができれば(採用する環境が整っていれば、あるいは整えられれば)、EPUB3へ問題なく変換できるであろう「ドットブックでもXMDFでもできること」で、多くの保存用ファイルを制作できたと思う。

そのことを先送りしてしまったのが、今回の中間交換フォーマットでの保存用ファイル制作をあきらめたことの意味することだと考えている。

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。おやじバンドでギター(年とってから始めた)。日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。

デジクリ連載[21]出版デジタル機構の人々

電子書籍に前向きになろうと考える出版社[21]
出版デジタル機構サイト
e読書JP
緊デジjp

出版デジタル機構が昨日の4月2日(月)に発足した。無事に登記が完了したはずだ。担当者と会えていないから完了報告は聞いてないけど、トラブル連絡もないからたぶん大丈夫のはず。

さて、今日書くなら出版デジタル機構=pubridgeのことしかないよね。そこで、この出版デジタル機構のなかのひとを紹介しておこう。

まずシャチョーさん。これは実名でいきますね。植村八潮です。東京電機大学出版局局長をおととい3月31日に早期定年退職。植村個人のことと、電大出版局の業界的なポジションをちょっと紹介しておこう(以下記憶で書く、ファクトチェックはしてないから間違えがあれば、あとで修正します)。

まず、書籍出版社業界団体として中心的なイチにある書協の理事。書協のなかでの役割は部分的にしか知らないので省略。大学出版部協会の中心的な役割を果たしてもいて、書協の理事も、この大学出版部協会「ワク」のようなカタチでだしているはず。あわせて電大は、LLP版元ドットコムの組合員社(出資社って意味かな?)でもある。

個人的には出版学会のメンバーで役員もしていたはず。で、なにより電子書籍の国際的な基準作りなどをもう10年前くらいからやっていて、よく本人も「英語もしゃべれないヤツが、国際会議の議長をやってたり……(笑)」とネタにしてたりもする。

以下、沢辺以外はイニシャルでいきます。本当は実名でいいと思っているのだけど、締切当日の朝に書いていて本人の了解も得てないのでね。

出版社からの出向は三人。三大出版社出資社からM、Hと、ポット出版からの出向者(笑)の沢辺。この三人は去年の10月に、小学館の小さな会議室ではじまった準備室発足のときからのメンバー。三人は出版社対応・総務的なことをする・制作体制をみる、ってな分担になっている。

ほかに、M、Hと同じ社からT、Kが来ていたのだけど、二人ともこれまで関わっていた課題を引き続き担当はするけど、正式な出向はしないことになった。

出向ではなく、雇われて準備室に来るようになったメンバー。来るようになった順番で紹介。

Hは、去年の12月から準備室に来てくれている。いわば雑用全般を引き受けてくれている。もともと、編プロにいたり、フリーで編集みたいなことをしていて、オイラの昔からの知り合い。女性。オイラが来てよと頼んだ人。

もと三大出資出版社の子会社にいたKとH。経理的なことの担当と、出版社との対応。

NとN。このふたりも女性。Nは先週の記者会見とかしきったりしてくれている。Nは、大学院だっけな? を終えたばかりで、現在バイト待遇。

4月2日から登場が男性二人で、MとH。出版社との対応(電子化コストは? どこで販売?)とかやることになるだろう。

てなあたりで、昨日船出したわけであります。
あはっ、短く、機構のスタッフを紹介してみました。

デジクリ連載[20]選ぶ自由を提供するための株式会社出版デジタル機構

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[20]選ぶ自由を提供するための株式会社出版デジタル機構/沢辺 均

「株式会社出版デジタル機構」の発起人会が先週3月9日(金曜)に開かれた。発起人は、勁草書房、講談社、光文社、集英社、小学館、新潮社、筑摩書房、版元ドットコム、文藝春秋、平凡社、有斐閣の11社。

代表取締役社長に同準備会代表幹事の植村八潮(東京電機大学出版局局長)、取締役に野間省伸(講談社代表取締役社長)、堀内丸恵(集英社代表取締役社長)、相賀昌宏(小学館代表取締役社長)、監査役に菊池明郎(筑摩書房代表取締役会長)を選出した。
< http://www.shuppan-d.info/2012/03/001193.html >

