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特集:どうする、どうなる?大学図書館
住民利用・電子化をめぐって

 
[1997-12-10]

大学改革をめぐる論議が盛んだ。学者や行政関係者ばかりの話題ではない。一般向けの図書が幾つも出版されているし、総合雑誌でも何度か特集された。成熟社会に国立大学はいらない、行革のシンボルとして民営化しよう、という特集さえあった。
アメリカなどとの国際比較で、日本の大学が非実学的、非生産的過ぎるとの政治経済的指摘・要請が一つにはある。学生運動で騒ぐより、若者達のモラトリアム機関でいいさ、企業に入ったらきたえ直すのが日本的、とさえ言われていたのがそうもいかなくなったというわけだ。一方で、新卒者の入学という回路しかほとんど用意されなかった大学を、向学心ある者なら幾つになってからも参加できる施設につくり変えよう。実社会人としての新たな動機から学び、研究できる場にしよう、という生涯教育、リカレント教育論からの要請もある。背景では、進学率は高まる一方だが少子化は確実にやってきて近い将来、企業のリストラと同じ状況がやってくることがいわれている。
リクルートの調査によれば、西暦二〇〇〇年の十八歳人口は最近の入試のピークだった一九九二年の実に七二パーセントに過ぎず、さらに減り続けるという。数字の上では進学希望者の「全員入学」が可能、特定大学への志願の集中が変わらなければ大変な「大学倒産時代」が来つつある、というわけだ。
そんな中で、九一年の大学設置基準の改正・緩和後、各大学では様々な“改革”も行われてきている。一般教育と専門教育の区分廃止、学生による「授業評価」の導入、他大学との単位互換、インターンシップ(現場体験)制度、サテライト・キャンパス、昼夜開講制、社会人入試の導入など。
ではそうした波の中で、私たちのテリトリーである大学図書館はどうなっているのだろうか。大学改革のなかで大学図書館の論議は世間に聞こえるようには展開されていない。公共図書館人あるいは出版・書店人のように職業エッセイが出版される例も聞いたことがない。同じ図書館界といっても、内情の伝わらない別世界だ。何が変わるべきポイントなのか。改革の中できしむ部分はないのか。
今回の特集のポイントは二つ。
公共図書館の現場にいると、大学図書館を使えないかな、あるいは利用者を案内できないかな、という場面に出くわすことがある。また利用者から具体的に相談されることもある。大学図書館の住民開放や蔵書の相互貸借という問題である。基本的には公共図書館の普及、充実という課題や館種毎の役割分担論があるのは前提の上の話だ。
公共図書館が、各分野にバランスのとれた生活者のための図書館として自覚していくなかでも、もちろんあるテーマを追い続ける利用者はいるものだし、普段は小説や実用書に満足している利用者がある場面では切実なヘビーユーザーに転化することも大いにありうる。公共図書館での対応努力は当然のこと、大学図書館としてこういう要望をどう考えるのか。それは大学図書館自体にとってどういう意味をもつのか。
もう一つの柱は電算ネットワーク化、情報の電子化をめぐる、大学図書館の現状と未来の問題である。大きなことが万能の打出の小づちのように語られるが、内実はどうか。単純にニュートラルに資料が結ばれ、ひき出されるというものではなく、必然的に教育システムの再編の問題に転化する。何のための、何をめざしての電子化なのか。現場の者ゆえに見えていることはないか。
閉鎖的だ、タコツボだ、とうそぶかず、知らせる努力、わかるアプローチをしていこうと思う。こんなことを考えながら特集を組んだ。

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