こうして、設立4月2日(月)をめざして、最後の準備を進める。資本金振込、法務局への届け出、という段取りだ。

僕の立場から言えば、講談社・小学館・集英社という出版界最大手から、版元ドットコムという数人規模の出版社(の団体)までが集まって株式会社をつくったという、かなり画期的なものになったと思う。

出版に意味があるとすれば、さまざまな考えを自由に表明できるようにしておくことで、社会の行方を考えたり決めたりするときにそれを生かすことだと思う。ほんとうに、1000人規模の大手から、1人2人の零細出版社までがさまざま存在することで、その表明の自由が確保されるのだ。

そして、それは唯一読者が選んで本を買うという行為だけで、存在できるできないということになるだけで、ほかの力からは自由にあることにこそ意味があるのだと思う。

たとえば、ポット出版の本が存在して(おおきな)本屋にならぶこと。これが自由な表現の証明だし、また読者からすれば、さまざまな本があるからこそ、選ぶ自由も得られるのだと思う。

出版デジタル機構は、電子書籍の世界でも、こうした選ぶ自由を提供するために発足したと言える。手前味噌ではあるけれど、そのなかに版元ドットコムのような零細出版社グループが存在することがそのことの証明なんだと思う。

さて、出版デジタル機構では、たとえば電子書籍フォーマットでも、こうした選ぶ自由を最大限にいかすように決めることができていると考えている。

電子書籍をめぐってはDRM(かんたんに言えばコピープロテクトみたいなもの)をめぐる議論がときどき現れる。個人的には、DRMは読者の本へのアクセスや管理に不自由を与えると考えているけれど、出版デジタル機構で作ろうとしている電子書籍にはDRMをかける予定である。

第一に、今すぐ出版社のほとんどがnonDRMを受入れるとは思えない。もちろん著者もだ。

第二に、DRMが音楽配信のように本当に不要になるのかどうかは、今結論を出すことができない。

第三に、DRMは、かけられるようにしておけば、かけたくない出版社や著者がいても、ただかけないようにできるからだ。

第三のことがイチバン大切だと思う。かけたいもの、かけたくないものが両方いて、その妥当性に議論の余地があるときに、どちらもできる状態を作っておくことが、その時点での判断として大切なのだ。

フォーマットも同様。EPUBだドットブックだ、XMDFとか議論はあるけれども、出版デジタル機構でつくる電子書籍は、オオモトのタグテキストを中間交換フォーマットにしておいて、どれにでも変換できるようなものしようとしている。

EPUBはオープンで国際的な基準だから正しいとか、ドットブックは組版表現が練れているとか、さまざまな人の「信念」が入り乱れる。いまの時点でどれが正しいとは結論が出ていない。そもそも電子書籍市場はそれを語るほど、多くの読者の評価にさらされていない。

だから、そんな「信念」の対立に一生懸命になるよりも、どれにでも対応できて、コストがそれほどかからない方法を選び、準備しているのだ。

さらにさらに、このフォーマットに関しては、実際に電子書籍を制作している会社+個人、を中心に、「原案」を示して意見をもらって、さらにそれを叩き直して、最終決定に持って行こうと考えている。

デジクリの読者には、フォーマットなどに関心をもっているひとも多いと思う。ぜひ意見を聞かせてもらいたい。

「電子書籍制作事業者さま・電子書籍販売事業者さま向け説明会」を以下の要領でひらきますので、ぜひ参加をお願いしますね。

◎電子書籍制作事業者さま・電子書籍販売事業者さま向け説明会

日本出版インフラセンター(JPO)主催で、経済産業省「コンテンツ緊急電子化」事業の「電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会」が開催されます。この説明会は制作会社様・電子書籍販売事業者様・出版社制作担当者様に、フォーマットに関する説明をさせていただきます。ふるってご参加ください

電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会
申込みフォームはサイト参照。
< http://www.shuppan-d.info/2012/03/001123.html >

電子書籍制作事業者様・電子書籍販売事業者様向け説明会
主催:日本出版インフラセンター
参加対象:制作会社様・電子書籍販売事業者様・出版社制作担当者様

【第1回】3/23(金)15:00〜17:00 於:書籍協会4階
【第2回】3/27(火)15:00〜17:00 於:書籍協会4階
(内容は同じです)

内容
1.電子書籍のフォーマットについて
2.電子書籍制作事業者の選定について

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

デジクリ連載[19]電子書籍フォーマットについての基本的な整理

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[19]電子書籍フォーマットについての基本的な整理/沢辺 均

出版デジタル機構は4月の株式会社設立にむけて、まあほんとうに山ほどのことを決めたり、相談したり、書類をつくったり、してます。で、僕は出版デジタル機構の準備室の一員として、日々そうした作業を神保町の事務所に出かけてやっているわけです。

今回は、僕が機構の仕事を通してアタマを整理した電子書籍の「フォーマット」のことについていくつか書いておこうと思います。

いま、僕の頭の中の整理を書いてみると、電子書籍のフォーマットはこうなる。

◎紙の本と同時に、あるいは紙の本からつくる場合
└─・固定レイアウト式
└─・リフロー式
  └─DTPデータなどのテキストがデジタルである場合
  └─テキストをデジタル化するところから始める場合
◎電子書籍で発行することを目的に電子書籍をつくる

僕はそもそもこの機構をつくるって構想の前から、本のページをスキャンして、PDFでOCRをかけて透明テキストをつくり、検索ができる電子書籍を、大量に販売することから始めればいいのに、と思っていた。

固定レイアウト式というのは、ほぼそんなモノなのだけど、実際にいろいろ調べて行くと、どうもPDFは困難が多いというにやっと気づいた(あー、カッコ悪い!)。

そもそも、ビュワーがない。そりゃ、nonDRMのPDFファイルを読むためのビュワーはありますよ。Acrobatだっていいわけだし、他のもあるし。PCにもiPadにもある(DRMとは、デジタル著作権管理のこと)。

だけど、そもそも電子書籍書店で読者に提供しているビュワーでは、PDFまでをカバーしてるものがないのです。電子書籍書店にないということは、フリーで提供するならできるけど、実際に販売してもらえるとことがない、ということです。

じゃ、作ってもらえるように働きかけよう、と考えたのだけど、これまたあらたなコストがかかるわけです。さらには、そのファイルで、透明テキストを選択できるようにする、それをまた検索できるようにする、さらにはDRMをかけてもらう。こうした条件はさらにキビシい。

このPDF方式は過渡期のものだと思っていたので、そんなものにたくさんの費用をかけられない、かけてもらうわけにはいかない。こんなあたりまえのことに、具体的に検討を進めるなかでやっと気がついたわけです(ハズカシイ)。

なら固定レイアウト式はむりか? 今の僕が考えている仮説は、ページを一枚ずつの画像にして、それを.BOOKだとか、XMDFにはりつけて、写真集のような(だけどその写真は、スキャンした紙のページね).BOOKとかXMDFとかを作る。これなら、今の電子書籍書店のビュワーでも表示してもらえるのではないか? DRMもかけられるのではないか? と考えているのです。

リフロー式の制作検討で言えば、ほとほとデジタルデータの有無が費用の大部分を締めてしまう。コストに決定的な影響を与えてしまうのです。

出版社で編集とか制作に関わっているいる人なら常識だろうけど、紙の原稿(それが単行本であっても)を入力して、引き合わせ校正をすると、一文字あたり1円前後の費用がかかる。

新書は10万字(400字詰め原稿用紙で250枚ね)、400枚の四六判の本では16万字。だから10万とか16万円かかる。いろいろ調べて行くとやっぱり中国は安いらしいという話はよくある、けどね。なワケで、無茶苦茶コストががかる。

これで電子書籍にしてみても価格1,000円、出版社の売上げが600円として170ダウンロードは売れないとテキストのデジタル化の費用だけでもでない。これに、.BOOK、XMDFにする費用や、印税や宣伝費や社員の給料とかがさらにかかるのです。

ちなみにポット出版の電子書籍の販売数はいまのところ数10ダウンロードというあたり。つまり桁がひとつちがうのだ。

なので、DTPデータを利用する、さらに言えば紙の新刊を出したら、できるだけ同時にリフロー式のものを作っておくのが一番賢い、ということになる。

なぜ同時か? といえば、僕自身校了した直後のデータなら、紙の本の最終直しの有無を覚えているので、「あそこの漢字をなおしておけばいい」とか判断できるけど、一ヶ月とか経つともう一度読み直さなくては不安になるのです。

なので、校了直後にそのままDTPデータを使って、リフロー式の電子書籍にするのであれば、時間のかかる校正(のやり直しとか)を省略もできる。だから同時がいい。

コストでいえば、固定レイアウト式が「一」とすれば、リフロー式(デジタルデータあり)が「十」で、リフロー式(テキストデジタル化から)が「百」って感じだな。

まあ、こうしたことをひとつずつ学ぶことができたのは、実際に、ポット出版で電子書籍を作り始めたり、具体的な検討を積み重ねたりしたからなのです。だから、やっぱり、考えるのもいいけど、いろいろやってみなきゃね、とますます思う今日この頃です。

◇追伸やっぱりDTPとか、電子書籍化の作業にあたってるオペレータ(のある程度以上のスキルのある人)は偉大だなとつくづく思う日々です。

上記のような具体的な打ち合わせにのってもいいよ、とか、こんな方法のほうがいいじゃん、といった意見のある方。一度リアルにあって教えてもらえませんか? 何人かそうした人がいたら集まりませんか? Twitterのメンションでもいいし、ポット出版のお問合せフォームからでもご連絡ください。

ちなみにTwitterで「自社出版物と、出版・印刷物の制作受託仕事で、オペレータが欲しい、だれかいませんかね? InDesignがきちっとオペレートできて、HTMLとかCSSとかわかるとか、自動化が好きならなおいい。最初は契約社員かも。サイトのお問合せから連絡くれないですかね。公開での質問も可(笑)」ってつぶやいたんだけど、連絡はひとつもなしだった(笑)。

だれだ、これからはSNSが最強の人材集めツールみたいなことを言っていたのは(笑)。まあ、オレの信用がないってことだったんだろうけど。

【沢辺 均/ポット出版代表】twitterは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/ >(問合せフォームあります)

「電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー」にでます。

日誌をサボってます。だれも待ち望んじゃいないと思いますけど(笑)。

でこれは会員限定なので参加ハードルは高いのですが、Twitterでもいいんで、内緒で連絡くれれば、
「特権」を使って何とかします(これまた笑)。

関心のあるかたは連絡を。沢辺

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【会員限定】電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー

電子出版制作・流通協議会 会員社 各位

日頃、電流協の活動にご支援いただきありがとうございます。

以下の通り、電流会員限定のセミナーを開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。

電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー
「電子書籍の新たな方向性について」

 電子出版の制作・流通のプラットフォームづくりを目指す電子出版制作・流通
協議会では文字、音声、動画等を統合した新しい出版コンテンツの構築・検索技
術の研究・開発の方向性を明らかにし、従来の出版市場の規模を越えた新しい電
子出版市場の創造を目指した産官学のメンバーによる新世代コンテンツメディア
研究会(座長:高野明彦国立情報学研究所教授)を2011年1月から全6回実施して
まいりました。
 白熱した議論が展開されましたので、その内容を電流協の会員向けにフィード
バックできるようなセミナーを開催することにいたしました。今後の電子出版ビ
ジネスにお役立ていただくために会員の皆様のご参加をお待ちしております。

会員限定のセミナーになりますので非会員社の方のお申込みはご遠慮ください。

【題目】【会員限定】電流協 新世代コンテンツメディア研究会セミナー
【日時】3月2日(金)14:00-16:00
【場所】日本教育会館 7階 中会議室(701・702)
【対象】電流協会員(参加無料)
【定員】先着150名
【参加申し込み】参加ご希望の方は以下のURLより申込み下さい
 http://aebs.or.jp/seminar.html

【内容】
  コーディネーター
   高野明彦氏(国立情報学研究所)

  パネラー
   影浦峡氏(東京大学)
   沢辺均氏(ポット出版)
   井芹昌信氏(インプレスR&D)
   小城武彦氏(丸善CHIホールディングス)

ず・ぼん編集後記「出版デジタル機構と図書館のこと」

『ず・ぼん』は去年から、月に一本の記事をPDFで販売している。
2月の配信予定は「東大図書館リニューアルで取り組む「知の森」見える化プロジェクト」でプロジェクトに取組む柴野京子さんにインタビュー。
その編集後記に出版デジタル機構(仮称)のことを書きました。
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●柴野さんのインタビューで、出版デジタル機構(仮称)の話をふっているので、少し書いておこうと思う。
出版デジタル機構(仮称)は、9月15日に公表した、出版社を中心に出資する新しい株式会社だ。
●まず、「なぜ出版デジタル機構を作るのか?」だ。 

第一に、いますでに進行しているけど、さまざまな情報がデジタルになって、ネットワークを通じて(も)流通している。
そして、それは今後もますます拡大していくだろう、という「予測」がオオモトの状況認識。
だから、「情報」をあつかう出版という商売も、これに対応しなければならないということだ。

第二に、デジタル化・ネットワーク化がさらにすすんでから対応するより、進行の途中に、むしろ積極的に、先回りして対応することが得策だと考えるからだ。いや、正直に言えば、すでに遅いのかもしれない。でも、やっとわれわれは気がついたんだから、このときに対応しようと考える以外に選択肢はないのだ。

第三に、なら、デジタル化・ネットワーク化が社会的に進行するなかで、出版という商売が対応すべきことはなにか? それは、これまでに作ってきた本をデジタル化することだと考えたのだ、あたりまえすぎるけど。

第四に、そのためにはなにが必要か? 課題は山ほどある。だからともかくデジタル化して販売することを目的にすえることで、逆に課題を克服して行こうとしている。著作権者からのデジタル化の許諾の取り方、契約の内容は? どういうフォーマットにするのが良いか、そのコストはどれほどか?どこで売れるのか? 
こういう課題をひとつづつクリアしなければならないが、課題をクリアする最大の前提条件は資金だ。仮に1タイトルを1万円でデジタル化できるとして、1万タイトルをデジタル化するためだけに必要な資金は1億円だ。実際はリフロー型のデジタル化は、1万円ではとてもできないし、いまでも3万タイトルあると言われている文字もののデジタル書籍に対して、1万タイトルをデジタル化するのではまだまだ足りない。だから株式会社にして、資本金をあつめようとしている。これがまず始めにクリアしなければならないと考えるのだ。

●こうした出版デジタル機構は、図書館にもデジタル書籍を提供して、図書館でも利用してもらうと考えている。
現在の図書館でのデジタル書籍のニーズはまだまだ顕在化していないと思う。デジタル書籍「だから読みたい」というニーズが利用者にある訳もない。
そもそも、デジタル書籍そのものが普及していないのだからあたりまえだ。図書館側もデジタルをどう活用しようかという像を結べていない。例外は大学図書館ではあるが。
なので、出版デジタル機構はこれから、利用者を見据えながら図書館と意見交換をしてその活用法を模索したいと思っている。

●今回の柴野さんのインタビューは、そうした模索のひとつにも生かせそうである。
出版デジタル機構と図書館の意見交換の現場のひとつとしても、このインタビューを読んでもらえるのではないか? と考えている。

●「出版デジタル機構」とググってウエブサイトを見てもらえれば、プレスリリースも、その後に出版社向けと関連事業者向けに開いた説明会の資料などものっているけど、ここにリリースを引いておこう。
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(ココでは出版デジタル機構(仮称)のサイトにリンクしておきます